底辺配信者2
配信をつける。配信を消す。その繰り返しの毎日。誰かに見られているという現実では自我の出せない俺が唯一注目を浴びれる時間。そこにコメントはない。何を配信したらいいかが分からない。なにを喋ればいいか分からない。
自分には配信のセンスがないのかと毎日思う。惰性で配信をつける毎日。俺より人気のやつが配信をつければみんな居なくなる。俺に需要はない。ただそいつらが配信をつけるまでの待機所でしかないのだ。
新規は来ない。自分の配信のノリが新規に合わないのだと思う。そもそもコメントが来ない。同接もない。トークもない。だから伸びない。見られない。
ただそんな自分でも楽しくゲームが出来ればそれでいいという感情が少し胸の奥にある。でも、その「楽しくゲームが出来ればそれでいい」って感情も、配信を続けていると段々分からなくなってくる。
本当に楽しいのか。ただ現実から逃げるために画面をつけているだけなのか。
誰も見ていない配信で、一人で喋りながらゲームをしていると、たまに自分が何をやっているのか分からなくなる瞬間がある。コメント欄は止まったまま。配信画面の右上には変わらない数字。ゲームオーバーの音だけが静かに部屋に響く。
それでも配信を切った後、なぜか少し寂しくなる。
「あー今日もダメだったな」って思いながらアーカイブを消して、ベッドに横になる。でも次の日になるとまたOBSを開いて、タイトルを考えて、配信開始ボタンを押している。
多分、自分はまだ諦めきれてないんだと思う。
いつか急に人が増えるんじゃないかとか、自分を面白いって言ってくれる人が現れるんじゃないかとか、そんな都合のいい期待を捨てきれない。
配信をしている間だけは、自分が誰かになれる気がする。
現実では上手く喋れない俺でも、画面の前なら少しだけ素直になれる気がする。たとえ誰も見ていなくても、「誰かに向けて喋っている」っていう行為そのものが、自分を保ってくれている気がする。
だから今日もまた配信をつける。
誰も来ないかもしれない。
それでも、もしかしたらを信じて。


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