かつて中国が南シナ海を奪取する際に駆使した主要な手口は、いわゆる「グレーゾーン戦術」である。相手が戦争を決断するには曖昧なレベルの小規模な挑発を繰り返し、実効支配の領域を広げていく手法であり、その始まりは常に人工構造物の設置であった。
南シナ海で起こったこと、「漁民の避難場所」がいつしか巨大軍事施設に
1995年に中国が南シナ海のミスチーフ礁に初めて進入した際、海面上にわずかに露出した岩礁の上に鉄柱を打ち込み、小屋形式の簡易建物数棟を建てた。
フィリピンの強力な抗議に対し、中国は「漁民が嵐を避けるための単なる避難所であり、軍事的な目的は一切ない」とシラを切った。
しかし、20年近く「避難所」と言い張ってきた中国は、2014年から本性を現した。
大型の浚渫船を動員して周辺海底の砂やサンゴ礁をかき集めて埋め立て、最終的に約5.5km2規模の人工島を完成させた。そこには3000メートル級の滑走路、戦闘機格納庫、ミサイル砲台、精密レーダー基地などの軍事施設がひしめき合い、巨大な海上軍事要塞へと変貌を遂げた。米軍当局は、ミスチーフ礁を含む南シナ海の人工島について、「事実上の軍事化が完了した」と公式に評価している。