イノベーターの概念を言語化する
ROAD TO INNOVATION
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2025年12月12日 放送
アニメーションとAIの共存方法は?“AI個人作家”としても活動するアニメーター・平川哲生に聞く
2025年12月12日 放送
アニメーションとAIの共存方法は?“AI個人作家”としても活動するアニメーター・平川哲生に聞く
Guest
平川哲生さん
12月12日(金)は、演出家、アニメーター、脚本家 平川哲生さんが登場。平川さんはAIの可能性にいち早く気づき、AI個人作家としての活動もスタートさせています。
父が観ていた『あしたのジョー 2』がきっかけ
番組ナビゲーター・川田十夢さんがまず尋ねたのは、演出家、アニメーター、脚本家を志した原体験について。
平川さんが「一番直接『アニメーションやりたい』と思ったきっかけ」として挙げたのは、高校生の時、父親が『あしたのジョー 2』を熱心に観ていたことだと語ります。
「高校生の頃は、正直アニメーションをちょっとバカにしているところがありまして。ウディ・アレンの都会的なおしゃれな映画を観て、『アニメなんて』と思っていた。ところが、父親が一生懸命見ていたのでつられて観たらめちゃくちゃ面白くて、『これ、アニメあるな!』と思って、そこから一気にアニメーションの方に進もうと思いました」
“アニメーションの老舗”に入社
そして、2002年に株式会社マッドハウスにアニメーターとして入社した平川さん。川田さんも「アニメーションの老舗」と表現するマッドハウス。アニメーションの道に平川さんが進むきっかけとなった作品『あしたのジョー 2』の「まさにその直系の方々がやっていたのがマッドハウスで、当時のマッドハウスのメンツの濃さ!」と平川さんは回想。
当時の担当について川田さんが尋ねると、「僕は“動画マン”です」と平川さん。「アニメーターにもいくつか種類がありまして、最初に入ると動画と言われる、ラフな線をクリーンナップしたり、絵と絵の間の絵を描くという仕事をやっていました」とのこと。『あしたのジョー 2』と同じくボクシングを扱った作品『はじめの一歩』や、キャラクターが活躍する『デ・ジ・キャラット』などに関わったそう。

ロトスコープの手法を構築
その後、初監督を務めた長編アニメーション『川の光』(2009年)で、「シカゴ国際子ども映像祭長編アニメーション部門」など国内外の映画賞で評価を受け、2013年には、テレビシリーズ『惡の華』の助監督に。その際にロトスコープ・アニメーションの制作システムを構築しました。
『惡の華』について、「テレビシリーズ全体の長い尺で、ロトスコープという、実写を撮ってその実写を絵でなぞって動きを作るというのは前代未聞の挑戦。誰もやらなかったことがよくわかる大変さでしたね」と平川さん。
「まず実写を撮った後に、それからアニメを作るという、二重に手間がかかる」この手法は、現在は平川さんが手がける作品以外でも活用されている手法。平川さん自身はさらに、2022年にはテレビシリーズ『ブッチギレ!』で初のオリジナル作品の脚本と監督を担当しました。
アニメーションにおけるAI活用の現状
後半では、さまざまな作品を手掛けてきた平川さんのAI個人作家としての側面を深掘り。
その作風について川田さんは、「平川さんの生成AIを使った作品は、もう、激ヤバ。」と絶賛。「ご自分が(アニメを)描ける人だから、生成AIが動きを担当した時の、止まった画から動き出した時のその妙を平川さんが分かっていて、そこが“激ヤバ”でしたね」と表現。
「そのまま生成AIが出したものだとちょっと“ぬるい”ので、エディットして間を飛ばしたりとか、動きを速くしたりとか、ガンガンやってます」と、生成AI作品にも独自の手を加えていることを明かす平川さん。
さらに、AIを活用した作品を精力的に発表する川田さんの影響にも触れ、「川田さんからの影響で、ここまでやっていいんだと思った。そのまま出た(生成された)やつをポン出しだとやっぱり人間味がないので、ちょっと手を加えるみたいなところが(影響を受けた)」と語ります。
そんな平川さんの目標の一つは、「アニメーション業界のワークフロー内に生成AIをなんとか入れられないか」ということだそう。
「ただ現状は、危ない使い方もできるところなので、もちろん慎重にやっていこうかなとは思っています」と続けます。それは主に著作権に関連する点で、「全ての権利物を把握している人間はやっぱりいないじゃないですか。(生成AIで)たまたま出てきちゃったものが、著作権のあるものだったりするのが判断できないことが結構あったりするんですよね。そこのチェックが十分にできないので、まだちょっと危ないところがありますね」と解説。
一方、「AI的に発想するという方向にどんどん時代が進んでいかないとまずいなという危機感があって」という平川さん。その背景にはアニメーション業界の深刻な人材不足や、教育や技術継承があまりうまくいっていないという現状を挙げます。
「特殊なお仕事だし、タイトルもめちゃくちゃ多いから、アニメーターの奪い合いになりますよね。」と川田さん。「今後映像系AIは、サーバーの負荷さえ担保できれば、背景と人物、平面と奥行き、3Dモデル、それぞれバラバラに描き出せるようになると思います。そうなるとちょっと変わりますよね」と続けると、「そうですね、アニメでは映像が一体化されていると、あとから背景だけぼかしたりできないですけど、それがバラバラになってると助かりますね。そうするとだいぶ景色が変わりますね」と平川さんも応えました。
現状のアニメーション業界のAI活用としては「いわゆるプリプロダクションと呼ばれる、脚本とか世界観を作ったりとかでは結構使われていますね。完成画面に近づくとどんどん離れていくという状態です」とのこと。
今後AIを使ってやりたいことを聞くと「たくさんありすぎて(笑)」と平川さん。「もうちょっとAIが進むと、個人で短編映画は作れるなという確信がある。あとはインディペンデント作品、アート的な作品をやってみたい」と語りました。
自身を切り取った一言は「AI的!」
「Morisawa Fonts ROAD TO INNOVATION」では、ゲストに「自分自身の考えを自ら切り取る言葉」を訊ね、その言葉を、ゲストお気に入りのフォントとともに紹介しています。
平川さんが自身を切り取った一言は、「これからはAI的に発想してクリエイトする時代になったので」と「AI的!」。

フォントについては「プフ ピクニックという可愛いフォントで、(AIって)怖くないよ〜!という表現をしたいなと思ってます」と「プフ ピクニック」をセレクトしました。
PODCAST | 川田十夢×平川哲生
本放送をディレクターズカットでお聴きいただけます。
プロフィール
1979年生まれ。演出家、アニメーター、脚本家。
学生時代にイラストレーション業務や、芸術家・村上隆の工房でのアシスタントを経て、2002年に株式会社マッドハウスにアニメーターとして入社。のちフリーランスとして監督や脚本などで様々な作品に参加する。
2009年、初監督の長編アニメーション『川の光』がシカゴ国際子ども映像祭長編アニメーション部門など国内外の多数の映画賞で高い評価を受ける。
2013年、TVシリーズ『惡の華』の助監督としてロトスコープ・アニメーションの制作システムを構築。
2022年、TVシリーズ『ブッチギレ!』で初のオリジナル作品の脚本と監督を担当。
手描き2Dアニメーションだけでなく、3DCGや実写などジャンルを問わず演出する。AIの可能性に気づき、AI個人作家としての活動をスタートした。
本コンテンツは放送時の内容や発言を記事にしたものです。
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