銀さんがちっちゃくなる話
ショタ化が大好物です…。
今回はまだ真選組しか出てきませんが...かぶき町の面々で銀時愛されを書きたい所存です。いつ見ても子銀ちゃん可愛すぎてしんどい
続き書いちゃいました...(novel/10063230)
追記:タグ追加ありがとうございます。
- 3,031
- 3,489
- 70,561
万事屋が姿を消したという話を聞いてから2週間が経った。見慣れたガキ二人が屯所を訪れた時は珍しいこともあるものだと思ったが、あの銀髪頭が姿を消したと二人の口から聞いた時には更に驚いた。アイツはちゃらんぽらんに見えて一度懐に入れた相手は最後まで護り抜く奴だから、そう簡単にガキを放っぽって何処かへ行方を眩ませるとは思えない。
( ──また厄介事に首突っ込んでやがるな)
飄々としているようで情に厚い男だ。
出会いこそ最悪だったが何だかんだ真選組と万事屋は長い関係である。絆だ何だとのたまう気は無いが、因縁深い相手であるだけにそれなりにあの男の人となりは知っているつもりだ。
その後かぶき町周辺の巡回の警戒を強めたり白髪の侍を見なかったかと聞き込みを増やしたが、結局今に至るまで有力な手掛かりは得られなかった。
万事屋のガキ共もあれ以来屯所には訪れていないし、しばしば町で必死に目撃情報を聴き込んでいる様子を見かけるので向こうにも進展はないのだろう。気にならない訳ではないが警察として一人の民間人に意を注いでいる訳にもいかない。真選組にも普段通りこなさなければならない業務がある。
障子戸の外にふと気配が生じた。
「副長、例のヤツら漸く動きを見せました。今日の夜八ツ頃にあの屋敷で武器密輸の商談が行われるのは間違いありません」
「御苦労だったな山崎。テメーのアンパン生活も今日で終わりだ良かったじゃねェか」
好戦的な色を滲ませて土方は笑みを浮かべた。やはり自分には書類仕事より喧嘩の方が向いていると感じる瞬間だ。仕事で喧嘩できるなら上等じゃねェか、と常々土方は考えている。
この時はまだ、今日の討ち入りも特段珍しくない攘夷浪士との斬り合いだろうと思っていた。
✱
「…山崎。そのガキは一体何モンだ」
「屋敷の奥に監禁されてたらしいです、俺が外から監視してた時はまるで子供がいるような気配はなかったんですけど」
隊服を被せられている小さな子どもに視線を移す。
白い肌に大きな柘榴色の瞳は野生動物のように爛々とこちらを覗いている。
頭髪から睫毛に至るまでまっしろだ。
正確な年齢は読み取れないが歳より発育は悪そうだった。ほとんど肉のついていないガリガリの体躯。まっしろでフワフワで華奢なのに、纏う空気は生きんとする活力に溢れている。
( ──かわいい)
ちっちゃい。そして見た事もないくらいに白い。
隊服をひっぱってできる限り衆目を避けようとしている。その一方で赤い双眼は警戒心を一切とかずにこちらの動きを睨め付ける様子は、人間の子どもというよりむしろ、
「まるで野生動物だな」
そう言って近寄って頭を撫でようとすると、その白い生き物はすすすっと土方の腕から逃れるように後方へ移動した。
フラれた気分である。
動物に懐かれないと結構凹むタイプなのだ。
「あらら土方さん、すっかりガキに嫌われちまってるでねぇですかィ」
「うるせーな総悟。おまえにだって似たような態度だろが」
大体血塗れの隊服でガキに寄ってくるな、と近付いてくる沖田を子どもの前で制した。
「というか土方さん、聞きました?」
「あ"?何をだ」
煙草に愛用のマヨライターで火を点けながら聞き返す。討ち入り後に総悟のテンションが高くなってじゃれてくるのはいつもの事だ。別段気にするようなことではない。
「捕らえた攘夷浪士共は、白夜叉を捕獲したって吐いたっていうんでィ」
思わずポロリと咥えていた煙草を落とした。
「白夜叉...?」
「つーことはこの子は旦那ってことですね」
煙草を踏み消す土方の横を沖田が通り過ぎて白い子どもの前まで辿り着くと、その視線に合わせて身を屈めてじっとその顔を見つめる。
「ホラ土方さん、この白さにこの天然パーマ。間違いなく万事屋の旦那でさァ」
「 ────ッオイ嘘だろ!!」
思わず相変わらず警戒心剥き出しの子どもに近付いて叫んでいた。
頬っぺをむにーっとつまむ。
肉付きが薄いわりに頬っぺの感触はもちもちだ。
「おまえ、万事屋か?」
「……さわんな」
ぴしゃっと冷たい瞳で言い放たれる。
「そんなちっちゃいのに万事屋だなんて言ったって分かるわけねェでしょ土方のバカヤロー」
「チッ…おいガキ、これは事情聴取だ。お前の名前は坂田銀時か?」
赤い大きな瞳が若干揺れた。
「………」
「おい」
「………しらねえ、そんな名前」
憮然とした態度に土方が眉を顰めて距離を一歩詰めると、そのガキ────、いや万事屋は不機嫌さと警戒を露わにこちらを睨みつけ、
挙句にこちらの指を噛んだ。
「いてっ」
思わず手を引っ込めるとそれを好機とばかりに走り出した。しかもこちらに隊服を投げつけ目眩しをしてくる所業だ。
「おい待てっ!!」
慌てて追い掛けるが、如何せん動きが素早い。隊士の数が少ない場所を縫って葉知っているのは野生の勘か観察眼の賜物か。
急いで後を追うが、
「ふ、副長ぜんぜん追いつけません!」
「クッソ...アイツガキの頃から化け物か」
アイツの身体能力の高さは知っていたが、こんなに小さい頃から場数を踏んだあの動きに空間把握能力。
身体が小さいぶんすばしっこい上に、(あの男と知った今認めたくはないが)可愛らしい見た目でこちらの油断を誘う。
「どうしますか副長!」
「かなり弱ってたし其れ程遠くには行かれねェ筈だ。早急に見つけて保護する」
「土方さん、アイツらにも連絡入れてやった方がいいんじゃねェですかィ」
「…ああ、そうだな。山崎」
「分かりました。万事屋の連中に掛けてきます」
一体どうなってやがんだ、と土方は思わず空を仰いで溜息をついた。
(この後神楽と新八に拾われて、女性陣にめちゃんこに可愛がられ結局お登勢さんに一番懐くぎっときを書きたかったです)