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灯織「結華さんと千雪さんが大喧嘩に……!?」/Novel by あおば

灯織「結華さんと千雪さんが大喧嘩に……!?」

3,241 character(s)6 mins

――反応は平衡に達する。

どうもです。あおばです。
「三峰結華 出身:福島県」「桑山千雪 出身:山口県」→あっ……(察し)
から始まった小説です。

おっかなびっくりホームユニットで組ませてみましたが、別になんともないようで安心しました。険悪なのはむしろにちルカです……
作中でも触れましたが内紛自体150年前のことですし、福島県も広く、また曲解された部分も多いようなので、「福島と山口は仲が悪い」はほぼ迷信なんだそうです(福島出身の知人談)。

でも「受けたご恩はきっちり覚えておりますよ?」という三峰のセリフを聞くと、あぁ会津精神が三峰にもあるんだなぁと少し感心します。偶然かもしれませんけど。
出身地プッシュをしているアイドルは他にこがたんと羽那くらい?名古屋弁を喋る夏葉も見てみたいですね。……自分で書くか。

~シャニマスプレイメモリー~
思い出++のノウハウが出ないよ……

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「考えすぎだと思うけど。」
円香には一蹴されたが、灯織の恐怖はそれで霧散するような簡単なものではない。
「えぇ!?なんでですか!?結華さんと千雪さん、何かあったんですか……?」
一方こちらは所以にさっぱり心当たりがない果穂である。――正直、果穂のように知らない人は知らないし、円香のように気にならない人は気にならない。そんな問題。
だが、灯織にとってはそんな問題で済まない――正確には済まない「可能性がある」程度だが、ゼロではない以上否定もできないから灯織にとっては怖いのだ。
「……灯織。」
「は、はいっ!?」
「果穂に説明くらいしてやったらどうなの。首傾げてる。」
「……あ、えーと。」
どこから説明しようか、と灯織は少し逡巡して、大元の問題から問いかけることにした。
「……果穂は、福島県民と山口県民が仲悪いって噂、知ってる?」
「え、えぇ!?知りません……なんでですか?」
「えぇと……じゃあ戊辰戦争って習った?」
「ぼしん、せんそう……?うーん、まだ授業はそこまで進んでないです……」
「そっか……」
どうしよう、本当にどこから説明しよう、と迷う灯織は、思わずSOSにも似たような視線を円香に投げつけていた。
「はぁ……」
それに気づいた円香が少しだけため息をついて、切り出す。

「江戸時代は知ってる?」
「はい!それなら有名ですよね!」
「うん。それで江戸時代に政権を握っていた江戸幕府が倒れてから明治時代に入ったんだけど、そのときに大きな戦争があったの。」
「戦争……?どこかから攻められたんですか?」
首を傾げた果穂に、円香はふるふると首を振ってみせる。
「日本の中で2つに割れた。例えば……クラスがまとまらなくて2つに割れちゃって、そこの間で喧嘩してる、そんな感じ。」
「同士討ちじゃないですか!」
特撮には詳しい果穂。「同士討ち」は比較的馴染みがある単語だった。
「そう。その中で長州、土佐、薩摩……今の山口、高知、鹿児島が先頭に立った新政府軍と、福島県の会津が衝突してるの。」
「えぇ……!」
ここまできたらあとは自分でできるでしょ、と言うように、円香は灯織に目配せした。灯織も目だけで円香に感謝し、その次を繋ぐ。
「それで……会津は新政府軍の前に負けて、まだ10代……私たちくらいで新政府軍と戦った若者とか、あと女性が大勢自分で命を絶ったの。それが……戊辰戦争。」
日本の内戦、会津若松の惨劇、会津の犠牲者――3,000人弱。150年前の事実。

「昔、そんなことがあったんですね……!それで福島の人は山口の人を……」
「そう……で、結華さんと千雪さんに戻るけど、結華さんは福島出身で千雪さんは山口出身……それでもしかしたら、って。」
「ひえ……!」
ここまで聞いてついに身の毛がよだつ果穂。
「……脅してどうするのさ。」
「いや、別に私は脅したかったわけじゃ……!」
「怖がってるじゃん、現に。」
「それは……そうですけど……でも!」
「……はいはい。」
埒が明かない、と思ったのか円香は果穂を手招いて耳打ちした。
「果穂、さっき高知って出てきたじゃん。――白瀬さんも高知出身。」
……わざと灯織にも聞こえるように。
「えぇぇ!?」
「ちょ、何焚きつけてるんですか!?」
「じゃ、じゃあ結華さんと千雪さん、咲耶さんって本当は会わせちゃいけないんじゃないですか!?」
「……かもね」
「うわぁ……!」
「ちょ、ちょっと樋口さん!!」
ある意味事態をややこしい方向に捻じ曲げた円香だが、悪びれる様子もなく飄々と笑っている。そのとき――
「おっつかれさまでーす!」
「「!!!?」」
よりによってこのタイミングで入ってきたのは、他ならぬ三峰結華本人である。
「お疲れ様です。……桑山さんがどこにいらっしゃるか、ご存じないですか。」
「え?三峰は知らないけど……何か用?」
「この子たちが桑山さんに用があるみたいで。」
「あー、なるほどー?……ごめんね、力になれなくて。」
灯織と果穂の方に向き直って謝る結華に、2人は慌てて手を振りながら答える。
「ああいえ!べ、別にそんな急ぎの用事じゃないので……」
「は、はい!というかすっごく個人的なことなので!」
2人は願っていた。可能ならばこの場に千雪ないし咲耶が現れないことを。さもなくば事務所を灰燼と化すような大戦争になりかねないと、誇張抜きで確信していた。――いくらなんでも大袈裟ではあるが。

だが、こういうときに限ってというものだろうか――2人の願いは運悪く外れてしまう。
「お疲れ様で~す!」
「「!!!!!!!!!」」
「お疲れ様です。」
「お疲れ様です!!あ、千雪姉さん、果穂ちゃんとひおりんがお呼びのようですよ?」
「あら?2人とも何かあったの?」
だが2人は縮こまってばかりで答えられない。最も恐ろしいコンビが実現してしまったのだから。
その様子を横で見ている、そしてすべてを知っている円香は小さく息をついて、2人にあっけらかんと切り出す。
「お二人は、お互いの出身地ってご存じなんですか。」
それを聞いてしまって灯織と果穂は大混乱状態である。
(ぎゃーっ!やめてください円香さんーっ!)
(樋口さん!!!なぜ自ら地雷原に突っ込むようなことを……!)
だが何も――お互いの出身地も――知らない2人は、ただただ首を傾げるばかりだ。
「え?うーん……結華ちゃん、どこだっけ?」
「三峰は福島だけど……千雪姉さんは?」
「私は山口……」
終わった、と2人は揃って天を仰ぐ。
「あー……」
刹那、結華は裏を読み取り声を上げる。
「……大丈夫だよ?果穂ちゃん、ひおりん。別に三峰、千雪姉さんのこと恨まないし?」
「え……ほ、本当ですか!?」
ほっと胸をなでおろす果穂と、思わず前のめりになる灯織。
「えっと……?」
「これあれでしょ?福島県民と山口県民が仲悪いっていう迷信。」
「あ、そういうこと……!ふふっ、私も別になんとも思ってないわよ。」
「め、迷信……」
当の福島県民の口から「迷信」と聞けたことで、灯織もようやく安堵に満たされた。
「もちろん嫌いな人はいると思うよ?けどそれは個人の範疇であって、福島県民どころか会津の人も揃って山口を嫌いってわけじゃないし。それに福島も広いからね~。迷信だよ、迷信!」
「山口の方でも話は聞いたことあるけど、実際にみんなが嫌ってるわけじゃないし……福島、いいところだと思うわよ?」
「おぉっ!千雪姉さんからのありがたいお褒めの言葉……!」
福島と山口のわだかまりはないに等しいことは分かった。であれば……と思い、灯織はもう一つの懸案事項を結華に聞く。
「じゃあ、福島と高知は……?咲耶さんは高知県出身みたいですが……」
こちらも結華はケラケラと笑って否定した。
「あっははー、ないない!むしろさくやんのこと嫌ってたらアンティーカが成り立たないって!」
「! そ、そうか、ですよね……!」
「というかむしろ高知は戦後処理で会津を優遇したんだよ?本気で嫌う理由はないと思うなぁ。……鹿児島もね、西南戦争の鎮圧に会津の人が助太刀して恨みを晴らしたって認識らしいからね。とにかく、山口の件も含めて全部迷信です!少なくとも三峰は嫌っていません!」
はっきりと結華は迷信だと断定して否定した。
「ね、考えすぎでしょ。」
ずっと横で見ていた円香が不敵に笑った。
「で、でもでも!円香さんだって変に盛り上げたじゃないですか……!」
果穂の指摘ももっともであった。
「そうだね。盛り上げた。迷信だって分かってたし。」
「だったら早く言ってくれてもいいじゃないですかー……!あたし変な心配しちゃいました……」

どこからこの話が広まったか、この少し後に結華と千雪が成り行きで対戦ゲームをするとなった際に「戊辰戦争」と呼ばれ、所属アイドルが多数ゲームの見物に事務所に押し掛けたらしい……

Comments

  • にんじんG

    これ好き

    December 13, 2025
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