高齢者46人を虐待・介護放棄 広島市が指導「適正手続きへず拘束」
広島市は13日、市内の特別養護老人ホームで、入所者46人に対し、適正な手続きをとらずに身体拘束をする虐待や介護放棄があったと明らかにした。入所者のベッドの四方すべてを柵などで囲う「4点柵」などをしていたが、組織として必要な要件の検討などをしていなかった。市は施設側を行政指導し、業務改善計画書を提出させた。
市は「行政処分に満たない事案」として、施設名などを明らかにしていないが、関係者によると、社会福祉法人「広島東福祉会」が運営する特別養護老人ホーム。通報を受けて3月に立ち入り調査し、虐待がわかった。
介護保険法に基づく法令では、身体拘束は行ってはならないと定めている。やむを得ず行う場合は、切迫性と非代替性、一時性の3要件を満たすかを組織的に検討しなければならないとしている。
市によると、この施設では入所者45人に対してベッドから外に出られなくするための4点柵や、車いすから立ち上がれないよう安全ベルトで体を固定する身体拘束をしていた。だが、組織として3要件の確認などをしていなかった。
また、別の入所者1人のベッドをナースコールが押せない場所に置いており、市はこの行為は介護の放棄に当たるとも判断した。
施設側は朝日新聞の4月の取材に対し、「入居者や家族が不安になられるため、お答えしていない」としていた。
介護での事故防止研修を担うコンサルティング会社「安全な介護」(本社・東京)の山田滋社長(66)は「40人にのぼる虐待は多く、極めてずさんな施設運営だ。行政指導だけでは、法人側が問題を軽視して抜本的な改革が期待できない。処分も検討するべきだ」と指摘する。
関係者が明かす施設の実態は…
複数の関係者が朝日新聞の取…
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広島市の特別養護老人ホームで発覚した46人もの身体拘束は、単なる一施設の不祥事として片付けるにはあまりに深刻な、日本の介護現場が抱える構造的課題を浮き彫りにしています。 ベッドを柵で囲う「4点柵」やベルトによる身体固定が、少なくとも5年前から組織的な検討や記録もなく常態化し、外部の目が入る時だけ解除されていたという事実は、この施設において「異常」が「日常」へとすり替わっていたことを示しています。 ただ、今回の事例がどうであったかは不明ですが、私自身、家族から転倒リスクよりも身体抑制を優先してほしいと求められ、悩んだ経験があります。家族も職員も「何かあったら大変だ」という不安に駆られ、その場をしのぐための対策として拘束を選択してしまうことがあるのです。 また、今回の事案では、ナースコールが押せない場所にベッドを置いた行為が「介護放棄」と判断されました。しかし一方で、認知症やせん妄によって夜間にナースコールを繰り返し押し続ける高齢者がいるのも、現場の偽らざる現実です。それが放棄と言うのなら、いったい誰が、介護を続けることができるのでしょうか? こうした問題の背景には、限界に近い人手不足があるのです。現場を単に怠慢として糾弾するだけでは、根本的な解決には至りません。行政には、人材確保への支援に加え、赤外線センサーやAIを活用した見守りシステムなど、現場負担を軽減する実効性ある支援策を本格的に進めることが求められています。 そして、現場の努力だけではなく、私たち社会全体が、どのような「老い」を支え、受け入れていくのかという覚悟もまた問われているのだと思います。
2026年5月14日 18:12