京都初のタワマン建設に「好きにしたらええ」の声も…“景観問題”だけではない、周辺住民への「深刻な影響」とは
街の富裕化・人口増加が招く「都市難民」問題
さらに中島弁護士は、タワマンが街にもたらす影響について警鐘を鳴らす。 「今回の建設地の周辺には、木造の低層住宅が多く立ち並んでいます。そうしたエリアに大規模なタワーマンションが建つケースは、全国的にもあまり例がありません」 そのうえで指摘するのが、「ジェントリフィケーション(都市の富裕化)」の問題だ。 「今回のマンションは、低層階でも数千万円台、高層階では1億円を超える金額で販売されるでしょう。富裕層が流入すれば地価が上昇し、周辺の家賃や店舗の賃料も高騰する。結果として、もとから住んでいた中間所得層や低所得層が住めない街になってしまいます。 都市の富裕化でもっとも不利益を受けるのは、社会的弱者の人たちです。東京や大阪ですでに起こっている現象が、京都でも発生してしまう。これを見過ごしていいのかという危機感があります」 都市インフラへの影響も無視できない。タワマンによって人口が一気に増えれば、鉄道の混雑や保育所、学校の不足といった問題が生じる。実際にタワマンが乱立する武蔵小杉駅(神奈川県川崎市)近辺では、急激な人口増加にインフラ整備が追いつかず、鉄道の混雑が深刻化した。 今回の計画でも、約1000人の人口増加が見込まれており、公共施設や生活基盤の整備が追いつくのかは不透明だ。 「建物そのものの持続可能性も課題です。タワーマンションは大規模修繕や建て替えの際に住民の合意形成が難しく、長期的な維持管理に課題を抱えやすいとされています。こうした問題が十分に検討されないまま開発が進めば、都市難民を生み出しかねません」 中島弁護士は「持続可能なまちづくり」の一例として、京都から近い兵庫県神戸市を挙げる。 「神戸市は三宮周辺を『都心機能誘導地区』に指定し、高層マンションの建築を制限して、都市機能の質を高める方針を打ち出しています。このように受け皿となる街の整備を考えず、単純に人口を増やすこと自体が目的化してしまうと、都市機能はいずれ崩壊してしまいます」