京都初のタワマン建設に「好きにしたらええ」の声も…“景観問題”だけではない、周辺住民への「深刻な影響」とは
自治体をまたぐ景観問題と緩和の潮流
今回の計画で最大の論点となっているのが、景観への影響だ。中島弁護士は「京都を象徴する眺望が大きく変わる可能性」を指摘する。 「完成予想図にも描かれている東寺の五重塔は約45メートル。一方で今回のタワーマンションは約128メートルです。京都駅周辺からの眺望は、タワマンが視界を大きく占めることになるでしょう。背後に広がる山並みの景観にも影響が及ぶおそれがあります。 しかし京都市の景観条例は、行政区域を越えての適用はできません。向日市も独自に都市計画を定める権限を持っているため、京都市が直接介入することはできないのです」 景観には境界がないにもかかわらず、規制は自治体ごとに分断されている状況。この問題に対し、中島弁護士は市民にもっと関心を持ってほしいと訴える。 「京都市民であっても、『それはおかしいよ』と声を上げる余地はあると思います。今回の審査請求は現状、向日市の住民だけで行われていますが、京都市民も、たとえば、自身の景観利益が侵害されるおそれがあることなどを理由として、審査請求を行う適格が認められる可能性は考えられます。 もっと多くの人が問題意識を持って参加することも、住みよい街を守る取り組みのひとつになると考えています」 向日市だけでなく、京都市自身も変化の途上にある。京都駅周辺の建物の高さ制限を、現行の31メートルから最大60メートルへ緩和する方針が、有識者会議の意見書として取りまとめられ、市に提出されたのだ。承認されれば、駅前開発が急速に進む可能性がある。 景観を守るための規制と、都市の発展を促す開発。そのバランスをどう維持すればよいのか。向日市で進むタワマン計画は、「京都らしさ」や「まちづくりとは何か」を改めて問いかけている。 ■倉本菜生 1991年福岡生まれ、京都在住。龍谷大学大学院にて修士号(文学)を取得。専門は日本法制史。フリーライターとして社会問題を追いながら、近代日本の精神医学や監獄に関する法制度について研究を続ける。主な執筆媒体は『日刊SPA!』『現代ビジネス』など。精神疾患や虐待、不登校、孤独死などの問題に関心が高い。X:@0ElectricSheep0/Instagram:@0electricsheep0
倉本菜生