東北大青葉山キャンパス(筆者撮影)
東北大青葉山キャンパス(筆者撮影)

教員が知らない「荒唐無稽」な目標

そして、助成を受けている東北大の関係者からも、制度に対する疑問の声が聞こえてくる。

東北大の体制強化計画には、重要業績評価指標として重点KPIが掲載されている。論文数は現在の6791本を、10年目には倍の1万3200本に増やし、さらに25年目には2万4000本に増やす目標だ。これは現在約3000人在籍している教員が、1人あたり年間2本程度の論文数を、25年目には年間8本に増やすことを意味する。この目標を「荒唐無稽」と評する教員は多い。

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他にも、質の高いと評価されたTop10%の論文の割合を9.8%から25%に引き上げることや、若手研究者のTop10%の論文数を10倍にすること、大学発のスタートアップ数を現在の157社から1500社に増やすなど、20項目にわたって高い目標が掲げられている。

'23年9月1日に東北大が候補に選ばれたと発表された際、公開されたアドバイザリーボードの意見には、「KPIやマイルストーンを明確にした体系的な計画」であることや、「改革の理念が組織に浸透している」ことへの評価が記載されていた。しかし、複数の教員は、体制強化計画の内容や重点KPIを候補に選ばれるまで「知らなかった」と証言する。

「東北大が候補に選ばれたことは、9月1日の午前中に文部科学大臣から発表がありました。しかし、私たち教員がKPIを目にしたのは、その日の午後が初めてです。誰が作成したのかもわかりません。これらの目標について学内で意思統一していると申請したのであれば、虚偽申請ではないでしょうか。しかも、KPIには出来もしない内容が書かれています。達成するのは無理でしょう」(教員の一人)

教員らは体制強化計画の内容やKPIを知らなかっただけでなく、KPIを達成する方法も示されていない。ほかにも国際卓越研究大学に関する事業については、学内で話し合うのではなく、決まったことだけが指示される。おそらく一部の大学幹部と、CSTI関係者やアドバイザリーボードらで使い道が決められているのではないだろうか。'25年度の助成金154億円の使い道の詳細も、学内ではまだ明らかにされないままなのだ。

それだけではない。認定から約1年半が経過した現在、東北大では研究力の強化どころか、大学院生や教員が困惑する事態に陥っている。次回は、博士課程の大学院生や留学生が受けていた支援が、突然削減された事態についてお伝えする。

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