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公金を高リスクの市場で運用する異常性

しかし、筆者が取材してきた中でも、国際卓越研究大学制度は特に異常な政策と言える。主導したのは内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)。総理大臣が議長を務め、14人の議員は閣僚6人と有識者7人、それに日本学術会議議長で構成される組織だ。つまり、「政治力」によって実現した政策でもある。

当初、この制度は年間3000億円を5〜7大学に分配して助成するといった触れ込みだった。しかし、現在認定されているのは東北大と東京科学大の2大学だけ。助成金も'25年と'26年度の総額で447億円にとどまっている。2年間の総額で最大6000億円を助成するはずだったとすれば、10分の1以下だ。

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そして、認定から1年が経過した東北大では「さまざまな弊害が出ている」と、筆者のもとには多くの情報が寄せられている。今後、東北大をはじめ、認定または候補となった大学で起きている問題などについて触れていく。その前に、本稿ではまず国際卓越研究大学制度の異常さについて考えてみたい。

国際卓越研究大学制度をごく簡単に説明すると、「世界最高水準の研究大学を目指す大学を国が認定して、政府による10兆円ファンドの運用益から助成する制度」だ。認定された大学は、最大25年間にわたって助成を受ける。異常である理由の一つが、巨額の公金を使いながらごくわずかな大学だけを支援する点だ。

10兆円ファンドの創設は'20年12月8日に閣議決定された。政府が1.1兆円を出資し、残りの約8.9兆円は財投債と呼ばれる国債で調達した「財政融資資金」を充てている。つまり、国からの借金だ。

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