傷害の罪で逮捕、起訴された佐藤紗希被告(インスタグラムより)
これらより、嫌であれば抵抗できるはずのところ、従前までの関係性から暴行を受け入れていた。また、犯行後に残された写真でも飼い犬と戯れるなど落ち着いた様子や、被告人が海外に出かけた際も、Aさんからおどけた動画を送る、警察に助けを求めようと思えばできたなど、精神的に圧迫する関係性ではないとした。
以上から、Aさんの同意、もしくは同意があったと誤信する状況であったとした。
さらに、こうした暴力行為の背景には、被告人の精神特性と実母の虐待が影響していると見られ、それらは被告人自身ではいかんともしがたいものであったと主張。
また、事件を反省し、カウンセリング受診を継続し、養父の監督のもと生活を改め、すでに昼間に働いている点、そしてAさんと示談が成立しており、執行猶予を求める文言が付されている点、これらを考慮し、立ち直りに向けて歩み始めている被告人には執行猶予が相当であると弁論した。
判決の言い渡しは6月
検察官と弁護人の最終意見は60分ほどに渡った。通常であれば10分程度で終わるこの手続きにしては長い。そこには故意を争っているという事情はあるにせよ、過去から綿々と続いてきた歪ともいえる被告人とAさんの関係性が生んだものにほかならない。
検察官、弁護人の意見をほぼ表情を変えずに聞いていた被告人。最終意見で「今回のことをこれからも忘れず、考えていきながら、これからも治療を受けながら生活していきます」と述べた。
判決は6月に言い渡される。
(了。前編から読む)
◆取材・文/普通(裁判ライター)