カードショップで他人のカードを盗んだ少年には、どんな罰が有効だったか。
※本記事はカードショップという閉じたコミュニティにおける現場対応の記録です。一般社会での処罰を推奨するものではありません。
こんにちは。池っち店長です。
僕は長年、カードショップで万引き犯や様々な犯罪を犯した子供達を相手にしてきました。
結論からショッキングな話をすると、
「犯人に対して、最も有効に機能したのは“吊し上げ”だった」
です。
なんてことしやがる池っち店長?! サディストなのか?!
と思うかも知れませんが、まあ聞いて下さい。
これは温情措置であり、そのうえで現実的に有効な、お店とお客様への防御手段になった話です。
(ここで言う“吊し上げ”は暴力や違法な処罰ではなく、出禁の告知と注意喚起をその場のコミュニティに共有する手続きです)
では本編。
万引きや、デュエルスペースでの他人のカード強奪。
犯人の多くは中高生です。小学生の犯罪はほとんど無かったですね。
皆さんの予想通り、中学生が一番問題でした。
「下の世代の小学生を馬鹿にし、優しくする心の広さもない。上の世代に反発し、大人から学ぶ姿勢もない。」
という、無敵モードに入ってる子供は中学生に多かったです。
(高校生にもなってカードショップで万引きするのは「ただのバカ」でした)
万引きより悪質なのが、デュエルスペースで楽しんでいる他の子供達のカードを盗む奴ですね。
特に遊戯王のエクストラデッキやデュエマの超次元ゾーンは、高額カードの塊(トリシューラやらブリューナクやら、サイキックモンスターやら)である上に、机の横の方に置かれているので、丸ごと掴んで盗みやすかったんですね。
凝った犯罪グループの場合、3人でチームを組んでました。
◯一人が相手に話しかけ、トレードなどを申し込んで注意を引く。
◯一人が大きなカバンなどで周囲からの視線を遮り、周囲を監視する。
◯一人が隙を見て相手のカバンやデッキを丸ごと盗む。
こんな奴らにターゲットにされたら、普通は防げません。
盗んだあとは3人で外に出てカバンやデッキケースといったガワを捨て、カードだけにしてしまう。そうするともう、元は誰のものだったかわからない。
被害者が、
「あの人達に話しかけられている内にカードが無くなった!」
と言っても、証拠がなくてどうしようもない……!
で、三人は次の獲物を探す。こういう犯罪グループは他店でも滅茶苦茶多かったと聞きます。
で、僕がどう対応していたかの話に戻りますが、僕が犯人を捕まえた場合、普通は親、学校に連絡します。(高校生以上は最初から警察に連絡)
親が「子供のやったことだから」と軽く受け取る場合は、相手が中学生でも即座に警察を呼びました。
そうしないと深刻に受け止めない親も結構いたんですね。
ですが実際の所、一番大事なのは、被害者が助かることと、次に、「犯罪を犯した本人に、心の底から反省してもらう事」ではありませんか?
反省してもらうこと。これが大切なのに、ガチで難しい。
多くの子供は、親や先生が説教しても大して応えないんですよ。
説教の最中、神妙な顔をしながらも、実際には
「ああ、バレたから嫌な時間を過ごす羽目になったな。だけどあと何分かすれば解放されるだろ。ケッ。失敗したなぁ」
ぐらいしか考えていません。
生活指導の先生ともよく話しましたが、
「今はもう、昔と違って、大人が本気で罰を与えてこないと解っているから、そもそも話すら聞かない。」
とよく言われました。
子供からすれば、そりゃそうですよね。捕まっても単に説教受けるだけのローリスクなら、そりゃ何度も「確実なリターンのある泥棒」を繰り返しますよ。
そこで僕が中学生の犯罪者に対して行うようになったのが(先述通り、高校以上は即座に警察)、
「デュエルスペースでの吊し上げ」
です。
「皆さん、こちらに注目して下さい!」
とデュエルスペースや店内に声をかけます。
そして犯人をその場で直接「注目」させ、
「彼は皆さんと同じようにデュエルスペースで楽しんでいる人から、隙をついてカードを盗みました。なので今後出禁にします。皆さん、彼の顔を覚えて下さい。そして、もし彼をまた店内で見かけたら、我々店員に教えてください。お礼はします!」
と告知するのです。
これは効きました。犯人はみるみる青ざめていましたね。
これは、その場のコミュニティ内で完結する対応であり、警察や学校への通報がない分、犯人の将来への影響を必要以上に広げずに済んでいました。
と同時に、最も有効な「罰」になったのです。
こうした犯罪を犯した子供って、自分のやったことを「仮の話」「半分嘘。冗談」と捕らえていて、自分が現実に犯罪を犯したと理解してないんですよね。
フワフワしてる。現実と向き合おうとしない。
さっきも書いた通り、万引きして親や先生に説教されても、
「嫌な時間をある程度経験すれば、解放される」
とラーニングしてるので、説教の時間も聞き流しているだけです。
自分は悪いことをしたんだ、という現実も認めていない。他人をいじめたり、物を盗んだりしても、自分は、「なんとなく普通の良いヤツ」という軸を持っていて、漫画を読んで正義の味方に感情移入し、悪を憎む権利がある善人だと思っている。
自分が他人を激しく害した加害者であることを理解しない。
しかし、吊るし上げられ、多くの人々からの視線を浴びると、一気に犯人の顔は青ざめます。
皆からの「コイツは悪いやつだ」と断罪する何十人もの視線を浴びて、
「うわ!俺はこんなに多くの人間から非難されている!」
「悪者だと思われている!」
「注目されてる。嘘じゃなくて現実なんだ!」
と実感して、はじめて自分が悪事を行ったことを思い知る。
親や先生に説教されても仏頂面だった、大人を舐め切った中学生も、デュエルスペースに集まった多数の人々から、「泥棒」「カードゲーム仲間にとっての敵」としての視線を浴びると、泣きます。
説教されても仏頂面で通すような中学生も、「注目の的」になると、流石に慌てる。そして泣く。
はじめて現実を認識し、自分が行った罪と向き合わされ、強く後悔するのです。
だから「吊し上げ」は有効でした。
◯学校・警察沙汰にしないことで、犯人の将来を守る。
◯本心から後悔してもらうことは本人のためになる。
◯お客様ひとりひとりが、デュエルスペースで犯罪があることを理解して、自分のカードを守ろうという意識を持つようになる。
◯他のお客様に顔を覚えてもらう事で、現実的な抑止力になる。お客様自身が、警報装置になる。(デュエルスペースでの被害者が減る)
◯他の、カードを盗もうと考えていた人間が、「ああはなりたくない」と考える。
「吊し上げ」と聞いて最初は皆さん、
「池っち店長はサディストか?!」
と思いませんでしたか?
けど実際は、現実に即した「罰」だった事を、理解して頂けたと思います。
本人のためでもあり、お店のためでもあり、デュエルスペースで楽しむ人々のためでもある。
因みに、
「そんな事したら、お店の空気が悪くなるんじゃ……」
と思われると思いますが、実は逆なんです。
たしかに一瞬は静まり返ります。
しかし、「ここのお店では、キチンと悪人は裁かれ、僕達は守られているんだ」と安心してくれる結果につながるんです。
カードキングダム練馬春日店の和気あいあいとした雰囲気は、こうして積み上げられていった信頼から作り出されたものでした。
僕のとっていた方針に、反対する人もいると思います。それは自由です。
しかし僕は、現実にお店を何件も経営していましたし、会社を売却するまで20年保たせてきました。だからこの方法が、間違っていた訳では無いと思います。
何にしろ皆さん。
万引き犯は当然クソ野郎ですが、デュエルスペースで人の大事なカードを盗むヤツは、キングオブクソだとは思いませんか。
にも関わらずそういう奴は、店のものを盗んでいるわけではないので、警察沙汰にしにくいんですよ。
多くの店が罰も与えず放置していたのが現実です。
被害者が、「アイツに盗まれた!」とお店に訴え、スタッフが犯人を問い詰めても、「証拠なんてネェ。ゲヒヒ」ととぼけられるだけ。被害者は実質泣き寝入りです。
だからこそ、証拠を押さえた時はやれるだけの事をしたいじゃないですか。
そこで吊し上げです。ちゃんと悪は悪として裁かれることを目撃して、初めて人は安心できます。
そしてそれは、注意喚起と再発防止のための共有でした。少なくとも、僕自身は私刑のつもりでやっていたわけではありませんので、顔写真の拡散などはさせませんでした。皆さんに、写真撮影は禁じました。
犯罪を抑止するのも、防衛するのも、お客様を守るのもとても難しかった、カードショップでの僕の施策についてお話しました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。


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