首位をキープする阪神で異次元の投球を続けているのが、プロ9年目の高橋遥人だ。今季5試合登板で4勝0敗、失点はわずか1で、防御率0.21。そして早くも4度の完封勝利をマークしている。昨年の両リーグで最多完封は3だったのに、開幕から約1カ月でそれを超える数字を叩き出しているのだ。
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チームの重苦しい雰囲気を払拭する意味でも、貢献度が高い。今季の初登板は3月28日、敵地・東京ドームでの巨人戦だったが、前日の開幕戦でエース・村上頌樹が黒星を喫した後。3安打完封勝利と見事な投球で、悪い流れを断ち切っている。3勝目を挙げた4月29日のヤクルト戦(神宮)も、前日に才木浩人が2回6失点の乱調で5-10と大敗した後。勢いに乗るヤクルト打線を3安打完封で完ぺきに封じた。4勝目となった5月6日の中日戦(バンテリン)も、最下位の中日に2連敗して同一カード3連敗の危機を迎えた日の登板で、高橋宏斗との投手戦を制して2安打10奪三振で完封勝利を飾っている。
データを見ても安定感が際立っている。1イニングあたりに許した走者数(被安打+与四死球)を示すWHIPは0.55で、ほとんどピンチを招いていないことがわかる。42回を投げて5四球で与四球率1.07。驚きのデータはさらにある。ここまでの被安打18本はすべて単打で、長打を一本も打たれていないのだ。
なぜ、高橋は凄いのか。他球団の証言を聞くと、「異質の投手」であることが浮かび上がってくる。
セ・リーグ球団の分析担当は「回転数が多くてスピンの掛かる球がトレンドになっていますが、高橋は違う。スピン量はそこまで多くないんですが、低いリリースポイントから右打者の外角に浮き上がる球質できっちり捉えられない。きれいな回転の直球ではなく、独特の癖球なんですよね。落差の大きいツーシーム、切れ味鋭いスライダーも途中まで直球と同じ軌道から急激に変化するのでバットに当たらない。スタミナも抜群なので試合終盤に球威が落ちない。この投球が続くと連打で得点を取るのは難しい」と脱帽する。
対戦する打者もこの見方に同意する。セ・リーグで打撃タイトルを獲得した経験がある30代の強打者は「元々いい投手でしたし、故障がなければ日本球界を代表するエースになっていても不思議ではありません。ゆったりとした投球フォームでリリースポイントが打者に近いのでタイミングが取りづらく、制球がいいのでヒットにできる球がほとんどない。テンポ良くどんどん投げ込んでくるので、対応が難しい。対策? うーん、チーム全体でいろいろやっていますが、立ち上がりに崩さないと厳しいですね」