なぜ柳田悠岐は不調でも打てるのか? 超一流が実践する「集中力を育てる」3段階
福岡ソフトバンクホークスのメンタルパフォーマンスコーチとして、チームの優勝・日本一に貢献した伴元裕氏。氏が実際に目にした、トップアスリートの集中の技術について解説してもらった。 ※本稿は、伴元裕著『集中力革命 ブレても力を発揮するメンタルの技術』(Gakken)より一部抜粋・編集したものです。
柳田悠岐選手が証明する「集中とは技術」
「来た球を打つだけ」――。 柳田悠岐選手は、よくそう表現します。すごい選手ほど、最初から何も考えずにプレーしているように見えるかもしれません。注意が逸れても、無意識のうちに自然と戻せている。そんな印象を受ける人も多いでしょう。ただ、本人に話を聞くと、必ずしもそうではありません。 柳田選手も、若い頃は自分が反応できるゾーンを意識的に絞り、その範囲に来た球だけ、反応しようとしていたと言います。結果を考えないようにするため、というよりも、反応できる場所を限定することで、注意が散らないようにしていたのでしょう。 その積み重ねの中で、反応できる範囲が少しずつ広がっていきました。今は「来た球を打つだけ」と感じられる状態ですが、それはゾーンを意識しなくなった、という意味ではありません。調子が悪いときには、あらためてゾーンを絞ります。 つまり、意識的に注意を戻そうとする段階に、必要に応じて戻しているのです。これは打撃技術の話のように聞こえるかもしれません。しかし実際には、「どこに注意を戻すか」という集中の設計の話でもあります。 このエピソードは、集中とは「あるかないか」で決まるものではないということを教えてくれます。集中とは技術であり、一気に身につくものではないのです。 注意が逸れたとき、その戻り先がわかっていても、実際の場面では、いつもそこに戻れるとは限りません。頭ではわかっているのに、うまく戻れない。むしろ、戻ろうとするほど注意が散っていく。そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。 実際の現場を見ていると、集中の技術には、いくつかの段階があるように見えます。ここからは、その違いを整理していきます。