会話

タイの青少年を対象とした前向き研究が、mRNAワクチン接種後の心臓副作用の実態を浮き彫りにしている。参加者301人のうち、実に29.24%に何らかの心血管症状が現れたのだ。動悸や胸痛から心筋炎まで、そのスペクトラムは広い。 この研究は、BNT162b2ワクチンの2回目接種を受けた13~18歳の青少年を対象に、心臓酵素、心電図、心エコーを接種前・接種後3日目・7日目に測定するという厳格なプロトコルで実施された。 最も多かった症状は頻脈(7.64%)、次いで息切れ(6.64%)、動悸(4.32%)、胸痛(4.32%)だった。心臓バイオマーカーの上昇は2.33%の参加者で確認され、心筋心膜炎が1例、心膜炎が2例、無症状の心筋炎(臨床症状を伴わない心筋炎)が4例診断された。 入院を要したのは2例のみで、ICU管理を必要としたのはそのうち1例だったが、全例が14日以内に完全回復した。フォローアップの心臓MRIで心筋の瘢痕化は認められず、長期予後は良好と考えられる。 しかし、問題は発生頻度そのものだ。 米国CDCの報告では10代の若者における心筋炎・心膜炎の発症率は「100万回の2回目接種あたり12.6例」とされる。 ところが本研究の単純計算では、301例中7例の発症(心筋炎・心膜炎の確定・疑い例)——発生率にして2.3%、つまり「10万回の接種あたり約2325例」という桁違いの数字が導かれる。 この乖離をどう解釈すべきか。その鍵は「サブクリニカル心筋炎」の存在にある。従来の研究は主に胸痛など明らかな症状を契機に診断されてきた。しかし本研究は、無症状のまま心臓バイオマーカーが上昇する症例を系統的にスクリーニングすることで、いわば「水面下の心筋炎」を初めて可視化した。つまり、これまでの認識は氷山の一角に過ぎなかった可能性が高い。 mRNAワクチンによる心筋炎のメカニズムはまだ解明されていない。だが、脂質ナノ粒子とRNA成分が過剰な自然免疫を活性化し、インフラマソーム経路を介して炎症性サイトカイン(特にインターロイキン-1ファミリー)を放出するという仮説が有力だ。問題は、この反応が特定の遺伝的素因を持つ一部の若年男性に顕著に現れるらしいことである。 長期的な心筋線維化のリスクは、今回の研究では確認されなかった。しかし「軽症だから安心」とは言い切れない理由もある。心筋炎が治癒した後も、ごく一部の症例で遅発性の不整脈や心機能低下が報告されているからだ。サブクリニカル心筋炎の長期的な予後に関しては、現時点でエビデンスが存在しない。 ワクチンの「副作用は極めて稀」という従来の枠組み自体が、今回のデータによって根本的な再考を迫られている。 — 研究論文 『Cardiovascular Manifestation of the BNT162b2 mRNA COVID-19 Vaccine in Adolescents』(「青年におけるBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンの心血管症状」)2022年 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36006288/
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202人の少年を対象としたタイの前向き研究では、13歳から17歳の少年の30人に1人(7/202)が、ファイザー社のCOVID-19 mRNAの2回目の投与後1週間以内に心筋炎または心膜炎を発症した。 ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/P