カードキングダム動画・ざざーん事件
※本記事は特定の思想や社会的議題について論じることを目的としたものではなく、あくまで当時の出来事とその経緯を記録するものです。
性自認に関する一般的な議論や是非を扱う意図はありません。
■概要
◯カーキン動画のトーナメントが2ちゃんねるで炎上した。
◯ざざーんのブログの「撮影し直しになった試合があった」との記述から、すわ、不正だ!との騒ぎに。
◯ざざーんが「正義の告発者」と勘違いされ英雄視された。
■ツッコミどころ
◯そもそも動画は「面白くなかったら撮り直し」が当たり前なのを、理解できない人(理解しようとせず文句言いたいだけの人)が居た。
無数の撮り直しの上に、当時のカーキン動画の面白さ、クオリティが保たれていた。
◯ざざーんは告発したのではなく、こういう事があったと書いただけなのだが、ぶっちゃけ文章が不明瞭で、まるで言いにくいことを告発しているように見えた。(撮り直し自体に不満があったとは思われる)
◯当時の2ちゃんねるには、ざざーんを女性として過剰に特別視する人が一部に居た。因みに当時、
「ざざーんは性自認が女性で肉体は男性」
という事を知っている人は少なかったので、余計に。
■ざざーんと僕の出会い
本人が当時ブログで明示していたので説明して良いと判断しますが、ざざーんは
「肉体は男性で性自認が女性。恋愛対象は女性(当時の本人のブログから)」
本人の意思を尊重して「彼女」と書きます。
彼女は、
「どう見ても男なのに女性だと言っている人」
ではなく、外見に関してはある程度工夫をしている人でした。
髪はとても長く、黒いコートを常に着用し、体のラインが解らないようにしていました。
それでもやはり、「男性なのか?女性なのか?」と戸惑う人が多かったのは事実です。
彼女が練馬春日店に初来店した時、お店に居た常連の子供たちも、大人も、彼女に声をかけるのに戸惑っていました。
僕は、そういう人がいると放っておけません。
カードキングダムに来た人には、孤独のままで帰ってもらうのではなく、できれば友達を作ってもらいたいのです。
なので、僕が最初の友達になることにしました。
何のTCGができるか聞き出し、一緒にプレイし、周囲の常連を巻き込んで談笑しました。
で、最後に仲間として受け入れられるよう、僕が愛称を与えました。
「帰ってきたウルトラマンの第一話に出てきた怪獣、ザザーンに似てるからざざーん。」
誤解しないでいただきたいのですが、これは良い悪いの話ではなく、文化の話です。
ザザーンは怪獣の名前で、また、見た目をイジったあだ名ですから、一見酷いのですが、
僕は関西の弄りの文化で育ちましたので、
「愛のある弄りを受け入れてもらったら、そいつは話の通じるいいヤツ」
になるんですね。
多分ですが、ざざーんは友達が多いタイプでは無かったと思います。
だから始めて店に来て、僕に「ざざーん」と名付けられ、常連たちにも受け入れられたことを、喜んでくれたのだと思います。
この愛称をスッと受け入れてくれた時点で、僕にとってざざーんは、
「話の通じる友人」
になりました。
そしてざざーんがデッキビルドに才能のあるプレイヤーであることが解ったので、動画への出演を誘いました。
しかしぶっちゃけ、ざざーんを出すのはリスクがあるとは思っていました。
何しろざざーんは、地声を潰してかすれ声を演じていますので、マイクが拾ってくれない可能性がありました。
後、めんどくさいなと思っていたのは、
「ざざーんを変な意味で女性扱いしてファンになる人が出てきたら、事実が広まった時に“騙された!”と逆ギレしないか?」
という事です。
実際、「池田はざざーんさんにセクハラしている!」という2ちゃん書き込みもあったようです。
そんな事がある筈ありません。
このような書き込みをした人間を、心の底から軽蔑します。
性自認に対するコンプラは、近年になって理解が進んできたところです。
そもそも「性自認」という言葉すら、当時はありませんでした。
だからざざーんは、おそらく一般生活では生き苦しい部分もあるだろうな、と思ってました。
だけどカーキン練馬春日に居るときぐらいは、ありのままの自分で楽しんでもらおうと僕は考えたのです。
何より僕にとってざざーんは「いいヤツ」だったのです。カーキン動画のメインメンバーとしても信頼していました。
そういやこんな事を言ってましたね。
ざざーん「インフェルニティって出たじゃないですか。2ちゃん掲示板に『最速で手札が無くなるよう、モンスターは殆ど入らない構成になる』って書いたら、滅茶苦茶叩かれたんですよ。
あいつら未だにアドだとか言ってて、手札をゼロ枚にするギミックの強さを理解しないんです。
だから自分で実証しようと思って、ハンドレスデッキを作ってきました。動画にして下さい。」
勿論皆さん、今ならざざーんの意見が正しいことは分かりますよね?
けど当時は2ちゃんあるあるで、全く新しい概念はぶっ叩かれまくったんです。
(僕もシンクロが強いって動画で発言して、「アド損乙」って笑われました。)
なんにしろ、ざざーんのことを「カードゲームに強い乙女」と勝手に想像していた人は居たようですが、実際には2ちゃんで否定されたらやり返そうとする、戦闘的な性格だったわけです。
で、ざざーんのインフェルニティは動画になりました。お陰でハンドレスデッキは一挙に市民権を得ましたね。
ざざーんは自分の考えを実証したのです。
■炎上とざざーん引退
問題は、トーナメント動画を撮影し、ざざーんにも出演してもらった時のことです。
その大会の中で、どう編集しても面白くもなんともない試合が発生しました。(いつものことです)
よって撮影し直しとなったんですが、その結果勝敗が変わったのが、ざざーん的には納得できなかったらしいんですね。
で、ざざーんは自分のブログにその事を書きました。
問題は2つ。
◯2ちゃんねるではこれが、「正義のざざーんさんが、カーキン動画の“不正”を告発した!」という文脈で広まった。(番組作りの仕様であって、別に不正ではないのは当たり前だが、当時は「不正だ!」と決めつけて騒ぎたい人が居た。)
◯これはハッキリ言いますが、そもそもざざーんの文章が文章として不自然かつ不明瞭で、誤解を生みやすい、どうとでも取れる書き方になっていたのも問題。デマや非難の論拠として切り貼り的に使われた。
で、炎上の結果どうなったかと言うと、ざざーんが動画に出られなくなりました。
そうなる前に、僕はざざーんに相談しました。
「ざざーん、ブログを消してくれとは言わない。ただ、正しい文脈で通じるように、書き直してくれないか?」
とお願いしたのです。
ざざーんはそれを拒否しました。
この時点で僕は、
「ああ、動画に関わる僕達みんなが困ってて、お願いしてるのに、ざざーんは助けてくれないんだな。じゃあ、一緒に動画を作れる良い仲間だと思ってたのは、僕の勝手な思い込みだったんだ。」
と判断せざるを得ませんでした。
トラブルがあった時、一緒に問題解決に力を貸してくれる。それが仲間だと思います。
しかもそれが、ざざーんのブログが元になったものであるなら、なおさら。
しかしざざーんはそもそも、無報酬で「動画に出てくれと言われたから出ていただけのお客様」です。
僕が勝手に仲間だと思っていただけですし、部下ではないのですから
「会社としての命令」
で動かすわけにも行きません。
トラブル解決に足並みを合わせられない人に、継続して動画に出演してもらうわけには行きません。
僕だけの判断ではなく、会社の経営本部も勿論、
「ざざーんに出てもらってトラブルが続くのは問題だ。」
と判断しました。
こうして、ざざーんには動画に出てもらうわけにはいかなくなったのです。
■その後のざざーん
動画に出演してもらうわけにはいかなくなったとは言え、僕はその後も、ざざーんを友人だと認識していました。
だからその後も練馬春日に来ていたざざーんと情報交換したり、対戦したりはしていました。
そもそも常連達がざざーんと仲良くなっていたので、ざざーんにとっても居場所だったのでしょう。それは守られるべきだと思いました。
ただ、あの時、トラブルを収めるために協力してくれていたら。
より深い意味で仲間になっていたと思いますし、ざざーんが望む限り動画にも出演して貰っていたでしょう。
その後も続いていたら、プロとして雇い、報酬も出していたのは間違いないと思います。
ざざーんに関してはこれ以上、伝えるべきことはありません。
僕にとっては、今でも忘れられない苦い思い出です。


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