放送禁止級にヤバい…『美味しんぼ』衝撃のお蔵入り回(3)不快感を抱かせる…不憫な理由で封印された神回は?
1983年より連載を開始したグルメ漫画の金字塔『美味しんぼ』。新聞記者の山岡士郎と栗田ゆう子が「究極のメニュー」を作るというシンプルなストーリーは、多くの読者を虜にしアニメ化もされた。しかし、アニメの中には過激な回も多く、再放送できなくなったものも存在する。今回はそんな欠番回の魅力をたっぷり紹介する。第3回。(文:編集部)
第15話「日本風カレー」
『美味しんぼ』の中には、時代のあおりをモロに食らったエピソードもある。第15話の「日本風カレー」もそんなエピソードの一つだろう。 本話は、東西新聞社文化部の一同がランチ途中にひったくりにあうシーンから始まる。と、ひったくり犯を追う山岡の前に、そこに柔道の師範を名乗る老人、虎沢が登場。華麗に背負い投げを決める。 お礼に何かご馳走をしたい、という栗田たち。すると虎沢は、孫娘を奪った男が経営するカレー屋で一緒にカレーを食べてほしい、と文化部一同を店に案内する。 虎沢は、店に入るなり店主を邪険に扱い、続いて「鳥・豚・牛肉を使わない」美味い日本風カレーを食べさせろ、という。しかし出てきたのは魚を使ったカレーだった。虎沢は一口食べるなり、こんなもの不味くて食えんよ、と言い、孫娘を連れて出ていってしまう。 虎沢が帰った後、店主は知られざる過去を明かす。それは、自分がかつてオリンピックの強化選手だったが、素行の悪さから出場停止になったというものだった。そんな折、彼を更生させてカレー屋の開店を勧めたのが虎沢の孫娘だったのだという。 その後、店を訪れた一行に、店主は「牛の骨髄カレー」を出す。牛のスネや大腿骨を野菜や香辛料と一緒に煮たカレーだ。一口食べるやその豊満なコクの虜になるが、このカレーのレシピがオリジナルではなく、誰かから教わったものだ、と鋭く見抜く。 息を呑む一同。現にこのレシピは山岡が伝えたものだった。しかし虎沢は、人様の信用に応えられるようになったからこそレシピを教えてもらったのだ、と述べ、カレーオリンピックの金メダルを獲ってみせろ、と2人の結婚を認めるのだった。 あらすじだけ見るとなんとも人情味あふれた『美味しんぼ』らしいエピソード。しかし、残念ながら現在は欠番となっている。なぜ本話は欠番となったのか。その理由は、かつて世間を賑わせた狂牛病(BSE)問題にあった。 狂牛病とは、牛の脳内が海綿状になる病気になることで、飼料として牛の骨粉が使われたことが原因と言われている。国内では、2001年に罹患の疑いがある牛が発見されたことを皮切りに、食の安全が問われる大きな問題となった。 本エピソードに登場するのはあくまで「牛の骨髄」であり、狂牛病との直接的な関連はない。しかし、牛の部位を連想させる食材が登場することで、視聴者に不安や不快感を抱かせる可能性がないとは言い切れなかったのだろう。 かくして、制作側は本話の再放送を控える判断を下した。そして、「日本風カレー」は欠番エピソードとなってしまったのだ。
編集部