『神功皇后論』発売記念 小林よしのりインタビュー
第8回「本当に古代史って面白い!」
(インタビュアー・にしやん)
小林「それに、昔の日本は父系社会ではなく、母系社会だったということぐらいは、源氏物語を読めばわかる。
男は通い婚で、一生懸命、女にアタックしていて、しかもただ肉体のアタックじゃなくて、そこで和歌なんかを読んでいたわけだ。
ちょっとまどろっこしいけどさ、日本人ってそういう性質だからね。結局財産だって男ではなく、母親と娘が持っていたんだから。
母系社会が、古来の日本の文化だったという事は、もう分かってるわけですよ。
ー大河ドラマ「光る君へ」を見ても分かりますね。
小林「古代史においては、それが如実にわかるようになっているんだ。
財産をなるべく一つのところに集めて強くなろうとすると、近親婚しかなかったんだよね。だからどんどん近親婚になっていく。
そして富を集中させていって、豪族がどんどん現れてくる。
だからシステム的にもやっぱり女は強いっていうことになっていく。
シナ儒教の影響で、現代では男が財産を持っていて、女はそれに従属するっていうような状態になってしまっているけれども、本当は古代みたいに、女が財産を持っていて男が奉仕をする、という在り方でも良かったはずなんだよ。
そしてわしは、シナ儒教の影響や感覚がない時代を描くということが、実際にすごく面白いんですよ。」
ー私も神功皇后論を読みながら、自分の中にある、無意識に作っていた女性像というか、固定概念に気づかされたんです。だから読んでいて励まされたような気持ちになったというのは、そういう事なんだろうなと。
小林「なるほどね。やっぱりわしも、無意識の中にあるんだよ。古代の合議制の部分を漫画で描く時、豪族をバーッと描いて並べてみたら、ついつい男ばかりを描いちゃってるんだよね。
だめだこれは!こんなはずない!女を入れないと絶対合議制にならん!ってなってしまうんだ。
だから女性も入れて描くということを、「意識的に」やらないとダメなんだ。
本当にそこなんだ。今の男系派の奴らが分かるわけがない。だってもう無意識で、絶対男の方が上だと思い込んじゃっているからね。だから話にならないんだよ。」
ーやはり古代史というと、もしかしたらちょっと難しいのかなと敬遠されがちな感じもするのですが、「神功皇后論」は、難しいことを考えなくても面白く読めるんですよ。単行本になって通しで読むと、より夢中で読んじゃうんですよね。
小林「それは嬉しい感想だね。だから本当に古代史って面白いのになぁと思うんだよね。色んな謎、色んなミステリーがあって、だからこそ色々な想像を膨らませることができて。」
ー古代史は、一番そこがワクワクしますよね。
小林「それなのに、男系とか女系とか言ってる奴らや政治家達は、本当にくだらないなと思うんだ。凄く小さな事でギャーギャー言ってるじゃない。
本当は、わしはもうそんなレベルにはいないんだけどなぁっていう。
だからもう無視しておこうかなと思うこともあったんだ。
そんな奴らはきっと、何も考えた事もなければ、何の想像力も働かせた事もなくて、日本の古代史なんて何にも知らなくて、そしてその面白さにも気づかない奴らなんだから、放っておけばいいじゃないかって。
けれども、もしそんな奴らに皇統問題がねじ曲げられてしまったら、日本がむちゃくちゃになってしまうじゃない!
それでいいのか?馬鹿が日本を支配している状態でいいのか?って考えてしまうから、結局やらなきゃ仕方がないんだ。
だから「神功皇后論」を描いて、それを沢山の人に読んでもらって、もっともっと壮大な考えの人達ばかりにできないかなと、思ってしまうんだよね。
古代史を学んで、ロマンに生きる人達がもっと増えてくれたら、そんな小さな事なんか気にならなくなるのにって思うんですよ。」
バックナンバー
第1回「古代史から現れたフェミニズム」
第2回「『日本書紀』にも捏造がある!」
第3回「漫画だから描ける、古代人の感覚」
第4回「コンプラ気にして古代が描けるか!」
第5回「『神功皇后論』に仕掛けた罠!」
第6回「神功皇后の顔・作画秘話!」
第7回「古来、日本は輸入したものにそのまま全て侵されてはいない」
最大限に思考を広げても明治以降のことしかわからない、チンケなチンケなネトウヨさんが日本の誇りだのなんだのと言っている出鱈目な状況を、一刻も早く払拭したい!
そのためにも最重要な本が『神功皇后論』です!
この本が普及するか否かに、日本の未来はかかっています!!