愛と孤独の引いた線
新八と神楽が独り立ちしたあと、万事屋が家族になる話。
原作で「万事屋は家族だ」って言ったり「家族じゃない」って言ったりしててどっちだよって思ってたんだけど、よく考えたら万事屋を家族と言ったのは新八神楽で、家族じゃないと言ったのは銀さんじゃなかった…?となり、お前らお互いを大事に思ってるのは重々承知だけどいい加減認識を擦り合わせろよと思って書き殴った小説です。
松陽先生と子銀さんはお互いを師弟だとしか言わないし、ヅラや高杉が「俺ら/お前ら家族みたい」なんて死んでも言わないだろうから、銀さんってきっと『家族』というものを想像するしかなかったんじゃないだろうか。だから誰が見ても万事屋は家族で、ぱちぐらも自分たちを家族だと思ってるのに、銀さんだけは『俺の想像する家族っぽい何か』というところまでしか認識できなかったのかもしれない。
原作でもアニメでも、一人で歩く銀さんの後ろ姿ってよく描かれてて、その度になんであんなに孤独に見えるんだろうと思ってた。
銀さんの後ろ姿は、とても格好いいと同時にとても寂しいよね。
あんなにも人を安心させる背中もないけど、あんなにも人を不安にさせる背中もない。
素敵な表紙お借りしました。(illust/84904034)
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あれは、3人と1匹でこなす最後の依頼を終えた帰り道のことだった。
すっかり夜も深くなり、のんびりとした適当な会話すらなくなって、下品で煌びやかなネオン街を通り過ぎ、酔っ払いの笑い声ばかりが響く居酒屋の通りを疲れ切った体でただ歩いていた。
もう少し行けば、万事屋の看板が見える頃。
僕と神楽ちゃんはなんとなく、歩みを止めた。
示し合わせたわけでもないのに、本当になんとなく。
並ぶ提灯の朧げな灯りに照らされながら、ひとり歩くあの人の後ろ姿を眺める。
すらりと高い上背に、左手を懐手にして、
面倒臭そうな足取りで歩く、背負い続けた背中。
その時、悟ったんだ。
僕らはアンタから、離れることなんてできないって。
めっっっちゃよかったです。素敵な作品ありがとうございました。