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災害時の仮設トイレ、全国自治体の6割が必要数試算せず…国際基準を満たせない可能性
災害時の仮設トイレについて、NPO法人「日本トイレ研究所」(東京都)が全国の自治体に調査したところ、回答したうち6割以上が必要数を試算していないことが分かった。万一の際にトイレが不足し、被災者の生活環境を維持するために示されている国際的指標のスフィア基準を満たせない懸念がある。識者は「災害関連死を防ぐためにも事前の算定が必要」と指摘する。(赤沢由梨佳)
能登半島地震後、避難所に設置された仮設トイレ(2024年2月25日、石川県輪島市で)=日本トイレ研究所提供
避難所などのトイレ問題の改善に取り組む研究所が2~3月、全国1788自治体に調査を実施したところ、397府県市区町村が回答(22・2%)した。
仮設トイレの必要数について、「算定している」との回答は36%の143自治体だった。これに対し「算定していない」は39・5%の157自治体、「検討している」は24・4%の97自治体で、合わせると未算定は63・9%に上った。
スフィア基準では「トイレは20人に1基」など避難所運営の目安を示しているが、未算定だとトイレ不足につながる可能性があるほか、トイレットペーパーの備蓄やバキュームカーの配備などにも影響する。
南海トラフ地震で最大34メートルの津波が想定される高知県土佐清水市は検討中だとし、担当者は「スフィア基準を基に算定していく」と語る。2016年4月の熊本地震で被災した自治体の中には「算定の必要性を認識していなかった」と反省する担当者もいた。
災害時に活用される仮設トイレ
調査は仮設トイレの調達について、協定に関する項目もあった。すでに民間などと協定を結んでいるのは42・8%の170自治体に上ったが、うち協定項目に「洋式トイレの優先供給」「室内照明の確保」「トイレ掃除に必要な道具・資機材の確保」を含むと回答したのは、いずれも5%未満だった。高齢者ら災害弱者への配慮、防犯、衛生対策面に目が行き届いていない実態も浮き彫りとなった。
2年前の能登半島地震では、トイレの不足や衛生環境の悪化で体調を崩す被災者が相次ぎ、一部では災害関連死につながったとの見方もある。日本トイレ研究所の加藤篤代表理事は「トイレの必要数を早急に把握し、給水やくみ取りの運用体制を構築することが重要だ。避難所に入る被災者数をはじめ、車中泊者や在宅避難者も想定しておく必要がある」と語る。
◆ スフィア基準 =アフリカの難民キャンプで死者が多数出たのを教訓に、国際赤十字などが1998年に指標を策定。避難所のトイレは災害直後が50人に1基、その後は20人に1基を必要な目安とする。政府は2024年1月の能登半島地震を受けて、自治体の避難所運営の指針を改定した際、スフィア基準を反映させた。30年までに全市区町村で基準を満たせるように目標を掲げる。
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