銀さんが流鏑馬する話
タイトルまんまです、何のひねりも有りません。
銀さんが流鏑馬(やぶさめ)やったらかっこいいだろうなって言う妄想から出来ました。銀さんって運動神経抜群だし、銃弾目視で避けれる位の動体視力有るし、戦争出てたんなら多分馬術も弓術も出来るだろうなって思いました、、、あれ作文?
あと絶対銀さんは動物に好かれる質だと思う。(確信)オチが分からなくなったのでちょっと沖田と土方に遣らかしてもらいました。二人が嫌いな訳ではありません。寧ろ好きです。
実際には多分もっとちゃんと準備したり、神社で練習なんてしないんでしょうがそこは銀魂の緩い世界線とご都合設定という事で。馬の扱い方は良く分かりませんが、テレビでこんな感じの事やってた気がするので其れっぽく書いてます。実際の馬との触れ合いは多分こんなもんじゃないんでしょうがまあそこはあくまで趣味で書いてる小説なのでどうかご容赦を。
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其の日万事屋にちょっと変わった依頼が来た。
銀「神事の手伝い?」
宮「はい、新年の奉納で流鏑馬をやるのですが、騎手の方が体調を崩してしまいまして。代わりの方は今回の馬との相性が悪かった様で背に乗せて貰えないのです。無理矢理乗れば怪我をしかねないので双方の為にも無理をさせる訳にもいかず、銀さんなら何とかなるんじゃないかと思いまして。」
近所の神社に努める宮司は眉根を下げて弱り果てた様な顔をして言った。流鏑馬は他の神事よりも高い技術が必要である。疾走する馬に乗り、弓を射るという難度の高さから必然的に出来る者は限られる。抑々馬に乗れる技術が無ければ話にならず、馬との信頼関係も大変重要になってくる。
今回の流鏑馬の為に調整していた馬は、もともと気難しく余り人懐っこい方では無かったらしい。体調を崩した騎手意外には世話をしている人間も含めて数人程度しか信頼しておらず、代役の騎手と何度顔合わせやコミュニケーションを図っても気を許してはくれなかった。人が嫌いな訳では無いので最低限の接触や世話は受け入れてくれるし、無暗に攻撃してくる事も無い。然し、騎乗しようとすると途端に嫌がり逃げてしまう。余り続けては最低限の信頼関係でさえ崩れてしまう為、現在は中心的に世話をする事で信頼関係の向上を図っている段階なのだと言う。
神事を行う日まで既に一月を切っており、人も馬も変更が難しい。然し、新年初の神事事態を中止する事も出来ればしたく無い。そこで万事屋で有る銀時に依頼が来た。何でも屋を掲げ、十年以上も歌舞伎町延いては江戸で依頼を熟し、町の顔とまで言われるようになった銀時が出来る事は多岐にわたる。今までの依頼人からも信頼も信用も高いと来れば若しかしたら、と一縷の望みをかけて来たのだ。
普段と一風変わった依頼に銀時は思案気に目線を下げる。そんな銀時を横目に両隣に座った神楽と新八が揶揄う様に口を挟む。
新「銀さん馬なんか乗れるんですか、流鏑馬って凄い早いんですよ。弓だって和弓で普通の弓より大きいんですから絶対無理ですよ。」
神「マダオな銀ちゃんにハヤブサ何て出来る筈無いヨ。馬ならこの神楽様に任せるヨロシ、何時も定春を乗りこなしてるからキジョーは得意アル!ね、定春。」
定「わう?」
新「いや、神楽ちゃん隼じゃなくて流鏑馬ね。隼だと鳥になっちゃうから、誰も出来ないから。」
神「うるさいアル駄眼鏡。細かい事気にしてんじゃねーヨ。」
新「細かく無いし誰が駄眼鏡だあぁぁぁぁぁぁ‼」
銀「うるせぇよ新八、耳元で叫ぶな。」
新「あ、はい。すいません。」
隣に座った銀時が耳に手を当て顔を顰める。嫌そうな顔で睨まれて新八は項垂れた。
銀「馬には乗れるし騎射も出来るが馬と会わなきゃ分かんねーだろ。会えるんだったら直会って相性見てからだな。後はまあ何回か実際にやってみりゃあ何とかなんだろ。」
宮「おお、そりゃ心強い。宜しく頼むよ銀さん。」
宮司はほっと表情を緩めて安心した様に笑う。
新「え、銀さん騎射出来るんですか⁉」
銀「そりゃあ伊達に戦争出てた訳じゃねえしな。」
新「あぁ。」
そうだ。普段はちゃらんぽらんだなんだと馬鹿にされる事の多い銀時だが、攘夷戦争に参加しており四天王の一角白夜叉の異名を持っている。余り自分の事を語らない銀時だが、こうしてふとした時に片鱗が垣間見える。さらりと零された言葉に新八は妙に納得せざるを得なかった。
時間も無いので今日にでも顔合わせをしようと、宮司と連れ立って神社に向かう。本殿からやや外れた山林の近くに仮設の厩が有り、白い馬が一頭飼葉を食んでいた。本当に真っ白な馬で焦げ茶の瞳以外は蹄の先まで全身余す事なく真っ白だ。陽光を反射してキラキラと光っている様にも見えるその馬はのんびりとしたその様も相まって何処か銀時に似ている。
神「うわぁ~、真っ白アル!銀ちゃんみたいネ、可愛いヨ‼」
新「ちょ、神楽ちゃん?!」
馬の色にテンションの上がった神楽が急に大声を上げ手を振り上げる。元々動物が好きで本人に悪気が無かったとはいえ此れは不味い。
案の定神楽の大声と動きに驚いた馬はびくりと身を竦ませて怯えた様に嘶いた。元々馬は臆病な動物で警戒心が強い。加えてこの馬は特に気難しく、より警戒心が強いのだ。傍で行き成り大声を上げるのは嫌われに行く様なものである。
銀「莫迦!馬の傍でんな大声上げる奴が有るか!一旦離れるぞ。」
普段より一層潜めた声で神楽を叱った銀時は神楽と新八を引っ張って馬の近くから離す。
銀「あのなあ神楽、馬ってのは臆病な動物なんだよ。傍で行き成り大声上げられちゃあ怖がって当然だろうが。定春とはわけが違うんだ。怯えて逃げるだけでも周りに迷惑が掛かるし、パニックになった馬が人を蹴ったりしたらどうするんだ。お前に止められねえだろ。最悪人の方が死にかねない。馬ってのは結構強いんだよ、後ろ足で蹴られでもしたら一発でお陀仏だぜ。」
神「ごめんアル、銀ちゃん。」
銀「とりあえずお前は此処から動くな。今下手に刺激したらマジで暴れ回るぞ彼奴。」
銀時の本気の叱責に流石の神楽もしゅんと項垂れる。悪気が有った訳では無い。何時もの様に怪力が制御できなかったわけでもない。ただ単純に自分の言動が原因で迷惑をかけてしまった。万事屋で定春と遊んでいる時の様にはいかないと漸く理解した神楽は泣きそうになりながら銀時の指示に従うしかない。新八は宥めながら神楽の傍に付いて居る。
馬は前足で地面を掻きながら鼻息を荒げて落ち着かない。銀時の言う通りこれ以上変に刺激すれば完全にパニックになって手が付けられなくなるだろう。そうすれば神事も中止しなければいけなくなるかもしれない。其れは避けなければいけない。宮司は心配そうに三人から少し離れた場所ではらはらと成り行きを見守っている。
三人は馬から離れて様子を窺う。声を上げた神楽を背に隠す様に銀時が前に立ち、暫く待っていれば馬も落ち着いて来たのか段々と呼吸も落ち着いて来て地面を掻く事も無くなった。流石に食事を続ける気は起きない様だが少し近付いただけで暴れる危険は少なくなっただろう。
馬が落ち着てきたタイミングで銀時が静かに馬に近づく。念の為新八と神楽に動かない様に指示をして馬の正面に移動すると十歩程離れた処で足を止める。新八は何故そんな離れた所で、と疑問に思った所で気が付いた。
其れは銀時の間合いだ。歴戦の猛者で有る銀時は間合いが広い。ただ単純に剣が届く距離というだけではない。一瞬のうちに距離を詰め相手に攻撃が出来る範囲というのがとても広いのだ。だから一足飛びで切りかかっても決して届かない距離まで下がる事で馬への敵意が無い事を行動で示しているのだ。其れは神楽に対してもそうらしい。警戒心が強い相手への距離の詰め方というのを実践する事で教えているのだろう。神楽も先程の事を反省しつつ銀時の行動を真剣に観察している。
馬は近づいてきた銀時をじっと見つめている。銀時もそんな馬を数秒見つめると徐に腰の木刀を外し足元に放る。視線は馬から外さない。馬が特に変わらないのを見て少しづつ距離を詰めていく。普段の銀時の歩幅からは少しばかり小さい歩幅で、ゆっくりと近付いて行き馬の目の前まで来るとふっと表情を緩めた。
銀「お前は賢いな。」
小さな声で呟いて鼻先に手をやった。馬も興味深そうに匂いを嗅ぎながらずっと銀時の目を見ている。一人と一頭は暫く見つめ合う。銀時は其の侭馬の鼻先に触れ、鼻筋、頬、首筋へと手を動かす。馬は暴れるそぶりも見せずに大人しく銀時に撫でられている。其れを見た宮司は驚きを隠せないのと同時に酷く感心した。銀時は馬の扱いを良く心得ている。
宮司がこの馬が初対面の人間に撫でる事を許すのを見たのは初めてだった。まして、銀時の所為では無いとはいえ対面時にあんなハプニングが有ったのだから最低限日を改める必要があるのではと考えていたのだ。其れを銀時は此の短時間で最低限とは言え信用されるまでに至ったのだから宮司の驚きも一入である。
言葉も無く、一通り馬と触れ合っていた銀時が馬の首筋を撫でる様に軽く叩いて手を放す。
銀「またな。」
最初と同じように小さく呟いて馬から離れ、途中で投げた木刀を回収しながら神楽と新八の元へ戻ってきた銀時は宮司へ向き直る。
銀「待たせたな宮司さん、取り敢えずは大丈夫そうだ。後は毎日顔出して追々遣って行くしかねえだろうな。まあ当日までには何とかなんだろ。」
宮「おお、本当かい銀さん。如何なる事かと思ったけど良かったよ。」
成り行きを見守って居た宮司が銀時の言葉に胸を撫で下ろす。今日からいつでも来てくれていいと笑って言う宮司に見送られて三人は万事屋に帰って行った。