「嫌中」動画、気軽に下請け 台本沿いAIで量産「恨みはない」
「日本の新幹線に世界が震撼(しんかん)」「桜を荒らす中国人 彼らの身体に異変が」――。
インターネットの動画投稿サイトに、日本を称賛し、外国人を非難する動画があふれている。実話か創作か明記されていないものも目立つ。
多くはAI(人工知能)で生成された画像と無機質な機械音声で紹介されていく物語。時に数十万以上の再生数を記録し、投稿主に広告収益をもたらしている。
こうした動画の編集を「下請け」していた20代の男性会社員が、朝日新聞の取材に応じた。「主義や主張、外国人への恨みは一切ない。軽い気持ちで加担してしまった」
その「副業」に出合ったのは2年前。将来への不安から、仕事の仲介サイトで求人を探していた頃だった。募集内容は、「中国批判系など海外の反応YouTube動画のお仕事」。用意された台本に基づき、AIを使って動画に登場する人物や場面の画像を生成するというもの。自宅で気軽にできる、と感じた。
作業には「手順書」があった。創作の物語でも、施設や地名は実在のものに。視聴者の大半は高齢者のため、音声は聞き取りやすく――。そんな指示もあった。
「大声でクレームを言う中国人」。AIに指示を出せば、ものの数分でそれらしい画像が生成された。戸惑いつつも「当然、創作だと分かるだろう」と作業を続けた。
仕事を始めて半年ほど経ち、こうした「嫌中」動画が誰に、どんな見られ方をしているのかが気になってきた。
台本のタイトルを投稿サイトで検索してみると、手がけた「作品」が次々と画面に現れた。
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見る人の憎悪をあおり、時に思考をゆがめるネット動画。その一端には、顔の見えない者同士が結びつき、AIで量産する「効率の良いお金もうけ」があった。(華野優気)
(2面に続く)
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