「政府はもっと危機感を」専門家は警鐘 高市政権で“ナフサ不足”が深刻化…現場は「価格転嫁は避けられない」と悲鳴
「メーカーの価格転嫁は待ったなし、というのが多くの専門家の見方です。実際に4月から、積水化成品工業は精肉トレイの原料を値上げし、三菱ケミカルも食品ラップや弁当容器などを35%以上値上げしました。クレハも、冷凍保存袋などの家庭用品を6月から値上げする予定です」(前出・全国紙記者) こうした値上げラッシュを受け、野村総合研究所は、「今後、ナフサ由来の日用品の値上がりによる家計負担(家族4人)は、年間で約2万2,5000~3万5,100にのぼる」と試算している。 では、具体的にどのような商品が値上がりしていくのか。 「プラスチック系の梱包材や容器類を使用している商品は、基本的にすべて値上がりすると思ったほうがいい」と話すのは、石油化学コンサルタントの柳本浩希さん。 そこで本誌は、柳本さんら専門家への取材や報道資料を基に、「ナフサ不足ショックによる値上げリスト」を作成。 5月上旬には、Aさんも述べたように食品の値上げがやってくる。 「卵のパックや総菜のトレイ、肉などを入れる発泡スチロールの容器は、すべてナフサ由来ですから、値上がりは避けられません。ただ、ひとつあたりの材料費はそれほど大きくないので、商品価格としては、数十円程度の値上げ幅ではないでしょうか」(柳本さん) 700円の弁当なら約728~784円に。130円の納豆(3パック入り)なら、約143~169円程度に値上がりする可能性が考えられる。 また、野村総合研究所では、5月下旬から、ごみ袋や食品保存袋などの製品が「30%以上値上げされる」と予測している。 現在、約600円で販売されているごみ袋(45L・50枚入り)なら、少なくとも約780円に。イラン戦争が長引けば、50%値上げの900円超になる可能性も否めない。 さらに、在庫の切り替わり時期にあたる6月以降は、本格的な値上げラッシュが始まるという。 「冷凍食品やレトルト食品は、包装に特殊なプラスチックを使っているので、コストが大きい。洗剤やシャンプー類も、容器・中身ともにナフサ由来なので、値上げは避けられません」(柳本さん) 冷凍パスタ(1人前・トレイ付き)なら、約350円が455~560円に。大容量の詰め替え用シャンプーなら、約1,000円のものが1,050~1,150円程度まで値上がりする。 また、マヨネーズ(450g)は、約500円から最大20%増の600円に。大人用紙パンツ(1袋)も、約1,500円から最大20%増の約1,800円程度まで値上がりが予測される。 一方で疑問なのは、なぜ高市首相が「4カ月分は確保している」と述べているにもかかわらず、現場で品薄になっているのか、という点だ。 この疑問に対し「政府が言う“4カ月分”は理論上の数値にすぎない」と分析するのは、エネルギー問題に詳しいコネクトエネルギー合同会社CEOの境野春彦さんだ。こう続ける。 ■もっても2カ月が限界。政府はもっと危機感を 「4カ月分の内訳は、これからの国内精製と中東代替調達の見込みが2カ月分。ナフサからつくられるプラスチック原料など、最終製品になる前の中間製品が2カ月分です。 しかし、前者の在庫の中には、まだ日本に届いてないものも含まれており、実際に使用できるのはごくわずか。また、後者の中間製品は、膨大な種類がありすぎて、どの用途の製品がどれだけあるのか政府も把握しきれていません。包材や溶剤などの不足が起きているのは、そのためでしょう」 中東以外から4月に確保できたナフサは、1カ月必要量の約3分の1(約90万kl)にとどまる。 「この状況が続けば、持っても2カ月が限界。政府はもっと危機感を持つべきです」(境野さん) 値上げや品薄として暮らしを直撃する“パッケージ・ショック”。いま、政府の対応が問われている。
「女性自身」2026年5月12日・5月19日合併号