2話 歪められたルールの中で
『歪められたルールの中で』
—従わないことが、唯一の自由だった。
この世界には、“ルール”が存在する。
いや、正確には押し付けられたルールだ。
生まれた瞬間、俺たちは知らされることなく選ばされる。
「正しさ」という名の枠に、静かに閉じ込められる。
疑う者はいない。
いや、疑うという選択肢すら奪われている。
学校で教えられること。
社会で求められること。
誰かが作った“普通”に従うことが、大人への道だと信じ込まされていく。
従順であることが美徳。
逆らう者は「異常」と呼ばれ、排除される。
俺は、幼い頃からその違和感に気づいていた。
誰もが同じ方向を向き、同じ言葉を使い、
そして同じように夢を諦めていく姿が、滑稽で仕方なかった。
「仕方ないよ」
その言葉が、この世界で最も人を殺す。
夢も、希望も、心も。
誰が決めたルールなんだ?
なぜ俺たちは、そこから逃れられないんだ?
答えは簡単だった。
**“見えない鎖”**が存在するからだ。
それは法律でも、制度でもない。
もっと厄介で、もっと強固なもの。
—空気。
誰もがそれを感じ取り、無意識に従っている。
「おかしい」と思っても、口には出せない。
出した瞬間、孤独が襲ってくることを知っているから。
だから皆、黙って俯く。
そして今日も“従う側”に戻っていく。
俺は、その空気を破壊することにした。
従わない。
合わせない。
誰の期待にも応えない。
それが、俺にとっての“自由”だった。
代償は大きかった。
仲間も失った。
居場所も消えた。
だが、俺は今、自分の足で立っている。
誰の指図も受けず、誰の許可も求めない。
この世界が牢獄だとしても、
俺だけは、檻の鍵を握っている。
—従わないことが、唯一の自由だった。


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