ANAは座席指定不可、JALは変動制マイルへ 苦境の国内線“値上げとサービス制限”の真相
JALは「寄り添い」重視 見えるサービスは維持し、機内環境を拡充
JALも国内線のリニューアルを発表した。主な内容は、新たな機材の導入、上級の「ファーストクラス設定路線」の拡大、スマートフォンなどで利用する「JALアプリ」の刷新、羽田空港のラウンジリニューアルなどだ。 運賃体系については2023年4月に、従来の9種類から「フレックス」「セイバー」「スペシャルセイバー」の3つに、すでに簡素化している。一方で、搭乗実績に応じてたまる「マイル」「FLY ONポイント」は、以前より積算率をかなり少なくした。さらに特典航空券では、シーズンごとの基本マイル数が決まっているANAに対し、JALは需要と残席に応じて変動する仕組みを導入しているため、顧客から「使いづらい」という声も上がっている。 ただ、事前座席指定や受託手荷物の制限といった、いわば誰にとっても分かりやすいサービスは変えていない。また、ANAが新運賃で廃止した(介護認定者と同行家族向けの)「介護割引」も、JALは引き続き設けている。効率化に振り切るANAに対し、JALはあえて既存のサービスを残すことで「顧客ロイヤルティの維持」と「ブランドの差別化」を図る戦略をとったと言える。 さらに、国内線で使用する機材に関しても、最新のエアバスA350や、地方路線でエンブラエル190などの世界最先端の飛行機を導入。小型ジェット機以上では座席の充電設備や機内Wi-Fiを、ほぼ整備している。 国土交通省は2月、発火防止の観点から機内でのモバイルバッテリー使用を制限する改正案を公表した。個人での充電が難しくなる今後、自席に電源設備を搭載しているJALの機内環境は、顧客体験を大きく引き上げる要因になりそうだ。
国も危惧する異常事態 地方路線で進む「ライバル同士の協業」
国内線を巡る状況は厳しい。国土交通省の「国内航空を巡る現状」によると、旅客数はコロナ前を超えているものの、営業利益率はコロナ前の水準まで回復していない。収入は横ばいである一方、費用が増大し、営業損益での実質的な赤字も出ている状況だ。 特に、地方路線や地方空港は厳しいため、航空会社の協業・協調が進む。 2023年10月には、ANAやJALを含む5社が「地域航空サービスアライアンス協議会」を設立。JALグループの地域航空会社とJALが共同運航する便に、ANAがコードシェア便を設定するといった取り組みを始めた。またANAとJALは、地方空港で地上作業に携わる人員を効率的に活用するための取り組みも実施している。