子どもの「心の不調」の大半は「病気」ではない…精神科医が明かす「根本的な治療手段」

「来院した子どもの話を聞いていると『精神病じゃなくて、家庭の問題ではないか』というケースばかりです。いくら投薬したところで、家族の問題が解決しなければ根本的な治癒には至らないということなんです」……。『「学び」がわからなくなったときに読む本』の編著者である鳥羽和久氏が、精神科医で詩人の尾久守侑氏に、子どもの心の不調の「根本的な治療手段」を聞く。

心の問題は「自己治療」がすべて

鳥羽:僕は心の専門家ではないから、尾久さんに質問したいことがいろいろとあります。尾久さんが精神科医として子どもたちと接するときは、子どもの問題についてどのようにアプローチしているんですか。

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尾久:心の問題は、自己治療がすべてなので、あくまでもサポートというスタンスです。ただ、そうすると成熟待ちになるので、やっぱり根気は必要ですね。

例えば、リストカットをする子に対して「それはダメだよ」と注意したところで効果はないし、「輪ゴムでぱちんとやるといい」「赤ペンでピッてやると代わりになる」のような代替案は、文脈にもよりますが、基本はナンセンスです。

ただちに命に危険がないと判断すれば、リストカットも許容します。自傷行為を代替できる別の習慣が見つかるまでは、待ちの姿勢で見守る。

鳥羽:そうなりますよね。でも、そういう状況にある子が目の前にいるとき、僕は「見守るだけでいいのか?」と逡巡してしまいます。

いまでこそ「それ(リスカすること)でバランスが取れているならいいんじゃない」と声をかけますが、若い頃は「そんなことやるなよ」「お母さん、悲しむよ」と、通り一遍のことしか言えませんでした。二十年以上前のことですが、いちばんダメなパターンですよね。

尾久:それくらい前だと、自己治療的な発想はかなり弱いので、仕方ないと思います。

鳥羽:いつも悩むのが、どのタイミングでプロの診察を勧めるべきか、ということです。子どもからすれば、「医者に診てもらうといいよ」と言われることで見放されたと感じたり、病気なんだと落ち込んだりするんじゃないか、そういう懸念があります。

尾久:鳥羽さんの頭に「受診」の文字が浮かんだら、勧めていいと思います。これだけ子どものことをつぶさに見ている鳥羽さんが、一度病院にかかったほうがいいと思ったのなら、そのときが受診を勧めるタイミングなんです。

鳥羽:難しく考えなくていいですか。

尾久:そう思います。身近で見ている人がその子のことを心配だと思ったら、受診を勧めてかまいません。子どもの不調の原因は大半が精神病ではなく、家族や学校でのトラブルが心の動きに影響を与えているだけなので、体調が落ち着いたら、子どもと対話して一緒にトラブルを解消していけばいい。

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