熊本市・慈恵病院の「エンゼルこども食堂」10周年 500回で3万食超提供 熊本地震の年に開設、支え合いの輪広がる

熊本日日新聞 2026年5月12日 12:00
エンゼルこども食堂でバーベキューを楽しむ子どもたち=4月30日、熊本市西区
エンゼルこども食堂でバーベキューを楽しむ子どもたち=4月30日、熊本市西区

 慈恵病院(熊本市西区)が、経済的に困っている家庭を支えようと設けた子ども食堂「エンゼルこども食堂」が開設から10年を迎えた。毎週開き約520回、3万食超を無料で提供してきた。食堂に通っていた児童が成長し、ボランティアとして手伝うなど、支援の輪をつないでいる。

 4月30日午後4時半、食堂に次々と子どもたちがやってきた。この日はバーベキュー。地元企業やJAが寄付した野菜や肉を、料理長が焼き上げた。城東小4年の男子児童は「おいしいご飯が食べられてうれしい。大人になったら寄付する側になりたい」。10年前から通い、今はボランティアとして関わる西区の中村京雅さん(22)は「両親が共働きで毎週来ていた。友達の家のような居心地の良さがある」とほほえんだ。

エンゼルこども食堂にやってきた子どもたちに食事を提供するスタッフ=4月30日、熊本市西区
エンゼルこども食堂にやってきた子どもたちに食事を提供するスタッフ=4月30日、熊本市西区

 子ども食堂は、慈恵病院が「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」や、妊婦らを対象にした24時間体制の相談に取り組む中で企画。準備を進めていた2016年4月に熊本地震が起きた。病院スタッフが患者や避難者の対応に追われる中、有志の高校生や県外からのボランティアの手を借りて、地震から約2週間後の4月下旬にスタートを切った。

 高校生以下が対象。コロナ禍で院内での開催ができなくなった時は、4年間、近隣の教会を借りて続けた。寄付金を活用し、経済的に厳しい新中学生に対する制服や小物の購入支援も展開する。

 貧困とは縁遠いように見えても、親が仕事で食事を用意できていなかったり、お金だけ渡されてコンビニで済ませたりする子どもたちもいる。栄養管理室長で食堂代表の上田留美さんは「本当に困っている子が1人でも救えるのならば、この食堂を続ける意味がある」と強調する。(鹿島彩夏)

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