「それにしても迷惑な話」
中村は被害者の一人。
'20年に、正下と第一生命を相手取り訴訟を起こした。ところが直後に正下は「認知症」と診断され、芦屋市に住む娘のもとに引き取られる。やがて「年齢や健康状態など」を理由に、不起訴処分(起訴猶予)となった。
代わって被害者に弁済したのは第一生命だ。当初補償の対象としたのは被害額の3割だけだったが、被害者弁護団が抗議した後に全額とした。ただし中村はその限りではない。被害の一部は証拠が不十分と判断されたためだ。
正下とその家族とは懇意にしてきた。だが、事件発覚後、ずっと音沙汰がなかった。だから突然の郵便物には困惑もさせられた。
この事件について、私が遅まきながら『週刊現代』で報じたのは'25年1月のことだ。中村の家族は、郵便物が届いたことについて苛立っている。
「正下さんのご遺族が記事を読んで、良心の呵責を覚えたのでしょうか。それにしても迷惑な話。弁護士に対応を相談するのにも、時間や費用がかかるわけですから」
じつは同様の郵便物は同時期に、ほかの被害者にも届いた。中村の家族が言うように、今ごろになり、正下の遺族は良心の呵責を覚えたのだろうか。それとも、けじめをつけておくべき急用が生じたのだろうか―。