【蓮メリ】同一ジャンル同一カプの同人サークルが20周年記念のハードカバー本制作で印刷所都合不備された話と不備対応告知【ちゅっちゅ】
■新刊「かげとひかりのゆめがたり」、印刷所都合の不備交換対応についてのご連絡
まず最初に、大事なご連絡があります。
5/4に開催された第二十三回博麗神社例大祭にて頒布した、サークル『四面楚歌』の新刊「かげとひかりのゆめがたり」ですが、こちら会場分・書店分の全てに、株式会社栄光さん(印刷所)原因の致命的な不備があります。
納品された新刊には、本来「蓮子とメリーが海で遊ぶ、四色印刷の寸足らずフルカラーカバー」が巻かれているはずでした。しかし、印刷所都合の不備により全数カバーなしの状態での頒布となりました。
現在、書店(メロンブックス)さんに委託分に関しては頒布停止・全回収の対応をとっていますが、会場で手に取った全ての方、予約通販の方、委託停止までの間に買った方には、カバーのない不備の状態となります。
原因は下記に詳しく述べますが、今回栄光さんによる複数の不備原因は、「弊社(栄光)社員に印刷の知識が足りなかったこと」「確認体制の不十分さ」「最終責任者が存在しないこと」などが原因であり、今後は改善を徹底していただけるとのことです。
そのため、株式会社栄光さんが全面的に非を認めて、本を購入したすべての方に不備対応を行ってくださいます。具体的には、以下のような対応です。
株式会社栄光さんのメールアドレス「info@eikou.com」に、必要情報と画像を添付してメールを送ると、ご自宅宛てにカラーカバーが郵送されてくる、という仕組みです。国外の方はゆうパケットではなく国際便で対応予定です。交換対応に期限はなく、五年後でも十年後でも全対応が終わるまで対応してくださるとのことです。
宛先:info@eikou.com
題名:【5/4例大祭、「かげとひかりのゆめがたり」カバー送付の件】
本文:郵便番号、ご住所、氏名、念のためお電話番号
添付:購入冊子の画像
ただし諸々の都合から、栄光さんの公式サイト、公式Xなどでは告知できないそうなので、不備本が手元にあるすべての方に交換対応の情報がいきわたるよう、また不備本だと承知の上で手に取っていただいた方のために詳しい経緯を説明し、また同人誌を作る方・印刷に携わる方が今後こういったトラブルが起きた時にどう対応すべきかのために時系列を詳細に記載します。公開する旨は栄光さんにも許可をいただいております。
また、大事なことなので太文字で記載しますが、今回たしかに株式会社栄光さんはいくつもの不備を起こしましたが、事後対応はとても丁寧なもので、改善を約束してくださいました。ありがとうございます。
■不備に関する経緯報告
重要告知は終わりましたので、ここからは「いったい何があったのか」という経緯報告になります。イベント会場では、「印刷所都合で全数不備があり、後日印刷所が不備対応してくださるが、詳しくは後日説明します。本日はその旨を承知の上お求めください」という告知をいたしました。
不備対応の準備が整いましたので、できるかぎり私情をいれず、事実だけを羅列する形で報告しようと思います。
2026年1月28日
昨年9月から制作を進めていたハードカバーの原稿と仕様が概ね固まったため、栄光さんに予約見積もりを出す。「ノベルセットのハードカバー加工で、布張り表紙に箔押し二種+カラーカバー」という仕様。
栄光さんからは「ホログラムや透明箔の特殊箔は、布張り表紙には使えない。通常箔のみ使用可能」という返事をいただく。
2026年2月2日
栄光さんから頂いたご意見をもとに、「布張り表紙に、通常箔のアメジストカラーと、空押しの二種類」で申請する。
栄光さん、仕様を許諾し、「見積もり金額XX円と、締め切り日《3月27日》」を提示し、私は仕様を前提とした作業を進める。
2026年3月10日
入稿準備が整ったため、「GWあわせのフェア早割が使えないか」と申請を出す。栄光さんからは、「フェア適応可能であり、締め切り日は《4月1日》」という提示をされる。
2026年3月12日
早割を適用した結果締切が伸びるのは絶対におかしいと思い、不備ではないかと問い合わせる。栄光さんから、「特殊装丁加工に日程がかかるのを見落としていた、正しい締め切り日は最初から早割こみで《3月27日》」という謝罪連絡を受ける。問い合わせをせず4月1日に入稿してたら間に合わなかったのだろうかと不安になりつつ、不安なので27日より前に入稿する旨を連絡する。
2026年3月17日
入稿データが完成し、最終的な頁数、背幅、搬入先、搬入日などの仕様も確定させる。箔押しの線の細い部分は潰れたり飛んでも構わないが、物理的に不可能な場合は修正するので連絡をくださいと添えたうえで早割締切よりもさらに早く入稿。
2026年3月23日
栄光さんから、「今回は布張り装丁という特殊な表紙なので、箔が定着しづらいため箔のデータを線をより太く修正してほしい」という連絡を受ける。もっともな理由なので、箔および空押しのデータを修正し再入稿。
2026年3月25日
栄光さんから「アメジスト箔は布張り表紙に使えないことが発覚した」と連絡を受ける。説明を求めると、「栄光社員の知識不足が原因で、できると思って受注したものの、製造に入って不可能だと判明した」とのこと。「通常箔のうち使えるのはゴールドとシルバーのみで、その二種類に変更するか、表紙の布張りを諦めて紙張りに変更してください」と指示を受ける。
受注後の印刷所都合不備による装丁デザインコンセプトの一から作り直しという現実に、すべてを投げ出して諦めるべきか一瞬検討するが、すでに新刊セットの他全ては入稿済みであることもあり、どうにか諦めずに頑張ることにする。
物語のコンセプト上、箔押しの色は金銀では意味がないので、布張りを諦めて紙張りにすることを連絡。必死でコンセプトデザインを組み立て、候補となる紙を十種類ほど提案し、使用可能な紙があるかの判断を問う。
2026年3月27日
栄光さんから、「使用可能な紙候補は四種類で、それぞれの金額見積もり」が届く。「紙見本や箔見本は弊社に存在しないので郵送できないが、候補のうちどれを使うかはやめに決定してほしい」という連絡も頂く。特殊装丁見本や紙見本を取り寄せたり製紙会社のショールームを訪問したうえで最終決定をする予定ではあるが、「どうしても加工日程が間に合わないなら、いっさい現物見本をみずに勘と博打で仕様を確定させるので言ってくれ」と連絡をする。
2026年3月30日
栄光さんから、「先日使用可能といった紙だが、やっぱり使えなかった」という連絡を受ける。詳細を訊ねると、「製紙会社のサイトを見て見積もりを出したが、サイトに廃紙現物限りと書いてあるのを見落としていた。問屋にあとから問い合わせたが手に入りそうにない」とのこと。
眩暈。これ以上迷うのはさまざま意味で危険と判断。現物見本を見ることなく、手持ちの情報と経験と勘と博打で仕様を確定させる。当初の予定から変更したのは、表紙の紙張り、見返しの紙の種類、表紙に一色印刷を追加、箔押しの色の変更、箔押しと空押しのデザインを修正前のものに差し戻し。追加作成データを入稿する。
2026年3月31日
栄光さんから仕様確定したうえでの見積もりが届く。「迷惑代 一万円」が割り引かれていた。なお、もはや金額を気にして節約する余裕なく仕様を盛ったので、最終的には布張りと大差ない金額になる。
2026年4月1日
栄光さんから「商品の製造に入った」という連絡が来る。奇しくも、誤って提示された締め切り日と同日だった。また、このタイミングで、「栄光さんに本を依頼したら、中身が別の方の本と混ざって製本されていたという不備が女性向けイベントで発生していた」ため、「くれぐれも製本・納品は不備なくお願いいたします」と釘を刺す連絡をする。
2026年4月30日
栄光さんから、「値段が最終確定したので、明日までに振り込んでください」という連絡がくる。印刷代を入金し、納品を心待ちにしていますと連絡。
2026年5月2日
栄光さんから、「商品の製造が完了したため、順次発送します」という連絡がくる。
2026年5月4日
イベント当日。段ボールを開くと、一冊も本にフルカラーカバーがかかっていない全数不備が発覚。Xで不備の告知をしたのち、栄光さんに電話をすると、「書店・会場含めすべてのフルカラーカバーが、巻かれることなく印刷所に残されている」という、印刷所都合の不備が発覚する。過去の事例をもとに、「全面的に栄光側の不備なので、購入された方にはフルカラーカバーを後日個別に郵送するという全対応をとる」という約束をいただく。
Xでその旨を告知したうえで、新刊セットを頒布。昼頃にたまたま東京にいらっしゃった栄光の方がスペースにご挨拶にきてくださったので、くれぐれも対応をよろしくお願いしますと伝える。
2026年5月5日
メロンブックスさん(委託書店)に、頒布を一時停止していただくよう連絡をする。栄光さんからは、5日、6日は休業日であるため連絡なし。
2026年5月7日
栄光さんから「今回の不備対応に関して、弊社サイトおよびXでは告知できない」「交換対応期間は半年でよいか」「詫び代として印刷費の25%を返金する」というご連絡をいただく。
「告知できないのは問題ない。しかし、20周年記念本というお題目から察せられるかもしれないが、当ジャンルは読む側も書く側も長期スパンで行動するご長寿ジャンルであり、五年後も十年後も活動しているため、わずか半年では全対応どころの話ではない」という説明をする。
結果、期間を問わない不備対応を約束していただく。また、国外購入者などにもきちんと対応していただけるとのこと。メロンブックスさんで販売停止中の本に関しても、全数回収したのち、再納品を行う対応をとっていただけることになる。
2026年5月8日
作者のもとに、ようやくフルカラーカバーの見本が届く。
なぜ不備が起こるのか(考察)。
……というわけで、イベント当日の朝に起きた印刷所都合の不備(フルカラーカバーの欠品)というのは、実はハードカバー本制作で起きた不備の一部分にすぎませんでした。実際は、途中で本を一から考えなおすような大小さまざまな不備が発生していました。今回栄光さんに全対応をしていただける理由も、そういう繰り返された不備があるからこそ、という側面もあります。
では、なぜ不備は起こるのでしょうか。
ひとつは、「印刷所の人間すべてが、印刷・製本の専門家ではない」という事実によるものです。
たとえば栄光さんは、公式サイトを見るとさまざまな特殊装丁に対応できることを売りとしています(今回ハードカバーを作るにあたって依頼したのものそれが理由です)。しかし実のところ、「全ての加工を自社で行っているわけではなく、下請け他社に加工をお願いしている」と説明を受けました。(これ自体は、どこの印刷所でも普通のことではあります)。
したがって、栄光さんは「多くの特殊装丁が可能だが、それは可能であるというだけで、社員(とくに営業担当)が仕様などを理解しているわけではない、という知識不足」が発生しているとのことです。
栄光さんの自社工場だけで済む基本セットの場合はおそらく問題ないのでしょうが、オプションを増やせば増やすほどに、不備が発生しやすい仕組みといえます。
今回、受注段階ではなく、工場製造段階に入って初めて不可能だと発覚したという不備がありましたが、そもそも事前に自社が提供している加工が、なにができてなにができないか、というのを把握していれば――あるいはきちんと事前に現場へ連絡しているだけで防げたものでした。
では、なぜ事前確認しなかったのか。そもそも今回、多数の確認不足・見落としによる不備が起きたのか。それを考えたとき、ひとつの仮説が浮かんできて(というか常に見え隠れしていて)、私が今回の一連の不備を通して一度も怒るに怒れず最後まで丁寧に接した理由がそこにあります。
…………人手が足りないんだろうなぁ、って…………
もうこれ、今怒っても文句言ってもどうしようもないんですよ。絶対、絶望的に人手が足りてない。専門知識がある現場責任者が辞めてしまっているような気さえするし、致命的な人手不足で簡単な確認もできないくらいにパンクしているんだろうな、としか……
身の回りの事例からも、印刷会社がかなりギリギリな中で本を作ってくださってることも知っているし、お世話になっている印刷会社さんが閉業される悲しいこともあるんですよ。だから怒るに怒れないというか、「どうか……どうかお願いします……」ってお願いすることしかできないんですよ。今回は悲しいことが重なりましたが、どうか体制を改善して、また社員さんが過労死するようなことにはならないようになってください。そしたら頂いた詫び金を全額印刷費に投げ込んでまたハードカバー依頼しますから。
というか、もし人手不足が原因じゃなかったら、単に私が怒らないから舐められてるだけという嫌な結論になるので、あんまり考えたくないんですよね。
今回、相当前から見積もりや相談をして、早期入稿よりさらに早く入稿してなおこのような結果になりましたが、一個人としてできる対策は「印刷所の営業さんが全てを把握していると思わず、鬱陶しいくらい細かく気になったところを訊ね、確認を求め続ける」ということ以外にないと思います。
もっともそれをすると印刷所さん側の余裕も減っていくことになるので、いちばんはやはり、印刷所さん側で体制改善されることなのでしょうが……
繰り返しになりますが、印刷所の栄光さんに怒ってはいません。繰り返し不備をされましたが、最終的にきちんと対応をしてくださいました。できあがった本は、とても美しいものでした。
ですが、当サークルだけでなく、他サークルさんを含めて不備が多発している今、どうか改善されることを祈るばかりです。また発注する私もまた、できるかぎり自分が原因の不備を起こさないよう気を付けていきたいと思います。印刷所も即売会も同人作家もみんな支え合っていきているから……
最後に。(人はなぜ特殊装丁をするのか)
ある意味で、いちばん大事な話をします。
人はなぜ特殊装丁をするのでしょうか、という話です。
特殊装丁は、単に豪華な本を作っているのではなく、推しキャラクターやカップリング、物語を体現するための、「表現」の一種です。
たとえば今回表紙の箔押しは、メインキャラクターのモチーフカラーでした。メインキャラクターの存在が、世界に光をもたらすことを暗喩しています。
それを「銀か金」に変えると、まったく意味がないものになります。
たとえば今回のカラーカバーは、「推しの二人が遊んでいる楽しげな姿」でした。そして、カバーを外すことで、「推しの二人がいなくなってしまったあとも、世界には彼女たちの跡が残されている、という意味をこめた本体表紙の空押しが見える」という仕組みでした。
カラーカバーが最初から外れていた時点で、装丁にこめた物語コンセプトは破綻したことになります。
たとえば今回、急遽変更した紙張りの用紙は、最終的には「かぐや」という紙になりました。
これはどんな紙でもよかったわけではなく、作中に登場する重要キャラクター、「蓬莱山輝夜」をイメージしたものです。
装丁の一つ一つに、意味や祈りを込めています。今回私は、一年かけて考えていた装丁のコンセプトデザインを、いちど印刷所都合で廃棄したうえで、それでも「間に合わせではなく、意味と祈りが込められたものを」と、いっそ当初よりより良いものを目指して短時間ではありますが寝食を捨てて練り上げました。
結果としてそのコンセプトデザインも、当日の納品不備によって片手落ちになってはしまいましたが、それでもハードカバーそのものは美しいものでした。どうか本に込めた祈りを、手に取った方に受け取ってもらえると嬉しいので、お手数をおかけすることになりますが、フルカラーカバー送付対応を申請して頂けると喜びます。
また、当日に完全な形でお渡しすることができず、あらためてお詫び申し上げます。
そして最後になりますが、謝罪と共に、本を手に取ってくださった方々へ、お礼を言わせてください。
正直なところ、今回本を頒布できたのは、本を手に取ってくださっている皆様のおかげ、というのがかなりあります。
印刷所都合の不備を何度も繰り返されながらも我慢し続けて、とにかくよい本を作ろう、イベントにもっていこうと思ったのは、「本を待ってくれてる人がいるから……がんばらないと……」という想いがあったからでした。
また、当日「頒布をやめて全回収するor不備を告知したうえで頒布する」の二択を突き付けられたとき、頒布することを選んだのは、当日本を楽しみにきてくださっていた皆様がいてくださったからです。
これがもし他ジャンルでふらっと参加してるときだったら、迷わず全回収を選びました。告知しているとはいえ、不備を前提で頒布するというのは難しい判断でした。
けれど、長年東方ジャンルで活動していると、本を手に取ってくださる方々のことを、たとえ名前もしらなくてもなんとなく覚えるようになります。
「学生時代に本をよんで、五年くらいジャンルから離れていたけれど、いろいろ落ち着いたから久しぶりにイベントにきた」と言ってくださる方や、「何も調べずに会場にきたら本を出しててくれて嬉しい」と応援してくださる方、「影響を受けて次のイベントで本を作りたいんです」と意気込む方、いろんな方がいらっしゃいました。
そんな応援し、また本を楽しみにしてくださってる方に、本を届けたくてがんばってきて、印刷所都合とはいえ不完全な形になってみなさんの信頼を裏切る形になって申し訳なさもあって当日すっごい泣きたくて、でも「……まあ今まで本を読んできてくれた人たちなら……きっと許してくれるだろう……! ちょっと手間な交換対応もがんがん申請してくれるに違いない……!」という信頼と共に頒布することを決めました。
実際不備告知したあとイベント会場でたくさん励ましの言葉をいただき(終わったあとも頂いた)、かなり心の支えになりました。もう本当に心身ぼろぼろなんですけど今、励ましを頼りに、また次のイベントで新刊を出せるようがんばっていきたいと思いますので、あと二十年くらいよろしくお願いいたします。
そもそもニ十周年記念にハードカバーセットなんて、手に取ってくれる人を信じないと絶対作れないというか、「ハードカバー+新刊二冊目+新刊三冊目+グッズの新刊セット」はもうちょっとやりすぎなんですよね。「本がいっぱいでみんなよろこんでくれるにちがいない!」とかおもってました。
最後の最後におまけとなりますが、簡略化していない時系列経緯を有料記事パートに掲載しておきます。本当は応援してくださる方は本を手に取ってくれると一番うれしいのですが、不備回収で委託は相当先になるので、支援いただけると喜びます。詫び金とあわせてまたハードカバーを作りますわ……!(不屈の心)
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