誹謗中傷と法的措置について
2ヶ月前、Xで誹謗中傷の被害に遭いました。
これまでも綴ってきた「かわいいものが好き」でスカートやワンピースなどを着る4歳の息子の服装について、「親が女の子を強く望んでいたために、息子を誘導して女にしようとしている」と捉えられるような内容を拡散されました。その結果、「虐待」「洗脳」「毒親」「異なる性別を強要している」「親が誘導している」「偏った選択肢だけを与えている」「親として悔い改めろ」「施設に預けるべき」とまで言われ、その投稿は数百件に及びました。
そもそも息子が女の子であってほしい、などと思ったことは一度もなく、まったくの事実無根です。
行き過ぎた発言が散見され、消されたポストも含めてURLを記録してきました。現在は、弁護士に依頼をして、特に悪質な投稿のいくつかは名誉毀損に該当する可能性があると判断して、発信者の特定に向けた法的措置に進んでいます。
「親が女の子を強く望んでいた」という虚偽の前提は、文脈を読み取らずに切り取られたものです。
いつか母親になりたいと想像した中学生の頃から、自分と同じ性別である女の子を育てるイメージだけをしていたのは事実ですが、(画像左で使用されている)記事の本文は「自分がかつて脳内で思い描いたことのある”女の子”ではなく、想像したこともない男の子だとわかって、とても楽しみになった」という内容です。
妊娠中、不安定になりやすい情緒のなかで、「男の子、わからない!想像したこともない!どうしたらいいの!?」と慌てたけれど、むしろ、なんにもわからないままで、未知のままで母になるのが正しかった、という気持ちを綴っています。
2021年のポストを引っ張ってきて投稿するのなら、記事の中身を読んでもらえたら……、と苦々しい気持ちですが、そのほかインスタグラムに2年前に載せた「ピンクの服を着せている」の一文も切り取って掲載されていたので、おそらく「息子を女にしたい毒親」というストーリーをつくるための情報集めをしていたのだろうと思います。SNSでよく見かける、事実のように語られる憶測はこのようにうまれるのだな、と感じました。(もちろん、いろんな色の服を着せています)。
意思の強い息子が、はじめてスカートを欲しがったとき、親として迷い、葛藤したこと。そして、最終的には「好き」を否定しないことに決めたことも、これまでの記事で綴ってきました。
できるだけ柔軟な親になりたい。価値観を押し付けないようにしたい。好きなものは応援したい。そう思っていたものの、いざ息子が「ドレス着たい」と言い出すと、えっ、それは・・・どうなの!?と、困惑してしまったこと、そしてその困惑をきっかけに、自分の無意識の価値観に向き合ったことも文章に残しています。
服装や好きなものに限らず、この先も息子が、世間の価値観や性別の枠、制限などに縛られず、好きなものを集めて欲しい、自分の気持ちを大切にして欲しいと、それだけを祈って、日々、息子と向き合っています。
なお、好みだけで、息子のジェンダー・セクシュアリティを決めつけることはしていません。(息子だから、ではなく)誰でも同じように、長い目で見守るつもりです。
と、ここまでにも書いてきた通り、あまりにも事実と異なる中傷なので、真に受ける必要はない、と思いながらも、数が増えれば、理不尽な暴力の嵐に遭っているような気分になり、気持ちもとても疲れてしまいました。
情報を切り貼りして扇動する人がいて、それを目撃するや否や「石を投げてもいい人物らしい」と、一次情報である私のポストや投稿・記事を確認しないままに容赦ない言葉を直接ぶつけてくる人のあまりの暴力性に、恐ろしさも感じました。
何年も誰かを中傷しているアカウントがほとんどでしたが、なかには、同じく子を持ち、日々の様子や育児の様子を綴るアカウントも多くいました。一次情報を確認しないことが習慣になっている様子、人を傷つけている自覚もない様子に、とてつもない不安を覚えました。
渦中にいる時も、本当はなにかを反論したり、説明したり、何かアクションをして戦いたかったけれど、これ以上、悪意ある人たちに家族が曲がった解釈で晒されるのは耐え難く、ただ投稿を記録することしかできなかったあの時間のことは、いまでも傷となって残っています。
「気にしないほうがいい」「受け流すのが得策」とも考えましたが、やはりいかなる理由であっても、親子の関係や育児の道のりを軽々しく否定される誹謗中傷は許せるものではありません。なにより、これまで「男・女と性別で決めつけずに、子どもにはいつでも自分らしくいてほしい」と発信する中で出会ってきた親たちや、「子供の”好き”を応援したくても、周りの目が気になってしまう」と話してくれた親たちに「やっぱり好きなものを選ばせられない」と思わせてしまうような社会にしたくないという思いもあります。
今回は法的措置という手段で、これらの発言が誹謗中傷であり、名誉侵害であることを証明していただくことで、私と家族の尊厳を守り、気軽な気持ちで誹謗中傷をした人たちにとっても自身の行動を省みるきっかけにしてほしいと思っています。まだ長い時間がかかると思いますが、弁護士と連携して、本件に向き合っていくつもりです。
応援してくださっている方々にも、非常にご不快な思いをさせてしまいましたし、ご心配もおかけしてしまい……申し訳なく思っています。
何度も書いてきたとおり、息子は、車と電車、キラキラやプリンセス、お花とおしゃれが大好きです。親が勝手に買った服は着ないので、あらゆる選択肢の中から買いたい服を自分で選んで、毎日、自分で服を決めています(車柄の服も持っています)。
3歳前から髪を伸ばしたがるようになり、前髪はこのくらい切って欲しい、今日はこう結びたい、このヘアゴムがいい、など、髪型ひとつとっても、毎日しっかりと意思を持って、自分のスタイルを決めていて、たとえ親が「こっちにしたら?」と提案しても、揺らぐことなく、自分の気持ちを大切にしてくれています。
時には「電車柄のワンピースが欲しい」と言うこともあり、一緒に生地を選んで、ミシンを買って、制作をしたこともあります。今の世では大人によって、「車・電車=男の子」「ワンピース=女の子」とジャンル分けされがちですが、息子には性別によるバイアスはありません。あるのはただ「好きだと思う気持ち」「こうしたい、と思う気持ち」だけ。
欲しいもの、好きなものがはっきりしていて、要らないものは要らない、こうしたい、これはしたくないと、自分の気持ちを強く持っている息子を心から尊敬しています。そして、その姿を夫と共に、いつも眩しく見守り、できる限り寄り添っていきたいと思っています。
ただそれだけの親子の思いが、曲がった目で見られる価値観が少しでも変わっていくことを心から祈っています。
もちろん、全く迷いがない、というと嘘になります。子供同士の関わりの中で社会性が芽生えるにつれ、親としてドキッとする場面も増えてきました。
でも、保育園で「なんで男の子なのに髪を結んでるの?」と聞かれたあと、「なんでそんなことを聞くのかな?いろんな人がいていいのにね」と私に話してくれる様子があるなど、息子は私が思うよりもずっと成長しているんだな、と思わされることばかりです。
先回りして傷つかないように、周りから浮かないように導くことも、時に大切なのかもしれません。でも私は、自分の気持ちを大事にすること、そして受け止めてくれる人がいることを伝えるほうが、彼をこのさきも長く守ってくれるのではないか、とも思っています。
「いつだって自分を大切にしてね。ママもパパも、どんなあなたでも大好きだよ」
この先も、これまでと変わらずそう伝えて荒波の中を進む息子の心をあたたかい思いで包むことだけをがんばって、あとは息子が息子らしく生き方を選び取っていく姿を、どんなときも応援していきたいと思っています。
どうか、息子を含むすべての子供たちの「好き」「こうありたい」を潰してしまわないこと、そういう価値観をつくっていける大人たちが増えて欲しいと願ってやみません。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。また、心無い声のなかで、応援メッセージを届けてくださった方には、心から感謝しています。とても多くの励ましのメッセージ、また息子の姿勢への共感のメッセージなど、本当に心の支えになりました。
しばらくXをお休みしていましたが、これを機に投稿は通常に戻ろうと思います。今後、ふたたび文脈を読み取らない誹謗中傷が起こるようであれば、法的措置をいつでも視野に入れておきたいと思います。
私の件に限らず、一次情報を確認せず、気軽に誰かを誹謗中傷する人がとても増えています。価値観はさまざまかもしれませんが、人を傷つける言葉には、たとえ匿名であっても顔が見えなくても責任が伴うことをどうか忘れないでいてほしいです。悲しい思いをする誹謗中傷が減っていくよう、願っています。


コメント
10さえりさんの想いを今まで読んでたから、この時「何も知らないくせに」って本当に悔しかった…
わかっている人だけが理解していればいいのかもしれないが、それでも何もできない自分にも腹が立ったし、さえりさんの気持ちを考えたらその場しのぎの言葉をかけるのもなぁと静観してました。
何もできず、ごめんなさい。
これからもさえりさんを応援させてください。
高校生の頃からさえりさんのファンで、書籍などもたくさん購入させていただいています。子供が生まれる前から今まで、記事で色々な想いを綴られており、言葉の選び方が本当に素敵で心がいつもあたたまっていました。
そんな素敵なご家族の中身を何も知らずに、こうして躊躇なく言葉を当てられる世界になってしまってとても悲しいです。今は大変で気が休まることも少ないかも知れませんが、さえりさんご家族が穏やかに過ごされることを祈っています。
初めてコメントいたします。
緊急帝王切開に気持ちがついていかず、傷口を見るたび泣いていた頃にさえりさんの「母未満日記」に救われて今1歳の長男と楽しく暮らしている者です。
「私の体から男子が出てくる⁉︎なんか虫とか克服しなきゃかな⁉︎全然わからん!」とビビりまくった妊娠期間が私にもあったなと思い出してにやりとしたり、息子の目にどんな世界が写ってるのか考えたり…
自分が感じている言いようのない育児の楽しさがエッセイを読むことで形になってるなぁ〜と感じています。
今はアチアチに発熱してる子どもを抱き抱えながら、5月生まれだからって0歳4月入園で保育園は早かったかな…でも…と逡巡しそうになったときの気付け薬のようにさえりさんの文を読んでいます。
普段こういったSNSにコメントすることはないのですが、今感謝を伝えねばと思いました。
これからも伸びやかに日々を愛せますように。
上手くは伝えられませんが。私も味方です!さえりさんやご家族の幸せを願っています。親になるメリットのお話は、私も私の周りの友達(親になった子も、これからなる子もみんな。)も、多くの人が救われました。何度も何度も読みました。悪い言葉ばかりが目立つことは悔しいので。私も普段はコメントしませんが、ここに気持ちを残させていただきます!