「他と違う…パズル解けた!」正倉院の刀子、3本は中国製と判明
2026/4/30 10:49(最終更新 4/30 10:54)
正倉院(奈良市)に伝わる刀子(とうす)(小型ナイフ)67本のうち3本は中国製の唐(から)刀子だとみられることが正倉院事務所の調査で判明した。3本は刀身が長く、形状も異なっていた。論文をまとめた前事務所長の西川明彦調査室員は「前から他と違うと思っていた。パズルが解けた」と話している。
刀子は紙や布を切ったり、木簡を削ったりする道具。20センチ前後が多いが、調査した3本は37センチ前後ある。刃は一方にしかついていないが、もろ刃のように左右対称な「筍(たけのこ)反り」という形状をしている。
さやも通常は筒に入れてひもで帯につり下げたが、この3本は刀剣のようなさやがしつらえられている。さらに帯に取り付けるための革製の用具もあった。
鉄の質も異なる。通常は鍛錬を繰り返すことで刀身に木目のような模様があるが、この3本にはない。刀身は白金のように明るい。こうした性質は、正倉院に伝わる唐太刀とよく似ており、唐刀子と結論づけた。
奈良時代の聖武天皇の遺品目録「国家珍宝帳」には「唐刀子」と「金銅作(こんどうつくりの)唐刀子」の記述がある。調査した3本のうち2本は、目録にある遺品に相当すると仮説を立てたが、さやを装飾する素材が記述と異なるため更なる検討が必要とした。
論文は22日公表された「正倉院紀要48号」に収録された。【大川泰弘】
唐刀子と判明した正倉院宝物の刀子(刀身)=正倉院事務所提供
正倉院に伝わる刀子の一例(刀身)=正倉院事務所提供