DeNA「衝撃の山本祐大トレード」の裏に「強すぎるフロント」の罪…相川監督は「止められなかった」
「何も驚くことはない」
ファンにとっては信じられないサプライズ人事だった。DeNA・山本祐大(27)、ソフトバンク・尾形崇斗(26)、井上朋也(23)の1対2の交換トレードが5月12日午前、両球団から発表された。
「ちょっとびっくりしております」
この日朝、トレードを聞かされた山本は報道陣の前でシーズン途中のトレードに驚きを隠せない様子だった。
「山本はBCリーグ・滋賀から’17年ドラフト9位で入団。昨年、一昨年ともに100試合以上出場しており’23年の日本シリーズでは日本一の立役者の一人でした。今シーズンも、DeNAの扇の要として先発マスクを被る機会が多かった」(球団OB)
レギュラー捕手をDeNAがいきなり放出した衝撃はすさまじいが、セ・リーグ球団関係者は「球団は着々と山本を放出する準備をしていた。何も驚くことはない」と話す。
「もともとバッティングが高く評価されており、とくに三浦大輔前監督(52)からの信頼は厚かった。ところが、期待されていた打力が思ったよりも伸びず、球団フロントの評価は低下。背広組は、松尾汐恩(21)をレギュラー捕手として長く使い、球界のスターに育て上げるという方針を固めてしまったのです。松尾は大阪桐蔭高校出身のエリートで、女性ファンも多い。二軍で練習を重ねていた頃から、数字やデータを重視するフロントの覚えがめでたかったんです。
フロントと現場の“会議”が他球団ではあり得ないほど頻繁に開催されることからもわかるように、現在のDeNAフロントの発言力は強大で、一軍、二軍関係なく現場に決定権はほとんどない。三浦前監督は球団の功労者であるため、山本のトレードや松尾の優先起用に強く反対できたかもしれませんが、今季から現場を預かる相川亮二監督(49)にそんな発言力はないんです」
発言力がないとは一体、どういうことか。DeNAの球団関係者が話す。
「相川さんはもともと、監督としては“第5候補”でした。球団は三浦前監督の退任を受け、工藤公康氏(63)や辻発彦氏(67)らと交渉していましたが、それぞれに『現場の発言力が乏しいチームは預かれない』と断られてしまった。そこで、フロントが白羽の矢を立てたのが、三浦政権でヘッドコーチ格だった相川さんだった。『大物の就任が難しいなら、言うことを聞いてくれやすい内部昇格人事を……』という、いかにもDeNAのフロントらしい人事だったのです。
実は昨オフにも、山本のトレードのオファーがあったといいます。その際は相川さんが猛反対の末に食い止めたと聞いていますが、2度も“お上”の決定を崩せるほどの力は残っていなかったのでしょう。山本の流出は痛いですが、内情がわかるだけに、相川さんを責める気にはなれませんよ……」
人的補償選定が遅れた理由は……
番長の後ろ盾を失い、フロントの「松尾育成計画」に押し出された形となった山本。パ・リーグ球団関係者は、昨オフに桑原将志外野手(32)が西武へのFA移籍を決めた頃から“異変”を察知していたという。
「人的補償が発生したためDeNAは強肩が武器の古市尊捕手(23)の獲得を決めた。桑原の移籍合意は11月26日だったため、普通はプロテクトリストをもとに年内には人的補償を決めるが、古市の獲得発表は年が明けた今年1月8日でした。
補償選手の選定に時間がかかっていたことを考えると、DeNAフロントはこの時からすでに山本の放出を念頭に置いており、現場との話し合いを続けていたと考えていいでしょう。実際、その頃からDeNAは投手が豊富なソフトバンクのほか複数のパ・リーグ球団に秘密裏に“商談”を持ち掛けていましたからね」
ただ、DeNAにとって今回のトレードが“成功”となるのかは不透明だ。
「フロントが育てたい松尾の打率は、.200前後を行ったり来たり。退路を断って奮起を促すというのもわかりますが、山本の背中を見せながらのびのびと育てたほうが、松尾もプレッシャーを感じずに済むのではないか。今回のトレードもフロント主導と聞いていますが、同じくフロント主導で獲得した2人の助っ人投手ジョン・デュプランティエ(31)、オースティン・コックス(29)はまったく機能していない。
その失態の結果として手薄になった先発投手をレギュラー捕手放出で賄おうという算段だったのかもしれませんが、だとすればもう少し先発経験がある投手を取れなかったのか……」(前出・球団OB)
相川監督、松尾にこれまで以上のプレッシャーがかかることだけは間違いない。