AI

2026.05.05 15:30

22歳の開発者が「Claude Mythos」を推定・構築、公開プロジェクト「OpenMythos」開始

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OpenMythosの中核にある考え方

OpenMythosは、“Claude Mythosが2022年から発展してきた新しいモデルの枠組みを採用しており、それが今年に入って大規模でも安定して訓練できるようになった”というゴメスの仮説に基づいている。研究者たちは、モデルに深さを与えるためにニューラルネットワークの層を積み重ねるのではなく、より小さな層のまとまりにデータを繰り返し通す方法を提案した。つまり、時間を通じてモデルに深さを与えるという発想だ。

別の言い方をすれば、モデルに「考える時間」を与え、ループを重ねるたびに出力を改善させるということだ。

ゴメス自身、開発者に広く使われているコード共有サービスGitHubに次のように記している。「Claude Mythosは、Recurrent-Depth Transformer(RDT、再帰的深度トランスフォーマー)──別名Looped Transformer(LT、ループ型トランスフォーマー)──であると推測される。何百もの固有の層を積み重ねるのではなく、一部の層を再利用し、1回の順伝播(フォワードパス)で複数回通過させる。重みは同じ。ループは多く。思考はより深く」。

この考え方は、小さなシステムが大きなシステムに匹敵するという主張にもつながっている。ただし、そうした主張はまだ証明されていない。ゴメスのプロジェクトには、訓練済みの重みや本格的な評価結果はまだ含まれておらず、訓練したのも比較的小規模なモデル、つまり7億7000万パラメータのモデルにとどまる。彼は1兆パラメータまで拡張する手順を書いているが、実際にそれを行うには数千万ドル規模の費用が必要になる。

それでも、影響はすでに現れている。開発者たちはこのアーキテクチャで実験を始め、チュートリアルを書き、こうした設計が次世代モデルの方向性を形づくるのかどうかを議論している。

次ページ > なぜ重要なのか、次に何が起きるのか

翻訳=酒匂寛

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AI時代の競争優位はどこから生まれるのか 中外製薬が挑む、組織変革としてのAI活用
AI時代の競争優位はどこから生まれるのか 中外製薬が挑む、組織変革としてのAI活用

/ ビジネス

2026年4月23日

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〜決断する人のAI〜
AI時代の競争優位はどこから生まれるのか
中外製薬が挑む、組織変革としてのAI活用

Forbes JAPAN BrandVoice Studio世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

AIをいかにして真の競争力へと昇華させるのか。独自の戦略で製薬業界の変革を牽引する中外製薬の鈴木貴雄、AI研究の第一人者である今井翔太、そして伴走者として組織変革を支援するPwCコンサルティングの大森 健。三者の対話から、データの再定義や組織の刷新、そして日本企業がAI時代に独自の価値を示すための道筋を探る。

戦略を「点」から「線」へ。組織を動かすチェンジマネジメント

――中外製薬での取り組みのなかで、AIを文化として定着させる重要性について伺いました。ここからは、具体的にどのような戦略で組織への浸透を進めているのか、伺えますか。

鈴木 貴雄(以下、鈴木):弊社のAI戦略は「AI Everyday」「AI Everywhere」「AI Transformation」という3つの柱で構成されています。まず「AI Everyday」で全員が毎日普通にAIを使う環境をつくり、個人の生産性を高める。ここはすでにある程度達成できており、2026年は定型業務を任せる「AIエージェント」の実装という、より質の高い活用フェーズへ移行します 。

今、最も注力しているのが2番目の「AI Everywhere」です。これは点としての効果を繋ぎ合わせて線にすることで、会社のあらゆるビジネスプロセスを「AIオリエンテッド(AI前提)」に武装し直す取り組みです。100年の歴史をもつ弊社はAIネイティブな会社ではありません 。だからこそ、既存の組織をトランスフォームさせるための、本質的なチェンジマネジメントが不可欠です。

プロセスの各段階でAIを活用しつつ、人が検証・監督し、最終意思決定は人が行います。そここそが人間の領分になる。そういう姿を目指しています。こうした戦略のエグゼキューション(実行)を支える仕組みづくりや、我々の「生成AI CoE(センター・オブ・エクセレンス)」のオペレーションにおいて、PwCコンサルティングには目標を共有するパートナーとして、まさに横に座って伴走していただいています。

大森 健(以下、大森):中外製薬さまとは数年間ご一緒させていただいていますが、最初は個別の技術検証(PoC)から始まり、着実に変革をステップアップしてこられました。今はまさに、鈴木さんがおっしゃった「企業の経営の中でAIをどう活用し、組織をどう変えていくか」という、まさに“決断する人のAI”という視点を踏まえた戦略と組織変革そのものに伴走させていただいています。

――技術の選定や導入だけでなく、組織のあり方そのものを支援されているのですね。

大森:そうですね。もちろん、現場レベルでツール選定に携わることもありますが、私たちの主眼は「AIを導入して終わり」にしないことです。AI活用の成果が出る企業に共通しているのは、やはりトップマネジメントのコミットメントです。と同時に、現場の方々の「このテクノロジーを使ったら面白そう、もっと楽ができるんじゃないか」という、ある種の根拠のないモチベーションをいかに持続させてあげられるかが鍵となります。つまり、トップの熱量と現場の興味をモチベートし続ける仕組みを整えることが、非常に重要だと考えています。

鈴木:テクノロジーの面でも、弊社は主要業務のクラウド化がほぼ完了されていることを武器に「マルチAI戦略」を徹底しています。どのテクノロジーが一番良くなるかなんて、誰にも分かりませんよね。ですから、特定のモデルに固執せず、各種生成AIに新しいバージョンが出れば即座にチェックして、コスト対効果でリタイアさせる判断も迅速に行う。重要なのは、エンドユーザー側が最適なものを選べる能力をもつことだと考え、そのためのアドバイザリーや、戦略を具体的なアクションに落とし込むイニシアチブの束ね役として、大森さんたちには力を貸していただいています。

中外製薬 参与
デジタルトランスフォーメーションユニット長
鈴木 貴雄

規律ある投資と撤退の判断が、次なる学びを加速させる

――AI活用を推進するうえで、避けて通れないのがROI(費用対効果)の議論です。不確実性の高い技術に対し、どう投資判断を下すべきでしょうか。

大森:論理的には「できる」と判断できても、いざ実際にやってみるとできないことは、AIやDXの世界ではたくさんあります。だからこそ、最後は「やってみて、継続的に改善していくしかない」という領域がどうしても残る。そうなれば、トップマネジメントのコミットメントというのは非常に重要になってくるとは思いますね。

鈴木:経営メンバーである私としては、ROIを否定するわけにはいかないというのが本音ではあります(笑)。限られたバジェットをどう有効に使うかというKPIのひとつとして、ROIは当然重視しています。これを完全に度外視して「画一的にやらなくていい」ということになれば、組織としての規律が保てなくなりますから。

――現場のチャレンジを許容しつつ、経営としての規律をどう保っているのでしょうか。

鈴木:私は役員の一人ですから、結果を出す責任があります。「お金ばかり使って、一体何をやっているんだ」とステークホルダーに思われてはいけない。そこで大事にしているのが、「やめる判断」の速さです。プロジェクトを始めるときに必ず撤退条件を決めておきます。ただ、その条件すらも「可変」にしている。最初にそれを決めたから機械的に辞めるのではなく、そこに再チャレンジする余地があるのかをその都度冷徹に見極めることが重要だと考えています。

極論を言えば、限られた資源の中で、明確なマイルストーン管理と迅速な撤退判断が重要です。だからこそリーダーがすべきことは、成功の定義をはっきりさせ、手前のマイルストーンを厳格に見続けること。そして、どうしても届かなかったときは失敗を認め、そこから得た「レッスン・アンド・ラーン(学び)」を、即座に次のチャレンジへとつなげていく。これが、リソースを無駄にせず、新しい価値を生み出し続けるためのリーダーの役割だと思っています。

――AI活用を推進するうえで、データの重要性は誰もが認めるところです。しかし、その「質」についてはまだ議論が尽くされていません。

鈴木:AIに「何を学習させるか」がすべてですが、多くの日本企業が直面しているのは、社内データが整理されていないという現実です。例えば、人間が読むことを前提に美しくレイアウトされたスライド資料や、独自の作り込みがなされた集計表は、実はAIから見れば情報の構造が複雑で、その真意を読み取るのが極めて難しい形式でもあります。

私は、自身のチームからでも、そうした人間中心のドキュメント管理を一度見直し、AIが文脈まで正しく理解できる「ナラティブ(記述的)」なドキュメント文化に切り替えるべきだと考えています。

GenesisAI代表取締役社長 CEO北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)客員教授
今井 翔太

今井翔太(以下、今井):鈴木さんの懸念は、研究の観点からも極めて正論ですね。AIが最も扱いやすいのは、プレーンテキストのような装飾のないデータです。これまでのアプリケーションで人間向けに使いやすいよう整えられていたデータ形式が、皮肉にもAI時代には足かせになっている可能性がある。AIに無理やり人間向けの構造を理解させるのではなく、データそのものをAIフレンドリーに変えていく視点が必要です。

鈴木:これからの真の競争力は、自社だけが持つ独自のデータをどれだけ差別化要素としてAIにインプットできるかに尽きます。未採用の試行記録も含めて、学びの資産として体系的に残していく。「これは失敗だった」というログをあえて残し、AIに学習させる。そうすることで、人間だけでは到達できないイノベーティブなアイデアが生まれる可能性があると考えています。

今井:文部科学省が進めている「AI for Science」という取り組みがありますが、ここには日本が世界で再びプレゼンスを示すための、決定的な勝機があると考えています。言語AIや動画生成AIではビッグテックに敵いませんが、日本にはライフサイエンスをはじめ、マテリアルサイエンスでも、トップの機関や企業があり、いずれも素晴らしいデータがある。こうした独自のデータを使って、研究に資する AIを構築する。そこに、日本が世界で主導権を握るための道筋があると考えています。

AIフレンドリーな組織への刷新が、日本の「勝機」を導く

――AIという強力な動力を手にした今、企業が真に刷新すべきものは何でしょうか。また、その先にどのような景色を見据えているのか、お聞かせください。

今井:早ければ今年の2026年には、人間と同等のタスクをこなせる汎用人工知能(AGI)」が出てくるといわれています。もはや議論は技術ではなく、「人間が何をすべきか」という社会制度や環境の問題に移っています。

かつて蒸気機関から電気へと動力を切り替えた際、単に動力を置き換えるだけでなく、工場全体のレイアウトを電気前提に刷新した企業が飛躍しました。それと同じで、ハンコや物理的な決裁といった人間向けの設計を手放し、AIが働きやすい業務フローへとつくり変える決断が必要です。これは最新AIを自社開発するよりも遥かに重要で、かつどの企業でも今すぐ取り組める勝ち筋になるはずです。

鈴木:我々が掲げるビジョンは明確です。1日でも早く画期的な医薬品を開発し、患者さんのQOL(生活の質)を上げること。例えば、今は週に一度、数時間を病院で過ごし、何度も投与を受けなければならない生活を送っている方が、AI創薬によって飲み薬や自己注射に切り替えることができる。それだけで、患者さんの日常は大きく改善されます。

そのためにAIを創薬に活かし、バディとして人間の可能性をブーストしていく。弊社のような約8,000人規模の会社でも、AI活用により生産性向上が期待できます。AI活用を積極的に進めることで、日本社会全体のDXを少しでも前進させることに寄与できればと考えています。

PwCコンサルティング
執行役員 パートナー
大森 健

大森:中外製薬様とは「PoC(概念検証)」のフェーズから、組織全体のチェンジマネジメントに至るまで、数年間にわたり歩みを共にしてきました。私たちPwCコンサルティングの役割は、企業がいかにAIを活用すべきか、そのための構想、仕組みやオペレーションを現場で伴走しながらともに作り上げることにあると考えています。

その支援において私が最も意識しているのは、「内製化というかたち」をつくることではありません。お客様自身が自律的に改善し発展させ続ける、「内製化力」そのものを養っていただくこと。単なるノウハウの継承に留まらない支援をすることが、私たちの目指すコンサルティングのあり方です。

また、クライアントをはじめ企業の方々には、AIを新しいテクノロジーのひとつとしてではなく、自社の「らしさ」や提供している価値の根源がどこにあるのかを、改めて見直す契機にしてほしいと考えています。AIがもたらすインパクトは、使う側の思想によって大きく変わります。だからこそ、現場任せにするのではなく、トップマネジメント自らがAIを通じて、自社ならではの価値をどう表現していくか。私たちは、クライアントが持つ「らしさ」や根源的な社会的価値をどう創出するかという熱意に寄り添いながら、AIを“決断を支えるAI”としてどう活かしていくかも含めて、これからも伴走し続けていきたいと考えています。

前編はこちら

pwc 決断する人のAI

今井 翔太

GenesisAI代表取締役社長 CEO。北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)客員教授。文部科学省の「AI for Science」推進にも深く関わるAI研究の第一人者として活躍。

鈴木 貴雄

中外製薬 参与 デジタルトランスフォーメーションユニット長。NTTコミュニケーションズ、マイクロソフトを経て、中外製薬に入社。2024年より現職。

大森 健

PwCコンサルティング 執行役員 パートナー。米国系コンサルティングファームを経て現職。20年以上のコンサルタント経験を活かし、数多くの日本企業のDX戦略立案、組織変革支援をリードする。

Promoted by PwCコンサルティング合同会社text by Motoki Honmaphotographs by Daichi Saitoedited by Aya Ohtou(CRAING)

AI

2026.04.11 18:00

アンソロピックの最新AI「Claude Mythos」とは何か、なぜ一般に公開しないのか

sauloangelo - stock.adobe.com

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セキュリティの訓練をまったく受けていないAnthropic(アンソロピック)のあるエンジニアが、Claude Mythos(クロード・ミトスやクロード・マイソス。またはクロード・ミュトス。もともとギリシア語の「μῦθος」[神話]を意味する)に、一晩でリモートコード実行の脆弱性を見つけるよう頼んだ。翌朝目を覚ますと、完全に動く攻撃手段ができあがっていた。

Anthropicが米国時間4月7日に発表したのは、そういうモデルである。Claude Mythos Previewは、公表されているあらゆるベンチマークで、これまでに作られた中で最も高性能なAIモデルである。SWE-bench Verifiedで93.9%、USAMOで97.6%、CyberGymで83.1%を記録した。主要なすべてのOSと主要なすべてのウェブブラウザーでゼロデイ脆弱性を見つけた。完全に自律的に、人の指示なしでだ。

このモデルを作ったAnthropicの対応は、公開しないことだった。その代わりに同社は、サイバー防衛の取り組みであるProject Glasswing(プロジェクト・グラスウィング)を立ち上げ、このモデルをアマゾン、アップル、グーグル、マイクロソフト、エヌビディア、CrowdStrike(クラウドストライク)、JPモルガン・チェース、シスコ、ブロードコム、Palo Alto Networks(パロアルトネットワークス)、Linux Foundation(リナックス財団)に提供した。さらに、重要なソフトウェア基盤を支える約40の組織にもアクセス権が与えられる。Anthropicは、利用クレジット1億ドル(約159億円。1ドル=159円換算)と、オープンソースのセキュリティ関連団体への直接寄付400万ドル(約6億3600万円)を拠出する。

主要なAI研究企業が最先端モデルを開発しながら、同時に一般には使わせないと決めたのは、これが初めてだ。

次ページ > Claude Mythosが実際に見つけたもの

翻訳=酒匂寛

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2026.05.05 11:00

アンソロピック、評価額141兆円でOpenAI超えへ──人類史上最大の資金調達ラウンド

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Anthropic(アンソロピック)は投資家に対し、評価額9000億ドル(約141.3兆円。1ドル=157円換算)での出資を決断するまで、48時間の猶予を与えた。ほとんどの報道が見落としている点を解説する。

Anthropic、評価額約141.3兆円超の新規資金調達ラウンドを準備

Anthropicは、評価額9000億ドル(約141.3兆円)超で総額500億ドル(約7.9兆円)の新規資金調達ラウンドを準備している。投資家には参加希望・出資額の提出について48時間の期限が設けられた。米国時間4月30日、BloombergTechCrunchなどに対し、関係者がAnthropicの動きとして明かした。

Anthropicの取締役会は、5月の会議で決定を下す見通しだ。このラウンドは、Anthropicが株式公開前に行う最後のプライベート資金調達になる可能性が高いとされている。

先の条件で成立すれば、3月時点でポストマネー評価額(資金調達後評価額)8520億ドル(約133.8兆円)だったOpenAIを抜き、Anthropicは世界で最も企業価値の高いAI企業となる。おそらく、あらゆるセクターを通じて世界で最も企業価値の高い未上場企業にもなるだろう。

この数字は慎重に検討する価値がある。現代のテクノロジー史において前例のないものだからだ。

2025年3月、Anthropicは評価額615億ドル(約9.7兆円)で資金調達を行った。2025年9月には評価額1830億ドル(約28.7兆円)。2026年2月には評価額3800億ドル(約59.7兆円)で300億ドル(約4.7兆円)を調達した。そして11週間後の今、9000億ドル(約141.3兆円)超で投資家の需要を試している。

同じ事業、同じ製品、同じ市場で、14カ月で15倍である。変わったのは、投資家が同社をどう値付けするかだけだ。

各報道の見出しは、これをAnthropicがOpenAIに追いついたと伝えている。それは表面的な解釈だ。より興味深い問いは2つに分かれる。その評価額の根底にある成長曲線が本当にこの到達点を正当化しているのか。あるいは、AI業界の価格形成の仕方が、歴史的な手法からいつの間にか乖離してしまったのか。

Anthropicの売上高は3年連続で10倍超に成長、評価額の根拠に

評価額9000億ドル(約141.3兆円)を支持する根拠は、エンタープライズテクノロジーの歴史上、かつて起きたことのない現象にある。

Anthropicの年間換算売上高は、2024年12月の10億ドル(約1570億円)から2026年3月末には300億ドル(約4.7兆円)へと成長した。10倍超の成長が3年連続で持続したことになる。記録に残る限り、この規模でこの成長率を維持したエンタープライズソフトウェア企業は存在しない。セールスフォースも実現していない。Snowflakeも実現していない。ServiceNowも実現していない。最も明白な比較対象であるOpenAIでさえ、同様の期間でARRは約250億ドル(約3.9兆円)に達した程度だ。ほとんどのアナリストがすでにレースに勝利したと見なしていた同社を、Anthropicが上回っていることになる。

売上は持続性が期待できる領域に集中している。フォーチュン10企業のうち8社が現在Anthropicの顧客だ。Claudeに年間100万ドル(約1億6000万円)以上を支出するエンタープライズアカウントは1000社を超え、2年前の約12社から増加した。Anthropicが2025年5月にローンチしたエージェント型コーディング製品Claude Code単体でも、2026年2月までに年間換算売上高25億ドル(約3925億円)に達した。同製品の法人向けサブスクリプションは、1月1日以降の6週間で4倍になっている。Anthropicは現在、世界中のGitHubパブリックコミットの4%を支えていると推定されている。

売上高の約30倍という倍率は、成長率調整後の比較対象と照らし合わせるまでは極端に聞こえる。年間10倍で成長している企業は、30%で成長している企業のようには価格付けされない。2028年になってもまだこの成長を続けている可能性のある企業として価格付けされるのだ。そうなれば、振り返ったときにこの評価額は合理的に見える。それが、入札する投資家たちが計算している数式である。

次ページ > 一部の初期支援者が、今回のラウンドをスキップ

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