地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
■「荒唐無稽だ」と笑えない段階にきている 大人の事情でモノゴトが決まり、結果として若い人はどんどん離れていく。この負のスパイラルに終止符を打つには、行政の在り方そのものの転換が不可欠だ。子供を主語にした教育と街づくり。稼ぐことを恐れない自治体経営。スペシャリストが集う開かれた議会。どれも「前例がない」だろう。だが、前例がないことは、やらない理由にはならない。 日本という国の凄さは、東京のスカイラインにあるのではない。瀬戸内の多島美に、コンビナートの夜景に、商店街のシャッターの向こうで今日も暮らしている人々の中にある。その凄さを守るとは、この国を深く理解し、その理解を教育と街の魅力に変換していくことにほかならない。 ジェームスさんの提案を「荒唐無稽だ」と笑うのは簡単だ。だが、大人が笑っている間にも、地方の子供たちは一人、また一人と、出ていく準備を始めている。 18歳の春、駅のホームで見送る親の姿。「いつか帰ってこいよ」と言う父の声。だが、帰る理由が、この街にはない。帰りたいと思わせる「物語」が、この街にはない。 その物語を作れるのは、大人の事情で動く会議室の面々ではない。「笑われてもいい」と腹を括った、本気の誰かだ。その誰かが現れたとき、地方は変わる。そして、その誰かを受け入れる度量が、その街にあるかどうか。それが、周南市だけでなく、日本中の地方都市に突きつけられている問いなのだ。 ---------- 西田 理一郎(にしだ・りいちろう) 価値共創プロデューサー、ディープルート 代表取締役 富裕層向けブランド体験の「物語」を紡ぐナラティブ・マーケティングをプロデュース。また、情報伝達を超えた行動を仕組化し、個の全盛時代において、ラグジュアリー市場での持続的成長を実現する知の「価値共創」戦略を構築する。プレミアムブランドの世界観を体現する戦略的プラットフォームの商品化を手がけ、ミシュラン・ガストロノミーから超高級ライフスタイルまで、文化的価値を経済価値に転換するマーケティング、ブランディングを専門とする。「to create a Real LIFE 敏腕マーケターが示唆するこれからの真の生き方とは」「Life is a Journey」「食と文化の交差点 ガストロノミーへの飽くなき情熱」などのメディア掲載・連載を通じて真のラグジュアリーとは「所有」ではなく「体験」であり、その体験に宿る物語こそがブランド価値の源泉である――という信念のもと、富裕層マーケティングの新境地を開拓し続けている。主要著書に『予測感性マーケティング』(幻冬舎)、『アフターコロナ時代のトラベルトランスフォーメーション』(ゴマブックス)、『GRAND MICHELIN ミシュラン調査員のことば[特別編集版]』(アンドエト)がある。個人サイト ----------
価値共創プロデューサー、ディープルート 代表取締役 西田 理一郎