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追伸、万事屋は幼少化しました/Novel by なれはて

追伸、万事屋は幼少化しました

11,592 character(s)23 mins

タイトルまま。
27歳と16歳と14歳 → 13歳と2歳と0歳

銀時のみ記憶ありです。
神楽と新八は年が若過ぎて、銀時の名前だけ喋れたりするけどほぼ記憶なし。

事の顛末がお粗末なのは書きたい所だけ書いてるからや!

坂田さん子守上手そうやなと思って書いた代物。
「橋田屋」の橋田勘七郎をお守してたときは、オムツのつけ方は雑だったけど、扱い方は上手かったし、赤ん坊松陽をお守してたときは全ての育児に慣れていたんですよ……(多分)
なんということでしょう。独り身銀時から完全なるダディ時へ劇的ビフォーアフターしているではありませんか。
萌える。

(万事屋の歯磨きやら洗顔は台所でやってたよね?と、270話参照したらそうでした。
この回かわいい。万事屋皆でさっちゃんを追い出すのも、さっちゃんもかわいい。)

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「あー、ねみィ~」
 銀時は開かない目を無理やりこじ開けて、喧しすぎるジャスタウェイの目覚まし時計を何とか止めた。いつもより布団から身を乗り出して止めた気もするが、寝起きの頭では深く考える余地など無く、布団を引き剥がし台所へと向かう。
 台所で、蛇口を捻り顔を洗う。滴る水滴をタオルで拭って、目を開けると、ぼんやりとしていた視界が明確になる。シンクに映る己が見えて、手を止めた。あれ、なんか若くね? 銀時は己の頬を撫でまわし、自分の顔を舐めまわすように見た。水垢にぼやけて映る自分の姿はいつもと変わらないように見えたが、やけになめらかに手に吸いつく肌。若さを象徴するかのように水分を含み弾けるような肌を指先で感じる。
「オイオイ、銀さんピチピチじゃねえか。こりゃまだイケるわ」
 銀時は湿ったタオルをタオル掛けへと戻した。込み上げてくる尿意に逆らわず、トイレへ入る。小便を済まそうと、甚平を下ろしたところで咄嗟に上げ直した。
「いや、ナイナイ。これは、ない」
 違和感を確かめなければいけないが、強靭な精神力を必要とした。ふーっと息を吐いてから、恐る恐る甚平を下げる。目に入ったブツに、最早尿意など何処かに吹き飛んでしまった。
「マジでか? これマジなのか?」
 股にぶら下がっているのは、ちんちくりんになった己の息子であった。
「いや、なんでいっつも此処集中砲火ァ!?」
 己の恥部から銀時が視線を移せば、いつもよりも幾分と小さな手の平に、ぶかぶかの寝巻。「あ、あ」と発した声もいつもよりも高い。状況を嚥下すると、さーっと顔から血の気が引いていく。
「イヤァァァ! 全体的に小っちゃくなっているゥゥゥ!」
 急いでトイレの扉を蹴破って、銀時は神楽の押し入れへ走った。
「神楽ちゃん、神楽ちゅあんッ! 俺、なんか年が若く...」
 銀時は二の句を継げないでいた。いつもであれば、寝起きの悪い太々しい顔をした神楽がいるはずだったが、其処にいるのは、言葉にならない呻き声を上げながら、指をしゃぶる神楽似の赤ん坊だけだった。ちんまりと布団の上に鎮座している。
「ウソ……」
 銀時は幼さを隠せない大きな瞳を瞬いた。



「銀さーん、神楽ちゃーん、おはようございまーす」
 玄関から間延びした新八の声が聞こえて、銀時は我に返った。バタバタと足音を上げながら、廊下へと出る。突然、姿を表した銀時に新八は驚いて声を上げた。
「わっ、起きてたんですか!? って、なんか、あれ? 変な感じ……」
「これを変な感じで済ますなッ!」
「あっ! 髪伸びました?」
「いや、伸びたけど! 伸びたんだけどね? 伸びたんだけど別のトコは縮んだのよッ! 朝起きてたらこんなことにィ~! なんでェ!? なんでだァ!?」
「知りませんよ!! また面倒事に巻き込まれて…… 飽きないんですか、ホント」
「俺が悪いのコレ? 俺、悪くないよね? ねえ!」
 慣れたものでどかどかと無遠慮に上がる新八は、ぎゃーぎゃーと喚く銀時を後目に、居間の机に目を向けた。美味しそうなお菓子が、食い散らかされている。新八は辛うじてまだ中身の入った包みを手に取り、菓子を露わにした。
「あ、なんですかコレ! また美味しそうなものだけは隠して! ずるいですよ! 僕も食べちゃお~」
「それ……ッ、それっ、それ! それェェェ!」
「え?」
 銀時が人差し指で新八の持っているものを指しているが、肝心の言葉が出てこない。「食うんじゃねえ!」という言葉が口から出た時には既に新八は菓子を飲み込んでいた。徐々に、徐々に小さくなっていく新八は推定2歳頃の、呂律の回らないお年頃になり果てた。その体には釣り合わない大きな眼鏡を口に入れたり、涎塗れにしながら、オモチャにしている。銀時は我に返って、慌てて眼鏡を取り上げた。
「だめっ! 新八、めっ!」
 新八の目にじわじわと涙が溜まって、声を上げて泣き出す。銀時は、止めどなく流れる涙を甚兵衛の裾で拭ってやっている。
「銀さんだって泣きてぇよ」
 銀時は、唾液塗れの眼鏡を嫌そうな声を上げながら同じく甚兵衛で拭った。それを新八の耳に掛けようとするが、サイズが大きすぎてずり落ちてしまう。仕方なく、机上に置いて、泣き声を響かせる新八を困ったように見た。
「お前のアイデンティティ置いてかなくちゃなんねえよ。そりゃあ、泣きたくなるわな」
 軽く溜息を吐いて、それから着ているというよりは覆われている服を何とかしなければならないと思い、銀時は寝室の押し入れを引っかき回した。適当な長さの布を、軽く仕立て即席の着物を見繕ってやった。泣き止まない男児を着せ替えるのは骨の折れる作業だったが、一悶着の末に新八を何とか着替えさせた。銀時は一息吐いて、どうしたものかと頭を掻いた。
「うえっ、あねうえっ、どこぉ」
「ああ!」 銀時は合点がいったように声を上げる。
「姉上ね! そうそう! 新八くんの姉上に会いに行こう! 押し付けよう!!!」
 突然、銀時の頬に生温い感触がきて顔を横に向けた。定春が元気に「わん!」と鳴く。それから泣き続ける新八の頬を舐めた。新八がくすぐったさに笑いだし、「わんわん」と言いながら小さな手の平で定春を撫でたり、叩いたりしている。何時もの定春であれば、かぶりついているはずだが、大人しくされるがままになっているのを見て、定春はお守を手伝うつもりなのだと銀時は気がついた。
「定春……! そうか、お前……ッ!」
 次の瞬間、定春は卓上に放置されていた菓子をすべて飲み込み、器用に包み紙だけを吐き出した。どんどんと小さくなっていく定春に銀時は膝をつく。
「定春、お前ッ、お前ェェェ!!! バカなの! 死ぬの!? なんで自ら小っちゃくなっちゃうんだよォォォ!!」
 キャンキャンとけたたましく吠えまくる子犬程の定春を恐る恐る両手に収める。目の高さまで持ち上げて、目線を合わせた。もふもふな肌ざわりだけは変わりなく、甲高く鳴きながら丸っこい手足をパタパタと上下に動かしている。ちろちろと動く尻尾も筆のように小さく愛らしかった。
「……なに癒されてんだ俺ッ! リード、リードになるもんねえか!」
 あまりの可愛らしさに癒される自分自身に喝を入れて、銀時は定春を繋ぎとめる綱がないか辺りを見回した。「新八ッ、なんか持ってこい」と振り返ると、到底自分では自分のことも出来ない年頃の男の子がいる。先程の珍事を思い出して、銀時は片手に定春をしっかりと抱きかかえ、定春の首輪になりそうなものを探した。応急処置ではあるが、紐があったため首輪替わりに繋いだ。
 うとうととしている神楽を帯で背中に結わえて、空いている手で新八と手を繋いだ。あちこち乱雑になってしまった部屋も相まって、今の様相はさながら託児所じゃないかと銀時は疲労感に包まれていた。だが、休んでいる暇はない。
「あー、ぎんたん、ぎんたん」
「ぎんたんじゃなくて、ぎんさんな? あいでででッ! 神楽、テメッ、髪引っ張んじゃねえよ!」
 暴れ始める神楽をおぶり直し、玄関へと行く。戸に手を掛けようとすると、自動ドアさながらに音を立てて開いた。姿を現したのはお妙だった。
「お妙! いい所に!」
「あら、銀さん珍しいわね。こんな朝早くに…… って、なんかおかしい」
 訝し気に頬に手を当て、お妙は銀時をじろじろと見た。
「そうなんだよ…… ったく、酷い目に」
「背縮みました? 私と同じ目線だわ」
「どいつもこいつも!! どう見ても分かるだろ! れっきとした違いがよォ!」
 銀時はお妙に見せつけるように左右に目線を配ってから、背中を見せた。
「この状況見て分かんない? 俺等、なんか若返っちゃってさァ~。ほれ、お前の弟も随分と縮んだろ」
 手を繋いでいた新八をお妙の前に差し出した。新八はもじもじと服の裾を弄りながら、しゃがみ込んだお妙を上目遣いで見つめた。お妙は歓喜の悲鳴を上げながら、爛漫な笑顔を浮かべる。
「まあ! 新ちゃんかわいいわね~。貴方の姉上ですよ~」
 お妙は幼い新八の前で手を振る。新八が伸ばした手をお妙は手に取って、「小さいわね」と嬉しそうに上下に振った。新八の顔にも笑顔が浮かび、屈託なく笑う。立ち上がって、背中に負ぶさっている神楽を見て、「神楽ちゃんもカワイイわねえ」と頬をつついた。お妙はこの珍妙な事件をものともしていない。
「つうか、お前何しに来たの?」
「そうだった。お弁当を作りすぎてしまったから、お裾分けに来たの。どうせ銀さんたちのことだからロクなもの食べてないんじゃないかと思って」
 何段も積み上げられた弁当の最上段を手に取り、お妙が蓋を開けると、哀れに焦げきった卵焼きが所狭しと詰められていた。
「なにこれ、弁当なの? 可哀そうな卵しかいねえんだけど」 
「何か言った?」
 黒い笑顔を浮かべているお妙に「何も」と銀時は返事をした。一段だけ銀時へ押し付けられ、銀時はそれを玄関に置いた。銀時は新八を妙に預けて「そういうことだから頼むわ。じゃっ」と、片手を上げて万事屋に戻ろうとしたところをお妙に止められた。
「ちょっと銀さんっ! 私、これから仕事なの」
「え? 早くない?」
「今週はお客様感謝ウィークで早めにお店が開くのよ。この、お弁当もそのためよ。だから、新ちゃんのこと御願いね。いい子にしてるのよ~。またね~! 新ちゃん、神楽ちゃん」
 お妙は背中を向け、万事屋を去った。取り残された銀時の両手には、新八の小さな手と、小さくなった定春のリード。背中には赤ん坊になった神楽を背負って、呆然と立ち尽くしていた。
 ぱっと思い出したお登勢たちは慰安旅行中で下の階には居らず、他には真面に預けられそうな人間の顔など思い出せない。
 銀時の額から冷や汗が垂れた。
「もしかして、この状況ヤバイんじゃない?」

Comments

  • 雨の中の兎の毛

    銀時は万事屋の仕事で子守とかもしてるだろうから子供の扱いも上手そう

    April 29, 2023
  • ちょこ
    April 19, 2023
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