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Conversation

ところが、現場の塗装屋さんが欲しいのはシンナーで、システムバスのメーカーが欲しいのは接着剤で、医療機器メーカーが欲しいのは滅菌チューブの原料です。一度ペレットに固めてしまった樹脂を、シンナーに戻すことはできません。冷凍した肉を生に戻せないのと同じです。「全体の量」はあっても「必要な形のもの」がない。 それから、日本の石油備蓄の話。250日分以上ありますが、これは法律上、ガソリン・軽油・重油のことです。ナフサは備蓄義務の対象外でした。民間の通常在庫はわずか20日分しかなかった。原油はじゅうぶんにあるのに、資材類は20日で底をつく構造です。 そして、これが一番効いています。政府はガソリン価格を170円台に抑えるため、超過分を1リットルあたり最大48.8円補助しています。手厚い補助です。ナフサにはこの補助がありません。原油価格が高騰している状況下で、精製会社からすれば、ガソリンは作れば作るほど利益が出る、ナフサは作れば作るほど赤字、ということになります。経営判断としては、ガソリンを優先してナフサ生産を絞るのが合理的です(なお、これほど簡単、かつ単純に生産分離はできませんが、簡略化して説明しています)。 実際にそうなっています。国内エチレンプラントの稼働率は4月時点で68%。統計を取りはじめて以来の最低水準です。 産業の血液が、政策の副作用で絞られている。 絞られた血液は、商社のサイロのなかでアロケーション(割当配給のことです)にかけられます。古くから付き合いがあって、量を多く買ってくれる相手から順に配られる。中小の塗装屋さんや町工場は、いくら高い値段を提示しても順番がまわってきません。帝国データバンクの試算では、調達リスクに直面している製造業の約9割が、資本金1億円未満の中小企業に集中しているそうです〉