東大の学園祭、爆破予告で16日は中止 参政・神谷氏の講演予定巡り
東京大の学園祭「五月祭」を運営する常任委員会は16日、「安全管理上の理由」で、この日の全企画を中止したと明らかにした。常任委によると、常任委や特定の企画団体に爆破予告があったためという。キャンパス内の安全を確認したため、17日は開催する。
この日、本郷キャンパス内で正午から政治系の学生サークル「右合(うごう)の衆」主催で参政党の神谷宗幣代表の講演が予定されていた。
関係者によると、16日午前10時過ぎに、サークルのメールアドレスに爆破予告のメールが届いた。午前11時半から会場となる教室を開ける予定だったが、時間を変更。不審物がないか確認するなど対応に回った。サークルと常任委などが協議し、午後1時過ぎに講演会の中止を決めたという。
警視庁本富士署によると、16日午前10時45分ごろ、東京大のお問い合わせフォームに「神谷議員が来るので爆破します」という内容の爆破予告があった。その後、爆破予告を確認した大学職員から、署に電話で相談があったが、大学側が「自主警備をする」としたため、警察は対応に関わっていないという。
常任委は公式SNSで「本郷・弥生キャンパスの各所に爆弾を仕掛け、五月祭期間中に爆破する等の犯行予告メールが、弊委員会及び特定の企画団体に対してあった」とし、来場者や学生の安全の確保が困難と判断したと説明した。朝日新聞の取材に対し、常任委は「状況を確認しており、これ以上の詳細の回答をできる状況ではない」と話した。
東大はホームページで「自由な学術の場である大学において開催される学園祭が、このような経緯により中止されることに、強い遺憾の意を表明します」とするコメントを、森山工理事・副学長(学生支援担当)の名前で掲載した。
参政党の神谷代表は講演の中止について、自身のX(旧ツイッター)に「待機していましたが、やむなしですね」と投稿した。
党幹部によると、神谷代表は講演会の会場近くで待機していたが、爆破予告を受けて会場入りはしなかった。これまでのところ、党に対する脅迫や危害はないという。
この幹部は、朝日新聞の取材に「言論の自由を奪う行為であり、言語道断。自由な言論空間が保障されなければ、民主主義は壊れかねない。こうした行為によって、党の政治活動が影響を受けることはない」と話す。
中止を受け16日午後4時ごろ、東大の正門からは、ひっきりなしに来場者らが退出し、門の前に立っている法被を着た運営スタッフが「五月祭は中止になりました」と呼びかけていた。
出てきた人々は行列をつくり、近くの地下鉄・本郷三丁目駅や東大前駅の方向に向かって歩いていった。
東大1年の男子学生は、埼玉県の母校の高校1~2年生十数人を午後に案内する予定だった。「せっかくの行事が中止になり、残念だ」と話した。
中止については、午後2時に常任委員会から届いたメールで知ったといい、「何が理由か分からないけど、残念な気持ちと憤りと半分半分です」と話した。
大学2年の男子学生は、教室で展示をしていた時に中止のメールを受信し、来場者を教室の外に出さなければいけなくなった。「理由はわからなかったが、残念に思った。後でうわさで爆破予告があったと聞き、驚いた」
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- 常見陽平千葉商科大学教授・働き方評論家視点
■被害者は誰なのか 爆破予告を断じて許すな、憶測による断罪も許すな 東大「五月祭」に関わったすべての人のことを思う。企画団体、登壇予定者、常任委員会、参加学生、来場予定者。誰が被害者なのか。答えは一つではない。青春の一日が踏みにじられた。何より、爆破予告という暴力によって、大学における自由な言論と学びの場が脅かされた。断じて許してはならない。暴力による言論封殺を、断固として粉砕しなくてはならない。 昨年も東京科学大学の学園祭が爆破予告で一日中止になった。爆弾を仕掛けなくても、脅迫と威圧によって場を止めることができる。その前例が積み重なることを、私たちは警戒しなくてはならない。 大学は、異なる意見を持つ者が集まり、問い、批判し、時に衝突しながらも言葉で向き合う場所である。脅迫と恫喝に屈する空間にしてはならない。 一方で、怒りに任せた憶測も慎まなくてはならない。今回、参政党の神谷宗幣代表を五月祭に招くことをめぐって賛否があった。抗議の声もあった。しかし、現時点で、爆破予告をした犯人は特定されていない。あたかも犯人を特定するかのような投稿であふれている。抗議と脅迫は別だ。批判と暴力は別だ。反差別の名における暴力の免罪、根拠なき犯人視という私的裁判に私は疑問を抱く。 私は参政党も神谷氏も支持しない。しかし、政治家であり、政党代表であり、現代社会の一つの現象でもある人物を大学祭に呼び、議論することには意味がある。反対する自由も、招く自由も、批判する自由もある。それを暴力、威圧でストップさせてはならない。 過去には母校一橋大学でも、百田尚樹氏を学園祭に呼ぶことをめぐって論争が起きた。最終的には安全管理上の問題などから中止となったが、結果として議論の機会そのものが失われた。異論を排除するのではなく、異論を引き受け、問い詰め、批判する。それが知の作法である。今回の常任委員会の判断も、苦渋の決断だったはずだ。責めるべきは、まず爆破予告という卑劣な威圧である。 この世から根絶すべきは、嘘と、差別と、暴力だ。青春が奪われたこと、大学の自由が脅かされたこと、そして怒りが憶測に転化しつつあること。そのすべてに対し、私は知識人、論者、大学人として、強い怒りと冷静な警戒をもって、警鐘を乱打したい。自由な討議空間を防衛せよ。言葉の力を、暴力に明け渡すな。
2026年5月17日 07:35 - 本田由紀東京大学大学院教育学研究科教授視点
補足情報として、参政党側はヘイトスピーチをしないことを求めた誓約書(https://x.com/Safe_Satsuki/status/2055258786311573942)には署名しなかった、つまりヘイトスピーチをする予定だったということと、もう一つは爆破予告判を名乗るアカウント(https://x.com/nM___0606___/status/2055654647847874648)が「参政党神谷に命令されてやった」と書いていること(こちらは真偽不明)も知っておいていただきたい。
2026年5月17日 10:34