【タフカテ注意】“超次元サッカーX”をやります episode.1「プレリュード」

  • 1吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 19:52:46

    という事でプロローグから投下していくのん
    終わったら募集事項とか出すから待ってるよ…

  • 2二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 19:54:20

    サッカー選手キャラ限定?
    それともオリキャラ限定?

  • 3二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 19:56:03

    >>2

    終わったら募集事項とか出すから👈トントン

    プロローグ投下し終えるのを大人しく待て…鬼龍のように

  • 4二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 19:56:17

    このレスは削除されています

  • 5吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 19:57:04

    >>2

    オリキャラってなんじゃい…?

    お、俺ァそんなもん一度も見たことなんざねぇぜ

    >>4

    一応荒れそうだから消しとくのん…

  • 6吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 19:57:45

    エンジン音が低く唸りを上げ、大型バスがハイウェイをひた走る。

    窓の外には、決戦の地であるスタジアムへと続く道が流れていた。今から40年前。フットボールフロンティア決勝戦へと向かう、雷門中イレブンを乗せたバスの車内は、異様なほどの熱気と、常軌を逸した個性が入り乱れる空間となっていた。


    「みんな、ついにここまで来たな!フットボールフロンティア決勝戦だ!」

    バスの最前列で振り返り、ニカッと歯を見せて笑うのは、熱血監督、円堂大介だ。その目には、教え子たちへの絶対の信頼と、これから始まる未知の戦いへのワクワク感が満ち溢れている。

  • 7二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 19:57:59

    おーっ雪原王子やん今日も元気にアツヤ継いどるん?

  • 8吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 19:58:32

    「ああ、やってやるぜ監督!」

    キャプテンマークを腕に巻いた若き響木正剛が、拳を掌に打ち付けた。

    「俺たちの力で、絶対に優勝トロフィーを掴み取ってやる!ゴールは完全に死守してやるからな!」

  • 9吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 19:58:46

    荒々しく吠える響木の隣の席で、宮沢静虎は静かに微笑みながらお茶を啜っていた。

    「響木君、気負いすぎはいけませんよ。私たちはこれまで、数々の困難を乗り越えて十分に強くなりました。ただ、自分たちが培ってきたものを信じ、全力を尽くす。それだけです」

  • 10吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 19:59:03

    宮沢の慈愛に満ちた助言に、車内の空気がふっと和らぐ。

    その和やかな空気の中、通路を挟んだ席では、二足歩行のレッサーパンダが立ち上がり、両手を高く掲げて威嚇のポーズをとっていた。とても愛らしいが、その内には人智を超えた頭脳と身体能力が秘められている。レッサーパンダは短い腕に巻かれたスマート・ウォッチの盤面を器用に操作し、スタジアムへの到着予想時刻を確認して小さく頷いた。

  • 11吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 19:59:29

    「宮沢さんの言う通りですわ。皆さん、少しリラックスしてくださいな。私が特製のいなり寿司を握ってきましたから、腹ごしらえでもいかがですか?」

    ジャンク屋上がりのFOX小隊員、吉野ニコ・ギュールが、タッパーにぎっしり詰まったいなり寿司を配り歩き始めた。


    レッサーパンダはいなり寿司を一つ受け取ると、再び威嚇のポーズで感謝を示した。

  • 12二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 19:59:31

    おそらく安価カテ語だ(安価カテ民書き文字)

    いや聞いて欲しいんだっ安価カテではオリキャラの方が盛んでね

    >>5

  • 13二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 19:59:39

    >レッサーパンダ

    ねーっなんなのコイツ

  • 14吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:00:05

    バスの後方からは、甘く香ばしい匂いと神々しいオーラが漂っていた。

    「バウムは確信しているぞ……クーヘンたちよ。幾重にも層を重ねて焼き上げられたバウムクーヘンのように、我らの絆もまた強固なものとなっていると」

    座席を三つほど占領して鎮座するバウムクーヘンを咥えたラーの翼神竜が、黄金の翼を僅かに揺らしながら厳かに呟く。

  • 15吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:00:25

    「そうよ!私たちの絆は誰にも壊せないわ!」

    可愛らしい魔法少女の姿をした憎しみの女王が、ステッキを振りかざして立ち上がる。

    「私たちを阻む決勝戦の相手は、すべて『悪』!正義が存在するためには、倒すべき悪が絶対に必要なの!愛と正義の名の下に、私が完膚なきまでに断罪してあげるんだから!」

    快活な口調の裏に、どこか歪でヒステリックな強迫観念が透けて見えるが、チームメイトたちはすっかりその極端な性格にも慣れきっていた。

  • 16吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:00:42

    「ふふ、彼女の言う通りだね」

    窓枠に肘をつき、飄々とした笑みを浮かべるのはSARUだ。

    「旧人類の凡庸なチームなんて、僕たち……いや、この雷門の力の前にはひれ伏す運命にあるのさ。最高のショーを見せてあげよう。僕の化身が、彼らに本当の絶望というものを教えてあげるよ」

    200年後の未来から来た孤独な皇帝は、今やこの歪で温かいチームのストライカーとして、確かな居場所を見出していた。

  • 17二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:01:07

    >>14

    この男は……?

  • 18吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:01:47

    ココココココココ……。

    不気味な骨の鳴る音が車内に響く。サタン・ゴールが首を左に傾けた。

    「豪快に行くぞお前ら!我の力で敵のゴールネットごと粉砕してくれるわ!」

    ココココココココ……。

    今度は首が右に傾く。

    「いや、君たち。ここは冷静に相手のフォーメーションを分析するべきだ。僕のタイムトランスで敵から得点を奪ってみせよう」

    人格とプレイスタイルを自在に切り替える四重人格の幻術師は、今日も絶好調のようだ。

  • 19吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:02:41

    そんな個性的な面々のやり取りを掻き消すように、最後尾から凄まじい怒声が響き渡った。

    「しゃあっ! フランチェスカ、今日こそお前を絶対ハイグレ人間にしてやるのん! 逃げられると思うなあっ! ワシの目的を阻む奴は、決勝の相手だろうが何だろうがぶち殺してやるのん!」

    金髪の美少女が、目を血走らせながらマネージャー席に向かって飛びかかろうとしている。フランチェスカをハイグレにすることだけに執念を燃やす悲しきマネモブだ。

  • 20二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:02:48

    >>18

    やるな士郎…サッカーやりますスレのサタンノルマを序盤で達成させている

  • 21二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:02:54

    ねーっ何なのこのメンツ

  • 22吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:03:08

    「あはははっ! 相変わらず元気だねー、金髪ちゃん!」

    雷門のマネージャーであるフランチェスカ・プレラーティは、ひらりとマネモブの突撃を躱し、悪戯っぽく舌を出した。

    「決勝戦の直前に私をハイグレにしようとするなんて、ほんと混沌としてて最高! でもね、もうすぐ着いちゃうよ? ほら、外を見てごらん!」


    フランチェスカが指を鳴らすと、世界を騙す幻術が発動した。

    バスの天井と壁が透過したかのように消え去り、まるでオープンカーに乗っているかのような錯覚と共に、地平線の先にそびえ立つ巨大なスタジアムの全貌がチーム全員の目に飛び込んできた。

  • 23吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:03:26

    「フランチェスカ殿、あまり悪戯が過ぎるとチームの和を乱すぞ。しかし……見事な幻術だ」

    腕を組み、マントを揺らめかせながら座っていた聖騎士オメガモンが、静かに目を開いた。

    「だが、我々の内に秘めた闘志は決して幻ではない。闇を打ち払い、必ずや勝利の栄光を貴殿らと共にこの手に掴もう」

  • 24吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:03:51

    「ぼくは……勝つ」

    車椅子から身を乗り出すようにして、ジョニィ・ジョースターがスタジアムを見据えた。彼の瞳には、暗い炎のような『漆黒の意思』が宿っている。

    「かつて失った栄光を、誇りを……ぼくはこのチームで取り戻すんだ。そのためなら、相手がどんなヤツだろうと躊躇わない。泥を啜ってでも、ぼくはゴールを奪う」

  • 25吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:04:08

    決して交わるはずのなかった異世界の住人、未来人、神の竜、そして超危険生物。

    だが、彼らは共にボールを追い、数々の激戦をくぐり抜けてきた正真正銘の「雷門イレブン」だった。


    「よし!みんな気合は十分だな!」

    円堂大介の力強い声が、全員の意識を一つに束ねる。

    「さあ行こうぜ!俺たちのサッカーを、世界に見せつけてやろう!」

  • 26吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:04:57

    一方、決戦の地であるスタジアム。

    異様な静寂に包まれたピッチの中央で、帝国学園のキャプテンマークを腕に巻いた少女が、空を仰ぎ見ていた。

    彼女の名は、音無・デスゲーム・春奈。


    「ふふっ、そろそろ雷門の皆さんが到着する頃ですね」

  • 27二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:05:37

    なにっ

  • 28二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:05:59

    なにっお前が帝国学園キャプテンなのかあっ

  • 29吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:06:18

    音無は、手元のタブレット端末を操作しながら独り言を呟いた。

    「あの日の興奮……それを超える最高のゲームを、ずっと考えていたんです。人生は常在バトロワ、ですからね!」


    そう言って、音無はタブレットの最終実行ボタンをタップする。


    「さあ、雷門の皆さん。私の特別製バトロワに強制参加してもらいますよ。宇宙空間に待機させていた40基のスペースコロニー……目標、雷門のバス! 質量兵器による究極のサバイバル、開幕です!」

    音無の無邪気な宣言と共に、宇宙空間から40基を超える超巨大な円筒形のスペースコロニーが、大気圏を突破して地球へと降下を開始した。

  • 30二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:07:02

    何を言うとるんじゃあっ

  • 31吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:07:34

    ――そして、雷門のバス車内。


    フランチェスカの幻術によって透過された天井の向こう側、本来なら青空が広がっているはずの空が、赤黒い炎に染まっているのを雷門イレブンは目撃した。


    「な、なんだあれは!?」

    若き日の響木が、窓に張り付くようにして空を見上げる。

    「隕石……いや、違う! デカすぎるぞ!」


    空を覆い尽くすほどの巨大な影。大気との摩擦で赤熱しながら落下してくる40基以上の超巨大構造物に、車内は一時騒然となった。

  • 32二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:07:58

    あの日の興奮ってなんじゃい? 何何何何何!?

  • 33二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:08:45

    舞台設定がアフターウォーなんてワタシは聞いてないよッ

  • 34二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:09:15

    >>32

    恐らく虐めっ子と無能な大人をまとめてデスゲーム送りにした日のことだ

  • 35二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:09:46

    この"X"ってま、まさか…

  • 36吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:10:15

    「バウムは確信しているぞ……クーヘンたちよ。あれはスペースコロニーだ」

    バウムクーヘンを咥えたラーの翼神竜が、その神眼で上空の脅威を正確に捉える。


    「スペースコロニー!? 冗談でしょ!?」

    ニコがタッパーを落としそうになりながら叫ぶ。

    「あんなの40基も落ちてきたら、バスどころか地球がぶっ壊れるわ!」


    しかし、さらなる絶望的な事実を告げたのは、聖騎士オメガモンだった。


    「待て、全員。私の眼にはハッキリと見えている……あの落下してくる巨大な構造物の中に、無数の生命反応がある。人間だ」

  • 37二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:11:46

    >>バウムは確信しているぞ……クーヘンたちよ

    お前…変なバウムクーヘンでもやってるのか…

  • 38二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:13:51

    このレスは削除されています

  • 39吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:14:04

    その言葉に、車内の空気が完全に凍りついた。


    「は? 人が……乗ってるの?」

    憎しみの女王の顔から、笑顔がスッと消え去る。

    「人間を乗せたまま、あんなものを兵器として落としてるっていうの……? そんなの、そんなの……許されない! 許されるはずがない絶対なる悪よ!!」


    「なんて狂った真似を……」

    宮沢静虎も、いつもの穏やかな表情を消し、険しい顔で空を睨みつけた。

    「あれだけの命を巻き込んでまで我々を潰そうというのですか。対話の余地すら与えないとは……」


    「イカれてる……!」

    ジョニィ・ジョースターは、車椅子の肘掛けをギリッと強く握りしめ、瞳に漆黒の意思を燃え上がらせた。

    「あいつら、最初からサッカーなんてする気はない! ぼくたちと、あの中の人間ごと皆殺しにしようとしているんだッ!」


    ココココココココ……!

    サタン・ゴールが激しく首を右から変形させ、テコンドーの達人パクへと人格を切り替えた。

    「ふざけるな! テコンドーでも、流石にコロニー40基は蹴り返せねぇぞ!」

  • 40二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:16:04

    コロニー40機以上使った究極のデスゲームとか確かにデスゲーム春奈ならやるわな……

  • 41二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:16:29

    春奈……単純計算でジオンの40倍やばいやつなんスけど……いいんスかこれ

  • 42二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:17:51

    >>41

    ああ、どうせみんな死ぬから問題ない

  • 43吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:18:44

    「ワタシたちでどうにかなる質量じゃないわよ!?」

    バズがナイフを構えながら、横で必死に腕を上げて威嚇しているレッサーパンダに向かって叫ぶ。レッサーパンダは威嚇のポーズを崩さないまま、スマート・ウォッチでコロニーの落下軌道と衝突までのカウントダウンを計算し、冷や汗を流していた。


    「しゃあっ! 落ちてくる前にワシがフランチェスカをハイグレにしてやるのん!」

    混乱の極みの中でもブレないマネモブが叫び、フランチェスカは「こんな時でも私を狙うなんて、ほんと狂ってて最高!」と歓喜の声を上げている。


    「ふふ……あはははは!」

    SARUだけが、この異常な光景を前に楽しそうに笑い声をあげた。

    「旧人類にしては、ずいぶんと面白い余興を用意してくれたじゃないか。いいよ、やってやろう。すべてを賭けたショーの幕開けだ」

  • 44二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:19:57

    デスゲーム春奈 フランチェスカモブ サタン様 SARU先生
    バウムクーヘンラーとか来たらやべえなってやつここで登場させる采配で笑ってしまう

  • 45吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:21:36

    「敵がどんなボールを蹴ってこようが、俺たち雷門のやることは一つだ! 全力で止めて、全力で点を取りに行く! あの落ちてくるデカブツも、俺たち全員の力で受け止めてやるぞ!」


    「お前ら、ありったけの力を絞り出せ!!」

    円堂大介の怒号が車内に響き渡る。


    「行くぞッ! 雷門の守りの真髄、見せてやる!」

    響木正剛がバスの屋根に飛び乗り、両手を天高く掲げた。黄金に輝く巨大な手が空に出現し、落下してくるコロニーの一基を真正面から受け止める。


    【ゴッドハンド】

  • 46二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:22:02

    …バームクーヘンラーってそれただのバームクーヘン食ってるラーなんじゃないですか?

  • 47二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:23:07

    >>44

    そういうことだったんスね

  • 48吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:24:35

    「クソッ、重てぇ……!」

    しかし、一基だけでもその質量は規格外だった。響木の腕が悲鳴を上げ、黄金の手がひび割れ始める。


    「一人で背負うことはありません! 私も手伝いましょう!」

    宮沢静虎がバスから跳躍し、空中で鋭い蹴りを放つ。


    【タイガーシュート】

  • 49吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:26:23

    猛虎の闘気が宿ったシュートがコロニーの側面に直撃し、落下の軌道を僅かに逸らす。


    「私も手伝うわ! 愛と正義の力で、こんな悪の兵器なんて粉々にしてあげる!」

    憎しみの女王がステッキから極太の魔法のレーザーを放ち、オメガモンもそれに続く。


    【ガルルキャノン】

  • 50二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:27:06

    なに…アクシス落とし止めるアムロ…?

  • 51吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:27:55

    「ぼくも……ぼくの『覚悟』を見せてやるッ!」

    ジョニィ・ジョースターが爪弾を連射し、サタン・ゴールが強烈なシュートを放つ。SARUの超魔神エヴァースが巨大な拳を叩き込み、ニコがレッドフレームのAIサポートによる精密射撃を行い、バズが超強力な爆薬付きの投げナイフを投擲する。バウムクーヘンの翼神竜の神の炎と、レッサーパンダの渾身の威嚇により発生した謎の念動力までもがコロニーへと集中した。


    雷門イレブンの決死の連携によって、響木が受け止めていた一基のコロニーは空中で停止した。


    「やった……! 止めたぞ!!」

    誰かが歓喜の声を上げた。

    だが、その希望はすぐに絶望に塗り潰された。


    フランチェスカだけが、空を見上げて狂気的な笑みを浮かべていた。

    「あはははっ! 残念! まだ39基残ってるよ!」

  • 52二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:28:37

    何…マダラの隕石2発目展開…?

  • 53吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:28:52

    止めたのは、あくまで最初の一基に過ぎなかった。

    雷門イレブンが総力を結集している間に、残りのコロニーはすでに迎撃不可能な高度まで降下していたのだ。


    赤黒い炎をまとい、空を覆い尽くす39基の絶望。

    それが大地に激突する瞬間、音は消え去った。


    圧倒的な閃光が地球を包み込み、遅れてやってきた衝撃波が大地を削り取る。海は干上がり、都市は融解し、ありとあらゆる命が理不尽な暴力の前に消し飛んでいく。雷門のバスも、イレブンたちも、爆炎の中に飲み込まれていった。


    音無・デスゲーム・春奈が仕掛けた、地球規模の史上最悪のバトロワ。

    この日、人類の99パーセントが死滅した。


    ――そして、40年の時が流れた。

  • 54二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:29:02

    マネモブ…OPあげる…

    DREAMS


  • 55二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:29:49

    地球がダメに成るか成らないかなんだ!やってみる価値ありますぜ!
    そして雷門イレブン共は緑色の光の向こうへ渡った

  • 56二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:30:00

    > 人類の99パーセントが死滅

  • 57二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:30:36

    北斗の拳みたいな世界でスタートするタイプ?

  • 58二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:31:06

    えっ なにっ なんだあっ

  • 59二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:31:15

    開幕から壮絶過ぎて笑ってしまう

  • 60二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:32:23

    たしかにバトロワ…だけどこれバトロワかな
    いや確かに皆死んでるけど…ん?あれ?これバトロワか?

  • 61二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:32:47

    デスゲーム春奈……すげぇ
    実質初登場でこんだけ暴れたし……

  • 62吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:33:52

    23:00からインターバルを使って合図無し1分間ダイスで”雷門メンバー”を決めます
    禁止キャラ:主催的にそれはダメだろっとなった奴、通るかどうか気になったら見せてほしいのん

    ヴィー…インターバル立てるの待ってるよ…

  • 63反省中◆Jy0z6E2sv.26/04/30(木) 20:33:59

    キャラシートですらないバウムクーヘンを咥えたラーの翼神竜をそのままAIにぶち込んだ吹雪士郎には非常に好感が持てる

  • 64二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:35:02

    あれこれデスゲーム春奈も死んでないか?
    それともコイツはもう人間ではないナニカになってしまっているタイプ?

  • 65反省中◆Jy0z6E2sv.26/04/30(木) 20:35:03

    スレタイと何時に立てたらいいか教えてくれよ

  • 66二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:35:13

    もしかしてAI使ってるタイプ?

  • 67二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 20:36:00

    ちなみにテンプレは一応あるけど守らなくてもいいらしいよ

  • 68吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:38:09

    >>66

    うん

    このスレはAI進行っスね

    >>65

    “超次元サッカーX”をやります インターバル.1「人間じゃない人たち」

  • 69吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:38:47

    >>68

    出来れば早めに立ててほしい…周師匠だ

  • 70反省中◆Jy0z6E2sv.26/04/30(木) 20:39:59

    >>69

    今から立ててもいいのん?

  • 71吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:40:34

    >>70

    ドリス いいよ

  • 72反省中◆Jy0z6E2sv.26/04/30(木) 20:41:40

    >>71

    スレ画はどうすればいいっスか?

  • 73吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/04/30(木) 20:42:36

    >>72

    削除対策も兼ねてこれ…

  • 74反省中◆Jy0z6E2sv.26/04/30(木) 20:44:22
  • 75二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 21:45:10

    タフロボと同じ感じで笑ってしまう

  • 76二次元好きの匿名さん26/04/30(木) 23:09:25

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 03:02:03

    保守じゃい!

  • 78二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 08:02:59

    保守や!!保守!!!

  • 79二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 08:44:11

    画像投稿を大幅に遅刻した……周師匠だ

    やれっセナ

  • 80二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 10:22:26

    >>79

    セナさーん!!(最後の方の画像を見て)

  • 81二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 11:24:52

    保守ついでにインターバル.1に画像を置いたことを報告する…周師匠だ

  • 82二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 12:50:58

    インターバル.1?

  • 83二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 16:55:01
  • 84吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:07:51

    荒野に点々と広がるバラックとその合間にそびえ立つ旧時代の遺物。

    大厄災から40年。環境はシェルターの生存者たちの手によって奇跡的に安定を取り戻したが大国と呼べるような国家は消滅していた。現在は独立国家や自治都市が点在し、その隙間を盗賊やならず者が跋扈する混沌とした時代である。


    そんな荒野の片隅にある静かな日本家屋風の道場。

    そこに一人の青年が足を踏み入れた。


    ズチャ……ズチャ……。

    歩くたびに奇妙な水音が鳴る。青年の足元からは絶え間なく茶色い汚物が溢れ出していた。

    時速500ミリリットルという驚異的なペースで糞を垂れ流し続ける特異体質の長岡龍星。彼の通った跡にはうんこの濁流が生まれ、道場の床を無惨にも汚染していくが本人は全く気にする素振りを見せない。


    「お呼びでしょうか、静虎さん」

  • 85吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:08:40

    龍星が礼儀正しく頭を下げると縁側で茶を啜っていた初老の男、宮沢静虎が静かに微笑んだ。

    40年前のあの絶望的な厄災を生き延びた静虎は白髪交じりになった今も、底知れぬ武術の達人としての覇気と穏やかな慈愛を漂わせている。


    「ええ、よく来てくれましたね、龍星君。床のことは気にしないでください。後で洗い流しておきますから」


    「申し訳ありません」

    龍星はうんこの水たまりの中に正座した。


    「今日あなたを呼んだのは、他でもありません」

    静虎は湯呑みを置き、遠い目をして荒野の先を見つめた。

    「40年前……我々雷門イレブンはあの空から降ってきたコロニー群によって全てを奪われました。生き残った者は散り散りになり、フットボールフロンティアの熱狂もあのバスの仲間たちも、過去の幻影になってしまった」

  • 86二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:10:16

    なにっ本当に垂れ流しているだと

  • 87吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:10:18

    「……ええ、話には聞いています。その復讐のために僕に灘神影流を教えたわけではない、とも」


    「その通りです。しかし……最近、奇妙な噂を耳にしましてね」

    静虎はスッと表情を引き締めた。


    「かつて共にフットボールフロンティアを戦い抜いたチームメイトの一人……サタン・ゴール。彼が遠く離れた自治都市で新たな私立中学校を立ち上げたそうです。それも、『雷門中』の名を冠して」

  • 88吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:11:32

    「雷門中……」

    龍星は目を細めた。

    「そのサタンという人は何を考えてそんな学校を? この時代にわざわざ過去の亡霊を呼び起こすような真似をして」


    「私にも分かりません。彼は元々一つの身体にいくつもの人格を宿す複雑な男でした。……今、どの人格が主導権を握り、何を目的として雷門の名を掲げているのか。それを知りたいのです」


    静虎は真っ直ぐに龍星の目を見た。

    「龍星君。あなたにその新設された雷門中を見てきてほしいのです。もし彼が道を踏み外し、若者たちを間違った方向へ導こうとしているのなら……止めてやってはくれませんか」

  • 89二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:12:32

    なにっ雷門中のトップがサタン様

    というかあれから二人も生き延びてるのデスゲーム春奈は絶頂してそうで気持ち悪いっスね

  • 90吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:12:58

    「なるほど。恩人である静虎さんの頼みとあらば断る理由はありませんよ」

    龍星は立ち上がり軽く準備運動をするように肩を回した。その拍子にも足元からはボトボトと汚物が溢れ出し、周囲にうんこの洪水を広げていく。


    「それに……」

    龍星の口元に自信に満ちたどこか傲慢さすら感じさせる笑みが浮かんだ。

    「その雷門中とやらがどれほどのものか僕のサッカーで試してやるのも面白そうだ。安心してください静虎さん。相手がどんな狂人だろうと僕の力の前ではうんこも同然です」


    「頼みましたよ。道中ならず者も多いでしょう。気をつけて」


    「ええ、行ってきます」


    湿った音を響かせながら、龍星は道場を後にした。

  • 91二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:14:41

    (マジでコイツとサッカーやるのかぁ……)

  • 92二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:14:41

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  • 93吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:15:36

    荒れ果てた大地を、奇妙な水音を立てながら進む影が一つ。


    「ここが、地図に記されていた座標のはずですが……」

    長岡龍星は周囲を見渡した。しかし、そこには赤茶けた荒野と、旧時代の瓦礫が転がっているだけで、学校の校舎らしき建造物は影も形もなかった。

    彼からは相変わらず時速500ミリリットルのペースで糞が止めどなく垂れ流されており、荒野の土をどろどろの茶色い沼に変えていく。


    「静虎さんの情報が間違っていたのでしょうか。それとも、幻術か何かで隠されているのか……」

    龍星が思案していると、瓦礫の陰から、この荒涼とした世界には似つかわしくない、甘ったるい声が聞こえてきた。


    「ああ、メイア。今日の君も、この荒野に咲く一輪の薔薇のように美しいよ」

    「ふふっ、ありがとうギリス。私って本当に罪な美しさだわ。こんな汚れた世界に生まれ落ちてしまったことが、唯一の不幸ね」


    白髪に眼鏡をかけた青年と、息を呑むほどの美貌を持つ少女が、腕を絡め合いながら歩いてきた。見つめ合う二人の間には、完全に彼らだけの甘い空間が出来上がっている。

  • 94吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:16:33

    しかし、少女――メイアがふと顔をしかめ鼻をハンカチで覆った。


    「ちょっと何よこの悪臭! 私の美しい鼻が曲がっちゃうわ!」

    メイアの鋭い視線がうんこの水たまりの中心に立つ龍星を捉えた。


    「おや失礼。これは僕の特異体質でして。時速500ミリリットルの糞を常に垂れ流しているのです。お気になさらず」

    龍星は爽やかな笑顔でごく自然なことのように言い放った。


    「気にするに決まってるでしょ! 近寄らないでよね、私の綺麗な服が汚れたらどうしてくれるのよ!」

    「まあまあメイア、落ち着いて。僕が彼から君を守るからね」

    青年――ギリスが、メイアを庇うように前に出た。彼は龍星の足元を見て少し顔を引きつらせながらも毅然とした態度をとる。仲間思いの心優しい青年であることが窺えた。


    「君、こんな何もないところで何をしているんだい? 僕はギリス。そしてこっちは僕の愛するメイアだ。見ての通り、彼女はこの世界で一番美しいからね」

  • 95吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:17:38

    「僕は長岡龍星です。実はサタン・ゴールという人物が立ち上げた『雷門中』という学校を探してここまで来たのですが……校舎が見当たらず困っていたところです」


    龍星が尋ねるとメイアはフンッと鼻を鳴らし、誇らしげに胸を張った。


    「あなたが探している雷門中ならここであっているわよ。何を隠そうこの私こそがその雷門中の生徒なのだから!」


    「あなたが雷門の生徒……? では、校舎はどこに? 他の生徒たちは?」

  • 96吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:18:22

    龍星が周囲を再び見渡すが、やはり瓦礫しかない。


    「校舎なんて立派なもの最初からないわよ。青空教室みたいなものね」

    メイアは呆れたように肩をすくめた。


    「ちなみに、僕は雷門の生徒じゃないよ」

    ギリスが眼鏡の位置を直しながら補足する。

    「僕はただメイアのそばにいたいから一緒に行動しているだけさ。外部の人間だけどサタン校長も大目に見てくれているみたいでね」


    「なるほどギリスさんは外部の方ですか。では、実際の雷門中の生徒はどれくらいいるのですか? 校舎がないとなると少数精鋭のチームということでしょうか」

    龍星の問いにメイアはさらりと衝撃的な事実を口にした。


    「少数精鋭もなにも……私を含めて、生徒は全部で10名しかいないわ」

  • 97吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:19:25

    「……はい?」

    龍星は思わず素の声を漏らした。

    流れる糞の音だけが虚しく荒野に響く。


    「10名……ですか。サッカーは11人でやるスポーツのはずですが。それではチームすら組めないのでは?」


    「そうよ。だから毎日サタン校長の奇妙な特訓に付き合わされているだけ。本当に退屈で死にそうだわ」

    メイアは不満げにため息をつき、ギリスの腕にすり寄った。


    10名しかいない生徒。校舎のない学校。

    静虎から「若者を間違った方向へ導いていないか確認してほしい」と頼まれてやってきたが、そもそも導くべき若者すらろくに集まっていないという異常事態に、龍星は目を細めた。

  • 98吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:20:13

    龍星の足元から広がる汚物の沼にメイアが顔をしかめていると、突如、背後の瓦礫の山から奇妙な音が響き渡った。


    ココココココココ……!


    「おや、珍しい来客だね。君は誰だい?」

    瓦礫の上から軽やかに飛び降りてきたのは、一人の男だった。首を右に大きく傾け、穏やかな笑みを浮かべている。

    彼こそが、かつての雷門イレブンの一員であり、この学校の創設者であるサタン・ゴールだ。

  • 99吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:21:06

    「あなたがサタンさんですね。僕は長岡龍星。かつてのあなたのチームメイト、宮沢静虎さんに頼まれて様子を見に来ました」

    龍星が丁寧に一礼するとサタンの首がゴキリと鳴った。


    ココココココココ……!


    首が左へと傾き、その表情が尊大で豪快なものへと豹変する。

    「ガハハハハ!あの静虎が我を心配して使いを寄越したというのか!相変わらずお節介な男よ!」

  • 100吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:21:42

    「サタン校長、急に出てこないでよ。悪臭に加えて変な音まで出されたら私の美しさが台無しになっちゃうじゃない」

    メイアが呆れたように言うと、サタンは首を中央に戻した。


    ココココココココ……!


    「ホッホッホ、すまないでおじゃる。しかしマロもかつての友の名を聞いてつい興奮してしまったでおじゃるよ」

    公家のような口調で狂気を孕んだ笑いを漏らしながら、サタンは龍星の足元で広がり続ける糞の沼を一瞥した。

    「して、お主……なかなか強烈な個性を放っているでおじゃるな」

  • 101吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:22:45

    「ええ。それよりサタンさん、静虎さんはあなたが若者たちを間違った道へ導いていないか心配していました。しかし蓋を開けてみれば校舎もなく、生徒はメイアさんを含めてたったの10人。一体何を企んでいるのですか?」


    龍星の問いに、サタンの首が異常な角度にグンッと曲がり、テコンドーの達人パクの人格が表に引きずり出された。


    ココココココココ……!


    「企んでるだと?ふざけるな!俺はただ、もう一度あの熱いサッカーを……最強の雷門を復活させたいだけだ!」

  • 102二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:23:20

    普通な動機だけどその割には人が足りてないわっ

  • 103吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:24:11

    サタンは荒野を指差した。

    「だがこの世界のサッカーで生き残っていける程のハングリー精神と、俺のサッカーについてこれる才能を持つガキッはそうそういねぇ。世界中を探し回ってようやく見つけたのがそこにいるメイアのような10人の原石たちだ。だがサッカーは11人いなけりゃ試合ができねぇんだよ!」


    サタンの言葉に、ギリスが小さく頷く。

    「そうなんだ。僕も人数合わせに入ろうかと言ったんだけどサタン校長は雷門の魂を持つ者しか認めないって言ってね」


    「なるほど……そういうことですか」

  • 104吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:26:00

    龍星は顎に手を当て、フッと不敵な笑みを漏らした。

    彼の内にあるガルシアの心臓が抑えきれない闘争心と共にドクンと高鳴る。ぬるい人生を嫌い闘いを求めてきた彼にとってこの混沌とした世界でゼロから最強のチームを作り上げるという野望はひどく魅力的に映った。


    「いいでしょう。静虎さんにはあなたが狂人ではなくただ純粋に夢を追い求める熱い男だったと報告しておきます。それに……」


    龍星はサタンの目を真っ直ぐに見据えて足元の汚物を力強く踏みしめた。大きな音が鳴る。


    「この僕、長岡龍星がその11人目になりましょう。僕の真の強さを証明するには絶好の舞台です。相手がどんなならず者だろうと僕の力の前ではうんこも同然」


    龍星は恭しく胸に手を当て、しかしその瞳には圧倒的な自信と傲慢さを滾らせて宣言した。


    「僕があなたと共に雷門サッカーを復活させることをここに誓います」

  • 105吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:27:16

    その直後、重い足音が荒野に響いた。


    「おいおいなんだこのクソみてぇな悪臭は。……いや文字通りクソを撒き散らしてやがるじゃねーか」


    瓦礫の向こうから姿を現したのは深緑色の長髪をなびかせた顎の割れた褐色肌の大柄な少年だった。彼の名はこの時代の雷門中における鉄壁のディフェンダー、テレス・トルーエ。かつてのアルゼンチンから受け継がれた血脈を持つ「アンデスの不落の要塞」である。


    テレスは龍星の足元で広がり続ける汚物の沼を一瞥すると心底見下したような態度で鼻で笑った。


    「おいサタン、どこからこんな薄汚い野郎を拾ってきたんだ? 俺たち雷門の11人目にこんなクソ漏らしを入れるつもりじゃねーだろうな」

  • 106二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:27:25

    >うんこも同然

    お前がうんこ同然だろうがよえーっ

  • 107吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:28:34

    「ホッホッホ、テレスでおじゃるか。こやつは自ら入部を志願してきたでおじゃるよ。見かけによらずなかなか面白い闘気を秘めているでおじゃる」

    サタンが笑いながら答えると、龍星はズチャッと一歩前に出た。


    「初めましてテレスさん。僕は長岡龍星。僕の力は本物です。あなたのような立派な体格の方でも僕のスピードとパワーの前では赤子同然ですよ」

    丁寧な口調の中に傲慢さを隠そうともしない龍星の態度に、テレスの眉がピクリと動いた。


    「はっ、言うじゃねーか。口だけならいくらでも叩けるぜ」

    テレスは腕を組み、不敵な笑みを浮かべて龍星を睨み下ろした。

    「俺は世界最強のディフェンダーだ。お前がそのくだらねぇ自信に見合う実力を持ってるか試してやるよ。俺のディフェンスを抜けたら、実力を認めて11人目として迎え入れてやってもいいぜ」

  • 108二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:28:38
  • 109二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:30:02

    >>108

    ばらまいてるの人糞で栄養価にもよるけど堆肥にはなるよね堆肥にはね

    しゃあけど土壌の栄養分が片寄るわっ

  • 110吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:30:06

    「それは光栄ですね。実力だけがすべての世界……やはり僕の求めていた場所です」


    ココココココココ……。


    サタンが冷静な人格へと切り替わる。


    「君たち、瓦礫では怪我をする。これを使いたまえ」

    サタンはどこからともなく本物のサッカーボールを取り出し龍星の足元へと軽く蹴り渡した。汚物の沼に落ちたボールは一瞬で茶色く染まるがサタンは気にする素振りも見せない。


    「ルールは簡単だ。今から30分以内に君がドリブルでテレスを抜き去ることができれば合格。できなければ不合格だ。さあ、始めようか」

  • 111吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:31:31

    「30分ですか。僕にとっては長すぎる時間ですね。1分で終わらせてみせますよ」

    龍星は爽やかに笑うと足元のボールを繊細なタッチで操り始めた。滑らかで予測不能なドリブル。不快な水音とは裏腹にその動きは洗練された武芸者のそれだった。


    「行くぞッ!」

    龍星が一気に加速する。時速500ミリリットルの特異体質がブースターの役割を果たし、瞬く間にテレスの懐へと潜り込んだ。


    「もらった!」

    龍星がボールを右に蹴り出し自身は左から回り込もうとしたその瞬間。


    荒野に鈍い衝撃音が響き渡った。


    「なっ……!?」

  • 112吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:32:36

    龍星の視界が反転する。テレスは一歩も動いていなかった。ただ、強靭な丸太のような脚を無造作に伸ばし、龍星の進路を完全に塞ぐと同時にボールを奪い取っていたのだ。龍星の身体はテレスの鋼のような肉体にぶつかり、無様に吹き飛ばされてうんこの沼へと尻餅をついた。


    「おいおい、なんだそのへなちょこドリブルは。俺の身体に当たって勝手に自爆してんじゃねーか」

    テレスは足元で茶色く汚れたボールを転がしながら、見下すように鼻で笑った。

    「もっとマシなフェイントをかけてこいよ。そんなもんじゃ欠伸が出るぜ」


    「くっ……僕の身体が、こうもあっさりと弾き返されるとは……! ならば、これならどうです!」


    龍星は素早く立ち上がると、ボールを奪い返し、再びテレスに向かって突進する。今度は出し惜しみなしだ。感情が高ぶり、口調が乱れる。


    「加速で一気に抜き去ってやるよッ!」


    【クソマミレ・ダッシュ】

  • 113吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:34:10

    龍星の臀部からジェット噴射のように爆発的な勢いで糞が放出され、その推進力で彼の身体が砲弾のごとく加速する。強烈な悪臭と茶色い飛沫を撒き散らしながらの質量保存の法則を完全に無視した超絶ドリブル。


    「キャアアアッ! こっちに飛ばさないでよ汚いッ!」

    メイアが悲鳴を上げギリスが必死に盾となる中、龍星はテレスの脇をすり抜けようとした。


    しかし。


    「効かん!」

    テレスの目は全く追いついていた。彼は必殺技の構えすら見せない。ただ、圧倒的なフィジカルと体幹の強さを活かし、猛スピードで突っ込んでくる龍星の肩にドンッとショルダータックルを見舞った。


    「がはッ……!?」

    超スピードで突進していたはずの龍星がまるで巨大なコンクリートの壁に激突したかのように完全に動きを止められ、再び吹き飛ばされた。ボールはまたしてもテレスの足元に収まっている。


    抜けない。

    全く抜けない。

  • 114二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:35:53

    酷すぎる……絵面の酷さの次元が違う

  • 115吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:37:57

    「はぁっ……はぁっ……!」

    龍星は荒い息を吐きながら立ち上がる。灘神影流の体捌きもガルシアの心臓がもたらす超パワーも悪臭を放つジェット噴射の推進力も、すべてがテレスという圧倒的な物理の壁の前に無力化されていた。


    「どうした、もう終わりか? まだ5分しか経ってねーぞ。あと25分、せいぜいそのクソまみれの泥水でも啜って足掻いてみろや」


    龍星はかつてないほどの壁にぶち当たっていた。


    「くそっ……! なぜだ、なぜ抜けない……!」

  • 116吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:38:40

    龍星は自身が垂れ流す汚物の沼の中で膝をつき、思考をフル回転させていた。


    「武術の基本である体重移動を悟られないようにしても奴はボールの動きと僕の筋肉の微細な収縮だけで軌道を完全に予測している……! 単なるフィジカル馬鹿じゃない。異常なまでの反応速度と寸分違わぬ空間把握能力……これが『世界最強』のディフェンスか!」


    力押しが駄目ならテクニックで翻弄するしかない。

    龍星は立ち上がりゆっくりとドリブルを開始した。今度はスピードを抑え、ボールを足元に吸い付かせるようにキープする。


    「おっ、次はどう出る気だ? こっちから行ってやろうか?」

    テレスが余裕の笑みを浮かべ、プレッシャーをかけてくる。

  • 117二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:39:33

    テレス強っ強えーよ

    やっぱ無印最強のDFの名を物にする奴は違いますね……本気でね

  • 118吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:40:04

    その瞬間、龍星はボールを右足で左へ軽く蹴り出すと同時に左足の踵で逆方向へ切り返した。ブラジルの伝説的選手が得意としたエラシコと呼ばれる高度なフェイントだ。


    しかしテレスはそれに釣られることなく、ボールの軌道にスッと足を伸ばす。


    「甘いんだよッ!」


    読まれている。ならば!

    龍星は伸ばされたテレスの足を避けるようにボールを浮かせて空中へ逃がそうとした。


    「もらったァ!」


    シャトルループ。相手の頭上を抜くトリッキーな技だ。

    しかしボールが空中に浮いた瞬間、テレスの巨体が信じられない跳躍力で宙に舞った。


    「その程度の小手先の技で、俺の頭上を抜けると思ったかよ!」

  • 119吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:40:59

    テレスは空中でボールを胸トラップで完璧にコントロールし着地と同時に龍星を肩で弾き飛ばした。


    「ぐはぁッ……!」


    三度龍星は泥水の中に沈んだ。

    圧倒的だ。フィジカルの強さもさることながらサッカーにおけるディフェンスの技術、予測、判断、すべてにおいてテレスは龍星を完全に凌駕している。


    「はっ、頭でっかちの小細工ばっかりだな。そんなお遊戯で俺からボールを奪えるわけねぇだろ。お前のサッカーは所詮その辺のガキの延長線上にしか過ぎねぇんだよ」


    テレスは冷酷なまでに龍星の実力を否定した。


    「まだだ……僕はまだ、こんなところで終わるわけには……!」

  • 120二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:41:12

    ウンコにちょくちょくツッコミ入る割に他の連中にあっさり受け入れられてるの面白れーよ

  • 121吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:42:45

    龍星は泥だらけになりながらも再び立ち上がろうとする。しかし、度重なる激突のダメージと異常な排泄による体力の消耗が彼の身体を確実に蝕んでいた。


    「残り時間、あと10分でおじゃるよ」

    サタンが、どこか楽しげにカウントダウンを告げる。


    「どうするのよ、あのクソまみれの人。全然ダメじゃない。やっぱりサタン校長の目は節穴だったのね」

    メイアが呆れたようにため息をつく。


    (これが……世界レベルの壁……。僕は井の中の蛙だったのか……?)


    焦りと絶望が龍星の心を黒く染め上げていく。


    「……くそっ、考えるだけ無駄だ!」

    龍星は膝をついたまま泥だらけの顔を上げた。その頭脳が弾き出した結論はあまりにも絶望的だった。


    (ドリブルの技術では絶対に抜けない。ウンコトルネードを撃ったところであの超反応とフィジカルなら軽々とヘディングで弾き返されるだろう。ウンコスティールで糞まみれにしようとしても奴なら悪臭に耐えながらボールだけを的確に奪い取れる……! 万策尽きた!)

  • 122二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:42:46

    >>120

    まあぶっちゃけ全人類の99%殺して帝国学園総帥やってるデスゲーム春奈と比べたらうんこくらいマシなんだよね

  • 123二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:43:36

    というかうんこうんこうるせーよ
    うんこしか取り柄がなくて笑ってしまう

  • 124二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:44:05

    クソみたいな必殺技の数々だな!!!!!!

  • 125吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:45:10

    残り時間はあと5分。

    正攻法も奇策も特異体質も通じない。ならば。


    (僕に残されたものはこの『闘争本能』と『力』だけだ!)


    「おおおおおおおッ!!」

    龍星は立ち上がりボールを無視してテレスの真正面へと駆け出した。その目は血走り完全にサッカーボールの存在を忘れている。


    「あ? なんだ、ヤケクソになって突っ込んできやがったか?」

    テレスが余裕の笑みを浮かべて身構える。


    しかし龍星はボールを奪う動きを見せなかった。彼はテレスの懐に飛び込むと全身の筋肉を極限まで収縮させ、移植された『ガルシアの心臓』を爆発的に高鳴らせた。異様な心音と共に龍星の右腕が異常なほどに膨張する。


    「お前なんか、これで終わりだァァァッ!!」


    【熊爆殺拳】

  • 126吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:46:40

    ただひたすらに内なる暴力とガルシアの心臓がもたらす超パワーのみを乗せた渾身の右ストレート。人喰いグリズリーですら内臓をブチまけながら破裂するであろう文字通りの必殺の拳がテレスの腹部に叩き込まれた。


    凄まじい衝撃波が荒野を駆け抜け、龍星の足元の糞の沼が爆風で周囲に吹き飛んだ。


    「キャアアアッ! 何よこれッ! 最悪!!」

    メイアが悲鳴を上げ、ギリスが必死に彼女を庇う。


    「やったか……!」

    右腕の骨が軋むほどの感触。人間が耐えられる威力ではない。龍星は荒い息を吐きながら土煙の向こうを見据えた。

  • 127二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:47:26

    ギリスメイアさっきからずっとかわいそ…

  • 128吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:49:31

    しかし、土煙が晴れた先に立っていたのは。


    「……おい」


    テレスは腹部にめり込んだ龍星の拳を冷たい目で見下ろしていた。

    「……」

    テレスの巨体が後方へわずか数メートルだけ押し込まれていた。

    それだけだ。内臓が破裂するどころか膝をつくことすらしていない。


    「なっ……!?」

    龍星は信じられないものを見るように目を見開いた。人喰いグリズリーを粉砕する拳をマトモに受けて少し後退しただけだと?

  • 129吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:50:38

    「化け物か、こいつ……!」


    驚愕で硬直する龍星の胸ぐらをテレスの巨大な手が鷲掴みにした。そしてそのまま軽々と彼を空中に吊り上げる。


    「てめぇ……それサッカーじゃねぇだろッ!!!」


    テレスの怒号が荒野に響き渡った。

    「ボールを無視して直接殴りに来るとはどういう神経してやがる! ここは神聖なピッチだ! サッカーを舐めてんのか、あぁッ!?」


    「ぐっ……離せッ……!」

    龍星は空中で足をバタつかせながら抗うがテレスの腕はビクともしない。

  • 130二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 17:52:54

    笑ってしまう


    相手の方が全てにおいて常識人なのか

  • 131吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:54:19

    「ホッホッホ、そこまででおじゃる!」

    サタン(狂気)がパンパンと手を叩きながら歩み寄ってきた。首の角度が変わり豪傑の顔が覗く。


    ココココココココ……!


    「ガハハハハ! 確かにサッカーで相手を殺しに行くのはルール違反だ! だがあの絶体絶命の状況で、なりふり構わず相手をブチ殺してでも前に進もうとするその執念……嫌いじゃねぇぞ! この世界で勝ち残るにはそれぐらいのハングリー精神が必要だからな!」


    サタンは豪快に笑いながらテレスに龍星を下ろすよう合図した。

    「テレス、今回は不合格だが……こいつの闘志は本物だ。雷門の11人目として鍛え直してやる価値はあると思わないか?」

  • 132吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:54:49

    テレスは舌打ちをして龍星を乱暴に地面に放り投げた。

    「……チッ。クソ漏らしが。俺は認めねぇが校長がそう言うなら好きにしろ。ただし次ピッチで俺を殴ろうとしたらその腕をへし折ってやるからな」


    泥と糞にまみれ激しい息切れを起こしながら地面に這いつくばる龍星。

    ルール無用の手に出た挙句それすらも通じなかったという完全なる敗北。しかしその屈辱の中で彼の瞳には確かな闘志が宿っていた。


    「はぁ……はぁ……。やってやりますよ。必ず……あなたのディフェンスを、僕のサッカーで打ち破ってみせる……!」


    こうして時速500ミリリットルの糞を垂れ流す青年は絶望と狂気に満ちた新生雷門中の11人目のメンバーとして迎え入れられたのである。

  • 133吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 17:57:29

    中断を超えた中断

    (テレスのコメント)

  • 134二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 18:02:10

    汚い…汚すぎる…汚さのレベルが違う

  • 135二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 18:04:28

    オトンはなんでこんなの拾ったんや……

  • 136二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 18:10:38

    テレスがかっこいいのにウンコのせいで全部台無しなんスけど…いいんスかこれ

  • 137二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 18:11:15

    ずっと被害者なギリスとメイアで笑ってしまう

  • 138二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 18:26:07

    >>135

    うんこはですねぇ・・・肥料や燃料になるフルコンタクト資材なんですよ

    そりゃ荒廃した世界なら目にかけるだろ

  • 139吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/01(金) 19:16:37

    あっ前にも言った通りこのスレは短めだから…だいたい安価中戦→安価中戦→ラスボスの帝国戦の全3戦ぐらいで終わらせようと予定してるでやんス
    とりあえず4章ぐらいで完結。エクステンドストーリー的なのは気が乗ってたらやるかも?

  • 140二次元好きの匿名さん26/05/01(金) 23:28:34

    保守リーヨ

  • 141二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 06:58:49

    >>139

    気が乗れるよう自分等も頑張るッス!!

    あんなガチクソ野郎が主人公のまま短編で終わるなんてゴメンっス!!!

  • 142二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 07:01:46

    >>139

    いきなり大会に出るタイプ?

  • 143二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 09:47:21

    >>142

    それぐらい人手不足なんスよ…

    それぐらい…

  • 144二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 09:48:02

    次の安価募集いつからなのか教えて欲しいのん!

  • 145二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 09:49:17

    >>139

    帝国戦まではどの高校が出てくるんスかね?

  • 146二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 09:50:26

    >>126

    絵面が酷すぎる!!

  • 147二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 10:00:07
  • 148二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 10:11:02

    >>147

    …どっちにしろ参加できない時間帯のーん!!

  • 149二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 10:31:35

    広告なしのホスト規制が多いど深夜にやるってありっスか…

  • 150二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 10:56:44

    >>139

    気が乗ったらでいいから長く続けて欲しい

  • 151二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 14:21:52

    テレス クソ漏らし新人 もちほっぺ監督が雷門を支える…テレスが居るから最強だ

  • 152二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 18:51:03

    このままだと残るメンバーも全員うんこ野郎とのファースト・インプレッションから描写されるんだよね
    地獄じゃない?

  • 153二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 18:57:50

    >>151

    テレスとメイアとかいう大当たりぶち抜いたから あの龍星とスピキがいてもお釣りが帰ってくるの笑ってしまう

  • 154二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 19:20:12

    >>105

    読み返していて気づいたんっスけど

    テレスは龍星以外の他10人はお墨付きをあたえてるんだよね

    想像してみろ テレスレベルが10人いるチームを 

  • 155二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 19:35:00

    >>154

    マチュはガンダムジークアクスを化身として召喚してと違うということならあるいわ…

  • 156吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 19:56:20

    翌日の荒野。

    かつての雷門中の跡地とされる何もない砂埃の舞う大地に昨日に引き続き不快な水音が響き渡っていた。


    「皆さん、本日からこのチームの11人目、MFとして加わることになりました長岡龍星です。見ての通り、時速500ミリリットルの糞を常に垂れ流し続ける特異体質ですがプレイに支障はありません。以後お見知りおきを」


    龍星が礼儀正しく一礼すると彼の足元から周囲の地面へとどろどろの茶色い液体が容赦なく広がっていく。


    その異様な光景と強烈な悪臭を前に集まった10人のチームメイトたちはそれぞれ全く異なる反応を示した。


    「うわぁ……ほんとにずっと出てる。ねえ、それってあなたのセンブランスなの?」

    自身の背丈ほどもある巨大な赤い鎌『クレセント・ローズ』を片手に持ちながらルビー・ローズが顔を引きつらせて一歩後ずさった。

    「だとしたら、ずっとオーラを消費し続けてるってことだよね……? すごい体力だけど、その、ちょっと……すごく臭い、かも……」

    純粋なハンター志望の少女は、必死に鼻をつまみながらも興味と嫌悪感が入り混じった目を向けている。

  • 157吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 19:56:53

    「あはははっ! なにそれ、最高にイカれてるじゃん!」

    ルビーの隣で腹を抱えて大笑いしているのはアマテ・ユズリハだ。

    「私はマチュ! ポジションはFWだよ! アンタ、すごい胆力してるね! よろしくね、ウンコマン!」

    恐れを知らぬ新時代のNT(ニュータイプ)は悪臭など全く気にする素振りも見せず、龍星の肩をバンバンと叩いた。


    「おいマチュ、あまり触れるな。貴様まで臭くなるぞ」

    腕を組み静かに龍星を見据えるのは竜人族の剣士グランベリア。

    「……しかし、常に己の汚物と共にありながら、一切の恥じらいを持たず堂々と胸を張るその姿勢。並の精神力では到底維持できまい。私はFWのグランベリア。ピッチの上で、貴様のその脚の冴えを見せてもらおう」


    好意的な(?)反応を示す武人に対し、一人、顔を真っ赤にしてワナワナと震えている小柄な少女がいた。


    「ちょっ……ちょっとあなた! そんな不衛生な状態でスポーツをするなんて、子供の健全な育成に対する重大な悪影響です!」

    MFの春原ココナが声を荒げた瞬間、彼女の小さな身体が異常な音を立てて膨張し始めた。

    「睡眠不足、偏食、そして……不潔! 全て裁きの対象です! いますぐシャワーを浴びてきなさァァァァイ!!」

    激怒と共に筋骨隆々のマッスルボディへと変貌を遂げたココナが肉体言語による指導を行おうと拳を握りしめる。

  • 158吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 19:58:11

    「まあまあココナちゃん。落ち着いて」

    それを楽しそうに眺めながら、濃い紫色の液体が入ったボトルを揺らしているのは、FWのメイベルだ。

    「ワタシはメイベルよ。いやぁ、この狂った世界に相応しい実に最高のエンターテイナーが来てくれたわね。アナタのその特異な体質が、この退屈な世界にどんなスパイスを与えてくれるか……たっぷり見せてもらうわ」


    混沌極まるMFとFW陣のやり取りの横で身の丈ほどの巨大な斬馬包丁のような剣『斬月』を肩に担いだGK、黒崎一護が深々とため息をついた。


    「俺はキーパーの黒崎一護だ。……まぁ大剣持ち込んでる俺が言うのもなんだけどよ。とんでもねぇ奴が入ってきたな。でもまぁチームになったからにはよろしく頼むぜ」

    ぶっきらぼうながらも生来のお人好しな性格が滲み出る一護。


    その隣で耳にイヤホンを当てて何かの実況を聞いていたDFの石蕗セナが挑戦的な笑みを浮かべた。

    「私は石蕗セナ。ねえ龍星、あなたが次の試合で最後までフィールドに立っていられるか、私の賭けのオッズじゃ大穴扱いよ? 私にデカい勝負をさせてくれるんでしょうね? 期待外れで私が損するような結果になったらただじゃおかないわよ」

  • 159吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 19:58:59

    「ははは、チームが揃って何よりだ」

    穏やかな笑みを浮かべて場を和ませようとしたのはS級ヒーローにしてDFのブラストだ。

    「俺はブラスト。君の力は確かに特殊だが恐れることはない。我々が力を向けるべきは味方同士ではなくこれから立ち向かう強敵たちだからな。共に切磋琢磨していこう」


    大人な対応を見せるブラストとは対照的にあからさまに嫌悪感を示しているのがギリスの背中に隠れるようにしているMFのメイアだった。

    「はぁ……本当に最悪。ただでさえこんな泥だらけの荒野なのに、こんな悪臭の元が11人目だなんて。ねえギリス、私の美しい服に汚れが飛ばないように、完璧に防いでよね」

    「もちろんだよメイア。僕の命に代えても、君の美しさは守り抜いてみせるさ」


    甘い世界が展開される中、ズシンッと重い足音を立てて龍星の目の前に歩み出てきた男がいた。

    「アンデスの不落の要塞」ことDFのテレス・トルーエだ。


    「おい、クソ漏らし」

    テレスは龍星を完全に見下した視線で睨みつけた。

    「昨日はサタン校長の気まぐれで合格になったかもしれねぇが、俺はまだお前をチームメイトとして認めたわけじゃねぇぞ。少しでも俺たちの足を引っ張るような真似をしてみろ。そのウンコごと場外までぶっ飛ばしてやるからな」

  • 160吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:00:20

    しかし龍星は全く動じることなくむしろ傲慢な笑みすら浮かべて正面からテレスを見据え返した。


    「ご忠告痛み入りますよテレスさん。ですがご心配なく。僕の天才的な頭脳とこの灘神影流の肉体をもってすれば必ずやチームを勝利に導いてみせます。次こそはあなたすらも僕のスピードで置き去りにしてさしあげますよ」


    一触即発の空気が流れる中、ふとルビーが辺りを見回して首を傾げた。


    「あれ? そういえばサタン校長はどうしたの? 11人目が揃ったから、今日は全員集まれって言ってたのに」

    その言葉に他のメンバーたちもハッとしたように周囲を見渡す。確かにこの雷門中の創設者であり狂気に満ちた四重人格者、サタン・ゴールの姿がどこにもない。


    「そういえば、昨日の夜から姿を見ていないわね」

    メイアがいぶかしげに呟く。

    「11人揃ったら私たちに『重大な話』と『特別な準備』があるって言ってたけど……」


    「特別な準備か。ただのサッカーの特訓じゃなさそうだな」

    一護が斬月の柄を握り直し、少しだけ顔をしかめた。

  • 161吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:04:35

    ココココココココ……!


    荒野の風を切るように不気味な骨の鳴る音が響き渡った。


    「待たせたでおじゃるな、諸君」


    首を奇妙な角度に曲げ、麻呂の人格を浮かべたサタン・ゴールが瓦礫の山からふわりと飛び降りてきた。そして着地と同時に首が右へ傾き冷静な人格へと切り替わる。


    ココココココココ……。


    「11人揃ったところで、これからの我々新生雷門の指針を発表しよう。我々はこれより、この何もない荒野を出て、自治都市への遠征を行う」

    都市への遠征。その言葉にメンバーたちの間にざわめきが広がった。

  • 162二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 20:04:47

    このレスは削除されています

  • 163吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:06:38

    「都市へ行くのね! ついにこの砂埃まみれの退屈な生活とおさらばできるなんて最高の気分だわ!」

    メイアが歓喜の声を上げ、ギリスも「よかったね、メイア」と傍らで優しく微笑む。


    「しかしサタン校長よ」

    グランベリアが腕を組んだまま尋ねる。

    「都市へ行く目的は何だ? 単なる移動かそれとも他流試合でも行うつもりか」


    「もちろんどちらもだ。だが1日目はまず遠征の準備を整える必要がある」

    サタンは全員の顔を見渡し、淡々と説明を続けた。

    「明日は二つの班に分かれて行動してもらう。まず第一の班の目的はこの雷門イレブンを導く『監督』を都市で引き取ってくることだ」

  • 164吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:09:24

    「監督、ですか?」

    龍星が一歩前に出た。

    「あなたが監督ではないのですか?」


    「僕はあくまで発起人であり校長だからね。現場の指揮は専門家に任せるさ。迎えに行く監督はとても小柄だが……内にとてつもなく凄いモノを秘めている人物だ。楽しみにしているといい」


    サタンの言葉に一護やブラストが興味深そうに頷いた。


    「そして第二の班の目的だ。こちらはあるアイテムを都市で受け取ってきてもらう」

    サタンの視線が龍星の足元で広がる汚物の沼へと向けられた。


    「長岡龍星。君のその特異体質は荒野では自由だが、都市部で時速500ミリリットルの糞を垂れ流し続ければ流石に自治軍との無用なトラブルを招きかねない。そこで君専用の『特殊なオムツ』を業者に作らせておいた」

  • 165吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:11:59

    「オムツ……ですか」

    龍星は少し顔をしかめた。彼にとってオムツという拘束具はあまり好ましい響きではない。


    「安心したまえ。ただのオムツではない。着用すれば72時間は絶対に漏れないという科学の結晶だ。都市部での行動中はこれを着用してもらう」


    「72時間も漏れないオムツ!? それなら私の服が汚れる心配もなくなるわね! 素晴らしいわサタン校長!」

    メイアが手を叩いて喜ぶ。


    「なるほど。チームの規律と都市のルールの為ならば不本意ですが受け入れましょう」

    龍星は爽やかに笑って了承した。


    「よーし! じゃあウンコマンのオムツおつかいミッションだね! なんだかゲームみたいでワクワクしてきたよ!」

    マチュがぴょんぴょんと飛び跳ねる。


    「不衛生な排泄習慣もこれで少しは改善されるなら、喜ばしいことです」

    ココナも腕組みをして深く頷いた。

  • 166吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:13:16

    「では、組み分けを発表する」

    サタンは首を左に傾け、豪傑の人格を呼び覚ました。


    ココココココココ……!


    「ガハハハハ! お前らよく聞け! まず『監督引き取り班』だ! 黒崎一護、ルビー・ローズ、グランベリア、石蕗セナ、ブラスト! そしてメイアとギリス! お前らは都市の指定ポイントへ向かい監督と合流しろ!」


    名前を呼ばれた一護が斬月を肩に担ぎ直し「了解だ」と短く答える。セナは「監督との合流ね、何か面白い賭けのタネになるといいけど」とイヤホンを弄り、ルビーは「新しい監督さんかぁ、どんな武器を持ってるのかな!」と目を輝かせた。

  • 167二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 20:13:49

    そういやこの手のスレには珍しく原作主人公枠固定じゃないんスね
    円堂はそもそも産まれなかったとかならま…なるわな

  • 168吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:14:36

    「次に『オムツ受け取り班』だ! 長岡龍星、テレス・トルーエ、アマテ・ユズリハ、春原ココナ、メイベル! お前らは都市の指定されたブローカーからブツを受け取ってこい! いいか、絶対に揉め事を起こすなよ!」


    「おいおい、なんで俺がこのクソ漏らしのオムツなんぞ取りに行かなきゃならねぇんだよ」

    テレスが心底嫌そうに舌打ちをする。


    「仲良くしましょうよテレスさん。僕のオムツはこれからの雷門の平和を守る盾となるのですから」

    龍星が丁寧に言うと、テレスは「てめぇが近づくたびにイラつくんだよ」と鋭く凄んだ。


    「ふふっ、なんだか面白くなりそうね。オムツの取引なんて最高に馬鹿馬鹿しくて退屈しのぎには丁度いいわ」

    メイベルがぶどうジュースのボトルを揺らしながら、妖しく微笑む。


    「さあ、各自明日に備えて英気を養え! 我々新生雷門の歴史は、この遠征から始まるのだ!」

  • 169吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:17:07

    翌日。荒野を抜け、高い防壁に囲まれた自治都市へと足を踏み入れた監督引き取り班の面々はその雑多で活気に満ちた街並みを歩いていた。


    旧時代の建造物をツギハギにして作られたビル群、ネオン管が怪しく光る露店、そして行き交う大勢の人々。荒廃した外の世界とは打って変わりここは復興を遂げた人間たちの欲望と活力が渦巻く場所だった。


    「わぁっ、すごい! 見て見て一護、あそこのお店に並んでるパーツ、武器の改造に使えそうじゃない!?」

    ルビー・ローズがクレセント・ローズを背負ったまま、目をキラキラと輝かせて周囲をキョロキョロと見回している。


    「おいルビー、勝手にどっか行くなよ。……つーか、めちゃくちゃジロジロ見られてんな、俺たち」

    黒崎一護は肩に担いだ巨大な斬月を少し気にしながら周囲の視線にため息をついた。巨大な大鎌を持った少女に、竜人の女剣士、斬馬包丁のような大剣を持つ青年など、どう見てもただのサッカーチームには見えない集団である。

  • 170二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 20:18:54

    このレスは削除されています

  • 171二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 20:21:09

    このレスは削除されています

  • 172吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:22:33

    「はぁ、人が多くて空気が淀んでるわね。でもまぁ、あのうんこがいないだけ百倍マシだけど」

    メイアがハンカチを口元に当てながら不満げに呟く。

    「メイア、僕が人混みから君を守るよ。君の美しさに当てられて変な虫が寄り付かないようにね」

    ギリスがすかさずメイアの肩を抱き寄せている。


    「油断するな。活気はあるが、すれ違う者たちの目には野獣のような警戒心がある。ここは決して安全な場所ではない」

    グランベリアが鋭い視線を周囲に走らせる。彼女の感覚はこの都市の裏に潜む暴力の気配を正確に感じ取っていた。


    「ははは、そう警戒しなさんな。まずは監督との合流が最優先だ。揉め事は避けるに限るよ」

    ブラストが堂々とした足取りで歩きながら余裕の笑みで周囲をなだめる。


    そんな中、片耳にイヤホンを当てて何かを聞いていた石蕗セナがふと足を止めた。

    「……ねえ。ちょっと面白い話が耳に入ってきたわよ」


    セナの言葉にメンバーたちが足を止める。

  • 173吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:23:03

    「路地裏の連中や私の裏ギャンブルの情報網がこぞってある名前を口にしてるの。この都市を根城にしている『務番学園』っていうサッカーチームの悪い噂をね」


    「務番学園?」

    一護が眉をひそめる。


    「ええ。どうやらこの街じゃただのスポーツチームってわけじゃないみたい。周辺の店からみかじめ料を取り立てたり逆らう奴らは『サッカーの試合』と称して完膚なきまでに叩き潰して街を牛耳ってるらしいわ。昨日もどこかのチームが彼らに挑んで全員病院送りになったとか」

    セナはフッと楽しげに笑いイヤホンを指差した。

    「務番学園に逆らって生きて帰れるかどうかのオッズ、今や天文学的な数字になってるわよ。賭けの対象にすらならないほどの圧倒的な暴力ってわけね」

  • 174吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 20:24:34

    「サッカーで街を支配してみかじめ料の取り立てだと?……ふざけてるな」

    一護の目に静かな怒りの色が宿る。


    「弱者を力で虐げ、神聖なる闘いの場を己の私欲のために汚すとは。言語道断、許しがたい外道どもだ」

    グランベリアも不快感を露わにし、見えないボールを蹴るように軽く足を踏み込んだ。


    「ええーっ、サッカーって平和なスポーツじゃないの!? そんな悪い人たちがいるなら放っておけないよ!」

    ルビーがクレセント・ローズの柄を握りしめ正義感に燃えた表情を見せる。


    「君たち、我々の目的はあくまで監督の引き取りだ。悪党退治に来たわけじゃない」

    ブラストが冷静にたしなめるがその顔にはどこか楽しげな笑みが浮かんでいた。

    「だが……もし向こうから我々にちょっかいをかけてくるようなら、その時は多少の『指導』が必要かもしれないな」

  • 175二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 20:29:41

    >>168

    見事に揉め事を起こしそうな奴らが選ばれていて笑ってしまう。

  • 176二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 22:45:21

    北斗の拳みたいでやんした……

  • 177吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:20:59

    雑多な都市の喧騒から少し離れた静かな廃公園。

    そこがサタンから指定された監督との合流ポイントだった。


    「座標はここだな。……おや、先客がいるようだ」

    ブラストが顎でしゃくった先にはぽつんと置かれたベンチに座る人影があった。


    青い髪を長く伸ばしたどこか儚げで温和な雰囲気の少女だ。その足元にはかぼちゃにすり寄っている四足歩行の小さな謎の生物がいてペロペロとキャンディを舐めている。

  • 178吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:21:33

    「あの子が監督かな? サタン校長がとても小柄だって言ってたし!」

    ルビーがクレセント・ローズを背負ったまま元気よく少女の元へ駆け寄っていく。


    「おいおい、あんな普通の女の子が監督なのか? まぁ色々あるんだろうが……」

    一護が斬月を肩に担いだまま歩み寄り少女に声をかけた。

    「あんたがサタンの言ってた監督か? よろしく頼むぜ」


    「ふむ。確かに闘気は感じられんが見かけによらぬ強者ということか」

    グランベリアも腕を組み、少女を品定めするように見つめる。

  • 179吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:22:04

    「ええーっ、この子が監督? 私の美しさには遠く及ばないただの地味な子じゃない。ねえギリス?」

    「ああ、メイアの言う通りだ。君の美貌の前ではどんな存在も霞んでしまうからね」

    メイアとギリスが相変わらずの調子で失礼なことを言う横でセナはイヤホンを弄りながら「こんな少女が荒くれ者のチームをまとめるオッズ……万馬券どころじゃないわね」と呟いている。


    口々に自分を監督と呼ぶ雷門の面々を前に青い髪の少女は困ったように微笑み、フルフルと首を横に振った。


    「あの、皆さん勘違いされています。私はフラン。ただの通訳担当です」

  • 180吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:22:32

    「……は? 通訳?」

    一護が素っ頓狂な声を上げる。


    「はい。あなたたちの監督は私ではなく……こちらです」

    フランが視線を落とした先。そこにはかぼちゃに顔をすりすりしながらキャンディを咀嚼しているもちもちしたほっぺの奇妙な小動物がいた。


    「スピキ!」

    小動物が甲高い声を上げ、雷門の面々を見上げて首を傾げる。

  • 181吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:23:09

    「「「……はあぁぁぁっ!?」」」

    一護、ルビー、セナの声が見事にハモった。


    「こ、このちっこいマスコットみたいなのが監督!? 嘘でしょ!?」

    ルビーが信じられないというように小動物を指差す。


    その勢いと大声に驚いたのか小動物はビクッと身体を震わせ大きな瞳に涙をいっぱいに溜めた。


    「ウワアアアア!スピキモリチャバダンギジマセヨ!ネルヌニロッケポンニョッチョギンニョカリアニランマリエヨ~~!!」

    パニックになった小動物がもちもちのほっぺを震わせながら涙目で叫び、フランの足元に隠れてしまう。

  • 182吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:24:14

    「ああっ、ダメですよ皆さん。スピキを怖がらせないでください。純粋でとっても怖がりなんですから」

    フランがしゃがみ込み、スピキの頭を優しく撫でて落ち着かせる。

    「今のはうわあああ! スピキの髪を引っ張らないでください! と言っています。彼がサタンさんに呼ばれた皆さんの監督であるスピキです」


    「いや、誰も髪なんて引っ張ってねぇよ! つーか、言葉の癖が強すぎて何言ってんのか全然わかんねぇ!」

    一護が頭を抱えた。


    「だから私が通訳としてついて来たんです。私はサッカーみたいな人々の争いの種になるようなものは嫌いです。絶対に許せない。……でもスピキがどうしても監督をやりたいと乗り気だったので仕方なく私が彼の言葉を通訳してあげることにしたんです」

    フランは温和な口調のままサッカーに対する強烈な嫌悪感とそれとは裏腹なスピキへの献身っぷりを垣間見せた。

  • 183吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:24:51

    「スピキデルジバゼヨ!」

    フランに撫でられて少し落ち着いたスピキが、再びキャンディを舐めながら甲高い声で言う。


    「スピキをいじめないでくださいね! だそうです。ちなみに、スピキが抱えているかぼちゃは彼の大切なお友達なので、絶対に食べないでください。食べられると泣いてしまいますから」


    「かぼちゃが友達……。いや、突っ込みどころが多すぎるだろ……」

    一護が深い疲労感を覚えて天を仰ぐ。


    「アハハハ! 面白い! 小柄だけど内に凄いモノを秘めているっていうのは、この子のことだったんだね! 確かに未知の生物だ!」

    ブラストだけは、このカオスな状況を心底楽しそうに笑い飛ばしている。


    「チョワヨーチョワヨー」

    スピキは機嫌を直したのか、もちもちのほっぺを揺らしながら嬉しそうに鳴いた。

  • 184二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 23:25:38

    色々突っ込み処が多いーよ

  • 185吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:27:40

    一方その頃、都市の薄暗い路地裏。

    怪しげなブローカーとの取引を終えた「オムツ受け取り班」の面々は周囲の目を忍ぶように路地の奥へと身を潜めていた。


    「とっとと穿けやクソ漏らし! この路地裏の空気が完全に終わり腐ってんだよ!!」

    テレス・トルーエが鼻をつまみ心底嫌悪感に満ちた声で怒鳴り散らしている。

    龍星の足元からは都市のコンクリートを汚染するように相変わらず時速500ミリリットルのペースで茶色い汚物が広がり続けていた。


    「そう焦らないでくださいテレスさん。ブツの確認は慎重に行うべきです」

    長岡龍星は爽やかな笑みを浮かべ、手元にある異様に分厚くそれでいて高機能な素材で編み込まれた巨大なオムツを掲げた。

    「しかしこの僕がまさかこのような近代技術の恩恵……オムツに縋ることになろうとは。これもまた、次なる高みへ至るための試練というわけですね」

  • 186吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:30:12

    「アハハハハ! ウンコマンがオムツ穿いてるの最高にウケるんだけど!」

    アマテ・ユズリハが腹を抱えて大爆笑している。悪臭など微塵も気にしていない様子でオムツを広げる龍星の周りをぴょんぴょんと飛び跳ねた。


    「マチュ、笑い事ではありません! 衛生管理は子供の健全な育成における最重要項目です!」

    春原ココナが厳しい顔つきで腕を組み、龍星を睨みつける。彼女の背後には不衛生への怒りからかうっすらと筋肉が膨張し始めている気配があった。

    「さあ長岡さん、御託はいいですから即座にそれを着用しなさい! 一滴残らずその不潔な汚物を封じ込め、この都市の公衆衛生と私の精神の平穏を守るのです!」


    「フフフ…本当に変な光景……」

    壁に寄りかかり紫色の液体が入ったボトルを優雅に傾けているのはメイベルだ。

    「まさかこの世界に人間の排泄を72時間完璧にコントロールするような技術が残っていたなんて。最高に皮肉で馬鹿馬鹿しいエンターテインメントだわ。さあ龍星くん、早くその『鎧』を身に纏う姿を見せてちょうだい」

  • 187吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:33:55

    チームメイトたちからの様々な視線を浴びながらも龍星は汚物の沼を踏みしめ、ズボンを下ろして特殊オムツを装着した。


    その瞬間。

    これまで絶え間なく響いていた不快な水音が、ピタリと止んだ。


    「おお……これは」

    龍星は自身の臀部を触り、驚きの声を上げた。

    「全く漏れる気配がありません。僕の特殊体質による時速500ミリリットルのエネルギーの奔流が……この一枚のオムツに完全に封殺されている! 凄まじい吸収力と密閉性です!」


    「チッ……ようやくマシな空気になったな」

    テレスが忌々しそうに顔をしかめる。

    「だがお前から染み付いた根本的なクソの匂いが消えたわけじゃねぇ。俺の半径2メートル以内に近づくんじゃねぇぞ。もし少しでも漏らしたらそのオムツごとお前を成層圏まで蹴り飛ばしてやるからな」


    「えーっ、ウンコマンがウンコ漏らさなくなっちゃったら、ただの調子乗ってるお兄さんになっちゃうじゃん! ちょっと寂しいかも!」

    マチュが不満そうに頬を膨らませる。

  • 188吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:35:50

    「寂しがるところではありません! 素晴らしいです、これでようやく人間らしい最低限の生活基準を満たすことができました!」

    ココナは満足そうに何度も頷き膨張しかけていた筋肉もすーっと元の小さな身体へと戻っていった。


    「72時間は絶対に漏れないという絶対的な安心感……」

    龍星は軽くステップを踏み己の肉体の調子を確かめた。排泄によるタイムロスと周囲への被害を気にしなくていいという事実が彼に奇妙な万能感を与えていた。

    「なんだかいつも以上に力が漲ってくるような気がしますよ。これならどんな強敵が相手だろうと全力で僕のサッカーを叩きつけられそうだ」


    「ええ、期待しているわよ。アナタがそのオムツをパンパンに膨らませながらピッチを駆け回る姿……想像しただけで笑いが止まらないわ」

    メイベルがクスクスと妖しく笑う。


    「さあ目的のブツは手に入れた。とっとと校長が言っていた合流ポイントへ向かうぞ」

    テレスが先陣を切って歩き出す。

  • 189吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:42:41

    都市の路地裏を抜け、大通りへと出ようとした龍星たちの足がピタリと止まった。


    表通りからただならぬ怒声と殺気が漏れ聞こえてきたからだ。


    「いい加減にしろお前たち! 俺は『絶頂』のままでいることだけを望んでいる! この務番学園の支配体制を揺るがすような無能な真似は一切容認しないと言っているのだ!」

    声を張り上げていたのはピンク色の奇妙な髪型に網目状の服を着た男、ディアボロだった。

  • 190二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 23:43:09

    このレスは削除されています

  • 191吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:43:25

    「……何を焦っているのですか。私たちはただこの偽りだらけの街で真実を見極めようとしているだけ。そう感情的になってはアナタの言う『絶頂』とやらも遠ざかるのではありませんか?」

    ディアボロの怒りに対し紳士的でありながら不気味な余裕を持った口調で返すのは巨大な大刀『鮫肌』を背負った青白い肌の怪人、干柿鬼鮫。

  • 192二次元好きの匿名さん26/05/02(土) 23:43:59

    このレスは削除されています

  • 193吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:44:25

    「フン……下らん。偽りだの絶頂だの、貴様らの安い御託などどうでもいい! オレはただ闘争と破壊だけを求めているんだ! この街の雑魚どもを全員ぶっ壊すまでオレの闘志は止まらんぞ!!」

    その隣で紫色のオーラを放ちながら荒ぶっているのは我儘の極意に目覚めたベジータだ。その瞳には理性はなく、ただ純粋な破壊衝動だけがギラギラと輝いている。

  • 194吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:44:45

    「おい……なんだよお前ら。ちょっと落ち着けよ……! 俺たちはサッカーでこの街を仕切ってるんだろ!? なんで仲間内で殺し合いみたいな雰囲気になってんだよ!」

    三人から発せられる常軌を逸したプレッシャーに梶山風汰が怯えたように後ずさっていた。

  • 195吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:46:32

    「なんだあれは……」

    テレスが舌打ちをしながら路地裏の陰から様子を窺う。

    「どいつもこいつもサッカー選手って面構えじゃねぇな。殺気立ちやがって」


    「面白そうな連中じゃない。あの紫色のオーラを出してる人なんて完全に狂気に飲まれてるわ」

    メイベルがワイン……もといぶどうジュースを揺らしながら、楽しそうに目を細めた。


    しかし。

    彼らのただならぬ気配よりも龍星の目を、そして意識を完全に釘付けにしたのは異常な集団の中心で腕を組み傲岸不遜な態度で立ち尽くす一人の大男だった。


    「……俺が信じるのは己の力、そして……この美しきハイグレだけだ」


    男は筋骨隆々の肉体の上から奇妙なほどに食い込んだ水着……ハイグレを着用していた。IQ200の天才的頭脳と大統領すら恐れる圧倒的な武を併せ持つ「怪物を超えた怪物」。

    宮沢鬼龍。

  • 196吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:53:15

    「な……っ!」

    龍星の目が見開かれた。

    常に余裕を崩さず傲慢なまでに自信に満ち溢れていた彼の顔からスッと血の気が引いていく。


    「どうしたのですか龍星さん。顔色が悪いですよ」

    ココナが不思議そうに見上げるが龍星の耳には入っていない。


    (間違いない……あの姿……! なぜあの人がこんなところに……!)


    彼が家を飛び出して倒そうとした男。自身の血の根源。

  • 197吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:54:13

    鬼龍がゆっくりと路地裏の方へ冷酷な視線を向ける。


    「……何やら嗅ぎ慣れぬ悪臭と薄汚いネズミが隠れているようだな。俺の至高のハイグレを覗き見る蛆 虫が」


    「ディアボロ! 誰かいるみたいだぞ!」

    風汰が慌ててディアボロの後ろに隠れる。


    「フン……俺の『絶頂』を脅かす者は誰であろうと消し飛ばすのみ……!」

    ディアボロの目つきがさらに鋭くなり、キング・クリムゾンが路地裏の暗がりを睨みつけた。

  • 198吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/02(土) 23:59:48

    路地裏の空気が一瞬にして張り詰めた。


    「その薄汚いツラ……どこかで見たと思えば。フン、奇妙なオムツなど履いて滑稽なことだ」

    唯一無二の至高たるハイグレを着用した男、宮沢鬼龍が冷酷な笑みを浮かべる。


    「……鬼龍!」

    長岡龍星は歯を食いしばり目の前の男を鋭く睨みつけた。


    目の前に立つ実父である鬼龍は病的なほど自己中心的でまわりにいる者に厄災と不幸をもたらす最低なクズだ。

    だが同時に国家権力にすら媚びず己の力のみで世界を蹂躙するその圧倒的な姿勢にはほんの少しだけ尊敬の念を抱かずにはいられなかった。

    その絶対的なプレッシャーが龍星の身体を金縛りのように重くしていた。

  • 199吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:00:14

    「ゴチャゴチャとうるさいぞ貴様ら! まとめてぶっ壊してやる!」

    ベジータが紫色の闘気を爆発させどこからともなく取り出したサッカーボールを蹴り飛ばした。破壊の力が込められたエネルギー弾のようなシュートが一直線に龍星たちへ襲いかかる。


    【ファイナルインパクト】

  • 200吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:02:05

    「ボーッとしてんじゃねぇぞ、クソ漏らし!」

    龍星が反応しきれない中、横から凄まじいスピードで割って入ったのはテレスだった。

    「こんな力任せのボールが通じるかよッ!」


    テレスは胸板一つで破壊の権化たるベジータのシュートを真正面から受け止めた。爆煙が晴れると無傷のテレスの足元にボールが転がっている。

  • 201吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:03:55

    「フッ、ただの的当てにしては少しは骨があるようですね。ですが私の斬撃は防げますかな?」

    干柿鬼鮫がニヤリと笑い大刀を構えてテレスに迫る。


    「テレスさん、ここは僕が……!」

    龍星がボールを拾いドリブルで鬼鮫を躱そうと前に出る。

  • 202吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:04:19

    しかし。


    「なっ……!」

    「動きが鈍いですね。迷子のように足取りがおぼつかない」

    鬼鮫の巨体が滑るように動き、いとも容易く龍星からボールを奪い取った。


    【鮫肌斬り】

  • 203二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 00:04:30

    そういえばここの雷門のキャプテンって誰なんスかね?

  • 204吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:05:22

    >>203

    ワシの想定だと一護…

  • 205吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:08:51

    擦れ違いざまに鮫肌の削るような斬撃が龍星をかすめ、彼の体力を一瞬にして奪い去っていく。

    「がはッ……!」

    龍星は膝をついた。普段のキレが全くない。オムツで排泄のロスを無くしたにも関わらず鬼龍の存在が彼の平常心を完全に狂わせていた。


    「どうしたウンコマン!」

    マチュが後方から声を上げる。

    「情けないですね! 精神の乱れは健全な肉体の敵です!」

    ココナも怒りの声を飛ばす。

  • 206吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:09:24

    「さっきの口の利き方はどうした! オムツ履いて安心した途端にただの案山子になり下がりやがって!」

    テレスが鬼鮫の追撃を強引なタックルで弾き飛ばしながら、龍星に向かって怒鳴りつけた。

    「俺のディフェンスラインを少しでも下げるような真似をしてみろ、お前ごと相手をぶっ飛ばすって言ったはずだぞ!」


    「……くそっ……!」

    龍星は荒い息を吐きながら立ち上がろうとする。

    しかし視界の先ではディアボロがキング・クリムゾンを背後に浮かべ、鬼龍が腕を組んで冷ややかに彼を見下ろしている。

  • 207吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:11:54

    路地裏での息詰まる攻防。鬼鮫の追撃をテレスが強引に弾き返しベジータがさらに紫色の破壊のオーラを練り上げようとしたその時。


    「やめろッ!! そこで何をしている、お前たち!!」


    張り詰めた空気を切り裂くように冷徹で高圧的な怒声が路地裏に響き渡った。

    暗がりから姿を現したのは黒い衣装を身に纏い十字型の禍々しい赤いオーラを放つ男。務番学園の監督、カイロ・レンである。

  • 208吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:13:39

    「監督……」

    鬼鮫が静かに大刀を肩に担ぎ直し、ベジータがチッと舌打ちをして闘気を収める。


    カイロ・レンは自チームの怪物たち、そして泥だらけの龍星たちへと冷ややかな視線を向けた。

    「こんな泥にまみれた路地裏で無駄なエネルギーを消耗するな。貴様ら、自分たちの立場が分かっているのか? 明日我々がピッチで叩き潰すべき公式戦の相手は……そこにいる雷門中だぞ」


    「なんだと!?」

    テレスがギリッと歯を食いしばり、マチュやココナたちも一斉に驚きの声を上げた。


    「公式戦の相手……? サタン校長の言っていた遠征の目的ってこいつらと試合をするためだったのかよ!」

    ただでさえ化け物じみた連中だ。それがサタンが用意した正式な対戦相手だったとは。

  • 209二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 00:14:33

    今プロローグから読み始めたが…
    りゅ、龍星投げたモブはこの扱いで満足なんスか?
    文字通りクソそのものな扱いを受けていて笑ってしまう…

  • 210吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:14:40

    「俺は務番学園の監督、カイロ・レン」

    カイロは龍星たちを見下し、傲慢な態度を崩さずに言い放った。

    「俺は偉大なる祖父の遺志を継ぎ、このサッカー界を完璧な暗黒で支配する。そのための最初の生贄がお前たちだ。こんな薄汚い路地裏でのストリート・バトルなど俺たちの崇高なシナリオには必要ない」


    その言葉に、ディアボロが不満げに鼻を鳴らした。

    「フン……俺の『絶頂』にケチをつける気か、カイロ・レン。監督とはいえ俺の行動に指図するな」


    「……黙れッ!!」

    ディアボロの反抗的な態度に、カイロの冷静な仮面が一瞬で剥がれ落ちた。

  • 211吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:16:15

    「なぜ俺の言う通りに動かない!! 俺が止めろと言ったら止めろ!!」


    激昂したカイロは突如として近くにあったドラム缶と空き箱の山を猛然と蹴り飛ばし、自らの強大な赤いオーラで周囲の壁を滅茶苦茶に破壊し始めた。


    「あああっ! クソッ! なぜだ! なぜ決まらない!! 俺の完璧なチーム編成がなぜこんな路地裏で乱されているんだッ!! 貴様ら! そこにあるゴミを片付けろォ!!」


    先ほどまでの冷徹な威圧感はどこへやら、子供のように癇癪を起こして周囲の物を破壊し盛大に八つ当たりをするカイロ・レン。その情緒不安定っぷりに雷門の面々は完全に言葉を失った。


    「……何よあの監督。情緒がめちゃくちゃじゃないの」

    メイベルが呆れたように呟く。

  • 212吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:17:42

    「人の健全な精神状態とは到底思えませんね……。睡眠不足なのでは?」

    ココナもドン引きしている。


    「ホッホッホ、どうやら挨拶は済んだようでおじゃるな」

    その時、路地裏の入り口から、サタン・ゴールが悠然と姿を現した。

    「いかにも。彼ら務番学園こそが我が新生雷門の初陣を飾るにふさわしい対戦相手。……カイロ監督、うちの生徒たちが少しお騒がせしたようでおじゃるな」

  • 213吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:18:54

    サタンの登場にカイロは荒い息を吐きながらマントを翻し無理やり冷静さを取り繕った。

    「……フン。お前が用意したチームがこれか、サタン。せいぜい明日のピッチで無様に散る準備でもしておくんだな。行くぞお前ら」


    務番学園の面々が監督の指示に従い、あるいは呆れた様子で路地裏の奥へと消えていく。


    龍星は去り行く鬼龍の巨大な背中をただ無言で見つめていた。

    (鬼龍……。ピッチの上で必ずあの人を超えてみせる。僕の、長岡龍星のサッカーで……!)

  • 214二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 00:22:14

    面子が面子だけに癇癪持ちというより苦労人滑りしそうな雰囲気のあるレンっスね…

  • 215吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:24:21

    その後。

    廃公園の入り口にズチャッという水音の代わりに分厚い布が擦れる奇妙な足音が響き渡った。


    「おーい! みんなー! 無事にオムツ受け取ってきたよー!」

    アマテ・ユズリハが元気よく手を振りながら公園で待機していた第一班の面々に駆け寄っていく。


    その背後から異常なほどに股間から臀部にかけてが膨れ上がった特殊オムツ姿の長岡龍星がどこか重々しい足取りで歩み出てきた。その後ろには相変わらず機嫌の悪いテレス、ココナ、メイベル、そしてサタン・ゴールが続く。


    「遅えぞお前ら……ってなんだそのオムツは!?」

    黒崎一護が斬月を地面に突き立て思わず素っ頓狂な声を上げた。

  • 216吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:27:15

    「龍星、ほんとにオムツ履いてる! しかも服の上から無理やり穿いてるからシルエットがすごいことになってるよ!」

    ルビー・ローズがクレセント・ローズを構えたまま目を丸くして龍星の腰回りを凝視している。


    「はあ? 何よあの不恰好な姿。美しさが微塵も感じられないわ。ギリス、私の視界からあのオムツを隠して頂戴」

    「ああ、もちろんだよメイア。あんな野蛮な光景は君の美しい瞳に毒だからね」

    メイアが顔をしかめてギリスの背中に隠れる。


    「笑いたければ笑うがいいでしょう。ですがこれはこの都市の規律と公衆衛生を守るための誇り高き鎧です。……もっとも、今の僕にはそれ以上に考えねばならないことがありますが」

    龍星は自嘲気味に笑ったがその瞳にはいつもの傲慢さよりもひどく暗く、そして鋭い闘志が渦巻いていた。路地裏で実父である鬼龍と遭遇した衝撃と因縁が彼の心をピッチへと向かわせているのだ。


    「あれ? ウンコマン、なんかさっきより顔つきがマジになってない? オムツのおかげで安心したのかな?」

    マチュが不思議そうに龍星の顔を覗き込む。

  • 217吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:28:25

    「そんな事よりそっちの成果はどうなんだ? 俺たちを導くって言う『監督』とやらは、ちゃんと見つかったんだろうな?」

    テレスが腕を組み、第一班の面々を睨みつけた。


    その問いに一護やブラスト、セナたちが一斉に気まずそうな顔をして視線を逸らす。

    「あ、ああ。紹介しよう。我が雷門の監督……スピキ殿だ」

    グランベリアが咳払いをし、ベンチの横を指差した。

  • 218吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:29:09

    そこには、かぼちゃを抱えながらキャンディをペロペロと舐めている、四足歩行のもちもちした小動物がいた。


    「スピキ! デルジバゼヨ! チョワヨー」

    スピキが甲高い声で鳴き、小さな尻尾を振る。

  • 219吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:30:33

    「……は?」

    テレスの顔が完全に強張った。


    「ええっと……『皆さんが無事に合流できて嬉しいです。明日の試合、一緒に頑張りましょう』と言っています」

    スピキの隣に立つ青い髪の少女、フランが温和な笑顔で通訳をする。

  • 220吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:32:04

    「はあぁぁぁっ!? このちっこいマスコットが監督ゥ!?」

    テレスの怒号が廃公園に響き渡る。

    「ふざけんじゃねぇぞサタン! これのどこが内にすごいモノを秘めた監督だ! どう見てもただのペットじゃねぇか!」


    「ホッホッホ、見かけで判断してはいけないでおじゃるよ、テレス。彼の戦術眼と愛嬌は必ずやこのチームに光をもたらすはずでおじゃる」

    サタンが口元を隠すようにして笑う。

  • 221二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 00:32:40

    >>220

    『彼』…?

  • 222吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:35:37

    「ふふっ、最高に狂ったチーム編成ね。ウンコ漏らしの青年が巨大なオムツを穿き、サッカーを憎む少女が通訳し、泣き虫の小動物が監督を務める。……こんな絶望的な布陣、どんなギャグコメディでもお目にかかれないわ」

    メイベルが腹を抱えてクスクスと笑い、ワインボトルを呷る。


    「笑い事じゃないわよ。こんなチームがあの務番学園に勝てるかどうかのオッズなんてもはや計算すらできないわ」

    セナがイヤホンを外し、呆れたようにため息をついた。

  • 223吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:37:23

    「務番学園……! やはり、あなた方もあの連中を?」

    龍星がハッとしてセナを見る。


    「さっき合流する前に俺たちはアイツらと一悶着あったんだよ。サタンの野郎が勝手に組んだ明日の公式戦の相手がその務番学園ってわけだ」

    テレスが忌々しそうに吐き捨てる。


    「なんだ、君たちは彼らと接触していたのか。それは好都合だ」

    ブラストが堂々とした態度で全員を見渡した。

    「相手がどんな非道な連中であれ我々がやるべきことは変わらない。この11人と小さな監督と共に明日のピッチで我々のサッカーを貫くだけだ」

  • 224吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:37:53

    「スピキヲイジメヌンデ…! ウワアアアア!」

    突然の大声と張り詰めた空気に怯えたのかスピキがかぼちゃの裏に隠れて泣き出しフランが必死に「大丈夫ですよ、誰も怒ってませんから」と宥め始める。


    混乱と狂気、そしてそれぞれの因縁が交錯する中サタンの首がゴキリと鳴り豪傑の人格が表に出た。


    「ガハハハハ! いい面構えになってきたじゃねぇかお前ら! 相手は街を牛耳る悪党どもだ! 明日の決戦、俺たち新生雷門の力で奴らの鼻を完膚なきまでにぶっ壊してやるぞ!」

  • 225吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:40:50

    深夜。自治都市の片隅にある廃工場の跡地。

    皆が寝静まった静寂の中、ボールを蹴る鈍い音だけが響き渡っていた。


    月明かりの下、長岡龍星は一人でひたすらシュートの特訓を繰り返していた。

    分厚い特殊オムツの恩恵で排泄による足場の悪化や体力のロスはない。しかし彼の顔は滝のような汗に塗れ、その表情にはかつての傲慢さは完全に消え失せ、深い苦悩と焦燥が刻まれていた。


    (鬼龍……。あの人を前に僕はどう戦えばいい……)


    放たれたボールが崩れかけたコンクリートの壁に直撃し、力なく跳ね返る。灘神影流の洗練された技術も移植されたガルシアの心臓のパワーも今のままではあの務番学園の連中には届かない。

  • 226吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:42:06

    「おいクソ漏らし。夜中にうるせぇぞ」


    背後から響いた低い声に龍星はハッとして振り返った。

    暗がりから姿を現したのは腕を組んだテレス・トルーエだった。深い緑色の長髪を夜風に揺らし呆れたような、しかしどこか真剣な目を龍星に向けている。


    「テレスさん……。すみません、目が覚めてしまって。明日の試合のことを考えると居ても立っても居られなくて」

    龍星が息を整えながら言うとテレスは鼻で笑い、転がってきたボールを足元でピタリと止めた。


    「お前のへなちょこシュートじゃ壁のシミ一つ消せねぇな。そんな泥臭い特訓であの化け物共に勝てると思ってんのか」

  • 227吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:45:51

    「……ええ。今のままでは勝てません」

    龍星は俯き自分の両手を見つめた。


    「かつて鬼龍は言っていました。"悪"をやるにも才能と覚悟が必要だと」


    テレスは何も言わずただ黙って龍星の言葉に耳を傾けた。


    「僕は力だけを求めて家を飛び出しました。そしてこのガルシアの心臓という強大な力を手に入れ、時にバケモノのように振る舞ってきた。……でも今日あの人を見て、はっきりと悟ったんです」

  • 228吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:46:17

    龍星は顔を上げ、テレスの目を真っ直ぐに見据えた。


    「僕にはあの人のような純粋な悪を貫く才能も全てを破壊する覚悟もありません。この心臓の力でこれ以上過剰に人を傷つけたくない……。僕はバケモノになりたかったわけじゃないんだと」


    夜風が二人の間を吹き抜ける。龍星の瞳には迷いを振り切った確かな光が宿っていた。


    「だから僕はバケモノとしてではなく……一人の"人間"のサッカープレイヤーとして強くなりたい。人間のままあのバケモノたちを超えてみせます」

  • 229吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:47:31

    その言葉を聞いたテレスの口角が、わずかに吊り上がった。


    「……ふん。ようやくただのイキったガキから一皮むけたようだな」


    テレスは足元のボールを軽く蹴り上げ、強靭な胸板でトラップするとそのまま龍星の正面に立ちはだかった。アンデスの不落の要塞が深夜の廃工場にそびえ立つ。


    「壁に向かって蹴ってるだけじゃサッカーは上達しねぇぞ。俺が相手をしてやる。てめぇのそのシュート、俺のディフェンスをブチ抜けるまで何度でも打ってこい」

  • 230吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:49:33

    「テレスさん……」

    付きっ切りで特訓を手伝ってくれるという不器用な優しさに龍星は目を見開いた。そして深く静かに頭を下げた。


    「……ありがとうございます。それと……昨日の入部テストの時、あなたにストレートを撃ったこと、本当に申し訳ありませんでした。あれはサッカーじゃなかった。一人のサッカープレイヤーとして恥ずべき行為でした」


    「……チッ。今更謝ってんじゃねぇよ、気持ちわりぃ」

    テレスはそっぽを向きながら悪態をついたがその声に怒りは含まれていなかった。


    「言ったはずだぞ、次ピッチで俺を殴ろうとしたら腕をへし折るってな。だが、サッカーのボールで俺を越えようってんなら……受けて立ってやる。さあ、来いよ長岡龍星!」

  • 231吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:51:27

    「はいっ!」


    龍星は力強く頷き、ボールに向かって駆け出した。

  • 232吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:52:54

    それから数十分後。

    鈍い音が響く中、もう一つの足音が廃工場に近づいてきた。


    「よぉ。どうやら明日のバケモノ退治を前にして眠れねぇのは俺だけじゃなかったみたいだな」


    巨大な斬月を肩に担ぎ気怠げに、しかし鋭い眼光を放ちながら現れたのは黒崎一護だった。

  • 233吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:55:20

    「一護さん……」


    「テレスだけじゃディフェンスの練習にはなってもシュートを止めるキーパー役がいねぇだろ。俺も混ぜてくれよ。務番学園戦前に少し身体を動かしておきたくてな」

  • 234吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:55:58

    一護は斬月を構え、即席のゴールマウスとなる二つのドラム缶の間に立った。


    「ありがとうございます。では遠慮なくいかせてもらいますよ」


    龍星は深く息を吐き出し己の胸に手を当てた。

    微かに脈打つガルシアの心臓。しかし龍星はその規格外のパワーを自らの意志で奥底へと完全に封じ込めた。もうこの力には頼らないし二度と使わない。人間の血と肉と骨、そして灘神影流の武術の真髄のみで戦うのだ。


    龍星の脳裏に浮かぶのはかつて恩人である宮沢静虎が見せてくれた、あの武の結晶とも言えるシュートの軌道だった。

  • 235吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:57:08

    「静虎さんのタイガーシュート……。今の僕なら、僕なりの形で再現できるはずだッ!」


    龍星が走り込む。ガルシアの心臓を使わない純粋な筋力。だがその踏み込みには一切の無駄がなく、恐るべきキレが宿っていた。


    「来いッ! 長岡龍星!」

    一護が斬月を大上段に構え、霊圧を練り上げる。


    放たれた龍星の渾身のシュートに対し一護は巨大な刃を真っ向から振り下ろした。


    【月牙天衝】

  • 236吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:58:03

    高密度の霊圧の斬撃がボールと激突し、凄まじい衝撃波が廃工場に吹き荒れる。

    「ぐっ……!」

    ボールは月牙天衝の威力に押し負け弾き飛ばされた。


    「まだだ! もう一本!」

    弾かれたボールをテレスが即座に回収し、龍星の足元へ正確なパスを送る。


    「おう、何度でも来い!」

  • 237吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 00:59:54

    それから何度この光景が繰り返されただろうか。

    心臓の力を完全に封印したことで龍星の体力の消耗は激しかった。息は絶え絶えになり全身の筋肉が悲鳴を上げている。だがその瞳の光は少しも衰えることなくむしろ極限まで研ぎ澄まされていった。


    力の流れ、軸足の踏み込み、インパクトの瞬間の体重移動。心臓の力に頼っていた時には見えなかった微細な感覚が今ならはっきりと分かる。


    夜明けが近づき、空が白み始めた頃。

    テレスからのパスを受けた龍星はこれまでとは全く違う、静かでしかし底知れぬ気迫を纏ってボールを蹴り上げた。


    【タイガードライブ】

  • 238吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 01:00:24

    「行くぞッ!!」


    一護もまた、これまでで最大の霊圧を斬月に込め、全力の斬撃を放つ。


    【月牙天衝】

  • 239吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 01:01:23

    激突。

    先程までとは桁違いの轟音が響き、周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。

    一護は斬月を持つ手に伝わる規格外の重さに思わず歯を食いしばった。


    「おおおおおッ!!」

    一護が咆哮と共に霊圧を爆発させギリギリのところでそのシュートを弾き、上空へとそらした。ボールは廃工場の天井を突き破り彼方へと消えていく。

  • 240吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 01:02:34

    シュートは防がれた。

    しかし地面に膝をつき肩で息をする龍星の顔には確かな手応えと歓喜の笑みが浮かんでいた。


    「……やった」


    心臓の力無しであの月牙天衝と正面から渡り合えるほどのシュート。

    静虎のタイガーシュートをルーツとしながらも長岡龍星という一人の人間の生き様が込められた新たなる必殺技、タイガードライブ。


    その技が静かな夜明けと共に確かに完成した瞬間だった。

  • 241吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 01:03:58

    「へっ……とんでもねぇ威力じゃねぇか。手が痺れたぜ」

    一護が斬月を下ろし呆れたように笑う。


    「上出来だ。これなら務番学園のゴールネットも揺らせるかもしれねぇな」

    テレスも腕を組み満足そうに鼻を鳴らした。


    「ええ……。一護さん、テレスさん。付き合っていただいて、本当にありがとうございました」

    龍星は立ち上がり、オムツの重みも忘れるほどの晴れやかな顔で二人のチームメイトに深く頭を下げた。


    朝日が廃工場を照らし始める。

    務番学園との決戦の時はもう目前に迫っていた。

  • 242吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 01:04:24



  • 243二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 01:29:12

    いい感じの熱血シーンなのに文字通り糞みたいなノイズが混じってて笑ってしまう

  • 244二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 05:47:29

    いきなりのオーバーテクノロジーに一番戸惑っているのは俺なんだよね
    しゃあけど女の子を汚すわけにはいかんわ!

  • 245吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 06:33:08

    >>244

    このスレの時代設定 イナイレを基準に考えると2002年だと聞いています

    ”1962年の時点でスペースコロニーが大量にある超文明”の衣を纏っていると

  • 246二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 08:20:14

    対戦校の常識人勢はなんでこんな野蛮人と異常者共の集まりに入ったのか教えてくれよ
    まさか人質を取られたってわけじゃないでしょう?

  • 247二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 12:06:20

    >>246

    おそらく法より優先すべき大切なものを守る為にやむなく罪を犯したのだと考えられるが…

  • 248二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 14:57:50

    吹雪ボーは今日更新するのか教えてくれよ

  • 249二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 15:11:20

    >>248

    下に同じくっス!!

  • 250吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:10:35

    >>248

    試合序盤までのストックがあるので今から更新いりますか?

  • 251吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:20:25

    決戦の朝。


    務番学園のホームグラウンドとして指定されたのはなんと大銀河の軍事組織「ファースト・オーダー」の基地を強引にサッカー用スタジアムへと改造した巨大な軍事要塞だった。

    黒と赤を基調とした無機質で冷徹な装甲壁。スタジアムの入り口では白い装甲服を着たトルーパーたちが警備にあたっている。

  • 252吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:21:03

    「なんだここは……。サッカーをやる場所って雰囲気じゃねえな」

    黒崎一護が斬月を背負いながら物々しい要塞スタジアムを見上げてため息をついた。


    「わあぁ……なんかすごく悪の組織って感じのスタジアムだね! でも、ここで勝てばこの街も平和になるんだよね!」

    ルビー・ローズは物怖じするどころか少し目を輝かせている。


    「相手のホーム戦というわけでおじゃるな。アウェーの空気に飲まれてはならんぞ」

    サタンが首を傾げながら冷静に分析し、その足元ではスピキがかぼちゃの裏に隠れて震えていた。

  • 253吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:21:41

    そんな中、長岡龍星は少し顔を引き締めてメンバーたちに向き直った。


    「皆さん、僕は試合前に少しトイレへ行ってきます。この特殊オムツは72時間もつとはいえ万全の状態でピッチに立ちたいですからね。あのバケモノたちと戦う前に新しいオムツに履き替えてリフレッシュしておきます」


    「さっさと行ってこい。間違っても廊下で漏らすんじゃねえぞ」

    テレスが顔をしかめて手を振る。


    「衛生管理は基本です! 迅速かつ清潔に済ませてきなさい!」

    ココナも腕を組んで頷いた。

  • 254吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:22:31

    龍星は足早にロッカールームの奥にあるファースト・オーダー仕様のトイレへと向かった。

    個室に入るとそこには宇宙技術の粋を集めたであろうやたらとボタンの多い高機能な便器が鎮座していた。


    「ふぅ。いかに最新鋭のオムツとはいえやはり外した時の開放感は格別ですね」


    龍星が使用済みの特殊オムツを脱ぎ捨てた瞬間。


    せき止められていた時速500ミリリットルの特異体質が再び解放され、彼の足元へ容赦なく茶色い濁流を形成し始めた。

  • 255吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:23:03

    「さて、さっさと新しいオムツを穿かねば……その前に一度流しておきましょうか」


    龍星は便器の中に広がり始めた自身の汚物を処理すべく壁に備え付けられた「洗浄」ボタンを押した。


    凄まじい水圧と吸引音が鳴り響く。さすがはファースト・オーダーの科学力、並の汚物なら一瞬でチリ一つ残さず宇宙の果てまで吸い込まれそうな勢いだ。


    しかし。


    「……む?」

    龍星の眉がピクリと動いた。

  • 256二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 16:23:35

    このレスは削除されています

  • 257吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:24:10

    吸引音が不自然に途切れ配管の奥から嫌な音が響き始めたのだ。


    あろうことか便器の中から水が逆流し、どろどろの茶色い液体が便器のフチを越えて床へと溢れ出し始めたではないか。


    「なっ……! トイレが詰まった……!?」


    龍星は驚愕の声を上げた。

    彼の排泄物は特殊体質の肉体とガルシアの心臓の超パワーが生み出した質量保存の法則を完全に無視する異常なシロモノである。その凄まじい量と密度はいかに大銀河を支配するファースト・オーダーの最新鋭配管設備であろうとも処理の許容量を完全にオーバーしていたのだ。

  • 258吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:25:08

    「馬鹿な……! 宇宙艦隊すら擁する軍事組織のトイレが詰まるというのですか!?」


    焦る龍星。時速500ミリリットルのペースは今も止まることなく続いており、さらに便器からの逆流が加わったことで個室の床はまたたく間に地獄のようなウンコの洪水に飲み込まれていく。


    「くっ……このままでは新しいオムツを穿く前に僕自身が汚物の海で溺れてしまう! ええい、どうすればいい! 僕の頭脳をもってしてもこの詰まりを解決する手段が見当たらない……!」


    試合開始の時刻が迫る中、長岡龍星はファースト・オーダー基地のトイレという密室でかつてない絶望的なピンチに陥っていた。

  • 259吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:27:35

    一方その頃、試合開始の時刻が迫るピッチ上では両チームの代表者がコイントスと握手を行うためにセンターサークルで対峙していた。


    雷門中キャプテン、黒崎一護。

    務番学園キャプテン、ディアボロ。


    「……フン。泥にまみれた路地裏のネズミどもがこの俺と同じピッチに立つとはな」

    ディアボロはその異様なピンク色の髪を揺らしながら冷酷な目で一護を睨みつけた。

    「だが結果はすでに見えている。お前たちの運命は無様にボールを奪われ、このスタジアムの芝に這いつくばることだ。俺の『絶頂』は何者にも脅かされることはない」

  • 260吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:29:13

    「ゴチャゴチャとやかましい野郎だな。運命だの絶頂だのてめぇの妄想につきあう気はねぇよ」

    一護は巨大な斬月を片手で肩に担ぎ直しもう一方の手をディアボロに突き出した。

    「俺たちはてめぇらの暴力で支配されたこの街をぶっ壊しに来たんだ。どっちが這いつくばるかは試合が終わるまでは分からねぇぜ」


    「……愚かな。俺の前に未来など存在しないということを教えてやろう」

    ディアボロが一護の手を強く握り返す。その掌からは常人を容易く捻り潰すほどの異常なスタンドパワーの圧が伝わってきたが一護は霊圧でそれを相殺し決して引かなかった。

  • 261吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:30:25

    火花を散らす両キャプテンの対峙。

    スタジアムの観客席を埋め尽くすトルーパーたちの無機質な歓声が響く中、雷門のベンチでは焦りの声が上がっていた。


    「もうすぐ試合開始なのにウンコマン遅すぎない!?」

    マチュが腕を振り回して苛立ちを隠せない。


    「本当に困った人ですね。オムツの履き替えごときにどれだけ時間をかけているんですか」

    ココナが腕を組み、眉間にシワを寄せている。

  • 262吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:32:23

    「……まさか、敵の刺客に襲われたのでは?」

    グランベリアが鋭い視線でロッカールームの通路を睨みつける。


    「フフ…トイレで暗殺されるなんて実に面白い展開じゃない」

    メイベルがクスクスと笑いながらぶどうジュースを呷る。


    その時だった。


    「遅れてすみません。準備に少し手間取ってしまいました」


    通路の奥から新しい特殊オムツを無事に装着しすっきりとした顔つきで現れたのは長岡龍星だった。

  • 263吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:34:02

    「おせぇぞ! もう試合が始まるんだぞ!」

    テレスが舌打ちをしながら怒鳴りつける。


    「申し訳ありませんテレスさん。ですがご安心を。オムツのコンディションは完璧です」

    龍星は爽やかな笑みを浮かべ軽くステップを踏んで見せた。


    しかしその背後から何やら奇妙な警報音が鳴り響いていた。


    ビーッ! ビーッ! ビーッ!

    『警告。セクターG、トイレブロックにて異常な水圧低下と汚水漏洩を検知。配管が完全に崩壊しました。清掃ドロイドを至急派遣してください』


    冷徹なAIの機械音声がスタジアムの一部に響き渡る。

  • 264二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 16:35:37

    どうなるや

  • 265吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:36:54

    「……ん? なんだ今の警報?」

    ブラストが不思議そうに通路の方を見る。


    「さあ…ファースト・オーダーの設備も案外ポンコツなのかもしれません」

    龍星は一切表情を崩さず涼しい顔で答えた。


    ……そう、龍星は詰まった便器を見捨てたのだ。

    東大理三の頭脳をもってしても解決不可能な汚物の大洪水を前に彼は新しいオムツを素早く穿くと溢れ出すウンコの海をそのまま放置し、無慈悲にも個室のドアを硬く閉ざして逃亡してきたのである。今頃あのファースト・オーダー仕様のトイレは大厄災のような茶色い絶望に飲み込まれていることだろう。

  • 266吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:41:02

    「なにはともあれ11人揃ったわね。さあ、オッズも確定したことだしでかい勝負の始まりよ」
    セナがイヤホンを外し挑戦的な笑みを浮かべる。

    「スピキ! デルジバゼヨ!」
    ベンチのスピキが甲高い声で鳴き、かぼちゃを抱えながら短い前足を振り上げる。

    「スピキ監督も『頑張ってください!』と言っています」
    フランが温和な笑顔で通訳し雷門イレブンの背中を押した。

    ピッチの中央では一護とディアボロがそれぞれの陣形へと戻っていく。
    ついに、超次元サッカーの幕が上がろうとしていた。

  • 267吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:43:47

    GK:グラインドブレード
    DF:ディアボロ、天童アリス
    MF:梶山風汰、加納則馬、フラウロス、干柿鬼鮫
    FW:黒岩流星、宮沢鬼龍、ベジータ、ヒースクリフ

    FW:アマテ・ユズリハ、グランベリア、メイベル
    MF:長岡龍星、春原ココナ、メイア、ルビー・ローズ
    DF:石蕗セナ、テレス・トルーエ、ブラスト
    GK:黒崎一護

  • 268吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:45:58

    ホイッスルがファースト・オーダーのスタジアムに鳴り響き試合開始を告げた。


    「オレの邪魔をする奴は、全員ぶっ壊すッ!!」


    キックオフと同時。務番学園のベジータが闘争本能のままにボールをキープして猛然と前線へ駆け上がった。破壊の力が足元のボールに蓄積され彼が通った跡の芝が次々と消し飛んでいく。

  • 269吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:47:15

    「あいつにシュートさせちゃダメだね! 行くよッ!」


    その圧倒的なプレッシャーを前にしてもルビー・ローズの目には恐怖の色はなかった。彼女は軽やかなステップで踏み込むと赤い花びらを大量に舞い散らせた。


    【ペタル・バースト】

  • 270吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:48:30

    ルビーの身体が舞い散る花びらと同化するように一瞬で消失した。

    「なにっ」

    ベジータが驚愕した次の瞬間。赤い花びらの渦が破壊のオーラをすり抜け、ベジータの足元から一瞬にしてボールを掠め取った。


    「もらったぁ!」

    花びらの渦が再構成され、ルビーがボールをキープして前を向く。


    「貴様ァ!」

    ベジータが激怒して振り返るがルビーはすでに前線へとパスを出していた。

  • 271吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:50:02

    「最高ね。この混沌とした戦場、もっともっと私を楽しませてちょうだい」


    パスを受けたのは紫色のジュースを片手に妖しく微笑むメイベルだ。

    彼女はボールを足元に止めると空いている片手でまるで指揮者のように虚空をなぞった。


    「すべては虚無に帰すのよ。このボールも、あのキーパーもね」


    【ヴォイド・チェックメイト】

  • 272吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:52:15

    メイベルの足元から宇宙の果てのような深い漆黒の空間が広がる。彼女がボールを蹴り出すとその周囲の空間ごと圧縮され、すべてを飲み込む虚無のエネルギー弾となって務番学園のゴールへと突き進んだ。


    その圧倒的な質量と絶望のエネルギーを前に務番学園のゴールマウスに鎮座する異形の兵器が稼働音を上げた。


    「ギュイイイイイイイインッ!!」


    【グラインドブレード】

  • 273吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:53:41

    6基の巨大なチェーンソーが円環状に展開されガトリングガンのように超高速回転を始める。ACの規格を度外視したその狂気の兵器が迫り来る虚無のシュートに向かってドリルのように突撃した。


    虚無のエネルギーとチェーンソーの物理的な超回転が激突し、スタジアムに火花と轟音が吹き荒れる。


    「……フン。大したことはないな」

    ディアボロが腕を組んで冷笑する。

    グラインドブレードの圧倒的な粉砕力はメイベルのヴォイド・チェックメイトを相殺し、弾き返した。

  • 274吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:54:47

    「チッ、弾かれたか!」

    ルビーが悔しそうに声を上げる。


    こぼれ球を拾ったのは務番学園の冷徹なクローン兵、黒岩流星だった。

    「ワタシハ サッカーノ カミダ……! コッパミジンニ シテヤル!」

    叫びながら黒岩が前線へ上がろうとする。

  • 275吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:55:58

    だが。


    「ほう。あれが防がれるとは見事な兵器だ」


    雷門陣営の深い位置。

    DFのブラストが余裕の笑みを浮かべて宙に指を突き出した。


    「だが、空間を支配する戦いにおいて俺の右に出る者はいないよ」


    【亜空間ゲート】

  • 276吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:56:53

    黒岩の足元でボールが転がろうとした瞬間、突如として芝の上に円状の黒いワープゲートが口を開けボールがポイッとその中に吸い込まれた。


    「ナッ……!? ボールガ キエタ!?」

    黒岩が呆然と足元を見る。

  • 277吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 16:57:18

    そのボールは自陣にいるブラストの足元に出現していた。


    「それではお返しさせてもらおう」

    ブラストは笑みを崩さないまま優雅に足を振り抜いた。


    【次元砲(ディメンションキャノン)】

  • 278吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:01:15

    蹴り出されたボールが再び空間に溶け込むようにふっと姿を消す。

    そして次の瞬間。


    「……あ?」

    ディアボロが、そして務番学園の全員が、信じられないものを見たようにゴールを振り返った。


    グラインドブレードの背後。

    そこには一切の障害を無視して直接相手のゴール内部に転移し、ネットを激しく揺らしているボールがあった。


    新生雷門中 1 - 0 務番学園

  • 279吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:02:47

    「な……んだと……?」

    カイロ・レン監督がベンチで呆然と立ち尽くす。


    「どういうことだ……!? シュートの軌道など一切見えなかったぞ!?」

    ディアボロが冷や汗を流しながらチームの絶対性を揺るがす事態に動揺を露わにした。

  • 280吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:04:35

    再びホイッスルが鳴り、務番学園のキックオフで試合が再開される。


    先制を許し、プライドを傷つけられたベジータの怒りは頂点に達していた。

    「よくもこのオレをコケにしやがったな……! てめえら全員、塵も残さず破壊してやる!」


    その横に並び立つのは大型のバットを引きずるヒースクリフだ。

    「オレの邪魔をする奴は誰であろうとぶっ潰す! 足引っ張んじゃねぇぞ、紫頭!」

  • 281吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:08:55

    「オレに指図するな下級戦士が!」

    反発し合いながらも二人の規格外の暴力と執着心がピッチ上で最悪の化学反応を起こした。

    【リベンジャーエゴ】

  • 282吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:10:47

    ヒースクリフのバットによるフルスイングとベジータの破壊のエネルギーがボールに同時入力される。二人の怨念と破壊衝動が混ざり合った漆黒の暴風が巻き起こり、雷門のMF陣を吹き飛ばす勢いで中央突破を図ってきた。

    「くっ……なんという圧力だ!」

    龍星がオムツの重みでどうにか踏みとどまるが、その横を暴風がすり抜けていく。


    「チッ、しまった! 間に合わねぇ!」

    前線に上がっていたテレスが慌てて戻ろうとするが、その圧倒的な突破のスピードには追いつけない。

  • 283吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:11:46

    完全にゴール前が空いた。

    「消え失せろォ!!」

    ベジータが空中に飛び上がり両手に破壊のエネルギーを極限まで圧縮した球体を創り出す。闘争本能のままに放たれる、触れるものすべてを無に帰す必殺シュート。


    【破壊玉】

  • 284二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 17:13:10

    このレスは削除されています

  • 285吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:13:27

    紫色の死の球体が雷門のゴールマウスを粉砕すべく一直線に飛来する。

    だがその軌道上に一人の女性が立ちはだかった。


    「こんなところで終わるような安い試合、私は望んでないわ。もっと私にデカい勝負をさせなさいよ」

    石蕗セナが隠し持っていたトランプのカードを空中にばら撒く。

  • 286吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:15:19

    【カードスプラッシュ】

  • 287吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:16:47

    無数のカードが鋭い弾丸となって破壊玉に殺到する。触れた端からカードは消滅していくもののギャンブラーの執念が込められた連続攻撃が破壊のエネルギーを僅かに相殺し、シュートの勢いを削ぎ落とした。


    「セナ、ナイスだ!」

    シュートの威力が落ちたその一瞬を黒崎一護が見逃すはずがない。

    「これ以上、てめぇらの好き勝手にはさせねぇ!」

    一護は斬月を大上段に構え、渾身の霊圧を刀身に練り上げる。


    【月牙天衝】

  • 288吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:18:19

    振り下ろされた高密度の霊圧の斬撃が弱まった破壊玉と正面から激突する。凄まじい衝撃波がスタジアムに吹き荒れた後に紫色のエネルギーは完全に霧散し、ボールは一護の足元にポトリと落ちた。


    「止めた……! 行けェ、龍星!」

    一護が一気に前線へとロングパスを放つ。


    「行きますよッ!」

    龍星は一切の淀みなくボールを受け取ると敵陣へと駆け上がった。一人の人間として積み上げた武の結晶。深夜の特訓で完成させた必殺技。


    【タイガードライブ】

  • 289吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:19:51

    静虎のタイガーシュートを彷彿とさせる無駄を削ぎ落としたしなやかで鋭い蹴り。白刃のようなシュートが務番学園のゴールへ突き刺さろうとする。


    だが雷門の攻勢はそれだけでは終わらない。

    「その破壊の力、しかと見切ったぞ!」

    前線にいたグランベリアが龍星のシュートの軌道に合わせるように跳躍した。相手の技を一度見ただけでコピーする天才的なセンス。彼女の両手には先ほどベジータが放ったのと同じ紫色の破壊のエネルギーが収束していた。

    「私の力と交え、さらに昇華させよう!」


    【破壊玉】

  • 290吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:21:57

    グランベリアが放った破壊の球体が龍星のタイガードライブと空中で激突・融合する。武芸者の鋭いシュートに破壊のエネルギーが上乗せされ、スタジアムの空気を引き裂きながらグラインドブレードへと迫る。


    「止めろォ! ゴールを割られるな!」

    カイロ・レンがベンチから怒号を飛ばす。

    干柿鬼鮫、フラウロス、加納則馬といった務番学園の選手たちがシュートの威力を殺そうと必死でディフェンスに入る。


    「目標ノルマに達していないボールなど……!」

    「クソッ、ふざけやがって!」

  • 291吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:22:59

    だが、融合したシュートの圧倒的な威力の前に彼らは次々と吹き飛ばされていく。


    最後に待ち構えるのは稼働音を限界まで響かせるグラインドブレード。

    チェーンソーの超高速回転が迫り来る破壊のタイガードライブを迎え撃つ。


    【グラインドブレード】

  • 292吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:24:09

    ギィィィィィィンッ!!!

    スタジアム中に金属の悲鳴のような音が響き渡り激しい火花が散る。ディフェンス陣が威力を削いでいたおかげかグラインドブレードは限界ギリギリのところでシュートを削り切り、なんとかボールをその場に弾き落とした。


    「……嘘だろ」

    その光景を後方から見ていた梶山風汰が震える声で呟いた。

    「俺たちの方が圧倒的に強いはずじゃなかったのかよ!」

    本質は臆病な一般人である風汰の足は完全に竦んでいた。

  • 293吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:25:49

    その隣で巨大なレールガンを抱えた天童アリスが目を丸くしながら言った。

    「風汰先輩! アリスは気づいてしまいました! あちらの雷門パーティー、どう見てもゲームのラスボスや魔王のようなステータスをしています! これはもう、勇者の冒険のクライマックスに登場する強さです!」


    「ふざけんなよ! なんで俺たちがそんなバケモノどもと戦わなきゃなんねーんだよ!」

    恐怖と混乱に陥る務番学園たち!

  • 294吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 17:26:57

    中断を超えた中断

  • 295二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 17:27:04

    風汰かわいそ…

  • 296二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 18:09:54

    さすがサタン様が集めた雷門魂を誇るチームですね

  • 297二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 18:14:14

    えっ 武器ありなんですか

  • 298二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 18:57:19

    >彼女の両手には先ほどベジータが放ったのと同じ紫色の破壊のエネルギーが収束していた。

    "FW" が "両手"!?

    ち…超次元サッカーって型破りなスポーツだな

  • 299二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 19:02:25

    >>297

    >>298

    王の剣とガニメデプロトンがあるやん…

  • 300二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 19:20:43

    ブラストが絶対にサッカーモノでやってはいけない技を披露していて笑ってしまう
    そりゃ防げないよね ワープすりゃね

  • 301吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 22:24:23

    11時から更新するけど観てくれるモブ居るんスかね?

  • 302二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 22:45:46

    ワシは見てるのん

  • 303二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 23:00:36

    待ってるよ…

  • 304吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:00:43

    グラインドブレードがギリギリでシュートを防いだその光景を自陣から見つめていたディアボロは苛立ちと共に自身の前髪をかき上げた。


    「……フン。どうやら小手先の技で遊んでいる場合ではないようだな。この俺の『絶頂』を脅かすというのなら容赦はしない。このピッチの運命は俺が支配する」


    ディアボロの額にもう一つの顔であるエピタフが浮かび上がる。そして彼の背後にヌラリと出現したキング・クリムゾンの姿がスタジアムの空間ごと揺らめかせた。

  • 305吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:01:21

    こぼれ球を拾った務番学園のチーフインストラクター、加納則馬が爽やかな笑顔を浮かべながらも常軌を逸したスピードで雷門陣営へとドリブルで切り込んでくる。


    「さあ皆さん! 今日の目標ノルマは相手を全員病院送りにすることですよ! 限界を超えて汗を流しましょう!」


    「なんて危険な思想ですか! そのような暴力的な教育方針、私が断じて許しません!」

    春原ココナが怒りに任せて前線へと飛び出した。不健康な思想を説く相手を前に、彼女の背後に圧倒的な怒りのオーラが立ち上る。

  • 306吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:01:42

    「天からの鉄槌でその歪んだ精神を正しなさい!」


    【裁きの鉄

  • 307吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:02:43

    「……えっ?」

    ココナが呆然と空を見上げた。

    何も起きない。空はファースト・オーダー基地の無機質な天井が広がっているだけで巨大な足など微塵も現れる気配がなかったのだ。


    「フフッ、よそ見はいけませんね。ほら、あそこにノルマ!」


    【あそこにノルマ】

  • 308吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:03:43

    ココナが必殺技の不発に戸惑っているその一瞬の隙を突き、則馬が遠くの観客席をビシッと指差して叫んだ。


    「あんなところで腹筋五万回のノルマをこなしている生徒がいますよ!」

    「なっ、五万回!? 子供の成長軟骨が破壊されてしまいます!」


    ココナが思わず則馬の指差した方向へ顔を向けてしまった瞬間、則馬は爽やかな笑顔のまま彼女の脇を疾風のごとく抜き去っていた。


    「チッ、ココナが抜かれた!?」

    テレスが舌打ちをしてカバーに入ろうとするが則馬はすでに前線で待機していた梶山風汰へとパスを出していた。

  • 309二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 23:04:45

    不発というよりおそらくスキップだな…
    キンクリはスポーツにおいても凶悪ですね

  • 310吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:05:15

    「あなたにはシュートのノルマです! 外したら地下室で地獄のトレーニングですからね!」
    「ヒッ……! や、やるしかねぇだろクソッ!」

    パスを受けた風汰は恐怖と焦燥感に顔を引きつらせながらもヤケクソ気味にボールに向かって超人的なスピードで連続蹴りを叩き込んだ。

    「俺に近づくんじゃねぇぇぇッ!!」

    【ラピッドファイア】

  • 311吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:06:19

    風汰の異常なスピードの蹴りによってボールとの間にすさまじい摩擦熱が生じ、ボールそのものが真っ赤に燃え上がる炎の塊となって雷門のゴールへと放たれた。


    「落ち着け。俺が止める」


    DFのブラストが炎のシュートの軌道上に悠然と立ち塞がる。

  • 312吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:06:43

    彼は余裕の笑みを浮かべたまま、目の前の空間を両手で挟み込むようにして自身のブロック技を発動しようとした。


    「ループに閉じ込めて、勢いを……」


    【遮

  • 313吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:07:41

    次の瞬間、ブラストの顔から初めて余裕の笑みが消え去った。


    「……なっ!?」

    空間が開かない。自身の超能力であるはずの次元操作がまるで見えない力によってプロセスごと消し飛ばされたかのように一切発動しなかったのだ。


    「ブラストさんが抜かれた!?」

    龍星が驚愕の声を上げる。

  • 314吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:08:33

    炎を纏ったラピッドファイアが一直線にゴールマウスを守る黒崎一護へと迫る。


    「くそっ、どうなってんだ! なら俺が直接叩き斬るまでだ!」


    一護が巨大な斬月を大上段に構え、渾身の力を込めて振り下ろす。


    「月牙…」


    【月牙天

  • 315二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 23:09:09

    なにっ
    いや むしろ―がシチュに合ってて笑ってしまう

  • 316吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:10:12

    一護が斬月を振り下ろした瞬間、刀身から放たれるはずの青白い霊圧の斬撃が全く発生しなかった。ただの巨大な鉄の塊が空を切るだけのただの素振り。


    「なっ……霊圧が、出ねぇ!?」


    必殺技を持たないただの物理的な大剣の防御では風汰の放った炎のシュートの威力を殺し切れるはずもなかった。

    斬月の刀身を弾き飛ばすようにしてすり抜けたボールが雷門のゴールネットに深々と突き刺さる。


    新生雷門中 1 - 1 務番学園

  • 317吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:11:47

    スタジアムが静まり返る中、ディアボロが自陣の深くで前髪の隙間から狂気の瞳を覗かせ低く笑った。


    「『過程』は消し飛び……『結果』だけが残る。お前たちの技が発動したという時間はすでにこの俺が消し去ったのだ」

  • 318吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:14:28

    同点に追いつかれた雷門中からのキックオフで、試合が再開される。


    「一護さんの月牙天衝も、ブラストさんの技も不発……一体どうなっているんだ!?」

    長岡龍星はオムツのコンディションとは裏腹にかつてないほどの違和感と焦りを抱きながらボールをキープしていた。


    「龍星、私にパスを! さっき点の借りは必ず返すわ!」

    ルビー・ローズがクレセント・ローズを構えながら前線へ駆け上がる。

  • 319吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:15:56

    龍星からのパスをトラップしたルビーの前に務番学園のフラウロスがニヤニヤと卑劣な笑みを浮かべて立ち塞がった。


    「へっへっ、大人しくボールを渡しな。さもねぇとテメェのそのデカいオモチャごとぶっ壊してやるぜ!」

    「うるさい! 一気に抜き去るんだから!」


    ルビーは勢いよく踏み込み自身の異能である高速移動のドリブル技を発動しようとした。


    【ペタル・バ

  • 320吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:18:04

    「なんだただの突進かよ? お粗末なステップだぜ!」

    フラウロスが足を伸ばし、ルビーの足元からあっさりとボールを奪い取る。


    「えっ!? なんで!? 私のセンブランスが……!」

    ルビーが信じられないというように自身の両手を見つめる。

  • 321二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 23:19:32

    このレスは削除されています

  • 322吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:20:03

    その光景を自陣から見つめるディアボロは冷酷な笑みを深めていた。

    (フン……やはりな。エピタフで未来を予知して奴らが必殺技を発動する瞬間の時間をキング・クリムゾンで消し飛ばす。そうすれば技のプロセスは消失し、ただ『技が不発に終わった結果』だけが残る。このスタジアムにおいて俺の支配は絶対だ)


    奪ったボールは前線で待機していた干柿鬼鮫へとパスされた。

    「ご苦労様です、フラウロス。では私がもう一点いただきに行きましょうか」

    鬼鮫が背中の巨大な大刀『鮫肌』に手をかけ、雷門のディフェンスラインへと滑るように突進してくる。

  • 323吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:21:12

    その前に立ちはだかったのは「アンデスの不落の要塞」テレス・トルーエだった。


    「これ以上、俺の陣地を好き勝手荒らされてたまるかよ!」

    テレスが強靭な肉体を盾にするように構える。


    鬼鮫は不気味な笑みを浮かべたまま鮫肌を振りかぶった。

    「私の鮫肌……その肉体ごと切り刻んで差し上げますよ」


    【鮫肌斬り】

  • 324吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:22:25

    ディアボロはエピタフで数秒先の未来を確認する。

    (……よし。あの緑髪の大男は必殺技を使う予知が見えない。ならばここでキング・クリムゾンの能力を使う必要はない。無駄な体力の消耗は避けるべきだからな)

    ディアボロはキング・クリムゾンを発現させず静観の構えをとった。


    鬼鮫の鮫肌がテレスの強靭な胸板めがけて振り下ろされる。

    TPを削り取り、肉体を引き裂く恐るべき斬撃。

  • 325吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:23:27

    だが。


    「……効かん!」


    凄まじい衝撃音が響いたがテレスは一歩も退かなかった。

    それどころか鮫肌の斬撃は彼の分厚い胸板の筋肉に完全に弾き返され、チャクラを吸収する間すら与えられなかったのだ。

  • 326吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:25:33

    「なっ……!?」

    鬼鮫の不気味な余裕が初めて崩れ去った。

  • 327吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:26:12

    「ば、馬鹿なッ!?」

    ディアボロもまた驚愕の声を上げた。

    (奴は必殺技を全く使わずに鬼鮫の必殺ドリブルを完全に無効化したというのか!?)

  • 328二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 23:26:35

    お前テレスを何だと思ってんねん
    テレスやぞ

  • 329吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:28:05

    「お前の技なんて、必殺技を使わないで十分なんだよ!」

    テレスが渾身のショルダータックルで鬼鮫を吹き飛ばし、ボールを奪い返す。


    「マチュ! 行け!!」

    テレスの怒号と共に前線のマチュへと強烈なロングパスが通った。

  • 330吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:29:11

    「よーし! テレスのパス、無駄にはしないよ!」

    マチュが持ち前の類稀なる身体能力と身のこなしでボールをトラップし務番学園のゴールマウスへと肉薄する。


    ディアボロが慌てて時間を消し飛ばそうとするがマチュは必殺技のモーションにすら入っていなかった。


    「必殺技なんて無くても私のシュートは速いよ!」


    マチュが空中で身体を捻り、全力を込めたノーマルシュートを放つ。


    「いけぇぇぇ!!」

  • 331吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:30:14

    しかし。


    ギュイイイイイイイインッ!!!


    務番学園のゴールを守護する異形の兵器、グラインドブレードが無機質な駆動音と共に6基のチェーンソーを展開した。

    圧倒的な粉砕力と質量を持つこの兵器の前にマチュの渾身のノーマルシュートは虚しくもチェーンソーの回転に巻き込まれ、木っ端微塵に切り裂かれて弾き落とされた。

  • 332吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:32:21

    「……ああーっ! クソッ!」
    マチュが頭を抱えて悔しがる。

    その直後、前半終了を告げる無機質なホイッスルがスタジアムに鳴り響いた。

    前半戦終了。
    スコアは1対1の同点。
    雷門イレブンは体力と精神力を著しく消耗しながら重い足取りでベンチへと引き上げていった。

  • 333吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:38:29

    ファースト・オーダー基地の無機質な空気が漂うロッカールーム。

    雷門イレブンの面々はかつてない疲労感と絶望的な状況に重苦しい空気を漂わせていた。


    「ハァ……ハァ……。あのディアボロって奴が何か仕掛けてきているのは間違いないわ。わたしたちが技を出そうとした瞬間だけ記憶というか……時間が飛んだような感覚があるの」

    ルビーがクレセント・ローズを杖代わりにして肩で息をしている。


    「同感だ。私の『遮断』も発動プロセスそのものを無かったことにされた。あんな出鱈目な能力、どうやって攻略すればいい」

    ブラストも額の汗を拭いながら珍しく険しい顔つきになっていた。

  • 334吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:39:04

    「相手の技をコピーしても発動できなければ意味がない。それにあのチェーンソーのキーパー……。物理的な突破も容易ではないぞ」

    グランベリアが悔しそうに腕を組む。


    「この状況ではどう動けばいいのか……」

    長岡龍星が俯き加減で呟く。

  • 335吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:39:34

    そんな重い空気の中、通訳のフランに抱きかかえられた監督のスピキがもちもちのほっぺを揺らしながらベンチの中央へと進み出た。


    「スピキ! ウワアアアア!スピキモリチャバダンギジマセヨ!ネルヌニロッケポンニョッチョギンニョカリアニランマリエヨ~~!! チョワヨー」


    スピキが必死に短い前足を振り回し甲高い声で何かを訴えかける。

  • 336吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:40:08

    「えっと……皆さんに伝えたいことがあるそうです」

    フランがゆっくりと通訳を始める。

    「『相手は時間を消すとかよくわからない怖い能力を使ってきます。それにゴールキーパーもギザギザしていてとっても怖いです』……」


    「そんなこと言われなくても分かってんだよ!」

    テレスが苛立たしげに声を荒げる。

  • 337吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:41:18

    しかし、フランはテレスの言葉を遮るように優しく微笑み通訳を続けた。


    「『でも、雷門の皆さんはもっと凄いです! テレスさんは必殺技がなくても敵を弾き飛ばしました! マチュさんもノーマルシュートでゴールに迫りました! 相手が能力でズルをするなら皆さんは持てる力のすべてを全力でぶつければいいんです! スピキは皆さんのその力を信じています!』……だそうです」


    スピキのその純粋でどこまでも真っ直ぐな言葉にロッカールームは静まり返った。


    能力で封じられるなら能力に頼らない身体能力と魂でぶつかればいい。

    それは40年前の雷門イレブンが幾度となく直面してきた絶望的な壁を乗り越えるための最もシンプルで最も強力な答えだった。

  • 338吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:42:34

    「……フッ。言ってくれるじゃねぇか、監督さんよ」

    一護がフッと息を吐き出し、斬月を肩に担ぎ直した。

    「あいつらが時間を消し飛ばそうが関係ねぇ。全部叩き斬るつもりで全力でぶつかるだけだ」


    「ああ。俺のディフェンスは最強だってことを後半でたっぷりと教えてやるよ」

    テレスも不敵な笑みを浮かべる。

  • 339吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:43:35

    「ええ。僕もこの身体一つで勝負すると決めたんです。どんな手を使われようともう退きませんよ」

    龍星もまたオムツの重みを物ともせず力強く立ち上がった。


    「よーし! それじゃあ後半は全員でフルスロットルのノーリミットで暴れまわっちゃおう!」

    マチュがぴょんぴょんと飛び跳ねて気合を入れる。


    「スピキ! デルジバゼヨ!」

    スピキが嬉しそうにかぼちゃを抱きしめ、甲高い声でエールを送った。


    純粋な闘志を取り戻した雷門イレブンは、後半戦へ向けて全力でぶつかる決意を固めた。

  • 340二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 23:45:01

    スピキ! ウワアアアア!スピキモリチャバダンギジマセヨ!ネルヌニロッケポンニョッチョギンニョカリアニランマリエヨ~~!! チョワヨー(相手は時間を消すとかよくわからない怖い能力を使ってきます。それにゴールキーパーもギザギザしていてとっても怖いです。でも、雷門の皆さんはもっと凄いです! テレスさんは必殺技がなくても敵を弾き飛ばしました! マチュさんもノーマルシュートでゴールに迫りました! 相手が能力でズルをするなら皆さんは持てる力のすべてを全力でぶつければいいんです! スピキは皆さんのその力を信じています!)

    ◇この圧縮言語は…!?

  • 341吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:46:25

    後半戦開始を告げるホイッスルが鳴り響きスタジアムの空気が再び張り詰めた。


    「よーし、いくぞお前ら! 監督の言う通り全力でぶつかってやる!」

    一護が前線に向かって気合を入れる。


    「フン……俺のラインは誰にも越えさせねぇ」

    テレス・トルーエも後方で構え、アンデスの不落の要塞としてのプレッシャーを放つ。

  • 342吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:52:20

    雷門ボールでのキックオフ。

    龍星がマチュにボールを蹴り出そうとしたまさにその瞬間だった。


    突如としてファースト・オーダーのスタジアムの壁を突き破り、装甲車のように改造されている謎の無人車が猛スピードでピッチへと乱入してきたのだ!


    「なっ!? なんだあれは!」

    龍星が驚愕してボールから足を離す。


    暴走車はピッチを蹂躙しながら一直線に雷門の陣地……あろうことかテレス・トルーエめがけて突進した。

  • 343吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:54:08

    「は……? おい、ちょっと待て……!」


    ドガァァァァァァァァァァァァンッ!!!!


    「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


    スタジアム中に鈍い衝撃音が響き渡り、油断していたテレスの巨体が数十メートル後方へ跳ね飛ばされた。テレスは芝の上に激しく叩きつけられる。


    「テ、テレスさぁぁぁぁん!!」

    龍星が悲鳴のような声を上げた。

  • 344二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 23:56:17

    テレスさんが…テレスさんが死んだあッ……ないですね🍞

  • 345吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:56:56

    「キャアアアアッ! 何よこれ! 最悪!!」

    メイアがパニックに陥る。


    だが悪夢はそれだけでは終わらなかった。


    テレスが跳ね飛ばされた直後に今度はスタジアムの天井から巨大な鉄骨が何十本も、まるで雨霰のようにテレスの上に降り注いできたのだ。


    ズドォォォォォォォォンッ!!!


    重い鉄骨が次々と芝に突き刺さり、テレスの姿は完全にその下に生き埋めになってしまった。

  • 346二次元好きの匿名さん26/05/03(日) 23:57:19

    鉄骨落としかあ
    それでテレスを仕留めるのは至難の業だ

  • 347吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:57:59

    「「「「「??????」」」」」


    雷門の面々だけでなく観客席のトルーパーたちでさえあまりにも理不尽で意味不明な超展開に完全に思考が停止していた。

  • 348吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/03(日) 23:59:47

    「おい……なんだよ今の……。サッカーの試合中に車が乱入してきて……鉄骨が降ってくる……?」

    一護が斬月を取り落としそうになりながらポカンと口を開けている。


    「これって……反則じゃないの……?」

    ルビーも状況が飲み込めず目を白黒させている。

  • 349吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:01:24

    しかしその惨状を前に務番学園の面々はどこ吹く風といった様子だった。


    「ワタシハ ナニモ シラナイ。サッカーノ カミガ オコシタ キセキダナ」

    黒岩流星が合成音声で白々しくすっとぼけながらメカニカルな目をピカッと光らせている。


    「フン……どうやら運命の女神は俺の『絶頂』に味方したようだな。邪魔な壁が自ら崩れ去ってくれた」

    ディアボロも腕を組み冷酷な笑みを浮かべていた。

  • 350吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:03:21

    「いや、どう考えてもおかしいでしょ!!」

    セナが激怒して抗議するが務番学園の面々はニヤニヤと笑うだけで取り合おうとしない。


    「スピキ! ウワアアアア! デルジバゼヨ!」

    ベンチではスピキがパニックを起こして泣き叫び、フランが「落ち着いてくださいスピキ! あの人は頑丈ですからきっと生きています!」と必死に宥めていた。

  • 351吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:05:12

    「テレスさん! おい、ふざけるな! 早く退かさないと!」

    長岡龍星がオムツの重みも気にせず、山積みになった鉄骨に駆け寄り必死で持ち上げようとする。しかしファースト・オーダーの基地で使われている装甲建材の重量は龍星には到底動かせるものではなかった。


    ブラストもすぐさま駆けつけ鉄骨の山に向けて手をかざした。

    「下がれ龍星くん、俺のゲートで鉄骨ごと別の空間へ転送する……!」


    【亜空間ゲ

  • 352吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:07:14

    空間はピクリとも歪まない。前半戦でシュートブロックを不発にされた時と同様、ブラストの能力は完全に無力化されていた。


    「くっ……! やはりダメか。俺の空間操作が全く発動しない!」

    ブラストが珍しく焦りの表情を浮かべる。


    「ああっもう! じゃあ私が……!」

    ルビーが巨大な大鎌を構えようとしたその時だった。

  • 353吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:08:43

    「……チッ。ゴチャゴチャとうるせぇぞお前ら」


    鉄骨の山の隙間からひどく不機嫌そうな低い声が響いた。


    「テ、テレスさん!?」

    龍星が驚いて声のする隙間を覗き込む。


    そこには装甲車に撥ね飛ばされ、何十本もの鉄骨の下敷きになったにも関わらずピンピンしているテレス・トルーエの顔があった。その強靭すぎる肉体は全く潰されてなどおらず、ただ苛立たしげに顔をしかめている。

  • 354吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:10:21

    「お前ら、俺を誰だと思ってんだ。こんな鉄屑の雨で死ぬわけねぇだろ。……だが絶妙に鉄骨が噛み合ってやがって身動きが取れねぇ。誰か重機でも持ってこい」


    普通に生きていた。

    それどころか骨一つ折れている様子すらない。


    「ええええっ!? 車に轢かれて鉄骨の下敷きになったのに無傷なの!?」

    マチュが目を丸くして驚愕する。


    「無傷なのは喜ばしいですが……自力で抜け出せないとなると非常にまずい状況ですね」

    ココナが青ざめた顔で鉄骨の山を見上げる。

  • 355吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:12:20

    その時、ピッチ上に無機質な機械音声が鳴り響いた。


    『フィールド上の障害物は環境の一部としてみなします。試合を再開してください。プレイ・オン』

    ファースト・オーダーのドロイド審判があろうことか試合続行のホイッスルを吹き鳴らしたのだ。


    「はあぁぁぁっ!?」

    一護がゴールマウスから怒号を飛ばす。

    「ふざけんなポンコツ! ピッチのど真ん中に鉄骨が山積みになっててしかも選手が下敷きになってんだぞ! どう見ても中断だろ!!」

  • 356吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:15:54

    「ワタシハ ナニモ シラナイ。サッカーノ カミサマガ アタエタ シレンダ」

    クローンの黒岩流星がカシャカシャと首を振りながらボールをキープしてニヤリと笑う。


    「フン。無能な審判もたまには役に立つ。壁が消えた今、貴様らのゴールは丸裸だ」

    ディアボロが前髪をかき上げながら冷酷に言い放つ。


    「おい!冗談だろ!?」

    セナが信じられないというように額を押さえる。ブラストの能力が使えない以上、人力でこの鉄骨の山をどかすには時間がかかりすぎる。

  • 357吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:18:03

    「クソッ……! 龍星、お前らは前を向け! 俺のことは気にするな!」

    鉄骨の隙間からテレスが声を張り上げた。

    「俺のディフェンスが無くてもお前らでどうにかしてゴールを守り抜け!」


    「……テレスさん。分かりました、あなたの分まで僕が必ず!」

    龍星はギリッと歯を食いしばり、鉄骨の山から離れてMFの位置へと戻った。


    「さあ、絶望の後半戦を始めるとしよう」

  • 358吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 00:19:59



  • 359二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 00:50:30

    オツカレーッ

  • 360二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 01:10:01

    テレスがバケモノッすぎて笑ってしまう

  • 361二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 01:12:06

    テレスが強過ぎる…強さの次元が違う…
    まるでイナイレ1の環境で世界編に挑んだようなハードルの高さだ

  • 362吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:00:19

    ホイッスルが再び鳴り、雷門中と務番学園の試合が狂気に包まれたまま再開された。


    ボールを持ったクローンの黒岩流星が笑いながら前線へドリブルを開始する。

    しかしその前に立ちはだかったのは雷門のFW、アマテ・ユズリハだった。


    「テレスがいないからって簡単に抜けると思わないでよ!」

    マチュが持ち前の類稀なる身体能力と身のこなしで黒岩のフェイントを軽々と見切り、あっという間にボールを奪い取った。

  • 363吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:03:04

    「ナッ……!? ドリブルガ ミキラレタ!?」


    「よーし! このまま一気に行くよ!」

    マチュはボールを足元に吸い付かせるようにキープし務番学園の陣地へと疾走する。


    その光景を後方から見ていたディアボロは冷酷な笑みを浮かべてエピタフで数秒先の未来を予知しようとした。

    (……フン。あの小娘がどんな必殺技を出そうともキング・クリムゾンで時間を消し飛ばし、結果だけを……)


    だがエピタフが映し出した『数秒先の未来』を見た瞬間。ディアボロの表情が驚愕に凍りついた。

  • 364吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:04:29

    (なんだあれは……!? 巨大なロボット……!? いやスタンドか!? サッカーの試合中にあんなものが……!?)

    ディアボロの目が見開かれ冷や汗が頬を伝う。


    「……ええい構わん! どんな未来であろうとキング・クリムゾンで消し飛ばしてやる!!」


    ディアボロは焦りから自身の能力を全開にしてその『不都合な未来』を消し去ろうとした。

  • 365吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:04:55

    しかし。


    「なっ……! 時間が飛んでいない……!?」

    能力が通じない。ブラストや一護の技を無効化したあの絶対的な支配力がなぜかマチュの動きに対しては全く機能しなかったのだ。

  • 366吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:11:27

    「行くよ、ジークアクス!」


    マチュがボールを蹴り上げると同時に彼女の背後から凄まじいエネルギーが具現化し巨大なオーラとなってスタジアムにそびえ立った。


    【機動戦士 ジークアクス】

  • 367吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:12:34

    「なんだあれは!」

    「ロボットが……出た……!?」

    務番学園の選手たちが突如現れた巨大な化身を見上げて呆然とする。


    「あの娘の力か……面白い」

    宮沢鬼龍が化身を纏ったマチュの前に立ち塞がった。彼が身につけたハイグレがピッチの照明を浴びて異様な存在感を放っている。

  • 368二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 08:13:27

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  • 369吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:13:43

    「俺の前ではどんなに巨大であろうと無力だ」


    マチュがジークアクスの力を借りて強行突破を図ろうとするのに対し、鬼龍は全く動じずただボールの軌道に合わせて自身の身体を絶妙な角度で傾けた。


    【弾丸すべり】

  • 370吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:15:28

    相手の攻撃の威力を体表面で極限まで受け流し無力化する灘の防御技。鬼龍はこれでマチュのドリブルの威力を殺してボールを奪おうとしたのだ。


    しかし。

    「そんな小細工、ジークアクスには通用しないよ!」


    「わっ」


    鬼龍の驚愕の声が響く。弾丸すべりで受け流せるはずの威力を化身の圧倒的な質量と突破力が完全に上回っていた。鬼龍の巨体がわずかにバランスを崩しマチュはその隙を突いていとも容易く彼を突破した。

  • 371吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:18:31

    「あの人が……抜かれただと!?」

    龍星が信じられないものを見るように目を丸くする。


    「チッ……なんて力だ。化身ってやつか」

    その様子を見ていたフラウロスが、忌々しそうに舌打ちをした。

    「化身は化身でしか破れない…」


    「貴様、あれを知っているのか?」

    ディアボロが険しい顔で問うが、フラウロスはニヤリと笑うだけだった。

  • 372吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:22:58

    完全にフリーになったマチュはゴール前で高く跳躍した。

    「これで決める!!」


    ジークアクスが手にした超巨大なビームアックスがまばゆい光を放ちながらボールに向かって振り下ろされる。


    【ハイパービームアックス】

  • 373吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:24:03

    超巨大なビームアックスから放たれた飛ぶ斬撃がボールに叩き込まれ、まるでレーザービームのような閃光となって務番学園のゴールマウスへと突き刺さった。


    ギュイイイイイイイインッ!!!

    グラインドブレードがチェーンソーを回転させて迎撃しようとするが化身のシュートの圧倒的なエネルギーの前に為す術もなくチェーンソーごとゴールネットにボールが突き刺さった。


    新生雷門中 2 - 1 務番学園

  • 374吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:25:22

    「やったーっ! 私が決めたよ!」

    マチュが化身を収束させ満面の笑みでガッツポーズを取る。


    「おおっ! すげぇぞマチュ!」

    一護がゴールマウスから歓声を上げる。


    「見事だ」

    ブラストも感心したように拍手を送る。

  • 375吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:26:21

    だが失点した務番学園の陣地ではフラウロスがボールを拾い上げながらどこか卑劣で企みに満ちた笑みを浮かべていた。

    「っハハハハ!……いい気になってられるのも今のうちだぜ。俺にだってとっておきの手があるんだからよ……」

  • 376吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:30:02

    逆転を許した務番学園のキックオフで再び試合が動き出した。


    ボールは細かなパス回しではなく一気に最後尾のDF陣へと下げられる。

    それを受け取ったのは小柄な体躯に似合わない100kg超の巨大な艦艇用レールガン「光の剣:スーパーノヴァ」を抱えたアンドロイドの少女、天童アリスだった。


    「アリスのターンです! 魔王軍の攻撃には勇者の必殺技で対抗します!」

  • 377吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:31:23

    アリスは重いレールガンを軽々と構えボールの真正面に銃口を向けた。そしてドラゴンボールで学んだ知識をフル活用し、キラキラと目を輝かせながら叫ぶ。


    「いきます! か…め…は…め…波ぁぁぁぁぁっ!!」


    【スーパーノヴァBA】

  • 378吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:33:21

    放たれたボールはレールガンの規格外の推進力とアリスの怪力を乗せ、閃光のような超ロングシュートとなって雷門の陣地へと飛んでいく。


    「なっ……自陣のペナルティエリア付近からシュートだと!?」

    ブラストが驚きの声を上げる。


    「あんな遠距離からのシュートならゴールに届く頃には空気抵抗で威力が激減しているはずだ! なぜあんな遠くから……!」

    長岡龍星がその頭脳で瞬時に弾道を計算し、いぶかしげに眉をひそめた。

  • 379吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:37:06

    だがそのボールは雷門のゴールマウス……黒崎一護の元へは向かっていなかった。

    閃光のようなボールは雷門のディフェンスラインの頭上を越え、ゴール前の絶好のポジションで急激に落下したのだ。


    「馬鹿め! 誰があれをシュートだと言った?」


    その落下地点で待ち構えていたのは卑劣な笑みを浮かべる務番学園のフラウロスだった。

    そう、アリスの超ロングシュートは威力の減衰を逆手に取った前線への超高速パスだったのだ。


    「ロングパス……!? しまった、完全に裏をかかれた!」

    グランベリアが舌打ちをする。

  • 380吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:38:51

    ボールをトラップしたフラウロスはニヤリと口角を吊り上げた。

    「さあてテメェら。ヤベー化身を出していい気になってるみたいだが、こっちにもとっておきの力があるんだよ!」


    フラウロスが雄叫びを上げると彼の身体からまばゆい光が溢れ出し、その肉体が獣の姿へと変化していく。

    「喰らいやがれ! 俺のソウル!!」


    【レオパルド】

  • 381吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:40:26

    光の中から姿を現したのはしなやかで凶暴な豹の姿をした獣だった。内なる獣の力を解放する未知の力『ソウル』。


    「獣に変身した!? だったら私が止める!」

    ゴール前まで戻っていたアマテ・ユズリハが再び化身のオーラを立ち昇らせ、フラウロスの前に立ちはだかった。

  • 382吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:42:27

    しかし獣の姿となったフラウロスは化身の巨大なプレッシャーを前にしても全く怯まない。むしろ獲物を見つけた猛獣のように舌なめずりをした。


    「無駄だぜクソ野郎! ソウルは化身に強いって相場が決まってんだよ!」


    フラウロスの言葉通りレオパルドのソウルは化身のオーラを切り裂くように獣の俊敏さでマチュのブロックをいとも容易くすり抜けてしまった。

  • 383吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:44:10

    「うそっ!? ジークアクスが……!」

    マチュが信じられないというように振り返る。


    完全にゴール前でフリーになったレオパルド(フラウロス)は鋭い爪を立て、ボールに向かって強烈な獣の一撃を振り下ろした。


    「ゴミは焼かれて灰になりやがれ!」


    【レオパルド・ブロー】

  • 384吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:46:05

    獣のソウルエネルギーを纏った凶悪なシュートが牙を剥いて雷門のゴールへ襲いかかる。


    「ふざけんな! 俺が護るって言っただろ!!」

    GKの黒崎一護がゴールマウスから飛び出し、巨大な斬月を大上段に構え渾身の霊圧を爆発させた。


    「うおおおおおッ!!」


    【月牙天衝】

  • 385吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:48:24

    青白い霊圧の巨大な斬撃が迫り来るレオパルド・ブローと真っ向から激突する。

    凄まじい衝撃波がペナルティエリアに吹き荒れ、霊圧と獣のオーラが激しくせめぎ合う。


    「オラオラオラァ!! そのまま喰い破れェ!!」

    フラウロスが咆哮を上げる。

  • 386吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:48:48

    「ぐわぁぁぁッ!?」


    拮抗は一瞬だった。ソウルの力が月牙天衝の霊圧を喰い破り、一護の斬月ごと彼をゴールネットの奥へと吹き飛ばした。


    新生雷門中 2 - 2 務番学園

  • 387吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:49:56

    「へっ、決まったぜ! 見たかクソヴィータども、これが俺の力だ!」

    元の姿に戻ったフラウロスが下品に笑いながらガッツポーズを取る。

  • 388吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:52:49

    同点に追いつかれた雷門のキックオフ。

    ボールを受け取ったのは春原ココナだったが相手の怒涛の同点劇と自身の必殺技が不発に終わった記憶から少し動きが硬くなっていた。


    「っははは、隙だらけだぜ!」

    その硬直を見逃さず務番学園のフラウロスが獣のような瞬発力でココナに強烈なタックルを見舞った。


    「きゃあっ!?」

    ボールが弾き飛ばされフラウロスがあっさりと奪取する。

  • 389吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:54:44

    「よし! このまま俺がもう一点……!」


    フラウロスがドリブルで駆け上がろうとしたその時。彼の前にふわりと舞い降りるように立ち塞がる影があった。


    「はぁ……。本当に下品で臭い獣ね。糞漏らしの次は野良犬の相手だなんて私の美しさが穢れてしまうわ」

  • 390吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 08:58:32

    鼻を覆いながら心底嫌そうにため息をついたのはMFのメイアだった。


    「なんだと? テメェ、俺を野良犬扱い……」

    フラウロスが怒りに顔を歪めた瞬間。


    「私の前でボールを蹴ることを許されるのは愛するギリスだけ。私の愛の剣で串刺しにしてあげるわ!」


    メイアが凛とした声で叫ぶと彼女の背後からピンク色に輝く凄まじいオーラが噴出した。


    【情熱のラヴァーズ】

  • 391吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:00:40

    ハートの意匠が施された美しい鎧を纏い、巨大なレイピアを手にした麗しき騎士の化身がピッチにその姿を現した。


    「なっ……また化身だと!?」

    フラウロスが驚愕し足を止める。


    「馬鹿な……! あの女も化身が使えるのか!?」

    ディアボロも自陣で目を見開いた。化身は彼の時間を消し飛ばす能力では完全に封じ切れないということが先ほどのマチュのプレイで証明されているからだ。

  • 392吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:01:57

    雷門のベンチではギリスが立ち上がりうっとりとした表情でピッチ上の恋人に惜しみない拍手を送っていた。

    「ああ、素晴らしいよメイア! 君はこの荒んだスタジアムに咲く一輪の希望の花だ!」


    「スピキ! チョワヨー!」

    スピキもギリスの隣でかぼちゃを振り上げ応援している。

  • 393吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:04:04

    ピッチ上ではメイアの化身『情熱のラヴァーズ』が巨大なレイピアをフラウロスに向けて突き出していた。

    「さあ、私の前でひざまずきなさい!」


    二人目の化身使いの登場。雷門中が再び流れを引き寄せるかに見えた。

    しかしディアボロの冷酷な戦術眼はこの絶体絶命の状況下である極悪非道な最適解を弾き出していた。


    「……フン。なるほど。化身の力は確かに厄介だが、逆に言えば化身使いでなければこのキング・クリムゾンの支配からは逃れられないということだ」

  • 394吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:07:14

    ディアボロはカイロ・レン監督を無視し大声でチーム全体に指示を飛ばした。

    「お前たち! あの短髪の化身使い(マチュ)を全員で徹底的にマークしろ! 8人がかりで囲い込み一歩も動かすな! その間フラウロスは単騎でその女(メイア)を抜け!」


    「8人でマークだと……!?」

    龍星が驚愕して周囲を見渡す。


    ディアボロの指示にベジータ、鬼鮫、鬼龍、黒岩、風汰、則馬、アリス、ヒースクリフの8人が一斉にマチュの周囲を取り囲むように密集した。

  • 395吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:15:26

    「ええっ!? なにこれ、みんなこっち来ないでよ!」

    マチュが化身のオーラを纏ったまま四方八方から迫る規格外のバケモノたちのプレッシャーに身動きが取れなくなる。いくら化身使いとはいえ8人から同時にマークされればパスを受けることも突破することも不可能だ。


    「よし、あっちの化身使いは完全に封じたぞ! いけぇフラウロス!」

    風汰が囲みの中から叫ぶ。

  • 396吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:18:45

    「っハハハハ!ディアボロの野郎、えげつねぇ作戦考えやがって。だが嫌いじゃねぇぜ!」

    フラウロスは再びレオパルドのソウルを解放し獣の俊敏さでメイアの化身に挑みかかった。


    「このゴミ野郎が!」


    「キャアッ!?」

    メイアの情熱のラヴァーズのレイピアをレオパルドの爪が強引に弾き飛ばす。ソウルの特性によって化身の守りを破られたメイアはあっさりとボールを抜かれてしまった。

  • 397吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:19:45

    「メイアが抜かれた!?」

    龍星とルビーが慌ててカバーに入ろうと駆け出す。

    「させません! 僕が!」

    「私が止める!」


    だがその瞬間。


    【キング・クリムゾン】

  • 398二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 09:20:14

    もう完全に「そっち(務番学園)がチャレンジャーだから」って感じやのォ
    ですねえ

  • 399吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:21:37

    「えっ……!?」

    「な……に!?」


    龍星とルビーはいつの間にかフラウロスを完全に通り越し全く見当違いの方向へ走り去った結果だけが残されていた。

    時間が消し飛ばされ彼らが守備に向かおうとした『過程』が消失したのだ。


    「フン……貴様らの運命は俺が全て消し去る」

    ディアボロが冷笑を浮かべていた。

  • 400吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:22:33

    >>398

    使えるもの片っ端から使って勝利を掴みに行く

    そんな務番学園を誇りに思う

  • 401吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:24:39

    フラウロスがゴール前で高く跳躍した。

    「トドメだ、クソヴィータども! 消し飛びな!」


    フラウロスがレオパルドのソウルエネルギーを全開にし凶悪な爪の一撃をボールに叩き込む。


    【レオパルド・ブロー】

  • 402吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:27:58

    必殺の獣のシュートが雷門ゴールへ向かって牙を剥く。


    「必殺技を出せば奴に時間を消される! 肉体で威力を殺すんだ!」

    ブラストが叫び、自らシュートの軌道へと飛び込んだ。

    それに呼応するように雷門のフィールドプレイヤーたちが一切の必殺技や能力を使わずにただ生身の肉体でボールを止めに走った。


    次々と吹き飛ばされる雷門イレブン。しかし彼らの決死のボディブロックでレオパルド・ブローの威力は確実に削がれていた。

  • 403吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:29:50

    「よくやったお前ら……! 後は俺がこの手で止める!」

    ゴールマウスを守る黒崎一護は斬月を地面に突き立て素手で構えた。必殺技のプロセスを消されるのなら初めから必殺技など使わずにただの物理的なセービングで受け止めるしかないという彼なりの覚悟だ。


    一護の両腕がソウルの炎を纏ったボールを真正面から受け止める。

    「おおおおおおおッ!!」

    しかしそれでもソウルの威力は凄まじく一護の身体がズルズルとゴールネットへと押し込まれていく。


    「くそっ……! 止まれェッ!」

    一護が咆哮を上げるがボールの猛烈な回転が彼の両腕の限界を突破した。

    ボールが一護の手を弾き飛ばし、無情にもゴールラインへと向かってこぼれ落ちる。

  • 404吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:33:21

    「やった……!」

    ディアボロが勝利を確信したように薄笑いを浮かべたその時。


    「まだだァァァァァァッ!!」


    ボディブロックの衝撃でボロボロになった長岡龍星がゴール前へと信じられない執念で滑り込んできた。

    ただ純粋に泥臭く勝利にすがりつく一人の人間としての足掻き。


    「いけぇぇぇぇぇッ!!」

    龍星はラインを割る寸前のボールに向かってヤケクソ気味に足を振り抜いた。

  • 405吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:34:42

    龍星の執念の蹴りがボールの軌道を僅かに狂わせる。ソウルストライクはゴールネットに突き刺さることなくゴールポストの角に激しく衝突し、甲高い金属音と共にピッチ内へと大きく弾き返された。


    「なっ……!?」

    フラウロスが驚愕に目をひん剥く。


    「防いだ……!?」

    ディアボロの表情が凍りつく。

  • 406吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:36:49

    ポストに弾かれフィールドを転がるボール。

    そのボールに最も早く反応したのは春原ココナだった。


    「龍星さんの決死の守り、絶対に無駄にはしません!」

    ココナは小さな身体をバネのようにしならせ弾き返されたボールをトラップすることなくダイレクトで前線へと蹴り出した。


    「いけぇぇぇぇぇぇッ!!」


    ココナの全力のパスがファースト・オーダー基地の無機質な空気を切り裂いて飛んでいく。

  • 407吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:38:03

    ココナの全力のパスが向かった先。

    そこにはマチュに8人ものマークが集中し務番学園の陣形が完全に崩壊したことで広大なスペースでたった一人完全にフリーとなっている少女がいた。


    「本当に野蛮で泥臭い連中ね。でも……嫌いじゃないわ!」

    メイアが華麗なターンでボールをトラップする。

  • 408吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:39:07

    「しまった! あの女がフリーだ!」

    ディアボロが顔を青ざめさせ慌ててエピタフを発動しようとする。しかし距離が離れすぎている上にメイアはすでに化身のプロセスに入っていた。


    「ギリス、見ていてね! 私の愛の力でこの薄汚いスタジアムに美しい薔薇を咲かせてあげる!」

    メイアの背後に再び巨大なオーラが噴出する。


    【情熱のラヴァーズ】

  • 409吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:41:21

    麗しき騎士がメイアの動きに合わせて巨大なレイピアを頭上高く掲げた。メイアがしなやかな脚を振り抜くと同時に化身のレイピアに凄まじい愛のエネルギーが収束していく。


    「貫きなさい!!」


    【ハートレイピア】

  • 410吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:42:03

    放たれたシュートはスタジアムを鮮やかなピンク色に染め上げる巨大な光の剣となって務番学園のゴールマウスへと真っ直ぐに突き進んだ。


    ギュイイイイイイイインッ!!!

    それを迎え撃つのはゴールを守護する大量破壊兵器。

    【グラインドブレード】

  • 411吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:43:13

    6基の巨大なチェーンソーが円環状に展開され轟音と共に超高速回転を始める。無機質な駆動音が光の剣を粉砕しようと突撃する。


    ガガガガガガガガッ!!!

    ピンク色の光とチェーンソーの火花が激しく衝突しスタジアムに凄まじい衝撃波が吹き荒れる。

    しかし龍星たちの決死の守りから繋がった雷門イレブンの魂とギリスの愛を一身に受けたメイアの化身シュートは圧倒的な輝きを放っていた。


    「私の愛はそんな鉄屑なんかじゃ切り裂けないわ!」

  • 412吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:44:10

    光のレイピアがチェーンソーの回転を力でねじ伏せグラインドブレードの巨体を丸ごと後方へと吹き飛ばした。

    そしてボールはそのままの勢いで務番学園のゴールネットを激しく揺らした。


    新生雷門中 3 - 2 務番学園

  • 413吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:46:47

    その直後。

    ファースト・オーダーのスタジアムに試合終了を告げる長いホイッスルが高らかに鳴り響いた。


    「やったああああああッ!!」

    マチュが飛び上がって歓喜の声を上げる。

    一護がゴール前で天を仰ぎ、セナが安堵の息を吐く。


    「やりましたね、皆さん……!」

    泥だらけの長岡龍星が座り込んだまま満面の笑みを浮かべた。

  • 414二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 09:48:07

    見事やな…ニコッ

  • 415二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 09:48:23

    因縁がありそうなのにほぼ出番がなかった鬼龍に哀しき過去…

  • 416吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:48:47

    試合が終了し熱狂と狂気が冷めやらぬファースト・オーダースタジアムに重機の駆動音が響き渡る。

    スタジアムの管理ドロイドたちが操る巨大なクレーン車がアームを伸ばし、ピッチの中央に山積みになっていた鉄骨を一つずつ慎重に退かしていく。


    最後の鉄骨が持ち上げられた瞬間、土煙の中から一人の大男がひどく不機嫌そうに歩み出てきた。


    「チッ……おせぇんだよ! 俺の出番、完全に終わっちまったじゃねぇか!」


    アンデスの不落の要塞、テレス・トルーエ。

    時速100キロを超える無人装甲車に撥ね飛ばされ大量の鉄骨の下敷きになっていたにも関わらず彼はピンピンしているどころかユニフォームの砂埃を鬱陶しそうに払う余裕すら見せていた。

  • 417二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 09:50:18

    こんな無法なやつらが1つ町の支配で手一杯なんてそんなのあり?
    このあともっとヤバい奴らでてくるんとちゃう

  • 418吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:52:13

    >>415

    試合展開を最初からあんまり決めずに進めてたらチーム内でも屈指の微妙な活躍になった鬼龍に哀しき現在…

    ヒースクリフも合体技しかさせれなかったから反省っスね

  • 419吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:53:59

    「テレスさん! 無事で何よりです!」

    オムツ姿の長岡龍星が駆け寄り安堵の声を上げる。

    「あははは! ほんとに頑丈だねー!」

    アマテ・ユズリハも笑いながらテレスの背中をバンバンと叩いた。

  • 420吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:55:26

    一方で敗北を喫した務番学園のベンチ周辺は地獄のような惨状と化していた。


    「なぜだ!! なぜ俺の完璧な采配が崩れた!!」


    カイロ・レン監督が十字の赤いオーラを振り回して自陣のベンチやモニター、給水機に至るまで手当たり次第に怒りに任せて粉砕している。

  • 421吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:56:56

    「フン、貴様の癇癪に付き合う気はない。俺の絶頂に泥を塗ったこと、万死に値するぞ」

    ディアボロが忌々しそうに前髪をかき上げ冷酷な視線をカイロに向ける。


    「ゴチャゴチャとうるさいぞ貴様ら! 足手まといどもめ、最初からオレ一人で全員破壊しておけばよかったんだ!」

    ベジータが紫色の闘気を暴走させて周囲の芝を消し飛ばし、それに呼応するようにヒースクリフが「オレに指図すんじゃねぇ!」とバットを振り回して威嚇し合う。

  • 422吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 09:58:12

    「あーあ、やってらんねぇぜクソが」とフラウロスがそっぽを向き、加納則馬が「皆さんのノルマに対する意識が低すぎた結果です!」と説教を始めている。


    圧倒的な暴力と恐怖でまとまっていたはずのチームは敗北という事実の前にあっけなく瓦解し盛大な内輪揉めを繰り広げていた。

  • 423吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 10:02:00

    そこへ悠然と歩み寄る影があった。


    ココココココココ……。


    首を不気味な角度で傾けたサタン・ゴールだ。


    「カイロ監督よ」

  • 424二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 10:03:00

    ついさっき最新まで追いついた…周師匠だ
    務番学園でまともなサッカーしてるの風汰だけなんてそんなんアリ?
    これ以上悪影響受ける前に転校した方がエエんとちゃうん

  • 425吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 10:03:35

    「……なんだ! 敗者の俺を嗤いに来たかサタン!」

    カイロが血走った目で睨みつけるがサタンは口元を隠して穏やかに笑った。


    「いや、礼を言いに来たんでおじゃるよ。鉄骨の雨や時間を消す能力……色々と理不尽極まりない反則だらけの試合であったが、結果として我が新生雷門の生徒たちはその逆境を乗り越えて一回りも二回りも大きく成長できた。立派な当て馬……ゲフン、試練の壁となってくれた事、心から感謝するでおじゃる」

  • 426吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 10:05:35

    「……ッ!! 貴様ァァァ!!」

    カイロの顔が屈辱で真っ赤に染まる。


    「次は必ず! 必ず俺の完璧な采配で貴様らを叩き潰してやる!! お前たち、帰るぞ!!」

    カイロ・レンはマントをバサッと翻し情緒不安定な足取りでスタジアムの奥へと消えていった。それに続くように務番学園の面々もそれぞれに文句を垂れながら引き上げていく。


    宮沢鬼龍だけが去り際に龍星へと冷酷な視線を一度だけ向け、無言で立ち去っていった。龍星もまたその巨大な背中から目を逸らすことなく、静かに見送った。

  • 427吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 10:07:04

    「スピキ! チョワヨー!」

    スピキがベンチから駆け寄りかぼちゃを抱えながら嬉しそうに鳴く。


    「皆さん、本当にお疲れ様でした」

    フランが笑顔で全員を労った。

  • 428吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 10:10:38

    「さて、帰ろうか」

    ブラストが爽やかに笑い、一護が「ああ、やっとこの狂った街から出られるぜ」と斬月を担ぎ直す。


    セナは「最高の儲けになったわ」とご満悦で、メイアとギリスは「愛の勝利だね」と見つめ合い、ココナは「今日は全員、たっぷり睡眠をとること!」と指導し、メイベルは「極上のエンターテインメントだったわ」とボトルを呷っていた。

  • 429吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 10:11:39

    この辺で中断ッ
    インターバル立ててくるのん

  • 430二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 10:13:52

    オツカレーッ

  • 431二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 10:15:07

    >>429

    何時に立てる予定のん?

  • 432吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/04(月) 10:17:35
  • 433二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 10:21:00

    オツカレーッ

  • 434二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 13:18:45

    18:30が楽しみのん

  • 435二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 18:16:54

    >>434

    あと10数分になったっスか…


    時間経つの早ーっス!

  • 436二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 18:26:21
  • 437二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 18:38:40

    このレスは削除されています

  • 438二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 18:41:35

    >>436

    >>437

    はいはいもうええやろ

    たく夜から注文の多いおっさん達やで

    あんまり厳しすぎるのもどうかと思ってんだ

    けんか腰すぎるとスレの空気も悪くなるしな(ヌッ)

  • 439二次元好きの匿名さん26/05/04(月) 23:44:17

    一応保守するのん
    ルシ シマキン オソメと野蛮人が多くてリラックスできませんね そして混乱を呼びそうなスピッキー…!

  • 440二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 07:43:04

    オハヨーッ!!

  • 441二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 09:08:34

    アニキ敵チームは鉄壁のシマキンで守りつつ、まろうこんやタツマキの圧倒的な個の暴力で戦う雷門と同系統のチームなりそうだ
    しかも意外と番外戦術もできる…

  • 442二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 09:21:23

    タツマキとサーナイトとの相性がどうなるか気になるのん

  • 443二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 09:34:23

    ブラスト対策はまろうこんで出来そうでリラックスできますね

  • 444二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 09:48:05

    なんかこのチームだとピンヘッドが監督になりそうなんっスよね

  • 445二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 09:50:22

    メイアVSサーナイトが1番白熱しそう

  • 446二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 10:30:04

    おいコラッ ダイスの当たったキャラの活躍を期待しすぎるなよ
    俺達は吹雪の小説を見て応援することはできても意見することはできないんだぞ
    自我を出さずに調和を保て... 鬼龍のように

  • 447二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 13:22:24

    保守っス

  • 448二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 15:15:12

    今日は休みっスかね?

  • 449吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:03:35

    30分から再開やるけど折恩中登場までは多分進めれない「ロンギヌス」のメンバーとだけ言っておこう

  • 450吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:33:35

    自治都市での激闘から一夜明け、雷門中イレブンが荒野へ帰還する最後の一日。

    出発の準備を整えていた彼らだったが石蕗セナの姿だけがどこにも見当たらなかった。


    「セナの奴がいねぇぞ。出発の時間はとっくに過ぎてるってのに」

    黒崎一護が苛立たしげに斬月を肩に担ぐ。


    「もしかして務番学園の方達に絡まれているのでは……?」

    フランが不安そうにスピキを抱き寄せるが情報を集めてきたブラストがやれやれといった様子で首を振った。


    「いや、どうやらあのファースト・オーダースタジアムの地下にタチの悪い裏カジノがあるらしくてね。そこに彼女の特徴にそっくりな少女が入り浸っているという噂を聞いた」

  • 451吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:36:27

    「裏カジノだと? あいつ、まさか……!」

    テレスが舌打ちをし、雷門の面々は急いでスタジアムの地下深くへと向かった。


    ーー薄暗く紫色のネオンと紫煙が立ち込める地下カジノ。

    その最奥のVIPテーブルでセナは完全に目の焦点をバグらせながらルーレットのテーブルに突っ伏していた。


    「……まだよ。まだ終わってない。次で当てれば全部取り返せる……!」

    セナの前に積まれていたはずのチップは完全に底を尽きている。それどころかテーブルの上には血生臭い「借用書」が何枚も散乱していた。

  • 452吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:38:11

    「オイオイ嬢ちゃん。もう賭けるモンなんてねぇだろ?」

    柄の悪いカジノのディーラーが冷笑する。


    「いいえ、まだあるわ。私の左の腎臓と右の角膜をこのゲームに賭ける! これでデカい勝負ができるでしょ!?」


    「……は?」

    駆けつけた一護はそのあまりにも狂気じみたセナの発言に心底ドン引きして立ち尽くした。

  • 453吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:40:46

    「お前……何言ってんだ?」

    一護が冷や汗を流して顔を引きつらせる。


    「はぁ……。本当に下品で底辺の娯楽ね。見てられないわ」

    メイアが呆れ果ててギリスの背中に隠れる。

  • 454吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:41:15

    その横で春原ココナの身体が怒りのあまり限界を超えて膨張し始めた。


    「学生が……カジノに入り浸り……挙句の果てに自らの臓器を対価にするなど……!」

    ココナの制服がはち切れんばかりの筋骨隆々のマッスルボディが完成し、怒髪天を衝く勢いでディーラーとセナの間に割り込んだ。


    「不健康の極み! 道徳の完全なる崩壊! 万死に値する悪習です!! 今すぐこの不健全な遊戯を破壊し、肉体言語による徹底的な再教育を施します!!」

  • 455吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:43:08

    「ひぃぃぃっ!? な、なんだこの筋肉ダルマは!?」

    裏カジノの屈強な用心棒たちでさえマッスル化したココナの圧倒的なプレッシャーと暴走に恐れをなして道を空けた。


    「ちょ、ちょっと待ってココナ! あと一回! あと一回だけ回させて!!」

    「問答無用です!!」


    ココナはセナの首根っこを太い腕で乱暴に引っ掴むとそのままの勢いでカジノの扉を蹴り破り地上へと引きずり出していった。

    龍星たちもやれやれとため息をつきながら急いでその後を追う。

    色々あったがこうして雷門中は強制的にセナを回収し、なんとか自治都市からの脱出を果たすのだった。

  • 456二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 19:46:01

          ・・・
    ほーらココナちゃんが鬼教官の目になった

  • 457吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:47:40

    一方その頃。

    荒野の彼方、要塞のように堅牢で冷酷な巨大施設が存在した。

    大厄災以降の宇宙を裏から支配する巨大組織「帝国学園」。


    その中枢にある薄暗いモニター室では雷門中と務番学園の激闘のデータが無数のスクリーンにリプレイ映像として流されていた。

    テレスの肉体、化身の激突、そして龍星たちの決死のボディブロック。

  • 458吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:52:21

    それらの映像を特等席のソファで優雅に眺めながら一人の少女が紅茶のカップを揺らしていた。

    ショートボブの濃紺の髪に赤いアンダーリムの眼鏡。可愛らしくも人懐っこい、どこにでもいる中学生のマネージャーのような容姿。


    「ロックですねぇ」


    少女――音無・デスゲーム・春奈は画面の中で勝利に歓喜し互いを称え合う雷門イレブンの姿を見て、楽しそうに微笑んだ。

  • 459二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 19:54:10

    あうっ40年で一切外見が変わってないのかあっ

  • 460吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:55:33

    「絶望的な状況でも決して諦めず、仲間のために身体を張り、最後には理不尽な暴力に打ち勝つ……。ああ、なんて真っ直ぐで美しい友情と努力なんでしょう」


    春奈の口から紡がれる言葉は優しさに満ちていた。


    しかし次の瞬間。


    「……ウッ」

  • 461吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:56:07

    春奈は突如として口元を手で覆い、強烈な吐き気に襲われたようにえずき始めた。

    「オエッ……ダメです。あんなに真っ直ぐで綺麗な心を見ていると……反吐が出そうになります」


    彼女の瞳から優しさが完全に消え失せ底知れぬ狂気とどす黒い悪意が漏れ出した。

    「やっぱりあんな綺麗なものは絶望の底に突き落として醜く無様に互いを裏切りながら死んでいく姿を見ないと……私の心は満たされません」


    音無・デスゲーム・春奈。

    敗北した対戦校のイレブンをデスゲームに強制参加させ、その命が散る様を特等席で眺めるのを至上の趣味とする異常者。

    その正体は40年前にスペースコロニーを40個も地球に落下させ、人類の99%を死滅させた元凶……帝国学園のキャプテンにして現総帥その人である。

  • 462吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 19:58:50

    彼女は老化による衰えを回避するためにあらかじめ用意しておいた若き日の自分自身のクローンに自らの知識と記憶、そして途方もない戦闘力と狂気を移植し続けることでこの40年間君臨し続けてきたのだ。


    「サタンさんも随分と面白いおもちゃを集めたものですね。でも彼らが本当に絶望の淵に立たされた時……想像しただけでワクワクしてきます」


    春奈はハンカチで口元を拭うと再びモニターに向かって愛らしいが残酷極まりない笑顔を向けた。


    「待っていてくださいね、雷門の皆さん。私が最高にロックな死のステージを用意して差し上げますから」


    暗闇の中で赤い眼鏡が怪しく光った。

  • 463吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:02:35

    時計の針は大きく巻き戻り、舞台は大厄災が起こる前――42年前の日本へと移る。


    オーストラリアの空の下、乾いた風が吹く貧困地域。

    スラムの路地裏で泥だらけのボールを無心に蹴り続ける一人の少年がいた。


    日々の生活すらままならない彼に救いの手と「サッカー」という希望を与えたのは世界サッカー協会を運営する組織の一つ『オリオン財団』だった。


    資産家ヴァレンティン・ギリカナンの理念のもと、世界の貧困地域へ支援物資を配給しサッカーの普及に努めるその財団の計らいによりサタンは日本への移住支援を受けることになったのだ。

  • 464吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:03:59

    「サッカーが……僕を新しい世界へ導いてくれる」


    日本の稲妻町へ引っ越したサタンは雷門中学校へと転入する。

    そして彼が真っ先にその扉を叩いたのはもちろん雷門中サッカー部だった。

  • 465吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:08:39

    部室の扉を開けた1年生のサタンを出迎えたのは同じく今年からこの部活に入部したばかりの一癖も二癖もある同級生たちであった。


    「おや、あなたも新入部員ですか。私は宮沢静虎と申します」

    ユニフォームを羽織った静虎が初対面のサタンに深く丁寧なお辞儀をした。その佇まいは中学生とは思えないほど謙虚で底知れぬ温厚さと誠実さを漂わせている。

  • 466吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:12:27

    「おっ、新入りか! 俺は吉野ニコ・ギュール! よろしくな!」

    油まみれのスパイクを工具で弄っていた少女がニカッと笑って立ち上がった。男勝りでぶっきらぼうだがその瞳には仲間を歓迎する純粋な優しさが宿っている。

  • 467吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:15:26

    「歓迎しようサタン殿。私はオメガモン。共にこのフィールドで闇との戦いに終止符を打とうではないか」

    静虎の隣で腕を組んでいたのはどう見ても中学生ではない白いマントをたなびかせた究極の聖騎士型デジモンだった。極めて古風で礼儀正しいが存在感が完全に常軌を逸している。

  • 468吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:16:43

    そして部室のロッカーに寄りかかりカーボンスチール製の投げナイフを弄っていたスタイリッシュな長身の人物がふふっと余裕の笑みを浮かべた。

    「ワタシはバズ。男ばかりのむさ苦しい部活なんて聞いてないけど……まあいいわ。ピッチにナイフの持ち込み禁止なんて言われてないでしょ?」

  • 469吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:18:15

    その同級生たちの顔ぶれを見てサタンの首がゴキリと鳴った。


    ココココココココ……!


    「ガハハハハ! こいつは傑作だ! 我はサタン・ゴール! オーストラリアからこの日本の頂点を取りに来た男だ!」

  • 470二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 20:19:10

    このレスは削除されています

  • 471吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:19:43

    ココココココココ……。


    「……失礼。僕はサタン。色々と複雑な事情があってね。これからよろしく頼むよ」

    すかさず冷静な人格が丁寧に自己紹介をし直した。


    多重人格のオーストラリア人、武術の達人、ジャンク屋の少女、究極体デジモン、そしてナイフ使いのトラッカー。

    雷門中サッカー部の伝説はこの奇妙な出会いから始まったのである。

  • 472吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:21:46

    ――そして1年後。41年前の春。

    サタンたちが2年生に進級し部活にもすっかり馴染んだ頃に新たな1年生たちが雷門の門を叩いた。


    「今日から入部する響木正剛だ。俺がこのチームのゴールを死守してやる!」

    荒々しい口調で凄むリーゼント頭の少年。後にキャプテンとしてチームを引っ張ることになる若き日の響木である。


    「ぼくはジョニィ・ジョースター……。この足でも必ず目的を果たしてみせる。……どんな手段を使ってもだ」

    車椅子に乗りながらもその瞳に漆黒の意思とも呼べる薄暗い覚悟を宿した青年が静かに自己紹介をした。

  • 473吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:23:09

    「みんなよろしくね! 私は愛と正義の魔法少女、憎しみの女王だよ! このサッカー部で一緒に悪を倒しましょう!」

    ステッキを手にした可愛らしい魔法少女がキラキラと輝く笑顔で部員たちに手を振る。


    「バウム! クーヘン!」

    そしてその隣でバウムクーヘンを咥えたまま羽ばたいているのは黄金に輝く神のカード『ラーの翼神竜』だった。

  • 474吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:26:16

    ――さらに時は流れ、サタンたちが最上級生の3年生となった春。

    最後のピースとなる新入生たちが姿を現した。


    部室の扉が開き二足歩行のレッサーパンダが堂々と入ってきた。彼は短い腕を広げて「威嚇のポーズ」を取り、己の身体を大きく見せつけると手首につけたスマート・ウォッチを自慢げに見せびらかした。


    「僕はSARU。よろしく頼むよ」

    そのレッサーパンダの背後から飄々とした態度の少年、サリュー・エヴァンが姿を現す。彼は自らが250年後の未来から来たフェーダの皇帝でセカンドステージ・チルドレンであるという正体を隠し、人懐っこい笑みを浮かべた。

  • 475吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:30:27

    「俺はマネモブだあっ!」

    最後に部室へ飛び込んできたのはひどく興奮した様子の美少女だった。

    「フランチェスカを絶対にハイグレ人間にする哀しき過去…を背負ってここへ来たんだァ」


    「アハハハハ! なにそれ、私をハイグレにする? 最高に面白い冗談ね! あなたにそれができるかしら?」

    マネモブの視線の先にはいつの間にかマネージャーとして部室に居座っていた少女、フランチェスカ・プレラーティがいた。彼女は人を食ったような笑みを浮かべてマネモブを煽る。

  • 476吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:33:13

    「なにっ ワシを愚弄するかあっ!」


    「悪巧みは許さないわよ! 私が愛と正義の名のもとにあなたを断罪するわ!!」

    それを聞いた憎しみの女王が突如としてヒステリックに豹変しステッキを振り回して暴れ始めた。


    「こらこら、部室内での争いは感心しませんよ」

  • 477吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:33:58

    その時だった。

    騒ぎの中心となっていた部室の扉が外から力強く開け放たれた。


    「――お前らが今年の雷門サッカー部だな!」


    ピタリと全員の動きが止まる。

    そこに立っていたのは10年前に日本サッカーリーグのプロ選手として活躍し引退したばかりの精悍な顔つきの男だった。彼こそが円堂大介である。

  • 478吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:36:45

    大介は部室の凄まじい惨状と人外が入り混じる異常な光景を前にしても全く怯むことはなかった。それどころかその瞳に熱い炎を灯し豪快に笑ってみせた。


    「俺は今日からお前たちの監督を務める円堂大介だ! 見たところどいつもこいつもとんでもねぇパワーを秘めてやがるな!」


    大介は部室の中央へと歩み寄り全員の顔を力強く見渡した。


    「いいかお前ら! どんなバケモノだろうがどんな過去を背負っていようがピッチに立てば一人のサッカープレイヤーだ! 俺がお前たちを鍛え上げて最強のチームにしてやる! さあ、サッカーやろうぜ!!」


    この瞬間。伝説のチーム『イナズマイレブン』がついにその完全な産声を上げたのである。

  • 479吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/05(火) 20:39:14

    中断を超えた中断
    殆どOBと春奈の掘り下げでごめんなあっ
    おそらく次回更新から折恩中が出てくると思われるが…

  • 480二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 20:44:46

    >>463

    オリオン財団が存在した…いよいよ染谷兄弟の実力が本物になる

  • 481二次元好きの匿名さん26/05/05(火) 22:10:23

    >>463

    次回、まさかの過去と強い関わり合いのある戦いになるのん?

  • 482吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 06:48:38

    折恩中戦の大まかな展開を決めたから夜には更新出来るんじゃねえかなと思ってんだ

    話のストックとアイデアはため込まずにさっさと出した方が健康的だよね

    どうでもいいけどスピッキーがイナイレの技で一番使いそうな雰囲気あるのはトレースプレス

  • 483二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 12:31:27

    保守するんだ…鬼龍のように

  • 484二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 15:37:31

    >>480

    染谷兄弟がどんな活躍をするか楽しみのん

  • 485二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 18:56:11

    保守してやるのさ

  • 486吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:31:26

    務番学園との死闘から数週間の時が流れた。


    荒野の朝は早い。乾いた風がバラックの隙間を吹き抜ける中で長岡龍星は規則正しく目を覚ました。


    「ふぅ……。今日もオムツのフィット感は完璧ですね。排泄によるロスがないということがこれほどまでに心身を軽くするとは」


    身支度を整えた龍星は数日前の出来事を思い返す。

  • 487吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:32:24

    務番学園との試合後に彼は恩人である宮沢静虎の道場を訪ねていた。

    サタン・ゴールは決して狂人になったわけではなく純粋にこの荒廃した世界で再び雷門の熱いサッカーを復活させようとしていること。そして実父である宮沢鬼龍と遭遇したことや自分が化け物の力に頼らず一人の人間としてサッカーをすると決意したことを報告したのだ。

    静虎は深く頷き「あなたの選んだ道を信じていますよ」と温かく背中を押してくれた。


    「静虎さんの期待に応えるためにも僕はもっと強くならなければいけません」

  • 488二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 21:34:06

    このレスは削除されています

  • 489吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:36:39

    龍星はふと空を見上げた。


    今日はサタン校長からの招集がかかっていない日である。

    雷門イレブンとしての活動が休みとなると龍星は手持ち無沙汰になってしまった。


    「そういえば……他の皆さんは普段何をして過ごしているのでしょうか」


    アマテ・ユズリハはどこかの瓦礫を遊び場にして飛び回っていそうだし、春原ココナは不健康な生活をしている大人を見つけては肉体言語で説教をしていそうだ。石蕗セナに至ってはまた懲りずに裏ギャンブルに首を突っ込んでいるに違いない。


    「あまり関わりたくない人種も多いですが……黒崎一護さんあたりは比較的常識人の部類に入るはず。彼が休日に何をしているのかは少し気になりますね」

  • 490吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:37:14

    一護は死神代行という肩書きこそ物騒だが面倒見が良く、チームの中でも数少ないまともな感性の持ち主だった。彼とサッカーの戦術や今後のチームについて語り合うのも悪くないと龍星は考えた。


    しかし、いざ一護を訪ねようにも彼が普段どこを拠点にしているのかを知らないことに気がついた。


    「とりあえず雷門の集合場所に行ってみましょう。誰かいるかもしれませんし手がかりくらいは掴めるはずです」


    龍星は特殊オムツで膨らんだ腰回りを軽く叩き、乾いた荒野を歩き出した。

  • 491二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 21:37:48

    やっぱうんこがデバフなような……?

  • 492吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:39:16

    しばらく歩き、何もない砂埃の舞う青空教室……雷門中の跡地に到着する。

    そこには一護の姿はなかったが瓦礫の上にポツンと座り虚空を見つめている一人の男の姿があった。


    「おや……」


    首を右に大きく傾けて穏やかな笑みを浮かべている雷門中の創設者、サタン・ゴール。

  • 493吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:41:54

    瓦礫の上に座るサタンに龍星は静かに歩み寄った。


    「サタンさん。奇遇ですね、休日にこんな場所にいるとは」


    ココココココココ……。


    首を右に傾けたままサタンの冷静な人格が穏やかな声で答える。


    「やあ龍星くん。僕も少し先の予定について考え事をしていてね。君こそ今日は特訓の予定はないはずだが何か用かい?」

  • 494吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:44:02

    「ええ。一護さんが普段何をしているのか気になりまして。彼と少し今後のチームのことや戦術について語り合おうかと思い居場所を探していたんです。どこにいるかご存知ですか?」


    龍星の問いにサタンは少し考える素振りを見せた後、荒野の西側を指差した。


    「黒崎くんならここから少し歩いた西の居住区の端にある旧時代の廃ビルを拠点にしていると聞いたよ。彼はああ見えてとても面倒見がいいからスラムの子供たちの相手でもしているんじゃないかな」


    「なるほど、西の居住区ですね。ありがとうございます」


    龍星が一礼して立ち去ろうとした時、サタンがふと思い出したように声をかけた。


    「待ってくれ龍星くん。ちょうどいいところに居合わせてくれた。君にも一つ新しい情報を伝えておこう」

  • 495吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:45:48

    「新しい情報、ですか?」


    サタンは立ち上がり乾いた風に髪を揺らしながら遠くを見つめた。


    「実は昨日、務番学園のあった自治都市とはまた別の遠く離れた都市を拠点とするチームから我々新生雷門と試合がしたいという招待状が届いてね。日程は数日後を希望しているらしい」


    「ほう。先日の務番学園との一件で我々の噂が他の都市にも広まったというわけですか。そのチームの名は?」

  • 496吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:48:40

    「折恩中というそうだ」


    サタンの言葉に龍星は少し首を傾げた。


    「折恩中……奇妙な名前ですね」


    「ああ。僕にとっても因縁めいた響きの名前でね。もちろんこの挑戦は受けるつもりだ。後で全員に正式な招集をかけるが君もそのつもりで準備をしておいてくれたまえ」

  • 497吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:49:06

    「分かりました。相手がどこであろうと一人の人間として僕のサッカーを叩きつけるだけです」


    龍星は爽やかに笑い力強く頷いた。


    数日後に控える新たな都市での試合、そして折恩中という見知らぬチーム。サタンの言う因縁という言葉が少し気にはなったが、胸の奥で静かに闘志を燃やしながら龍星は一護のいるという西の居住区の廃ビルへと向かって歩き出した。

  • 498吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:52:00

    荒野を抜けて一護のいるという西の居住区へと続く道を歩いていた龍星はふと背後から近づいてくる奇妙な足音に気がついて足を止めた。


    「……こんなところで何をしているのですか。務番学園の」


    振り返った先に立っていたのは数日前の試合で戦った務番学園の黒岩クローンだった。サングラスをピカピカと明滅させながらぎこちない動きで龍星に近づいてくる。


    「ワタシハ サッカーノ カミダ……。オマエタチノ チカラ、タシカニ ミトメタ。……ダカラコレヲ、オマエニ アズケル」


    黒岩クローンはそう告げると懐から無骨なデータパッドのようなものを取り出して強引に龍星の胸に押し付けてきた。

  • 499吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:54:12

    「これは……秘伝書ですか?」


    「ソウダ。ワタシノ トッテオキノ ヒサツワザダ……。ヤクニ タテロ」


    それだけ言うと黒岩は再びカシャカシャと機械的な足音を立てながら荒野の彼方へと去っていった。一体何の目的でわざわざ敵であった自分に技を渡しに来たのかは不明だが、彼なりの歪んだリスペクトなのかもしれない。

  • 500吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:56:45

    龍星は押し付けられたデータパッドの電源を入れ、そこに記された秘伝書の内容を軽く読み進めた。


    そこには【RC(リアルカート)・ストライク】という必殺技の名称が記されていた。


    「虚空から魔改造を施した装甲車を呼び出し、そこにボールを乗せて相手のゴールへと突撃させる禁断のシュート技……。運転は使用者のクローンが自動で行うため本人は蹴った直後に次の行動へ移ることができる……」


    龍星は文章を読み進め、さらにその下に書かれた『付加効果』の項目を見て顔を引きつらせた。


    「……シュートが通過した後のフィールドには大量の鉄骨が無差別にばら撒かれ相手の守備陣形やピッチの環境を物理的に破壊する……ですか」

  • 501吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 21:58:35

    龍星はデータパッドから目を離し遠くの空を見上げた。


    「……なるほど。あの試合の後半開始直後にテレスさんを撥ね飛ばした上に鉄骨の山で生き埋めにしたあの現象はこの技を応用した反則だったというわけですね」


    あの時のテレスのブチギレ具合とわけのわからない状況に混乱した雷門イレブンの姿が脳裏をよぎる。もし自分がピッチでこの技を使えば敵を粉砕する前に味方であるテレスから「てめぇ、あの時の車と鉄骨はお前の仕業だったのか!」と理不尽な誤解を受け、殺意の籠もったタックルを見舞われる光景が容易に想像できた。

  • 502二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 21:58:45

    いつ見ても酷い効果だな!

  • 503吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:00:13

    「サッカーの技と呼んでいいのかすら怪しい極めて悪質な代物ですね……。それに人間の力だけで戦うと決めた僕の美学にも反するような気がします」


    龍星は複雑な表情でデータパッドを見つめたがやがてそれを自身のポケットへとしまい込んだ。


    「とはいえ頂点を目指す上で知識や手札は多いに越したことはありません。僕の頭脳をもってすればこの鉄骨ばら撒きシステムをより安全で実用的な形に改良できる可能性もありますからね。ありがたく受け取っておきましょう」


    予想外の収穫を得た龍星は再びオムツの重みを感じながら一護のいる廃ビルを目指して歩みを再開した。

  • 504吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:01:49

    西の居住区の端。崩れかけた廃ビルに足を踏み入れると鋭く空気を切り裂く音が響いてきた。


    「ふっ! しっ!」


    広けたスペースで黒崎一護が巨大な斬月を振るい黙々と素振りの鍛錬を行っていた。その鋭いスイングからは微かな霊圧の残滓が感じられる。

  • 505吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:03:24

    「一護さん、こんにちは」


    龍星が声をかけると一護はピタリと斬月の動きを止め振り返った。


    「龍星じゃねぇか。どうしたんだこんなとこまで」


    「今日はオフですが一護さんが普段何をしているのか気になりましてね。少しお話しでもどうかと思いサタンさんに居場所を聞いて来たんです」


    龍星が丁寧に一礼すると一護は斬月を肩に担ぎ直し「わざわざご苦労なこったな」と少し呆れたように笑いながらも瓦礫の破片に腰を下ろして彼を迎え入れた。

  • 506吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:05:29

    二人はこれからの雷門の戦術やサタンから聞いたばかりの折恩中との試合のことなどを語り合った。一護はキャプテンとしてチームメイトの特性を実によく見ており龍星の理詰めの分析にも真剣に耳を傾けてくれた。


    一通り話し終えた後に龍星はふと前から気になっていた疑問を口にした。


    「一護さん。あなたのその凄まじい霊圧と身体能力があれば前線で点を取りに行くFWとしても圧倒的な力を発揮できるはずです。なぜあなたは一番後ろでゴールを守るGKを選んだのですか?」

  • 507吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:07:11

    龍星の問いに一護は少しだけ目を丸くし自嘲気味にフッと息を吐いた。


    「……なんで、か。まあ確かに俺も点を取りに行くのは嫌いじゃねぇけどよ」


    一護は肩に担いだ斬月の柄をポンと叩き廃ビルの崩れた天井から見える荒野の空を見上げた。


    「俺の名前の『一護』ってのはな、『一つのものを護り通す』って意味なんだとよ。昔親父が教えてくれた。俺はガキの頃から自分の手が届く連中を護りたくて……ただそれだけでずっと戦ってきたんだ」

  • 508吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:09:14

    その瞳には大切な者たちを護り抜いてきた確かな凄みと生来のお人好しな優しさが宿っていた。


    「サッカーでも同じだ。キーパーってのはチームの一番後ろにいて全員の背中を見渡せる場所だろ。テレスみたいに前で身体を張ってくれる奴もいるがそれでも抜けちまう絶望的なシュートは必ず飛んでくる。そういう時に俺が一番後ろのゴールマウスで全部叩き斬って弾き返せば前の奴らは安心して背中を預けて攻め上がれる」


    一護は立ち上がり斬月の切先を軽く地面に突き立てた。


    「チームのゴールってのはマチュやテレス、お前たち全員の想いが繋がった絶対に譲れねぇ場所だ。それを最後の最後で護り抜くのが俺の戦い方……俺のやりたいサッカーなんだよ」

  • 509吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:10:49

    護るために戦う。

    そのシンプルで何よりも強靭な意志に龍星はハッとした。己の力を誇示し相手をねじ伏せることばかりを考えていたかつての自分とは対極にある誰かのための強さ。


    「……なるほど。一護さんのそのブレない強さの根源が、少しわかった気がします」


    龍星は深く頷き一護に対して確かな敬意を込めて微笑んだ。一人の人間として戦うと決めた龍星にとって一護のその真っ直ぐな言葉は眩しく、そして心地の良いものに感じられた。

  • 510吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:22:53

    その時。


    廃ビルの奥から静かでどこか物悲しいハーモニカの旋律が響いてきた。


    「……ん?」

    一護が眉をひそめ斬月の柄に手をかける。

    龍星もまた、即座に警戒態勢をとり旋律が聞こえてくる瓦礫の陰へと視線を向けた。

  • 511吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:23:38

    「いいお話のところお邪魔をして申し訳ありません。ですが少しだけお耳を拝借できますか」


    ハーモニカの音が止み、瓦礫の陰から一人の少女が姿を現した。

    整った顔立ちにはどこか達観したようなあるいは皮肉めいた薄い笑みが浮かんでいる。


    「こんな場所に何の用だ」

    一護が鋭く問いただすと少女は立ち止まりゆっくりと一礼した。


    「申し訳ありません、挨拶が遅れましたね。私は梯スバル。あなたたち雷門中が数日後に試合をすることになっているチーム……折恩中の者です」

  • 512二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 22:24:11

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  • 513吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:24:37

    「折恩中……サタンさんが言っていた対戦相手ですか」

    龍星が目を細める。


    「ええ。今日は偵察……というよりは交渉に参りました」

    スバルはハーモニカをポケットにしまい、二人を静かに見据えた。


    「単刀直入に申し上げます。数日後の公式戦、棄権していただけませんか?」

  • 514二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 22:25:49

    えっ な…なんだあっ

  • 515吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:26:55

    その言葉に一護と龍星は呆気にとられた。


    「……はあ? 棄権だと?」

    一護が心底理解できないというように聞き返す。


    スバルは表情を崩さず淡々と語り続けた。

    「あなたたちと務番学園との試合のデータはこちらでも拝見させていただきました。見事な健闘だったと思います。……ですが私たちの折恩中とまともにぶつかればあなたたちは決して無事では済みません。重傷者が出て最悪の場合チームそのものが崩壊するでしょう」


    スバルは小さくため息をつきやれやれといったふうに肩をすくめた。

    「無駄に傷つき無益な結果を招くよりもここで不戦敗を受け入れた方がお互いにとって無駄なリソースや労力を消費せずに済む。非常に合理的で血も流れない平和的な解決手段だと思いませんか?」

  • 516吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:28:24

    だがそんな理屈が目の前の二人に通じるはずもなかった。


    「……ふざけんな。戦う前から尻尾巻いて逃げ出すような奴らを護るために俺はキーパーやってんじゃねぇんだよ」

    一護が斬月を肩に担ぎ直し、スバルを真っ直ぐに睨みつけた。

    「どんだけヤベー連中が相手だろうがピッチに立つ前から負けを認める気はねぇ」


    「僕も一護さんと同意見です」

    龍星もまた不敵な笑みを浮かべた。

    「無駄な損害を避けるというあなたの交渉術は理にかなっています。ですが僕たちの誇りと闘志を削ぐには少々言葉が足りませんね。それに僕のサッカーが通用しない相手など存在しませんから」

  • 517吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:30:03

    二人の明確な拒絶の意志を受けてスバルはわずかに目を伏せた。


    「……そうですか。交渉決裂というわけですね。残念です。誰も血を流さずに済む一番賢い選択だと思ったのですが」


    スバルはそれ以上食い下がることはしなかった。


    「忠告はしましたからね。この先どんな残酷な結末が待っていようとそれはあなたたちが自ら選んだことです。後悔のないように」

  • 518吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:31:21

    スバルは踵を返し来た道を戻り始める。


    「それでは数日後の試合でお会いしましょう。黒崎一護さん、長岡龍星さん」


    再び静かなハーモニカの旋律を響かせながら梯スバルは廃ビルの暗がりへと姿を消していった。


    「……なんだあいつ。わざわざ棄権しろって言いに来たのかよ」

    一護が気怠げに首を鳴らす。


    「平和的解決を装ってはいましたが裏を返せば僕たちが束になっても勝てないという絶対的な自信の表れでしょう」

    龍星がスバルの消えた方を見据え気を引き締めるように言った。

  • 519吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 22:38:01

    そして折恩中との試合当日。


    荒野にある雷門中の跡地に集まったイレブンたちは出発前のミーティングの場で思いがけない事実を共有していた。


    「えっ、一護とウンコマンのところにもあのハーモニカの子が来たの? 私のところにも来たよ!『怪我をする前に棄権した方が合理的ですよ』って!」

    アマテ・ユズリハが驚いたように声を上げる。


    「私のところにも来ました! 戦う前から逃げ出すなど不健全の極みです! 私はその場で徹底的な肉体言語による指導をしようとしたのですが彼女はスッと煙のように消えてしまいました」

    春原ココナが腕を組み憤慨している。


    どうやら梯スバルは雷門のメンバー全員の元を訪れ個別に棄権を促して回っていたらしい。

  • 520吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:15:41

    「どいつもこいつも……」

    テレス・トルーエが首を鳴らして凄む。


    「相手がどんな理屈を並べようと私たちのやるべきことは変わらない。さっさと折恩中とやらを片付けてしまおう」

    グランベリアが剣の柄に手を当てて静かに闘志を燃やした。

  • 521吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:16:30

    そんな中で首を右に傾けたサタン・ゴールが腕を組みながら口を開いた。


    ココココココココ……。


    「皆の士気が高いのは結構なことだ。ところで僕から一つ報告がある」

    サタンの冷静な人格がいつになく真剣な表情で言った。

    「折恩中……『オリオン』。僕にとってこの名前はひどく因縁深いものでね。僕にサッカーと日本への道を開いてくれた慈善組織『オリオン財団』。彼らがこのチームと何か関係しているのではないかと数日間で僕の持てる情報網をすべて使って徹底的に調べてみたんだ」

  • 522吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:19:44

    「どうだったんですか?」

    龍星が尋ねる。


    サタンは小さく首を横に振った。

    「結論から言うと全くの無関係だ。かつてのオリオン財団は40年前に完全に消滅して現存していないことが分かった。折恩中という名前はただの偶然の一致、あるいは過去の記録から名前だけを拝借した別組織だろう」


    「フフ…サタン校長の感傷も空振りだったってわけね。でも得体の知れない相手が待ち構えていることには変わりないわ」

    メイベルが紫色のジュースを揺らしながら妖しく笑った。

  • 523吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:21:29

    「スピキ! ウワアアアア! デルジバゼヨ! チョワヨー!」

    監督のスピキがフランに抱かれながらも短い前足を懸命に振って鳴き声を上げた。


    「スピキ監督も『相手がどんな人たちでも雷門の皆なら絶対に勝てます! スピキも一生懸命応援します!』と言っています」

    フランが通訳し皆の背中を押す。

  • 524吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:22:28

    「よし、行くぞお前ら! どんな罠が待っていようが俺が全部叩き斬ってやる!」

    一護が斬月を肩に担ぎ上げ先頭に立って歩き出した。


    こうして雷門中イレブンは新たな激闘の舞台となる折恩中の本拠地、見知らぬ自治都市へと向けて出発したのだった。

  • 525吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:27:03

    荒野を抜けて指定された座標に到着した雷門中イレブンは目の前に広がる光景に思わず足を止めた。


    大厄災から40年が経過したこの時代において目の前にある「折恩中」の校舎は異常なほどに綺麗で整っていたのだ。


    ひび割れの少ない白壁、太陽の光を反射するガラス窓、そして青々と手入れされた芝生のグラウンド。まるで平和な時代の学校がそのままタイムスリップしてきたかのような異様な美しさだった。


    「すごい……! 本当の学校みたいだね!」

    アマテ・ユズリハが目を輝かせて校舎を見上げる。

  • 526吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:27:56

    「ええ、見事な施設です。これだけの環境を維持するには相当な資産と管理能力が必要なはずですが……」

    長岡龍星が顎に手を当てその立派な校舎を分析する。


    「フフフッ。綺麗すぎて逆に気味が悪いくらいね」

    メイベルが妖しく笑う。


    「スピキ! チョワヨー!」

    スピキも綺麗な芝生を見て嬉しそうにかぼちゃを抱きしめている。

  • 527吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:32:25

    雷門の面々がグラウンドに足を踏み入れたその時。


    「へっへっへ……よく来たな雷門!」


    校舎のエントランスからこの平和的な景観にはおよそ似つかわしくない世紀末の空気を全身に纏った男が歩み出てきた。

    肩にトゲのついた革ジャンを羽織り顔の上半分を異様な鉄のヘルメットで隠した大男。

  • 528吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:32:54

    「誰だあんた。どっかの暴走族のヘッドか?」

    黒崎一護が斬月を肩に担いだまま、胡散臭そうに男を睨む。


    「貴様ら、俺様を誰だと思ってる! この俺こそが折恩中の監督、ジャギ様だ!」

    ジャギが自身を親指で指差し、チンピラ丸出しの暴力的で悪辣な口調で怒鳴りつけた。

  • 529吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:34:28

    「へぇ……てっきりもっとインテリっぽいのが出てくるかと思ったんだけど」

    石蕗セナが呆れたようにイヤホンを外す。


    「なんだと! 俺のセンスに文句があるってのか!」


    「いえ、決してそのようなつもりはありませんよ」

    龍星がスッと前に出て一礼した。

    「この時代にこれほど素晴らしい教育環境とグラウンドを維持されていること、一人のサッカープレイヤーとして素直に敬意を表します。あなたの管理能力と生徒たちを思う面倒見の良さの賜物なのでしょう。実に見事です」

  • 530二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 23:35:07

    >>528

    監督おのれかい!ジャギ!

  • 531吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:36:37

    「……おっ?」


    龍星の真っ直ぐな称賛の言葉に、ジャギの態度がピタリと止まった。

    ヘルメットの奥の目がわずかに泳ぎ、「お、おう……わかってるじゃねぇか。俺様にかかればこんな校舎の維持くらい朝飯前だからな!」と急に気を良くして鼻の下を擦るような仕草を見せる。


    だが。

    次の瞬間、ジャギはハッとしたように首を振り再びヘルメットの奥から鋭く悪辣な視線を龍星たちに向けた。


    「……チッ、安いお世辞で俺様を丸め込もうとしても無駄だぞ! 試合は試合だ!」

  • 532吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:38:54

    まるで「どうしてもこの試合で雷門を確実に潰さなければならない」という強い強迫観念に駆られているかのようにジャギは強引に話を進め始めた。


    「だがまぁ遠いところをわざわざ来てやったんだ。試合の前に俺が直々に手厚いもてなしをしてやるよ」


    ジャギがニヤニヤと笑いながら指を鳴らすと折恩中の生徒と思しき者たちがグラウンドの端にテーブルを運び込み、そこに次々と豪華な料理を並べ始めたのだ。


    「おおっ!? ご飯だ! すっごいいい匂いがする!」

    ルビー・ローズがクレセント・ローズを背負ったまま料理の山を見てよだれを拭う。

  • 533吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:40:36

    「なんだこりゃ。試合の前に腹ごしらえってか?」

    テレス・トルーエが怪訝そうな顔でテーブルの上の肉やスープを見下ろす。


    「さあ貴様ら! 俺が用意した特製の料理だ! 遠慮せずに腹いっぱい食いな!」

    ジャギが両手を広げてわざとらしく胡散臭い笑顔で食事を勧めてくる。


    誰がどう見ても怪しすぎる直前の食事の誘い。

    豪華な校舎と監督が仕掛ける見え透いた罠を前に雷門中イレブンは警戒心を露わにしてグラウンドに立ち尽くしていた。

  • 534吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/06(水) 23:46:28

    余談
    別に安価カテだから猿語録使わないで良いけどここ最近で語録を使わない反応に蕁麻疹出そうになったから多分次スレはタフカテで立てる
    失礼なことを言っているのはわかるが許してほしい…

  • 535二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 23:51:50

    >>534

    では、せめてその時は宣伝してくれっス!

  • 536二次元好きの匿名さん26/05/06(水) 23:58:27

    >>535

    お前みたいなろくに語録も使えずにっスっスうるせえカス野郎のことだよ

    自覚して永遠に超次元サッカースレに関わるんじゃねえ蛆 虫野郎 もう死んでくれって思ったね

  • 537吹雪士郎◆Uyb09LitdeWt26/05/07(木) 00:00:31

    >>536

    それはそれとしてこのスレ立てた後に回線のIP変わっちゃって管理出来なくなってるから変に火種を残すのはやめろッぼうっ

スレッドは5/7 10:00頃に落ちます

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