「半永久的に続くと思います」100年以上前に閉鎖された鉱山 重金属が溶け出した排水の処理費3000万円を担い続けるのは国と地元自治体
RKB5/6(水)18:24
現在、資源のほとんどを輸入に頼る日本ですが、かつては各地で金、銀、銅などの採掘が盛んに行われていました。
福岡県久山町にも100年以上前に閉山した鉱山があり、今も有害物質を含んだ廃水が流れていて、町が対策を続けています。
明治〜大正時代に操業の鉱山 一見きれいな排水に含まれるのは…
久山町 町民生活課・小森真奈美課長補佐
「こちらですね」
RKB・堺恭佑記者
「ああ、レンガ造りの」
久山町 町民生活課・小森真奈美課長補佐
「鉱山の跡の方から出てきている水になります」
福岡県久山町の山中に設けられた赤レンガ造りの坑道の入り口。
明治から大正時代にかけて銅を採掘していた「中河内鉱山」の跡です。
RKB・堺恭佑記者
「音が聞こえてきますね」
久山町 町民生活課・小森真奈美課長補佐
「そうですね、水が出ていますので。坑道の方から出ている銅や亜鉛などの鉱物を含んだお水という形になります。見た感じは綺麗なお水なんですけれども、この周りを見ていただいたらわかるように、鉱物を含んでいるので色が」
RKB・堺恭佑記者
「あ、この周り青白いですね。廃水自体を見るとめちゃくちゃ綺麗なんでわからないですね」
坑道を入ったところに設置されたパイプから流れる透明な水。これが銅や亜鉛などの重金属を含んだ「坑廃水」です。
採掘前の鉱山では鉱石は地中深くに閉じ込められていて、空気とほとんど接触していません。
ところが採掘によって坑道ができ、空気と水が大量に地中に入り込むようになります。
雨水や地下水が地中に残った鉱石と反応することで、重金属が溶け出してきます。
この坑廃水の処理を今、久山町が担っています。
操業していた企業は現存せず 町は半世紀以上前に排水処理を引き継ぐ
久山町 町民生活課・井上英貴課長
「この坑道は明治時代から大正にかけて掘られ、もう昭和の時代には閉鎖されていたという歴史は残っている状況ですね。通常であれば当然、事業をされていれば、その方たちが後までずっと継続されるのが通常。1975年ですかね。その当時ぐらいから町で管理しているという状況を聞いております」
久山町の記録によると、中河内鉱山が閉山したのは大正時代の1919年。操業していた企業は、現在、存在しません。
久山町は1975年から廃水処理を引き継ぎました。
久山町 町民生活課・小森真奈美課長補佐
「処理されてきた水がこちらに出てきています。こちらはもうきれいな状態、処理水になっているので、最終的にこちらの川の方に放流するという形です。もう流しても大丈夫なように処理したものが流れてます」
坑道の近くにある処理施設で、廃水に消石灰を加えて中和し、重金属を分離。
さらに、ろ過したうえで川に流します。
排水処理施設にかかる年間約3000万円は国と町が負担
久山町 町民生活課・小森真奈美課長補佐
「こちらです。取り除かれて凝固して乾燥させてますけども」
処理の過程で出る重金属を含んだ汚泥は年間6トンから7トンにのぼります。
年に1回、大型トラックに載せて最終処分場に搬出されています。
久山町にはもう一つ閉山した鉱山があり、2つの鉱山の廃水処理施設の運営管理費は年間で約3000万円。
その4分の3を国が、4分の1を町が負担しています。
対応する企業がない「義務者不存在鉱山」いまも全国32か所に
現在、全国92か所の鉱山で鉱害防止工事や廃水処理が続けられていて、このうち対応する企業がいない「義務者不存在鉱山」は、32か所にのぼります。
久山町 町民生活課・井上英貴課長
「雨が降れば当然浸透して水が出てくる。流れるのは当然のことなので、それが途絶えることはないと思うので、ほとんど半永久的にずっと続くだろうと考えています」
閉山から100年以上経った今も、自治体が対策を肩代わりする「負の遺産」。
その処理に、終わりは見えません。