『神功皇后論』発売記念 小林よしのりインタビュー
最終回(第10回)「現実がつまらない今こそ『神功皇后論』だ!」
(インタビュアー・にしやん)
ー最後に、先生から読者の方にメッセージはありますか?
小林「結局、本当は今の自分にも、古代史の感覚は繋がっているっていうところがあるんだよね。
門下生が、いま神功皇后の聖地巡礼をやったりしているけど、なぜこんなにも神功皇后の伝承が日本全国に残っいるの?というぐらいあるからね。
だから案外自分のすぐ側に、神功皇后の足跡があるかもしれないよ。
結局は、日本人の根本的な気質っていうものが何なのかを、確認する旅に出よう!ということなんだ。
そしてそれに興味を持ったら、それぞれ自分で勉強したり調べてみたりして、部分部分で「いや、それは違うかも」とか「邪馬台国はこっちだ」とかそういう論争が出来るのなら、大いに面白いよ!
結局ね、「戦争論」を描いた時代は、ほとんどの人達が、戦前の人の感覚というものを全く分からなくなってしまっていたんだ。
どういうつもりで特攻なんかをしているの?
そんなことをして馬鹿なんじゃないの?っていう状態だったんだ。
でも戦前の人達は、実はこう考えていて、こういう感覚だったんだって事を、わしは「戦争論」で描いたわけだよね。そうしたらそこで、断絶されていた歴史が繋がるんだよ。
戦争直前や戦争中には、若者はこんな感じだったんだというのが分かると、日本人として、やっぱりこういう態度でいなきゃいけないとか、そういう事を考える部分が出てくるわけでしょう?
だったら、古代はどうだったの?ってなるんだ。
元々の日本人はどうだったの?って。
そこを知ったら、また全部変わるかもしれないよ。
だから今度は、「戦争論」から、視界を更に古代にまで広げてみようってなったんだ。
さあ!どれだけ皆んながそれに乗ってくるのか?という事なんだけどね。
でもそういう風に考えないと、今の世の中は、
面白くなさ過ぎるんだよ!本当につまらない世の中だよ!
わしは最初、「東大一直線」で、内容的に現実とフィクションを一体で描いたんだ。
その後「おぼっちゃまくん」では完全なフィクションを描いたんだけどね。
完全なフィクションとか完全なギャグの方が、面白い時期があったんだよ。
現実から離れた世界の方が面白い、という時期がね。
ところが、「ゴーマニズム宣言」を描いたら、急にノンフィクションが面白くなったんだ。
今度は現実が面白くなってしまってね。現実がまるで物語みたいだなと思って、現実にのめり込んでいったんだよね。
でも今って、案外フィクションに戻ってきているような気がするね。
現実が本当につまらなくなってしまったから。
馬鹿だとしか思えないような、トランプや高市早苗なんかで右往左往していたんじゃ、もう人生無駄だと思うから。
また今度はフィクションに戻るとするならば、いっそ古代のリアルがフィクションである、っていうやり方で戻ればいいのではないかと思ってるんだよ。
ーお話を聞いて、先生の頭の中のスケールの壮大さに感動しました。自分の考えの小ささにも気付かされました。やはり、この物語は全日本人に読んでもらいたいし、読まれるべき物語だと思いました。
先生、今日は貴重なお話をいただきまして、本当にありがとうございました。
バックナンバー
第1回「古代史から現れたフェミニズム」
第2回「『日本書紀』にも捏造がある!」
第3回「漫画だから描ける、古代人の感覚」
第4回「コンプラ気にして古代が描けるか!」
第5回「『神功皇后論』に仕掛けた罠!」
第6回「神功皇后の顔・作画秘話!」
第7回「古来、日本は輸入したものにそのまま全て侵されてはいない」
第8回「本当に古代史って面白い!」
第9回「最終的には、わしの想像力!」
今の時代に、なぜ「古代史」なのか? なぜ「神功皇后」なのか?
その理由はこのインタビューシリーズをお読みいただいた方には、十分にご理解いただけたと思います!
この意義あるインタビューを行い、まとめてくださったにしやんさんに感謝します。
そしてお読みいただいた皆さまも、ありがとうございました!
今の時代だから、今の日本人だからこそ、絶対に必要な本が『神功皇后論』であることが明らかになりました。あとはこれを、一人でも多くの人に読んでいただくだけです!!