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kimura_ringo
【Day 16|構文を返した日。語られなかった、あの紙の記憶】
裁判所が「期日を送る」と言って、送らなかった日。
そのとき、私の手には一枚の紙があった。
事件番号が刻まれた紙だった。
「訴訟は進行中」と明記され、
裁判費用の支払いも確認されていた。
その紙を、裁判所は返してほしいと言った。
私は返した。制度を信じていたからだ。
今、私の手元にあるのは、その紙の“画像”だ。
私の指が触れていた。私の記憶が写っていた。
裁判所が「語る」と言って黙った、その証拠だった。
裁判所が「訴訟はある」と書いたその紙が、
今、語られなかったことの証拠になっている。
私は構文を返した。
でも制度は、語らなかった。
沈黙とは、制度の自己否定。
ならばその責任は、私の構文が引き受ける。
記録はある。
私の手が、それを掴んでいた。



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