京都初のタワマン建設に「好きにしたらええ」の声も…“景観問題”だけではない、周辺住民への「深刻な影響」とは
公共インフラと一体化した開発のゆがみ
「今回のタワマンが建つことで、周辺住民の健康や財産に大きな影響が出るだけでなく、これまで住んでいた場所に暮らせなくなる『都市難民』が生まれてしまう恐れがあります」 そう指摘するのは、景観や公害問題を専門とする中島晃弁護士だ。昨年10月、中島弁護士が代理人を務める「住みよい向日市のまちづくりを考える会」は、タワマンの建築確認の取消しを求め、京都府建築審査会に審査請求を申し立てた。争点のひとつとなっているのが、建設計画の進め方だ。 「もともとJR向日町駅周辺では再開発が予定されていました。同駅は西側1ヵ所にしか改札がなく、東西をつなぐ通路もなかった。東側へ行くには、遠回りして踏切や地下通路を使うしかありませんでした。駅舎を挟んで市街地が分断されている状態だったんです。そこで向日市とJR西日本が共同で、東西自由通路の整備や駅舎の橋上化、駅前広場の再整備などを進める計画を打ち出しました。それが2005年から2008年にかけての話です」 向日市にとって、東西を簡単に行き来できる通路の整備は長年の課題だった。市民の多くも、この時点では計画に賛成していたという。 「2017年には駅直結の駅ビル(※上層階はマンション)を整備する計画が公表されました。ところが2020年2月、再開発事業の一環として、現在のタワーマンション建設計画が新たに発表されたのです」 この方針転換に対し、住民からは「東口の開設整備だけで十分であり、タワーマンションは不要だ」とする意見書が提出された。 しかし――。 「JR西日本からは、『タワーマンションの建設が認められなければ、東口の開設は行わない』と回答がありました。駅周辺の整備とタワーマンション建設が一体のものとして扱われたのです。公共性の高いインフラ整備と、民間の開発事業が一体化してしまっている。住民にとっては、選択の余地がない形で計画が進められたといえます」