国立国会図書館に文書開示を請求してみました
前回の記事で、デジコレの送信資料における除外基準が、どのような経緯で成立したのか必ずしも明らかではないことを書きました。
除外基準には当初から「当該資料又は同内容の著作物の著作権が著作権等管理事業者により管理されている場合」という項目が盛り込まれています。 この基準の背景には、前年の取りまとめにある「著作者、出版者の利益を不当に害することのないよう留意する」という基本方針がありました。
しかし、なぜその配慮が「著作権等管理事業者による集中管理の有無」という文言に収束したのか、その決定的なプロセスが不明なのです。2012年に開催された関係者協議会での議論が鍵を握っているはずですが、残念ながらその議事録は公開されていません。 この問題に言及している研究者の鈴木康平氏も、論文内で「(記録が)見当たらない」と述べています。専門家が辿れないのであれば、残された手段としては文書の開示を国立国会図書館に直接請求する方法しかありません。
国立国会図書館事務文書開示規則に基づく開示請求
国立国会図書館には、保有文書の開示を請求するための制度があります。
これは一般的な情報公開法に相当するもので、国立国会図書館独自の場合は「国立国会図書館事務文書開示規則」というルールに基づいています。制度が存在すること自体は知られていたとしても、実際に利用したことがある人は少ないでしょう。私自身、今回が初めての試みです。
以下は、開示請求する内容です。
事務文書の名称等
平成24年12月10日付「国立国会図書館のデジタル化資料の図書館等への限定送信に関する合意事項」(国図電1212041号)の成立過程に関する事務文書のうち、同合意事項中の除外基準「当該資料又は同内容の著作物の著作権が著作権等管理事業者により管理されている場合」という記載の検討、追加、修正、協議又は決定に関するもの。
「資料デジタル化及び利用に係る関係者協議会」の運営に関し、国立国会図書館が作成または取得した一切の事務文書。
具体的には以下のものを含む。
① 各回会合の議事録、議事メモおよびこれに準ずる記録文書
② 各回会合において配付された資料一切(次第、検討資料、草案類を含む)
③ 「国立国会図書館のデジタル化資料の図書館等への限定送信に関する合意事項」の起草・修正の過程を示す文書。特に「著作権等管理事業者が管理する著作物」を送信対象から除外する条項の導入経緯に関わる草案、修正履歴、内部メモ、および著作権等管理事業者またはその関連団体との連絡・交渉文書。
④ 協議会の構成員または関係団体との間で交わされた連絡文書、照会・回答文書、意見提出文書
なお、対象期間は、協議会における議論の開始から平成24年12月10日までとする。
参考:
平成24年12月10日付「国立国会図書館のデジタル化資料の図書館等への限定送信に関する合意事項」(国図電1212041号)
国立国会図書館PDF
開示理由
「国立国会図書館のデジタル化資料の図書館等への限定送信に関する合意事項」(平成24年成立)に定められた除外要件、とりわけ「著作権等管理事業者が管理する著作物」に係る条項の成立経緯を調査するため。
正直なところ、欲しい情報がストレートに得られる見込みは薄いと考えています。想定される結果は、以下の3パターンです。
不開示決定: そもそも開示されない。この場合は苦情申し立てに移行しますが、前途多難です。
形式的な開示: 議題のみが記されたペラ紙など、議論の中身が全く見えない文書だけが出てくるパターン。
記録無し: 非公式な調整の場であり、議事録を作成・保存する取り決めがなく、開示すべき文書がそもそも無い。
このように手を尽くしてもなお情報が得られないのであれば、ここまで集めた情報が全てとして、デジコレの制度にどのような問題が起きているのか、現状を整理することに集中できます。申し立ての過程をここに記録しておくこと自体、同じ問題にぶつかった人の参考になるかもしれません。続きはまた書きます。



国立国会図書館が過去に資料の公開の是非を不透明に決定していたことは、松井茂記『図書館と表現の自由』や、しんぶん赤旗『国会図書館の法務省資料/政府圧力で閲覧禁止/米兵犯罪への特権収録』により既に明らかになっていますが、この事件(2008年5月)から何年も経った今も、同館が未だ反省の態度を見…