「稼げる大学」を求められる事態に
国際卓越研究大学が構想された背景には、日本の研究力の低下がある。研究力を測る重要な指標である論文数や質の高い論文の割合などは'00年代前半より国際的な地位の低下が続いている。その原因の一つと考えられるのが、'04年の国立大学法人化だ。
法人化によって、運営費交付金は約10年間にわたって毎年1%の削減が続いた。'04年度には1兆2416億円だったが、'25年度の当初予算では過去最低水準の1兆784億円となり、約20年間で1632億円も減少している。この間、物価の上昇や人事院勧告にもとづく賃上げに対応した増額はなかった。
科学研究費助成事業といった競争的資金は増えたものの、特定の目的に使途を限定された短期的な資金のため、各国立大学の財政は悪化し、若手教員数の減少や研究費の減少、設備の老朽化などを招いている。
ただ、'26年度は法人化後で最大規模の増額になった。物価高や人事院勧告の賃上げに対応するため、前年よりも188億円上乗せされるとともに、'25年度の補正予算として486億円が計上され、合計で674億円増額された。それでも法人化前よりは大幅に低い金額だ。
国際卓越研究大学制度は多額の公金を使いながら、現状ではわずか2大学を支援するだけだ。普通に考えて、日本全体の研究力強化にはつながらないだろう。大学ファンドを活用するなら、運営費交付金を増やすなど、すべての国立大学法人の底上げを目指すほうがまだ理解できる。
しかも、認定された大学は、国際的に卓越した研究力の強化を進める一方で、年3%の事業成長を目指すなど、「実効性が高く意欲的な事業・財政戦略」を進めることも求められる。言い換えれば、「稼げる大学」になることが求められるのだ。