「村上宗隆はなぜメジャーの速球を打てるのか」NHK解説者も予想外だったホームラン量産の理由「際立つ対応力…シーズン70発すら期待させる」
ABSチャレンジシステムが追い風に
そこで一つ追い風になっていたのが、今季から導入されたABSチャレンジシステムです。これまで、MLBのルーキー打者にはアンパイアの洗礼というものがあったんです。どうしても新人にはストライクゾーンが広い。そんなに甘くないぞ、という感じでしょうか。イチロー選手や松井秀喜選手でさえ、メジャー挑戦直後はそれで苦労していましたから。 ところがABSの登場で、大ベテランでも新人でもストライクゾーンが同じになったわけです。村上選手も2球続けてチャレンジを成功させた場面なんていうのがありましたが、このシステムのおかげで、ゾーンへの対応が早くできたという面もあるでしょうね。 対応力という点で私の印象に残っているのが、しばらくスランプと言われていた時期を抜けて放った、4月15日(日本時間)レイズ戦での第5号ホームランです。この一発、実は直前に空振りしたのとほぼ同じ球をホームランにしているんですね。同じボールに対して、バットの出し方をコンパクトに変えてきたんです。テイクバックを少し縮めて、バットが大回りしないように軌道を修正してきた。わかりやすく言うと、Nikeのマークです。村上選手は左打ちなので、左右逆ですかね。あの感じで、150kmを超える速球系のボールを見事にスタンドに叩き込みました。 同じ試合のなかで、素早くスイングを修正して対応できるところをみせたわけです。この後5試合連発の爆発もあって、打率も徐々に上がってきましたね。ちょっと不思議といいますか、まだ二塁打が1本だけ、三塁打は1本も出ていないこともあってOPSは1.00を超えてきませんが、これはたまたまであって、いずれそういう結果もついてくると思います。 現地では、まだ一線級の投手を打っていないじゃないか、メイソン・ミラー投手(パドレス)と当たったらどうなんだ、なんて言われたりしたそうですが、この対応力を見ると、むしろそういう一流投手との対決が楽しみですね。もちろん簡単ではないでしょうが、村上選手ならアジャストできるのではないか。ポール・スキーンズ投手(パイレーツ)など、サイ・ヤング賞ピッチャーとの対戦、見たくないですか? そもそも、そんなレベルの投手に対して、ルーキーの名前は普通出てきませんよ。そこで比較の対象になってくること自体が凄いことです。もう存在が認められているといいますか。
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