light
The Works "銀さんがちっちゃくなる話2" includes tags such as "銀魂", "坂田銀時" and more.
銀さんがちっちゃくなる話2/Novel by 篠埜(ささの)

銀さんがちっちゃくなる話2

5,011 character(s)10 mins

1(novel/10023567)の続きです。

子銀好きすぎて続いちゃいました。
前作ブクマ,コメくださった方々有難うございます。舞い上がる程嬉しいです!

追記.タグ追加ありがとうございますー!!

1
white
horizontal

「いってぇどこにいやがんだあのヤロー...」
鋭い夏の陽射しが空からは降り注いでいる。
寺の木から一斉に蝉がわんわん鳴いているのが暑さに拍車をかけているようだ。
こんな真夏日に参拝客もいないのだろう、夏休みだというのに境内に人の気配はない。
あの後夜が明けてから万事屋とも合流して捜索を開始した。捜査網は確実に縮まっているというのに小さな万事屋の行方はようとして知れない。あの夜から既に2日経っている。
万事屋の連中を中心に熱心に昼夜問わずかぶき町では捜索が続けられているが───、

「ガキども、ちょっとは身体休めとけよ」
「うるせーアル。オマエに指図される覚えはないネ!」
それに、とチャイナは視線を地面に落とす。
「銀ちゃん寂しがりやアル、ホントにちっちゃくなってるなら尚更早く見つけたげないと…」
穢れない澄明な碧眼が揺れるのを見て、土方は頭を搔いて溜息を零した。

「──小さくなったってあの人はあの人なんだから、大丈夫よ神楽ちゃん」
「姉御!!」
「姉上、来てくれたんですか!」

そこには、ロクも睡眠も食事も摂らずに銀時を捜している二人を気遣ったのだろう、お妙がいた。
「無理言って今日はお休みもらっちゃった。でも私が心配だったのはあの天パじゃなくて貴方達ふたり」
困ったように眉尻を下げて駆け寄る二人を慰めるようにフワリと柔らかく微笑んでみせる。

「今に見つかるわよ、あの天パ」
「でも姉御…」
「ほら神楽ちゃん、ちゃんとお水飲んで午後からまた頑張りましょ。そんな顔してたらあの人、戻るに戻れないじゃない」

だからちゃんと休まなきゃ、とお妙が促すと渋々と言った様子だが素直に神楽は頷いた。

「ほらほら土方さんもゆっくり休んでくだせェ」
「てめっ、永遠に休ませるつもりか!疲れてんのに大概にしやがれ」

突然斬りかかってくる沖田に噛み付くように吠える。
しかしその拍子に小石に躓いて身体が後ろに傾く。

「っぶね、、」

何とかバランスは取り戻したが小石が転がっていった。それに驚いたか、餌に群がっていた猫はさっと散ってしまった。
ここの寺の住職が毎日餌をやっている野良猫だろう。
何匹かの猫は建物の床下に潜ったようだ。
床下から猫が警戒して唸るような声がする。

……まさか。

身を屈めて覗き込むと、床下に丸まっていた。
生来の綺麗な銀髪も泥や土で汚れてしまっている。
間違いない、万事屋だ。

「チャイナ、眼鏡、こっち来い!万事屋だ!」

その声にびくっと震え、身体を縮こまらせると、ぐるるる...と喉の奥で唸り始めた。

土方は身体を地面につけて床下に潜り込む。
すると俊敏な動きで少年は逆側へ這い出していく。

「…銀ちゃん!」

夜兎の脚力で新八より早く駆けつけた神楽がその行き手を阻む。
そしてその手を掴もうとした瞬間。
素早い動きでそれを跳ね除けた銀時は、大きな瞳でこちらを睨みつけながら、ゆっくりと手に持っていた刀を引き抜く。

(……ありゃ真剣か…?!一体どこで…)

普段の万事屋の瞳はやる気なさそうにダランとした死んだ魚のような目をしているものだが...。むしろこの銀時は小さな身体に迸る程の覇気と緊張感を帯させている。

「それ以上ちかよんな…」

変声期前の声を最大限低く押し出した声色。少しでも敵に自分の強さをアピールするように、生き抜く為に少年が編み出した術なのだろう。

「! 銀さん…」

追いついた新八が驚いたように名を呼ぶ。
しかしそれにすら攻撃的な色を孕んだ響きで銀時は唸った。

「銀ちゃん、私達銀ちゃんを虐めたりなんかしないアル!護りに来ただけヨ」
「そうです銀さん、危ないことなんてしませんから!」

その時、真選組の部隊が到着した。
土方が銀時捜索を命じていた隊である。見つけた瞬間に無線機で集合を命じていたのだった。

赤い瞳がさっと状況を確認し、この人数相手には逃げ切れないと悟ったのか取り敢えず逃走を図る体勢はやめてくれた。

が、警戒している様子は相変わらずだし前回確保後に脱走されたばかりだ。
ゆっくり土方は近づき銀時を見下ろす。

「こんな所で何してた、どーやって生活してたんだ」
「…草いっぱいあるだろ」
「万事屋テメェこの雑草食ってたのか」
「水も飲みほーだいだし」
「手水場の水か?罰当たりめ」

ぷいっと銀時は顔を背けた。
こいつとは話すことはないとばかりに口を強く引き結んでいる。

「銀ちゃん、私達ずっと心配してたアルヨ。ゼッタイ危ない目にあわせないから万事屋に帰ってきてヨ」

瞳を潤ませて自分にぎゅっと抱きついてきた少女を、不思議だと言わんばかりの目で銀時は見上げた。

「…だれ」
「私は神楽アル。銀ちゃんの家族ネ」
「僕は志村新八。僕のことも家族だと思ってくれていいんだからね!」

きょとんと目を丸くして銀時は二人の顔を見つめる。変なやつと出会ってしまったというような表情だ。

「ところで万事屋、その真剣はどこで得たものだ」
「うるっせーアルな腐れポリ公!さっきからちょいちょい事情聴取してきやがってェ!」
「仕方ねーだろこれでも警察なんだよコッチは」

「…しらね、なんかおっさんが落っことしてったから拾っただけだし」
「オイオイ本当に落っことしてったのか?今なら怒らないから正直に言え」
「あんまよくおぼえてない」

クソが、と土方は頭を抱える。帯刀していたという事は幕府の官僚ではないのか。大丈夫かよ...と思わず漏らすと、銀時はけろっとした顔でこっちの姿みられるヘマはしてねーから大丈夫、などとほざいた。

本当は屯所に連れて帰って検査を受けさせたいところだが小さな銀時の早速ベッタリなチャイナ娘に相当の抵抗を受けそうである。

「こっちで天人の屋敷から見つかった薬品を片っ端から照合してる最中だ。どれが使われたか分かったら連絡するからひとまずお前らが連れて帰れ」

ぱああっと二人の顔が綻んだ。
二人の後ろからお妙が銀時の姿を認めて驚いたように目を見開いた。

「あら本当にちっちゃくなっちゃったんですね銀さん…!折角可愛いのに薄汚れてて台無しじゃない、お風呂入れたらちゃんとフワフワ復活ですけど」
「姉上、捨てられてた子犬みたいな言い方やめてください」
「犬っていうよりむしろ猫アル」

「でも取り敢えず皆に早く連絡しなきゃね。九ちゃんに猿飛さん、月詠さんも今あちこちで手伝ってくれてたの」
「そうですね!」

お妙の言葉を受けて新八が電話を取り出す。
それを見て土方は新しい煙草に火を点けると、

「パトカーで万事屋まで送ってく。後ろ乗れ。そのガキ絶対離すんじゃねェぞ」
「あ、ありがとうございます土方さん!」
「もうちょいオレも聞きたいことがあるからな…、一回のスナック借りるぞ」



「怖がらないで銀さぁん!!!!!いろーんなこと私が手取り足取り教えてあ、げ、る♡」
「退け猿飛、そんな鼻息で近寄るから銀時が怖がっているじゃありんせんか」
「るっさいわねツッキー!そぉーやって私を遠ざけてる間にちっちゃい銀さんにあーんなことやこーんなこと企んでるんでしょっ、逆紫の上計画立ててるのはお見通しよ!!」
「童相手にそんなこと考えるわけないじゃろ!」
「さてどうだか!!」

ちいさい万事屋はまだ人慣れしていないから丁重に扱えと言ったはずなのだが。
早速女子に囲まれてワイワイされてしまっている。
元御庭番衆のくノ一や吉原の百華の頭に果ては式神までいるようだ。流石の顔の広さというべきか。

「お前、名前は」
「だからしらないって」

相変わらずの返答に苛立って思わず土方が眼光を鋭くする。

───と。
「その子、本当に名前がないんじゃないのかい」

お登勢が柔らかい声音で言った。

「別に私らはアンタがどこのガキだってここを追い出しやしないよ。名前がなくたって親が居なくたってかまやしない。既に素性の知れない奴らこんなに抱え込んじまってるんだから」

赤い大きな瞳を一瞬揺らがせて、頷いた

「元に戻るまでここにいな。ここにはアンタのこと大事に思ってる連中が居るんだから。それだけでアンタが留まる理由は十分さ」

「ねえ、でも呼び名がないのは不便アルから銀ちゃんって読んでもいいアルか?」
「ぎん…」
「僕も銀さんって呼ばせてもらうね!慣れないかもしれないけど、僕達は君の味方だから
絶対に君を護るからもう怖がらなくていいんだよ」

ニコッと新八が目を合わせて言う。

「アリガトウモ碌ニ言エネーナンテ、クソガキ!私ガ鍛エナオシテヤルヨ!」

キャサリンが彼女なりの肯定で憎まれ口を叩く。


感情を表現するのにまだあまり慣れていないのだろう、こくんと銀時は頷いた。どうやら警戒はある程度解けたようだった。



「銀ちゃん、この子は定春!万事屋の大事な一員で我が家を守ってくれる立派な番犬ネ!」

神楽は笑顔で銀時に定春を紹介したが、銀時はあまりのサイズ感に驚いてしまったのか思い切り後退ってしまっている。

「いぬとカラスはすきじゃねー。食いもん取るから…」
「大丈夫、ご飯だって君の分くらいあるし定春は君のご飯取らないし噛んだりしないから」

ね?とこわばった小さな身体を勇気づけるように新八が優しく触れる。

銀時が部屋に入った瞬間定春は嬉しそうにひと鳴きした。だがお利口に乱暴に飛びつくことはせず、銀時を安心させるように大人しく尻尾を振って座ったままだ。

「撫でたげて銀ちゃん!定春モッフモフアル、銀ちゃんも大好き決まってるネ!」

おそるおそる伸ばした指先が定春の額に触れる。
定春は嬉しそうに鳴いて好意を示すように舌で銀時の頬を舐めた。

だんだんとこの大きな獣は自分を食べる気はないらしいと気付いた銀時は安心したのか室内をキョロキョロしだした。

「ここが銀ちゃんがいつも座ってる椅子!」
「で、向こうは銀さんがいつも寝たりしてる部屋だけど…今日はどういう風に寝たい?」
「勝手なとこでねるから、きにすんな」

どうやら寝床を知られたくないようだ。
まだ完璧に心は許されていないらしいと二人は感じ取った。しかしそれによる感情の起伏は銀時に悟られないようにニッコリと微笑みかける。

「この家は君にとってどこも安心できる場所だからね。おやすみ、銀さん」

先程風呂で現れたおかげですっかりふわふわを取り戻した銀色の頭を撫でて言う。

嬉しいことに手を叩かれはしなかった。



昼間見慣れている部屋なので暗闇でも手さぐりで前に進める。
居間の前までいくと、同居しているピンク髪の少女も部屋の前に立っていた。

「神楽ちゃん…君も来てたんだね」
「新八、どうやら銀ちゃん大丈夫そうアル」

視線の先では定春のお腹の上で、その大きな身体に包まれるようにして眠る銀時がいた。

その姿は酔い潰れて帰ってきた銀さんとなんだか重なって見えて、やっぱりこの子は銀さんなのだとちょっぴり安心する。
昼間は毛を逆立てた猫のようだったのに寝てる顔は年相応に可愛らしくて。あの人も寝てる顔は可愛げがあったっけ。
本人に対してはアホ面なんて罵っていたけど。

銀さんを元に戻す手段は明日から皆で頑張って探そう。
早くいつも通りの日常に戻してあげたいけれど、ここは銀さんがどんな姿であろうと絶対に銀さんにとって帰れる場所であり続けるから。

この少年が過酷な環境に身を置いてきたことは行動の端々から感じ取っていた。

だから今は此処が、小さい銀さんにとって安心できる居場所であれますようにと切に願う。
あの人は普段めったに頼ってくれてないから、こんな時くらいは思い切り甘やかさせてくれたっていいはずだ。

月明かりを反射してきらきら光る銀髪にあどけない顔で寝息をたてる雇用主の顔をもう一度見つめる。

「おやすみ、銀さん」

せめて今晩はいい夢を。
そう呟いて、扉をゆっくりと閉じた。
大丈夫。僕達がすぐにいつも通りの日常に戻してみせるから。



Comments

  • SATUKI

    大好きです.....

    Mar 25th
  • 幼ぎんさんも可愛いが、周りの過保護感(?)もめっちゃ銀さんが大切ってことが伝わってくる…

    Feb 24th
  • R
    Jan 18th
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
© pixiv
Popular illust tags
Popular novel tags