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VTuberの「転生」を正当化させないために、事務所が用意すべき「出口」の話

はじめに

VTuber事務所に所属していたタレントが卒業・契約終了したあと、別の名前、別の姿で活動を再開する。

いわゆる「転生」は、今のVTuber業界ではかなり一般的な現象になってきてる。

ファン目線では、それ自体は自然なことだと思う。

好きだった配信者の声、話し方、価値観、人間関係、活動スタイルに惹かれていたなら、その人が新しい場所で活動を始めた時に、また応援したくなるのは当然だろう。

だから、この記事は「転生を悪と決めつけたい」という話ではなく、むしろ、本人が次の場所で活動を続ける自由を認めたうえで、事務所側にも、そのIPをすぐに手放さずに活かし続ける仕組みがあっていいんじゃないか、という話だ。

卒業したから全部終わり、ではなく、役割を分けて継続できる余地があるなら、ファンにとっても、本人にとっても、そして最後に事務所(株主)にとっても、もう少し損の少ない形にできるはずだ。

人が会社を辞めて、別の場所で活動する自由はある。会社が個人の人生を永久に縛ることもできない。

ただ、最近この流れを見ていて、少し引っかかることがある。

それは、タレントが卒業した瞬間に、会社が育ててきたキャラクターIPがほとんど止まってしまうことだ。

事務所は、キャラクター名、ビジュアル、Live2Dや3Dモデル、グッズ、楽曲、ライブ、イベント、企業案件、公式企画、ファンコミュニティなどに投資してIPを育ててきた。

もちろん、VTuberの魅力の中心には本人の存在がある。

そこを無視して「全部会社のおかげだ」と言うつもりはない。

でも逆に、「全部本人の力で、会社のIPや運営投資には価値がない」と言うのも、かなり無理があると思う。

キャラクター、世界観、衣装、グッズ、ライブ、公式企画、企業案件、ファンコミュニティ。

そういうものが積み重なって、ひとつのVTuber IPになっている。

にもかかわらず、タレントが卒業すると、そのIPは基本的に使われなくなる。

一方で、中の人は、その活動で得た知名度やファンの記憶を持ったまま、別IPで活動を再開する。

その結果、会社が育てたIPは休眠し、本人は新しいIP(競合)で活動する。

この構造は、かなりもったいないんじゃないかなと思っている。

これは株価だけの話ではない

上場企業として見るなら、タレントIPの継続性は株主目線でも無視しにくい論点だと思う。

もちろん、株価は色々な要因で動くだろう。

決算、成長率、市場環境、需給、海外展開、グッズ売上、ライブ事業、カード事業、為替、期待値。

だから「卒業や転生が増えたから株価がこうなった」と単純に言うつもりはない。

ただ、VTuber事業において「タレントIPが卒業後も価値を生み続けられるか」は、かなり重要な事業論点だと思う。

人気タレントが卒業した時、そのキャラクターIPが止まってしまう。
でも、本人の知名度やファンの記憶は別IPへ移っていく。
会社側には、休眠したIPだけが残る。

これは事業として考えると、かなり厳しい。

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【図1:VTuber関連企業の株価推移】

ただ、この記事でやりたいのは株価分析ではない。

自分が気になっているのは、もっと手前の話だ。

好きだったキャラクターが卒業と同時に止まり、本人は別の姿で活動し、ファンコミュニティが分断されていく。

この流れが当たり前になってしまうと、VTuber文化そのものが少しずつ消耗していくんじゃないかな、という不安がある。

「転生」が支持される理由

転生が支持される理由は、かなり分かる。

ファンからすると、こう見えやすい。

会社がキャラクターの権利を持っている。
本人はそのキャラクターを続けたくても続けられない。
だから別の姿で戻ってくるのは仕方ない。
むしろ応援しよう。

アンネームドファン

この感情は自然だと思う。

会社を辞めた人が、別の場所で活動すること自体は悪いことではない。

ただ、VTuber業界の場合、この「元のIPを続けられないから転生するしかない」という見方が、転生をかなり強く正当化しているようにも見える。

本人が新しい姿で活動する。
ファンはそれを応援する。
会社のIPは止まる。
ファンの感情は会社のIPではなく、本人側に移っていく。

こうなると、会社はかなり不利だ。

会社はIPを保有しているのに、そのIPを動かせない。
一方で、本人は別IPで再始動する。
結果として、会社はIPを守っているように見えて、実際にはIPの経済価値やコミュニティの熱量を失っている可能性がある。

ここが問題なんじゃないかなと思う。

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【図2:現在の卒業・転生モデル】

事務所がIPを育てる

タレントが卒業する

キャラクターIPは休眠する

中の人は別IPで再始動する

ファンの一部が移動する

会社にもファンコミュニティにも断絶が残る

「じゃあ権利を渡せばいい」だけでは済まない

この点については、Xで見かけた以下の投稿がかなり参考になった。

この投稿で指摘されていたのは、僕の理解では、「卒業するタレントにキャラクター権利を渡せばいい」という話は、会社資産・税務・運用の面でそこまで単純ではない、ということだ。

前提として、その投稿も「事務所が権利を渡さない状態を肯定したい」という趣旨ではない。

ファン目線で、本人にキャラを渡してあげればいいのにと思うのは自然だし、その感情はかなり理解できる。

では、卒業するタレントにキャラクター権利を渡せばいいのか。

感情的には、そう思う人も多いと思う。

本人が長年演じてきたキャラクターなのだから、本人に渡してあげればいい。
ファンもそれを望んでいる。
卒業後もそのキャラクターで活動できれば、みんな幸せではないか。

その気持ちはかなり分かる。

ただ、事業として考えると、これはそこまで単純ではない。

キャラクターIPは会社の資産だ。

名前、ビジュアル、モデル、商標、楽曲、グッズ、過去の販売実績、イベント実績、ファンコミュニティ、今後の収益性。

これらを含めて価値があると見られるなら、無償で渡すことは会社資産の放棄に近い。

株主から見ても、

なぜ会社の資産をただで外部に渡したのか

アンネームド株主

という話になる。

さらに、投稿で特に重要だと思ったのが、税務上の話だ。

価値ある権利を個人が無償またはかなり安い価格で受け取る場合、「タダでもらえてラッキー」では済まない可能性がある。

たとえば、そのキャラクターに高い収益性があると見られた場合、その価値分が所得や経済的利益として扱われる可能性がある。

もちろん、権利の価値がそのまま過去の売上額になるわけではない。

売上なのか利益なのか。
卒業後も収益化できるのか。
どこまで権利を使えるのか。
名前だけなのか、ビジュアルやグッズ展開まで含むのか。

こうした条件によって評価は変わるはずだ。

ただ、大手事務所、有名企業、人気タレント、グッズ売上が大きいキャラクターの場合、「価値ゼロ」とは見られにくいと思う。

つまり、本人から見ても、

現金は1円ももらっていない。
でも高額な所得や経済的利益が発生した扱いになる。
その分の税金だけ払う必要が出る。

アンネームドあり得た卒業者

みたいな状況になりうる。

もちろん、実際の税務処理は個別事情による。

キャラの収益性、譲渡条件、契約形態、法人・個人の関係、評価方法によって変わるはずだ。

ただ少なくとも、卒業時にキャラを本人へ渡せばいいという話だけではないと思う。

本人が本当に得するためには、税務、法務、運用体制、納税資金、そして卒業後もそのキャラクターで収益を出せる見通しが必要になる。

会社にとっても、本人にとっても、ファンにとっても、かなり重い話だ。

VTuberのIPは一枚岩ではない

もう一つ大事なのは、VTuberの「キャラ権利」は一枚岩ではないということだ。

キャラクター名。
商標。
キャラクターデザイン。
Live2Dモデル。
3Dモデル。
ロゴ。
衣装。
楽曲。
過去配信。
グッズ素材。
イベント素材。
チャンネル。
ファンクラブ。
ボイス。
案件契約。

こういうものが複雑に絡んでいる。

しかも、イラストレーター、モデラー、作曲家、映像制作者、運営会社など、複数の関係者が関わっている場合もある。

だから「キャラを渡す」と言っても、実際には何を渡すのかを細かく分ける必要がある。

名前だけなのか。
ビジュアルも含むのか。
Live2Dや3Dモデルも使えるのか。
過去の楽曲や配信アーカイブはどうするのか。
グッズ展開はできるのか。
会社名やグループ名を使えるのか。
過去の公式素材は使えるのか。

ここを整理しないまま、感情だけで「渡せばいい」と言っても、現実にはかなり難しい。

だからこそ、制度が必要なんじゃないかなと思う。

卒業後IP継続制度という選択肢

僕は、VTuber事務所はそろそろ

卒業後IP継続制度

を作るべきなんじゃないかと思っている。

これは、卒業したタレントに対して、一定の条件を満たした場合に、元のキャラクターIPを継続利用できる道を用意する制度だ。

重要なのは、無償譲渡ではない。

また、最初から完全買取を前提にする必要もないと思う。

むしろ現実的なのは、

会社がIPを保有したまま、卒業後の本人にライセンスする

という形じゃないか。

たとえば、会社はキャラクター名、ビジュアル、モデル、商標などの権利を保持する。

卒業した本人は、そのキャラクターを使って個人活動を続ける。

その代わり、配信収益、グッズ、案件、イベント、ファンクラブなどから一定割合をロイヤリティとして会社に支払う。

つまり、

会社はIPを完全には手放さない。
本人はキャラクターを続けられる。
ファンは断絶せずに応援できる。
会社にはロイヤリティ収入が残る。

この形なら、かなり現実的なんじゃないかなと思う。

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【図3:卒業後IP継続制度のイメージ】

会社がIPを保有する

円満卒業者に使用ライセンスを出す

本人はキャラクターを継続して活動する

収益の一部をロイヤリティとして会社に支払う

ファンコミュニティの断絶を減らす

会社も休眠IPを収益化できる

「買取可能」にする意味

もちろん、ライセンスだけでなく、一定期間後に買取オプションを用意するのもありだと思う。

ただし、卒業時にいきなり完全買取ではなく、まずはライセンスを基本にする。

そのうえで、たとえば2年から3年ほど卒業後の活動実績を見て、本人が希望する場合には、あらかじめ決めた考え方に基づいて買い取れるようにする。

この方が、会社にとっても本人にとっても現実的かな。

卒業直後に高額な買取資金を用意できる人は少ないだろうし。
会社側も、将来どれだけ収益を生むか分からないIPを安易に手放すのは難しいと思う。

だから、まずはライセンス。
その後に買取オプション。

この段階制がいいと思う。

一番大事なのは「選択肢があること」

この制度の本質は、実際に全員がIPを買い取ることではない。

もっと重要なのは、

キャラクターを継続する道が存在すること

だと思う。

今の構造では、卒業後にキャラを続けられないことが、転生の強い正当化理由になっている。

ファンも、

本人は続けたくても続けられないのだから、転生を応援するしかない

血の涙を流すアンネームドファン

と感じやすい。

でも、もし事務所側が明確にこう言えたらどうだろう。

円満に卒業したタレントには、卒業後もキャラクターを継続利用できる制度があります。
条件は在籍年数、契約違反の有無、未回収案件の整理、ロイヤリティ、買取価格などに基づきます。
本人が希望すれば、ライセンス利用または買取交渉が可能です。

アンネームド未来の事務所

この制度があるだけで、転生の見え方は大きく変わる。

もし本人が別IPで独立した場合、ファンは単純に

会社がキャラを奪ったから仕方ない

とは言いにくくなる。

元のIPを続ける道はあった。
そのうえで本人は新しいIPを選んだ。

という見え方になる。

これは、独立や転生を禁止するものではない。

ただし、転生を正当化する物語の一部を崩すことはできる。

ここに大きな意味があると思う。

Good Leaver制度が必要だ

もちろん、誰にでもIP継続を認めるべきだとは思わない。

情報漏洩、重大な契約違反、無断移籍、会社や他タレントへの加害、ブランド毀損リスクがある場合まで、会社がIPを使わせる必要はない。

だから必要なのは、

Good Leaver制度

だと思う。

つまり、円満卒業者には一定の権利継続の道を用意する。
非円満離脱者には認めない。

たとえば、条件としてはこういうものが考えられる。

  • 一定期間以上在籍している

  • 重大な契約違反がない

  • 未消化案件やグッズ展開を整理している

  • 会社の秘密情報を持ち出さない

  • 現役タレントの引き抜きをしない

  • 会社ブランドを誤認させる表示をしない

  • 所定のロイヤリティまたは買取対価を支払う

  • 炎上や違反時にはライセンスを解除できる

こうした条件を満たした人には、卒業後もキャラクターを使える道を用意する。

逆に、条件を満たさない人には認めない。

これなら会社は、ファンにも株主にも説明しやすくなる。

弊社はタレントの独立を一律に妨害しているわけではありません。
円満な卒業者にはIP継続の道を用意しています。
ただし、会社資産であるIPを保護するため、一定の条件を設けています。

アンネームド未来のY〇G〇〇

この説明ができるかどうかは、かなり大きい。

今のように「卒業したらキャラは止まる。本人は別IPで戻る」という構造だけだと、どうしても会社側が悪者に見えやすい。

でも、継続の道が制度として存在するなら、話は変わる。

会社はタレントを縛っているのではなく、IPを守りながら出口を設計している、という説明ができる。

形だけの制度では意味がない

ただし、制度を作れば何でもいいわけではない。

条件があまりにも厳しすぎると、逆効果になる。

たとえば、

会社が認めた場合のみ可能だが、基準が社内でも不透明。
「手放したくないから」と、現実的に絶対に払えないような買取価格やライセンス料をふっかける。
会社がいつでも一方的に解除できる。

こういう制度だと、ファンからは

形だけの制度
独立妨害
買い殺し

と見られる可能性がある。

それではむしろ、転生支持の燃料になる。

だから制度設計で重要なのは、

到達可能性
基準の透明性
フェアな交渉プロセス

だと思う。

ここで誤解してほしくないのは、「外部のファンに向けて、具体的な買取価格やロイヤリティのパーセンテージを公開すべきだ」と言いたいわけではない。

エンタメ業界において、IPの価値や契約の個別条件を世間に開示するのは、タレント間の格差を可視化させたり、競合に自社の収益構造を教えたりするようなもので、ビジネスとして現実的ではないからだ。

ここで言う透明性とは、「タレント本人に対する算定根拠の透明性」と、「ファンや株主に対する説明責任」のことだ。

大事なのは、直近の売上、利益、グッズ収益、案件収益、卒業後に使える権利の範囲などを基にした「合理的な計算式」が、社内の制度として明文化されていること。

そしてその基準が、ブラックボックスではなく、卒業を考える本人に対してフェアに提示されることだ。

そのうえで、外部(ファンや株主)に対しては、具体的な金額こそ伏せつつも、「あらかじめ定められた基準に基づき、両者合意のうえでライセンス契約に至った(あるいは、本人の意思で見送った)」というプロセスそのものをアナウンスできる状態にしておく。

これだけでいい。

もちろん、必要に応じて外部の専門家(弁護士や会計士など)に算定の妥当性を確認することはあっていい。

ただ、それは「責任ある制度設計」の補助であって、「外部の専門家が適正と判断しました(だから我々には責任がありません)」と、アリバイ作りの免罪符として使ってほしくはない。(劇的に難しいとは思うけど…)

金額そのものを公開するのではなく、「どう計算されたか」が本人に対してフェアであり、「不当な引き留め(あるいは法外な条件の押し付け)はしていない」と会社が自分たちの言葉で説明できること。

本人にとっても、会社にとっても、株主にとっても、納得しやすい形にする必要がある。

株主目線で見たメリット

この制度は、ファンやタレントのためだけではない。

株主目線でも重要だと思う。

今のままだと、タレントが卒業した時に起きるのはこうだ。

会社が育てたIPは休眠する。
本人は別IPで活動を再開する。
ファンの一部は本人についていく。
会社は過去に投資したIPの将来収益を失う。
さらに、新しい競合が生まれる。

これはかなりもったいない。

でも、卒業後IP継続制度があれば、こう変えられる。

会社はIPを保有し続ける。
本人が使う場合はロイヤリティを得る。
グッズやイベントも継続可能になる。
ファンコミュニティの断絶を減らせる。
完全な競合化を一定程度抑えられる。
IP休眠による損失を減らせる。

つまり、卒業リスクをゼロにはできなくても、卒業による損失を収益化できる。

これは事業としてかなり大きいのではないだろうか。

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【図4:従来モデルと提案モデルの比較】

従来モデル
卒業

IP休眠

別IP転生

ファン移動

会社は機会損失

提案モデル
卒業

IPライセンス

キャラ継続

ロイヤリティ収入

会社も本人もファンも断絶しにくい

「転生を止める」ではなく「損しにくい構造にする」

ここで誤解されたくないのは、僕は転生そのものを全面的に悪だと言いたいわけではない。

そもそも、人は変わる。

考え方も、やりたいことも、表現したいものも、付き合う人も、人生の段階によって変わっていく。

それは悪いことではない。

むしろ、人が生きていくうえで自然なことであり、ある意味では成長そのものでもあると思う。

VTuberも例外ではない。

最初は事務所の中で活動したいと思っていた人が、数年後には違う表現をしたくなることもある。
グループの一員として活動していた人が、個人として別の挑戦をしたくなることもある。
昔のキャラクター性とは違う自分を出したくなることもある。

だから、人が会社を辞めて、新しい場所で活動するのは当然あり得ることだ。

それを無理やり止めようとしても、現実的ではない。
過度な制限は社会的にも支持されにくい。

変化そのものを悪いものとして扱う制度は、たぶん長く続かない。

だから会社が目指すべきなのは、

転生を完全に止めること

ではないと思う。

そうではなく、

転生されても会社が損しにくい構造を作ること

だと思う。

そしてもう一つ。

円満に卒業するなら、会社IPを使って独立できる道を作ること

だ。

この二つは両立できる。

会社はIPを守る。
本人には出口を用意する。
ファンには継続性を提供する。
株主には休眠IPの収益化を説明する。

この形が、今後のVTuber事務所には必要なんじゃないかなと思っている。

僕が気にしているのは、文化の消耗だ

ここまで株主目線や会社の資産という言葉を使ってきた。

でも、正直に言うと、僕が一番気にしているのはそこだけではない。

VTuber文化が続いてほしい。

好きだったキャラクターが、卒業のたびに止まってしまう。
本人は別の姿で戻ってくる。
ファンは移動する。
でも、元のキャラクターはもう動かない。

この流れが当たり前になると、毎回どこかに喪失感が残る。

もちろん、それでも本人を応援する人はいる。
それは自然なことだ。

ただ、元のキャラクター、そこで生まれた関係性、積み重なった時間、ファンコミュニティ。

そういうものが、卒業のたびに毎回リセットされるように見えるのは、やっぱりもったいない。

本人が続けたい。
ファンも続いてほしい。
会社もIPを守りたい。

この三者の利害が、必ずしも完全に対立する形しかないとは思わない。

制度があれば、もう少し違う出口を作れるんじゃないかなと思う。

まとめ

VTuber事務所にとって、タレント卒業と転生は避けて通れない問題になっている。

従来のように、

キャラクターIPは会社に残る。
本人は別IPで再始動する。
会社IPは休眠する。
ファンは本人についていく。

という構造のままだと、会社も株主も大きな機会損失を抱え続けることになる。

そして、ファンコミュニティにも毎回断絶が生まれる。

だからこそ、僕は事務所側に

卒業後IP継続制度

を作ってほしいと思っている。

無償譲渡ではなく、まずはライセンス。
その後、一定条件を満たせば買取オプション。
円満卒業者には道を用意し、非円満離脱者には認めない。
価格算定や条件は透明にする。
会社ブランドとの混同は防ぐ。
ロイヤリティで会社にも収益を残す。

こういう制度があれば、卒業後に別IPで転生することのハードルは確実に上がる。

少なくとも、

会社がキャラを渡さないから転生するしかなかった

という単純な物語は成立しにくくなる。

そして会社側も、

タレントの独立を妨害している

のではなく、

会社資産であるIPを守りながら、円満卒業者には継続利用の道を用意している

と説明できるようになる。

これはファンにとっても、タレントにとっても、会社にとっても、株主にとっても、今より健全な形なんじゃないかなと思う。

VTuber業界は、キャラクターと中の人が強く結びつく特殊なビジネスだ。

だからこそ、卒業時にIPが完全に止まり、本人だけが別IPで再始動するという構造は、そろそろ見直されてもいい。

これからの大手VTuber事務所に必要なのは、タレントを縛る契約ではなく、円満な出口を設計する制度だと思う。

そしてその中心にあるべきなのが、

卒業後IP継続制度

なんじゃないかな。



…まぁ僕は100株しか持っていないんだけれども


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コメント

2
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ryna94

かなり興味深い内容と思いました。 卒業後の進路に引退・転生以外の選択肢が増えるのはメリットありますよね。 一方で大手のVtuberほどロイヤリティを支払うのが大変になりそうだとも思いました。 収益の一部をロイヤリティとして支払うとありますが、例えば個人Vtuberとなったあとの収益が少ない、…

1
サンゴー いいね
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サンゴー

コメントありがとうございます。 おっしゃる通り、ロイヤリティが重すぎると、それは選択肢ではなく別の拘束になってしまうと思います。 僕が探っていたのは、本人・ファン・会社の三方良しの落としどころでした。 記事中のロイヤリティは、卒業者に固定費を背負わせる意図ではなく、会社資産であ…

VTuberの「転生」を正当化させないために、事務所が用意すべき「出口」の話|サンゴー
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