「パパ、どうして僕は死んじゃったの?」朝食抜きでインスリン注射し運転…9歳息子を奪われた父親が訴える「これは事故ではなく犯罪」禁固2年6か月の判決は「経費横領と同等」命の軽さに問う日本の交通司法【後編】
問題の本質はそこにはありません。 自らの判断で定期的な受診を拒み続け、医師の指示通りに薬を服用せず、意識障害を引き起こす可能性が高いことを知りながら、平然とハンドルを握り続けたドライバーの自己中心的な判断の積み重ねに大きな問題がありました。 ただ同時に、このドライバーにハンドルを握ることを可能にさせてきた、社会の仕組みやルールにも大きな欠点があると思っています。 息子を奪ったドライバーを庇うつもりは一切ありません。 しかし、人間には間違った判断を選択してしまう心の状態が存在するものだと思います。人間個人の意識や善悪の判断だけに責任を負わせるのではなく、社会全体として「本来ハンドルを握ってはいけない人間に、自動車運転の許可を与えてはならない」という法律や仕組みの整備が、非常に重要な課題だと感じています。 ■交通事故「減らす」ではなく「ゼロ」に 日本の交通事故の発生件数は平成16年(2004年)ごろにピークを迎え、そこから減少傾向にあります。 息子を亡くす前の私だったら、「事故の件数も負傷者・死者の数もピークより減っている、いい傾向だ」と思っていたことでしょう。 でも、今の私が感じることは違います。 これほどまでに交通安全への取り組みが行われ、自動車の技術が発展しているにもかかわらず、まだ日本のどこかで悲しみと苦しみが起きてしまっている。あのデータは件数と人数が集計されているだけであって、悲しみの数はカウントされていません。 1件の事故が起きれば、何十人、何百人もの人に悲しみと苦しみを与えてしまうことを、私は痛感しています。だから「減らす」という考え方ではなく、「ゼロにする」という前提で取り組むことが大事なのだと思います。 減らすことを目標にするのか、ゼロにすることを目標にするのかでは、取り組みの内容も深さも変わってくるはずです。 ■「何があっても生きて」 講演を聴いてくれた学生の代表が、こんなことを言っていました。
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