「ドイツ人にとって米国は自らの悪魔に対する保証だった」
米国の欧州への関与が縮小する中、ドイツの再軍備は欧州防衛の要であると同時に、扱いを誤れば欧州を自壊させる時限爆弾となる。ベルリンの指導者は強大な力が招く近隣国の恐怖を直視し、統合による抑制と責任を果たさなければならないとフィックス氏は説く。
メルツ氏は「リーダーシップ:賛成」でドイツの責任ある役割拡大を宣言し、「覇権:反対」で近隣諸国の恐怖心を鎮め、「単独行動:二度とない」でナチズムの歴史的トラウマを直接封じた。この3つがセットになって初めてドイツ再軍備は意味を持つ。
メルツ氏とエマニュエル・マクロン仏大統領はフランスの核の傘を欧州に広げるための協力強化を検討することで合意した。フランスの核戦力を支援する通常戦力任務にドイツ軍を展開する案が俎上に載る。フランスは他の約6カ国とも同様の核協力を模索中だ。
フランソワ・ミッテラン仏大統領(当時)の顧問だったジャック・アタリ氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(4月29日付)に「独仏間でドイツ支配という問題は常に語られざる真実だった。ドイツ人にとって米国は自らの悪魔に対する保証だった」と語っている。
「米国が撤退すれば、その悪魔が再び姿を現すかもしれないとドイツ人は考えている」(アタリ氏)