私立大「4割削減」案が波紋、財務省「規模の適正化」提唱も…文科省「機械的だ」と反発

財務・文科両省の主張

加速する少子化を受けて財務省が提唱した私立大学の4割削減案が波紋を広げている。すでに半数超の私立大が定員割れの状態で、同省は令和22年までに250校程度減らすべきだと主張。これに対し、文部科学省は地域人材の供給拠点だとの観点から一律の縮減に反発する。一部の私立大では、足し算や引き算などの授業が行われている実情もあり、高等教育の在り方が問われる事態となっている。

論争の発端は、財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会が4月に公表した資料だ。

平成元年に198万人だった18歳人口は令和6年に109万人まで減った一方、国公立を含めた大学数は499校から813校まで増えた。

18歳人口と大学数の推移

このうち、私立大は6年時点で624校を占めており、増加傾向にある。運営には国費が継続的に投じられており、分科会はこうした状況への危機感から、22年までに250~400校程度減らすのが適正だと提言。学部定員も50万人から36万人に減らす必要があるとした。

とりわけ、問題視されたのが53.2%(7年時点)に上る定員割れの私立大だ。一部では、数学で足し算・引き算・掛け算・割り算の四則演算や、英語でbe動詞の基本的な機能の整理といった義務教育(小中学校)・中等教育(高校)段階の授業が行われている例を取り上げ、「学位取得者(大学卒業者)の一定の質を確保するためにも規模の適正化を進めるべきだ」と結論付けた。

この言い分に対し、文科省は「地域の医療、福祉、産業、インフラなどを支える人材と高等教育へのアクセスの確保が重要だ」と反論。規模の適正化の必要性は理解するが、「定員割れの事実のみで機械的に判断するものではない」(松本洋平文科相)と一律の削減案を警戒する。

文科省の主張は定員削減や学部統廃合といった撤退を促し、地域社会や産業構造に対応した人材育成機能を強化するというもの。人工知能(AI)の普及を踏まえたデジタル人材の育成を強化し、定員の削減に伴って一人一人の学生により手厚い教育を施せるようにしたいとの将来像を打ち出す。

入学時には四則演算などの復習が必要だとしても、卒業時の学力で大学の真価を判断することが必要だという訴えだ。

現状にメスを入れたい財務省と、未来に期待をかける文科省-。双方のせめぎあいの結果は、将来の補助金額にも反映される可能性がある。(大森貴弘)

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